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柳家小三治『ま・く・ら』より(3)

 衆院選よりも、皇室関係ニュースがメディアで溢れている。

 個人的には、騒ぎすぎだと思う。
 大人しくしてあげればいいのに・・・・・・。

 少し空いたが、あの落語家さんの本から。

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柳家小三治『ま・く・ら』

 1998年6月に発行された柳家小三治『ま・く・ら』より三回目。

 引き続き「駐車場物語」。

 高座は、1992年10月31日の鈴本、あの歴史ある余一会。

 自宅近所の駐車場に、四台のオートバイを車一台のスペースに駐車していた小三治。
 なんとオートバイとオートバイの間の狭いスペースに一人のホームレスが住み着いた。

 三日間、寝っぱなしの彼のことが心配になり、勇気をふるって(?)声をかけると、「腹がかたくて歩けない」と、小三治いわく、文学的表現で答えた。

 つい「医者を呼ぼうか」と言ったが、彼はそれをやんわり断った。呼んでくれと言われたら、それはそれで大変だったけど。

 さて、その後、駐車場の居候は、どうなったのか。
 
 そいでね、そのうちにほっといたら、ただ寝てるだけじゃないんです。方々に自分の家財道具を分散しておいたんでしょうね。
 家財道具ったって、そんな大したものありませんよ。え~、ボストンバッグを二つとか、大きな旅行用ケースを一つとかね。なにしろいちばん隅ですから、突き当たりの。その壁際のところへズラーッと並べてね。そのうち自分の自転車まで持ってきてね(笑)。
 だんだん住いというより、城という感覚になって・・・・・・。
 で、雨が降るとどうするんだろうと思うと、屋根はありますけれども、周りから吹き込んできます。そうするとね、段ボールをね、よく見たらあらかじめ用意してね、幾つも持ってるんです。雨が降ってくると、それをバンバン雨戸を立て回すように立て回して、とてもいい世界がそこに広がってくる(笑)。
 うーん、どうしようかなぁ、これなぁ、しょうがねぇなぁ、こらなぁと思うんですけれども、あたしらそういうきっかがあったもんですからなかなか言えないうちに、どんどん、どんどんむこうは世帯を広げていきますよ。
 コンクリート・ブロックあるでしょう。ブロック塀に使うあれ。あれ、立てると塀ですが、倒すと穴が三つあいてます。ご存じのように。あれをね、いちばん隅のところへね、横にしまして、三段重ねにしてね、それを自分の整理ダンスにしてる(笑)。
 いちばん左の下が亀の子だわし(笑)。その次がクレンザー(笑)。石けん。歯刷子(ぶらし)。なんか、なんかいろんなもんがね、きれえに・・・・・・。
 とても整理整頓なんですから(笑)。

 その駐車場の水道をふんだんに使って、魚屋が使っている発砲スチロールを盥代わりに洗濯をする、小三治の言葉を借りると、きれいごとの住人(?)であった。

 そのうちあたしのオートバイの後ろにね、洗濯物を干すたくさんクリップのついた(笑)、あれが天井から二つ三つとぶら下がりましてね。
 あれよ、あれよというまに真夏んなりましょう。そうするとね、夏の風を受けて涼しそうに、洗濯物がひらめいくんですな(笑)。
 洗い立てのクレープのシャツをピシッと着込んでね、そいで駐車場の前の予備校の前の花壇のところへ、腰おろして、足ぃ組んで、夕方なんか涼しそうに鉢巻きをしてね、缶ビールかなんかをプルプルーッてんで飲むんですね。
うまそうなんですよ、これがぁ! こっちぁ、それを横目で見ながらね、無言で寄席へ行くんですよ(笑)。
 情けないですよ。むこうはね、ただで住んでるやつがビール飲んでいい心持ちのところを、こっちはね、幾らにもならねえ寄席まで行かなくちゃいけねぇのかと思うとね(笑)、羨ましくなりましてね。
 で、なかなか栄養のバランスも考えてるんですよ(笑)。
 八百屋、魚屋ね。これと心安くしてるんでしょうね、そういう発砲スチロールをもらえたり。
 だってね、桃の季節があったでしょう。桃の季節、あたしより早くモモ食ってました(爆笑)。

 文字で読んでいても自然に笑えてくるのだから、その時の鈴本の客席は、ひっくり返ったに違いない。

 この居候は、高田馬場では有名だったようで、おまわりさんに話しても、あいつは悪いことはしないって小三治は言われたてしまった。
 他人(ひと)の物を取ったり、壊したり、そういうことは一切しないから、あいつは大丈夫だ、とおまわりさんお墨付きなのであった。

 この他人(ひと)はね、聞くところによるとね、その後の調べで分かったんですが、元鳶職(とび)だったんですね。だからね、修業ができてますよ。そこらの半端な野郎とは違います。修業ができてる。それがね、何かやっぱり酒かなkkなでしくじって、だんだん仕事にありつけなくて、こうなっちゃった、らしいんですよ。
 長谷川さんっていうんですけど(笑)。
 この長谷川さんがね、きれい好きだけじゃないんですよ。とても清潔好きでね。駐車場なんか、よく箒で掃いてる。自分の寝ている枕元のところに、塵取りと箒をちゃんと組み合わせてかけてある(笑)。

 ついに、名前が分かった。

 さて、この綺麗好きの長谷川さんは、その後、どうなったのかは、次回。


 イベントの事後処理で、今週は無理だが、来週あたり寄席に行こうかと思っている。

 居残り会のIさんからは、居残りLINEグループで今夜の末広亭のレポート(?)があり、羨ましくてしょうがない^^

 NHKニュースでは、岸田と枝野の密着取材が放送されていた。
 岸田は、マスクから鼻出し。
 周囲のスタッフは、もう少しサポートしてあげればいいのに。

 小三治なら、今回の選挙を、どうマクラで料理してくれただろう、なんて思う夜だった。

Commented by 寿限無 at 2021-10-27 07:14
その長谷川さん、小三治がお亡くなりになってどうしているのかな……。
Commented by kogotokoubei at 2021-10-27 08:19
>寿限無さんへ

私もそう思ったんですよ。
どこかの追悼番組で、なんとか探してもらえないか、なんてね。
Commented by たろー at 2021-10-27 10:02
こちらのブログで小三治師匠に関わるテレビ、ラジオ放送の日程を紹介いただいています
今週末放送なのでみたいと思います
関連してNHKラジオ第一での放送内容が局のサイトにアップされたので若干
旧い音源と新しいもの2席を放送します
10月30日(土)午前10時05分~ 午前10時55分
「ありがとう小三治さん」
柳家小三治さんをしのんで「厩火事」(1985年放送「真打ち競演」より)
「粗忽長屋」(2018年放送「日本の話芸」より)の二席をお届けする
Commented by kogotokoubei at 2021-10-27 11:02
>たろーさんへ

補足情報、ありがとうございます。
時間が経つにつれ、その存在の大きさを感じます。
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by kogotokoubei | 2021-10-26 21:54 | 今週の一冊、あるいは二冊。 | Trackback | Comments(4)

あっちに行ったりこっちに来たり、いろんなことを書きなぐっております。


by 小言幸兵衛
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