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NHK新人落語大賞の放送を見て。

 NHK新人落語大賞の放送を見た。

 出場者が決まった際に、拙ブログで紹介した。
2020年10月15日のブログ

 また、開催後に大賞受賞者を知ることになったが、結果ではなくその過程を楽しみにしていると、こちらも記事にしていた。
2020年11月5日のブログ

 出場者は、東から四名、西から二名の六名。

 東:入船亭小辰・春風亭ぴっかり☆・笑福亭羽光・柳亭市弥
 西:露の紫・桂二葉

 と思っていたのだが、落語芸術協会の所属なのに、羽光は大阪予選通過と案内されていたなぁ。

 出演順に、プロフィールを協会などのサイトから紹介し、ネタと私の採点を10点満点で記す。
 ちなみに、全員制限時間の11分以内だった。

 まず、柳亭市弥について、プロフィールを落語協会サイトからご紹介。
落語協会サイトの該当ページ

本名 関戸俊平 (せきどしゅんぺい)
生年月日 1984年2月10日
出身地 東京都
出囃子 春どう
紋 丸に花菱
芸 歴
2007(平成19)年12月柳亭市馬に入門
2008(平成20)年7月1日前座となる 前座名「市也」
2012(平成24)年11月二ツ目昇進 「市弥」と改名
受賞歴
2018(平成30)年第29回北とぴあ若手落語家競演会大賞
プロフィール
主な持ちネタ 散歩 麺類紀行
自己PR
2012年11月上席より二ツ目になりました柳亭市也です。
前座から二ツ目に昇進する、こんなに嬉しいことはありません。でも浮かれてばかりじゃいられません。名前が『市弥』ですからお客様に漬けたり干したりされないように頑張ります。今後ともよろしくお願いします。
ホームページ http://ichiyazuke-ryuutei.seesaa.net/

 持ちネタが、散歩、麺類紀行、ということはないから、趣味のことなのだろう。
 自己PRを含め、ここしばらく更新されていないことは、明白。
 イケメン落語家、などという形容を返上し、三年連続本戦出場の実力で勝負して欲しい。

柳亭市弥『あくび指南』
 悪くはない。この人を久しぶりに聴いたが、明るい持ち味が出た高座だった。
 ただし、権太楼が一言アドバイスした通りで、師匠の欠伸斎長息が演じる見本を、もう少しすっきりできていれば、という点が残念。加えて、その師匠が“謎の中国人”風であったのは、いかがなものか。
 私の採点は、8点。

 さぁ、次は期待の小辰だった。
 プロフィールを落語協会サイトから。
落語協会サイトの該当ページ

本名 草間太 (くさまふとし)
生年月日 1983年11月24日
出身地 東京都 豊島区 北大塚
出囃子 いっさいいっさいろん
紋 蔦
芸 歴
2008(平成20)年2月入船亭扇辰に入門
2008(平成20)年9月1日前座となる 前座名「辰じん」
2012(平成24)年11月1日二ツ目昇進 「小辰」と改名
受賞歴
2013(平成25)年第二回噺家の手ぬぐい大賞受賞
2017(平成29)年第九回前橋若手落語家選手権 優勝
2018(平成30)年平成30年度NHK新人落語大賞 本戦出場
2019(平成31)年3月平成30年度 国立演芸場「花形演芸大賞」銀賞
2020(令和2)年3月令和元年度 国立演芸場「花形演芸大賞」金賞
プロフィール
趣味 歩くこと、立ち読み
自己PR 
縁起の良い”あたる”名前。小辰でございます。
何卒よろしくお願いいたします。
ホームページ http://kotatsu-info.jugem.jp/
 辰じんの頃から、何度も開口一番などで聴いて、その将来性を買っていた人。
 羽光のように、令和2年 NHK新人落語大賞、と掲載したかったに違いない。
 一昨年のNHKでの『真田小僧』は良かった。私は、わん丈と小辰が同点でトップ。しかし、三度の優勝だった。
 
入船亭小辰『替り目』
 正直なところ、期待していただけに、残念な高座。
 マクラのお月様とお日様の酔っぱらいの会話も、イントロで勢いをつけるには、物足らなさがあったかな。
 これまた、権太楼が鋭く指摘していたように、酔っぱらった亭主が、下を向いている状態が続くのが気になりながら聴いていた。話芸の技術、夫婦の演じ分けなどの基本は、もう充分に真打なのだが、表現する空間が狭く感じたのは、目線が下すぎたこと。また、このネタ選びが、必ずしもニンではなかったかとも思う。
 私の採点は、8点。

 お次は、かつてアフロヘア―で驚かせてくれた二葉が、おかっぱで登場。
 上方落語名鑑のサイトには、このように紹介されている。
上方落語家名鑑の該当ページ

芸名 桂二葉(かつらによう)
本名西井 史
生年月日 1986年 (昭和61)年 8月2日
出身地大阪市
血液型O型
入門年月日 2011年 (平成23年)3月9日「桂米二」
趣味お絵かき・おさんぽ・くだものについてるシール集め。
特技チラシの挟み込み・散髪
WEBサイト
所属 米朝事務所
その他
京都橘大学文学部卒業 京阪神エルマガジン社 「SAVVY」にてコラム連載中
〈ひとこと〉 定期的に自身の落語会「によによチャンネル」を動楽亭で開催してます。とにかく突き抜けたアホを目指し日々精進。上方落語協会主催の彦八まつりのステージではバンドをしています。担当はボーカル。唄うというか叫んでます。唄うことも好きですが、聴くのも好きです。戸川純・神聖かまってちゃん・大森靖子が好きです。その他に好きなものは、丸襟の白いブラウス・パジャマ・ピンク色・雑誌・桃・納豆・お布団・刈り上げ・キレイなお姉さん・飲酒・大阪弁・靴下・やさぐれたバー・お行儀悪いけど、苺にお砂糖かけて牛乳かけてぐじゃぐじゃにしたやつ・マッキーのマジック・サザエさん・樟のかほり・お人形・ねこ。
 最期の<ひとこと>が、突き抜けている。
 師匠米二の会で二度聴いている。
 8年前の『道具屋』から二年後の『子ほめ』で成長を感じたが、あれから六年、さて、どんな高座を披露してくれるだろうか。

桂二葉『佐々木裁き』
 審査員の厳しい採点ほどは、悪い印象ではない。
 たしかに、佐々木信濃守の話し方には工夫が必要だとは思うし、権太楼が言うように、もっと持ちネタを増やす努力は必要だろう。しかし、四郎吉や遊び仲間たちの子どもたちの生き生きした姿は、なんとも楽しく聴くことができた。
 私の採点は、8点。

 次は、笑福亭羽光。
 落語芸術協会のサイトから、てんこ盛りのプロフィールを紹介。
落語芸術協会サイトの該当ページ


芸名  笑福亭 羽光
芸名ふりがな しょうふくてい うこう
本名 中村 好夫
本名ふりがな なかむら よしお
生年月日 昭和47年9月24日
出身地 大阪府高槻市
芸種 落語
階級 二ツ目
出囃子 いわみ
芸歴
平成10年(1998年) 4人組お笑いユニット「爆裂Q」として活動
講談社週刊少年マガジンの第三十五回ギャグ漫画新人賞をきっかけに「のぞむよしお」のペンネームで漫画原作者としての活動を開始する。
平成19年(2007年)3月 爆裂Q解散
平成19年(2007年)4月 笑福亭鶴光に入門
平成19年(2007年)6月 前座となる
平成23年(2011年)5月下席 二ツ目昇進

平成25年(2013年)3月 第12回さがみはら若手落語家選手権 優勝
平成25年(2013年)9月 第24回北とぴあ若手落語家競演会 大賞
平成30年(2018年)12月 2018年渋谷らくご創作大賞
令和2年(2020年)11月 2020年度NHK新人落語大賞
特技 漫画原作
出演履歴
【TV】
NHK「爆笑オンエアバトル」
NHK-BS2「週刊なびTV」
TBS「スパスパ人間学!」「爆笑問題のバク天!」
CX「新しい波8」「バクマリヤ」「ブレイクもの!」
ANB「虎ノ門」「内村プロデュース」
TX「さまぁ~ずの若手で笑っちゃったよ2」
ABC「笑いの金メダル」
MBS「たかじんナオコのシャベタリーノ」
CBC「イエヤス」
著書 「性的人間」1、2巻(集英社ヤングジャンプコミックス)
血液型 B型
身長 170cm
体重 65Kg
最終学歴 大阪学院大学経済学部卒業
ホームページ
http://ukou.jimdo.com
 ここまでやるか、と言えるほどの情報量。
 さすが、上方出身の噺家さん。
 お笑い芸人上がりということもあり、三十代半ばでの入門。来年真打昇進は決まっているが、再来年には五十路になる。
 以前、末広亭で途中からだったが、『生徒の作文』で爆笑したことがある。小辰の最大のライバルと思っていた。

笑福亭羽光『ペラペラ王国』
 たしかに、登場人物が例に出したように、マトリョーシカのような構成の新作。
 次のような5つのシーンがある。
 ①孫が、祖父にプロットがしっかりしていて、展開が読めない話をしてくれと頼む。
 ②祖父は会社の山岳部で部下と冬山に登山し、遭難しそうになった時のことを再現
 ③部下が眠らないようにと、若かりしのデートの際の会話を再現
 ④デートでは、祖父が大学の探検部のOBとして後輩たちにスピーチする話を再現
 ⑤後輩たちへのスピーチは、探検部でペラペラ王国へ行き、ペラペラザウルスと格闘した話を再現
 ということで、祖父と孫、祖父と部下、祖父と女性、祖父と後輩たち、祖父の探検という五つの話が、時に行ったり来たりする中で笑いととり、孫の質問に祖父の答える、ややシュールなサゲにつながる。
 初めて聴いたので、たしかに、展開が読めなかった^^
 話芸の基本ができている上に、話がどこに進むか分からない、ゾクゾクする楽しさがあった。
 なるほど、大賞は納得。
 私の採点は、9点。

 お次は、春風亭ぴっかり☆。落語協会サイトからプロフィールをご紹介。
落語協会サイトの該当ページ

本名 高橋由佳 (たかはしゆか)
生年月日 5月13日
出身地 東京都
出囃子 あの町この町
紋 光琳蔦
芸 歴
2006(平成18)年11月春風亭小朝に入門
2007(平成19)年6月前座となる 前座名「ぽっぽ」
2011(平成23)年11月二ツ目昇進 「ぴっかり」と改名
受賞歴
2012(平成24)年11月NHK新人演芸大賞決勝進出
プロフィール
ホームページ
オフィシャルウェブサイト「ぴっかり☆倶楽部」
Twitter s_pikkari
 もう少し、自己アピールをしてはいかがだろうか。
 三度目の出場。8年前の最初の出場で『反対俥』、四年前は『湯屋番』。
 あえて、動きのあるネタで勝負したのだろうが、その挑戦が、必ずしも良い結果にはならなかったように思う。
 さて、今年は、どんなネタで勝負するかな。

春風亭ぴっかり☆『権助提灯』
 過去の二つのネタから、今回は、女性らしさで勝負すつネタと考えたのかもしれない。
 その選択は、悪くなかったと思う。
 旦那も権助も、しっかり演じ分けていたし、本妻と妾の表現も良かった。
 あえなく妾宅から二度目に戻ってきた時、権助が「惨敗だ、惨敗。可哀相だから膝で泣かせてやれ~」では、つい笑ってしまった。
 私の採点は、9点。
 
 トリは、露の紫。
 上方落語名鑑のサイトからご紹介。
上方落語家名鑑の該当ページ

芸名 露の紫(つゆのむらさき)
本名 宮口 ゆかり
生年月日 1974年 (昭和49)年 4月6日
出身地 愛媛県
血液型 A型
入門年月日 2008年 (平成20年) 10月23日「露の都」
趣味 そば打ち・陶器集め
特技 イベント司会
WEBサイト http://ameblo.jp/murakugo/
所属 露の都事務所
その他
姫路学院女子短大卒 平成26年第9回繁昌亭大賞輝き賞受賞 ひとこと/素直な落語を目指して頑張ります。
 結構、あっさり目。
 三十四歳での、遅い入門。
 七年前、馬ること決選投票で敗れたが、私はこの人の『厩火事』の方が上だたと思った。

露の紫『手向け茶屋』
 東京では『お見立て』。
 ネタ選びの難しさを感じた。
 落語において、杢兵衛の話すような田舎言葉は東西で同じようなものなのだろうが、喜瀬川ならぬ“てこづる”姐さんと妓夫太郎の上方言葉と、どうも合わないように思う。
 この人の持ち味が生きないのはネタのせいか、などと思いながら聴いていた。
 私の採点は、8点。

 
 ということで、羽光とぴっかり☆が9点で同点、他四名は8点というのが、私の採点。10点は、いなかった。

 私は、ぴっかり☆が大賞でも良いと思っていた。

 審査員は桂文珍、柳家権太楼、片岡鶴太郎、國村隼、二谷裕真(NHK)の五人。
 採点は、次の通りだった。

      市弥 小辰 二葉 羽光 ぴっかり 紫
桂 文珍   9  9  9  10  9  9
柳家権太楼  9  9  8  10  9  9
片岡鶴太郎  9 10  8  10 10  9
國村隼    8 10  7   9  8  8
二谷裕真   9 10  9  10 10  9
 合 計  44 48 41  49 46 44

 結果、小辰と羽光が一点差なのだが、私の評価では、もっと差があったと思う。

 とはいえ、小辰の実力は、あんなもんじゃない。
 『道灌』で勝負して欲しかったなぁ、なんて思っている。

 それと、女性に対して、ちと厳しすぎる印象だ。
 特に國村隼の、二葉に「7」、ぴっかり☆に「8」は、ないと思う。
 好みの問題か・・・・・・。


 さて、現在のように落語と漫才を分けて実施してからの大賞受賞者は次の通り。

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        西         東
1994年            桂平治(→桂文治)
1995年            柳家三太楼(→三遊亭遊雀)
1996年            古今亭志ん次(→志ん馬)
1997年  桂宗助
1998年            柳家喬太郎
1999年  桂都んぼ(→米紫)
2000年            林家彦いち
2001年  桂三若
2002年            古今亭菊之丞
2003年            古今亭菊朗(→菊志ん)
2004年  桂かい枝
2005年            立川志ら乃
2006年  笑福亭風喬
2007年  桂米吉(→よね吉)
2008年            三遊亭王楽
2009年            古今亭菊六(→文菊)
2010年            春風亭一之輔
2011年  桂まん我
2012年            桂宮治
2013年            鈴々舎馬るこ
2014年            春風亭朝也(→三朝)
2015年  桂佐ん吉
2016年  桂雀太
2017年             三遊亭歌太郎
2018年  桂三度
2019年  桂華紋
2020年            笑福亭羽光
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 あくまで、羽光は、落語芸術協会所属の、東京の上方落語家であるから、東。
 東西の所属ということでの、区分け。

 来年は、ぜひ、女性の審査員がいて欲しい。

 世界では、女性のリーダーがたくさん登場している。
 そろそろ女性が大賞を取っても、不思議はない。

 そのためには、審査においても、ぜひ公平性を保って欲しい。
Commented by at 2020-11-24 06:33 x
國村隼とはだれかと思えば、「いもたこなんきん」で藤山直美(田辺聖子の役)の夫君を演じた方・・・たしかに厳しいですね。
点数を公開する姿勢はよいもの、NHK様、どうか予選も見せてくだされ。
未知の原石を発見するためにも。
Commented by kogotokoubei at 2020-11-24 07:52
>福さんへ

國村隼は、役者としては、好きなんですけどね。
今回は、一次審査はビデオで、その中から25人が二次審査に進んだようです。
小辰は、来年期待!
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by kogotokoubei | 2020-11-23 19:27 | テレビの落語 | Trackback | Comments(2)

あっちに行ったりこっちに来たり、いろんなことを書きなぐっております。


by 小言幸兵衛