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維新の騙しの手口ー小森陽一の論文より(2)

 昨日と今日は、久し振りに飲食店のバイトに入った。

 一緒だった62歳の男性は、朝早くから午後3時までこの仕事の後、夕方6時から夜11時まで、居酒屋さんの仕事をしている。
 よく働く、調理師免許も持つ人だ。コロナ禍となって、居酒屋での仕事は社員優先でパートの彼は10月まで休みで補償も少なかったようだ。
 
 私は、会社の仕事とのWワーカーで、厚生年金も受け取っている。
 バイトは自分の小遣い分位は稼ごう、という感覚なのとは、大きな違いがある。
 
 世の中には、多くの彼のような人がいるのだと思う。

 政治は、いったい誰のためにあるべきか。
 そんな思いで、記事を書いている。


 文書通信交通滞在費を、寄付する、と言っている維新。
 我々の税金は、正当な政治活動において使われるべきだ。
 勝手に寄付などしてもらいたくない。
 スタンドプレーも甚だしい。


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 全国労働組合総連合(全労連)のサイトにある、「月刊 全労連」2012年8月号掲載の「九条の会」事務局長で東大名誉教授小森陽一による“橋下「維新の会」の騙しの手口”、から二回目。
全国労働組合連合会サイトの該当ページ

 この論文は、小森陽一が、『橋下「維新の会」の手口を読み解く』(新日本出版社)を出した後、岩波書店の雑誌『世界』(2012.7)が「橋下維新─自治なき『改革』の内実」という特集を組んだ。この特集に寄せられた6本の論文と朴パクウォンスン元淳ソウル市長へのインタビューが、橋下「維新の会」が進めようとしている運動の内実を、総合的にとらえるうえで、重要な視座を与えてくれている、として、あらためて維新の手口を小森が整理して記した文章だ。

 前回は、小森陽一が五つに分類した手口のうち、第一と第二を紹介した。

 第一の手口は、「悪役・悪玉・敵役を意図的に捏造して、攻撃を集中させる」ことであった。
 そして、その敵役は政治家ではなく、公務員を攻撃相手にすることが特徴だった。

 第二の手口は、「抑えに抑えているうらみや怒りに働きかけ、晴らすかのような幻想を与える」こと。
 「民意」という言葉を多用し、「身分保障の公務員」という敵役への恨みを煽る。


 では、三つ目の手口をご紹介。

三つ目の手口「政策的な因果論的思考を有権者から奪う」
 
 「感情を統治」することを一貫させているために、現状の矛盾によってもたらされる、怒りや恐れや悲しみの責任がどこに、そして誰にあるのかという因果論的思考は排除されてしまう。責任の所在を明確にして、現状を変える方向性を論理的に解明したときに、改善の政策がはじめて見いだされるのである。しかし橋下流煽動の三つ目の手口は、政策的な因果論的思考を有権者から奪う方向に仕向けるところにある。
 森裕之氏は「維新の会は大阪をどう改造しているか」において、まず「政治家にとって実行力が必要であるのは間違いないが、何のためにどのような政策を推し進めようとするのかはさらに重要である」と述べたうえで、「大阪府の財政改革」と「大阪の成長戦略」を検討したうえで、橋下「維新の会」の危険性についてこう指摘している。
 彼らの成長戦略は、大型のインフラ整備が進めば国内外の企業の集積や経済活動の活性化がはかられるという素朴な発想でしかなく、既存の社会資本の状態が経済成長の隘路をつくり出しているという証拠もない。こうした政策が一歩誤れば、膨大な公的債務を生み出す結果だけを招来することは、すでに我々は嫌というほど経験している。
 つまり強引に進めた大阪府の財政再建を実績として、2011年の選挙で単一争点とした「大阪都構想」を中心とした「大阪の成長戦略」には、現実に即した政策性は皆無に等しく、「素朴」な、すなわち誰でも考えつくような枠組でしかないのである。
 「大型のインフラ整備」をやっても、結果として安い労働力を求める大企業は、日本における生産拠点を海外に移し、いわゆる「工業団地」政策は事実上破綻してしまった。そうであるにもかかわらず、橋下「維新の会」は、「大阪都構想」ワンイッシュー選挙にしたのである。2005年に「郵政民営化イエスかノーか」という二者択一を国民に迫った、小泉純一郎政権の総選挙の手口を、大阪のダブル選挙に持ち込んだに過ぎない。

 まさに、劇場型と言えるのが、「カジノ万博」という大型インフラ企画であるのだろう。

 なぜ、それが必要なのか、現在のインフラにどんな問題があるのか、などは議論されることはない。

 「都構想」にしても、同じような発想と言えるだろう。

 維新は、いまだに「都構想」を諦めていない。
 コロナ禍でさえ、住民投票を実施するという呆れた行動は、いまだ記憶に新しい。

 市民、府民の健康被害への危惧などより、自分たちの都合が優先する。


 大型インフラ整備で、今まさに問題なのは、「カジノ万博」だ。

 万博を招致すれば、経済が再生する。
 カジノを誘致すれば、金が落ちる。

 そんな単純な発想でしか、物事を考えられないのが、維新政治だ。

 カジノ万博によってメリットを享受するのは、外資や一部の大企業だけだろう。


 そこには、今、府民や市民が必要としているものは何か、という視点が完全に抜けている。


 2025年の大阪・関西万博会場隣接地にIR(統合型リゾート)を誘致しようという計画だが、決して維新の思惑通りには進んでいない。それは、当然だろう。

 毎日新聞から引用する。
毎日新聞の該当記事
大阪万博に影落とすIR誘致 新設駅の周辺整備「応募ゼロ」の衝撃
深掘り 柳楽未来
毎日新聞 2021/7/14 06:00(最終更新 7/14 08:37)

 2025年大阪・関西万博の会場となる大阪市此花区の人工島・夢洲(ゆめしま)に新設される「夢洲駅」(仮称)について、周辺整備を担う事業者を市が公募したところ応募は1社もなく、市や万博を運営する日本国際博覧会協会は戦略の見直しを迫られている。万博会場の隣接地には、大阪府と大阪市がカジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致を目指しているが、この開業時期が定まらない現実が「応募ゼロ」に影響している実態が浮かんできた。

 結局、松井市長は、公費で周辺整備をすると8月末に発表した。

 もちろん、市民の税金が使われる。

 ちなみに、IR業者は、「MGM・オリックスコンソーシアム」一社のみ公募に応じ、決定した。


 夢洲駅建設予定地の土壌汚染が指摘されていることを含め、「カジノ万博」には、多くの府民、市民、団体が反対している。

 府民、市民のために使われるべき税金が、カジノ万博関連に、どれほど使われているのか。

 二年前の時点で、すでに多額の血税が費やされていることを、日本共産党大阪府委員会のサイトから大阪民主新報2019年3月の記事による表を含め紹介したい。
日本共産党大阪府委員会サイトの該当ページ

おおさかナウ
2019年03月10日
政治データで見る維新の10年
⑧大型開発優先の公共事業


 大阪維新の会の「綱領」の「基本的立場と理念」(HPより)には、「アジアの拠点都市に足る都市インフラ(道路、空港、鉄道、港湾等)を整備する」と謳っています。安倍政権による巨大開発・インフラ整備路線と共鳴する維新10年の間に府民・市民向け予算はバッサリ削減し、巨大開発推進へと大きくシフトしてきました。

 大阪府の2019年度一般会計当初予算は前年度比1・7%増の2兆5983億円で増額は4年ぶり。大阪市の一般会計予算は1兆8353億円、前年度比+582億円(3・3%)で3年連続の増加です。

 とりわけ伸びが顕著なのが、まだ何も決まっていないカジノ開業関連の夢洲整備予算です。なにわ筋線や淀川左岸線延伸部、万博会場建設など巨大開発推進に大きく舵を切る内容となっています。

 先月12日、府市IR推進局が示した「大阪IR基本構想(案)」では、投資規模9300億円もの想定事業モデルを示しています。大阪市の今年度予算案でも、カジノ事業者選定委員会の設置や国への区域認定申請に向けた計画の策定、ギャンブル依存症対策などに1億6300万円が盛り込まれています。

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 ギャンブル依存症対策に予算を充てる前に、依存症の危険性を招くカジノそのものを、自治体が作るべきではない。

 しかし、そもそもの発想が違う。

 「ギャンブルを遠ざける故、(日本は)坊ちゃんの国になった。小さい頃からギャンブルをしっかり積み重ね、全国民を勝負師にするためにも、カジノ法案を通してください」
 「増税よりカジノ。収益の一部は教育、福祉、医療に回す。隣の兵庫県知事が反対しても無視。わいざつなものは全部大阪が引き受ける」。

 橋下徹氏が府知事時代の2010年、IR法案の成立を目指す国会議員の勉強会における発言である。
 IR法案は18年に国会で成立。

 ギャンブルを遠ざけると、なぜ、坊ちゃんの国になるのだろう。
 小さい頃からギャンブルを積み重ね、勝負師になれば、その人は幸福になれるのだろうか。
 収益の“一部”とは、どれほどなのか。
 同じ近畿圏のお隣、兵庫と大阪は多くの人が通勤や通学で行きかう同じ近畿圏内だ。なぜ、お隣と敵対してまで、カジノが必要なのか。

 コロナ禍での東京五輪開催にも反対だったが、それ以上に、「カジノ万博」開催には、反対だ。

 インフラ建設で潤うのは、決して、府民や市民ではない。

 橋下維新府政になってから、府民、市民のための予算は大幅にカットされ、巨大インフラのために税金が使われてきた。

 たとえば、国民健康保険の滞納者へのペナルティーとして、正規保険証を取り上げる制裁が多くの自治体で行われているが、大阪市ではこれに加え、資産調査と差し押さえの処分が多発している。

 生活保護受給者は、他の政令都市に比べ減少傾向にあり、受給申請者を、ニベなく追い返すことが大阪では多い。
 就労支援は、パソナなどの人材派遣会社に委託されていて、会社は就職件数で成果を問われるため、相談者が望まない仕事を強要したり、「就労しないと保護が切れる」と脅すなど、支援とはほど遠い実態を生んでいる。


「身を切る改革」ではなく、「府民、市民を切る改悪」を一貫して実施してきたのが維新なのである。

 15日の記事で紹介した、長谷川豊の言葉を、あらためて紹介する。

 「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ!無理だと泣くならそのまま殺せ!今のシステムは日本を亡ぼすだけだ!!」

 こんな暴言を吐く人物を公認し選挙に送り出した政党であることを、しっかり覚えていよう。

 BS TBS「報道1930」を見ながら書いている。
 維新による政治のムダへの指摘は、決して彼らが初めて問題としてきたことではない。
 相変わらず、政治そのものを語らず、誰もが反対しそうにないことばかりを取り上げる。

 国会議員が、この国のあるべき姿を語るための大きな課題は、もっと他にある。

 地球温暖化対策などの課題は、彼等の眼中にないのだろう。

 自分たちのムダ使いは棚に上げ、重箱のスミをつつくばかりの政党に、この国を任すことはできない。

 立憲の泉が、維新は政党交付金についてどう考えているのか、と真っ当なことを言っていた。


 このシリーズ、まだ続く。

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by kogotokoubei | 2021-11-17 20:27 | 許さんぞ! | Trackback | Comments(0)

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by 小言幸兵衛