総務省接待事件は、明らかに刑法第百九十七条違反。
2021年 02月 26日
接待問題を受けて給与報酬月額の10分の6を自主返納することになった、その返納額が70万5000円と知って驚いた。
なんと、広報官の給与報酬は月額で117万5000円。手当などを含めると約140万円ほどになるとのこと。
なぜ、総理記者会見で、身内とも言えるメディアの記者を順に指名して、時間が来ると次の公務があるからと終了させることを主業務とするであろう仕事に、年収1000万円を超える価値があるのか疑問でならない。
返納したって、何ら生活への影響はないだろう。
他の関係者では、二人が異動になったが、これは国会での追及逃れとしか思われない。
何名か減俸などの処分はあったが、こんな“お仕置き”レベルだけで済まされていいのか。
ならば、しっかり法律で裁いてもらおう。
刑法では、公務員の収賄の罪について、「第二十五章 汚職の罪」の第百九十七条で定義されている。
政府の数少ない、またごく初歩的なデジタルデータベースの「e-gov」から、その内容を確認する。
e-govの刑法のページ
(収賄、受託収賄及び事前収賄)
第百九十七条 公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、五年以下の懲役に処する。この場合において、請託を受けたときは、七年以下の懲役に処する。
これって、請託を受けてなくても、賄賂を受けた時点で、刑法違反ということ。
請託があれば、罪が重くなる。
では、検察は動かないのか。
利害関係者であることは、明白。
その高額な接待は、賄賂に相当すると判断できる。
それだけでも、刑法第百九十七条に反する。
日刊ゲンダイでも、そう指摘する記事があった。
日刊ゲンダイの該当記事
菅長男の総務省接待は「贈収賄の可能性あり」元検事が指摘
公開日:2021/02/19 15:30 更新日:2021/02/19 15:33
これで幕引きとはいかないだろう。
武田良太総務相は19日の記者会見で、放送事業会社「東北新社」に勤める菅義偉首相の長男から接待を受けていた秋本芳徳情報流通行政局長と湯本博信官房審議官を20日付で官房付に異動させると発表した。
武田大臣は19日の衆院予算委で、「国民の疑念を招く事態となり深くおわびする」と陳謝。異動の理由について「法案審議などが控える中、諸情勢を鑑み、適所適材の配置として行うもの」と説明していたが、事実上の更迭だ。
この日の予算委で、秋本氏は「記憶にない」としていた長男と会食中の衛星放送事業に関する話題について、「今となってはあったのだろう」と一転して認めていたが、この発言は虚偽答弁以上に深い意味がある。贈収賄事件の可能性だ。
元検事の落合洋司弁護士がこう言う。
「東北新社の監督官庁であり、許認可権を持つ総務省の幹部が、継続的に飲食接待やタクシーチケットなどを手渡され、放送事業についてやり取りしていた事も認めた。この行為だけでも国家公務員法にも触れる恐れがありますが、贈収賄が成り立つ可能性は高い。更迭された幹部以外に接待を受けていた人はいないのか。あるいは飲食以外の何らかの接待はなかったのか。検察はすでに水面下で捜査を始めているかもしれないし、今後、弁護士グループなどから刑事告発の動きが出てくる可能性もあります」
外形的に見れば、総務省幹部は利害関係者である菅首相の長男と放送事業について“謀議”し、賄賂性のある接待を受けていたわけで、「後でお金を返しました」「反省しています」で済む話ではないのだ。
まったく、後で返した、で済む話ではない。
とはいえ、違法→即→逮捕、とはならない恐れもある。
朝日の記事。
朝日新聞の該当記事
接待問題は贈収賄の罪になる? 法律的にはアウトでも…
酒本友紀子 2021年2月25日 6時45分
菅義偉首相の長男が勤める放送関連会社「東北新社」から接待されていた総務省幹部らが、一斉に処分された。野党3党の要求で、7万4千円を超す高額の接待を受けていた山田真貴子・内閣広報官が25日の衆院予算委員会に出席して説明することが決まった。
接待問題が刑事事件に発展する可能性はあるのか。
総務省側は「行政がゆがめられた事実は確認されていない」と強調するが、刑法の贈収賄罪は公務員が便宜を図っていなくても、職務に関係のある業者から接待を受ければ成り立つ。行政がゆがめられた場合は、より法定刑が重い加重収賄罪が適用される。
元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は今回のケースについて「理屈上は贈収賄罪が成立する」と指摘する。だが検察が起訴するかどうかは別問題だ。
実務上、賄賂の総額が50万円以上だと起訴するべきだと判断するといい、「今回明らかになった金額では足りない印象だ」と話す。
一方、「時代によってその金額は変わる。捜査で新たな接待や現金授受が判明する可能性もある」として、事件に発展することもあり得るとの見方も示す。
さらに、検察が無視できないのが検察審査会だ。若狭氏は「検察は国民の目線を意識して捜査を尽くすはずだ」。別の検察OBも「首相の親族が絡み、世間の注目は高い。検察は軽く扱えないだろう」と語る。弁護士らでつくる市民団体「税金私物化を許さない市民の会」は近く、総務省幹部や菅首相の長男らをそれぞれ収賄容疑と贈賄容疑で東京地検に告発する準備を進めている。(酒本友紀子)
その犯罪の量的な水準からは、たしかに少ないのかもしれない。
しかし、その質的な面では、これは大きく国民への政治不信を招く事件に違いない。
ぜひ、告発して欲しい。
すでに総務省を退職した、内閣広報官も含めて。
国家公務員法の第六章、「第二款 懲戒」の第八十二条には、こう記されている。
e-govの国家公務員法のページ
(懲戒の場合)
第八十二条 職員が、次の各号のいずれかに該当する場合においては、これに対し懲戒処分として、免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができる。
一 この法律若しくは国家公務員倫理法又はこれらの法律に基づく命令(国家公務員倫理法第五条第三項の規定に基づく訓令及び同条第四項の規定に基づく規則を含む。)に違反した場合
二 職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合
三 国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合
間違いなく、「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行」である。
減俸や一部給与返納くらいで済むことではない。
そして、その「非行」の背景に、最高権力者への忖度があったことも明らかだ。
検察は、忖度なしに告訴すべきだ。
もちろん、贈収賄事件である以上、贈った方も裁かれるのは当たり前。
しかし、ナンバー2をはじめとする総務官僚の、受け取った方の罪の方が、はるかに大きい。
あなたたちの給料は、我々国民の血税なのだから。
総務省事件で自分の省の悪事がかすんでしまった農水省も喜んでいる場合ではない。
「契約者は国民です」と語った、赤木俊夫さんのことを、今こそ、全ての公務員が思い起こすべきだ。
