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雲助の「私の東京物語」が伝えること。

 東京新聞連載中だった、五街道雲助の「私の東京物語」が、最終10回目を迎えた。

 居残り会リーダー、佐平次さんが、毎回送ってくれたものを、居残り仲間は楽しみにしていたのである。

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 前にも書いたように、東京新聞さんには購読していないで申し訳なく思っているが、貴紙社会部の本を拙ブログで紹介するなど、貴紙については結構好意的に記事を書いているつもりなので、ご容赦のほどを。

 最終回には、こんな内容が含まれていた。

子供の時分には近所の親父達はあたしを呼ぶにも名前を呼びつけでした。何か悪戯(いたずら)をすれば怒鳴りつけられもしましたしまるで親子か親類のようで、いきなりわが家に上がりこんで冷蔵庫を開けてはビールを取り出し飲んだりもしていました。今そんなことをしたら警察沙汰です。どの時代でも移り変わりはあるでしょうが、あたしらの世代は大層振り幅の大きい変遷を見てきたように思います。

 昭和二十三年生まれの雲助は、私の兄、姉と同じ、団塊の世代だが、本所とはいえ、東京。

 北海道とは時差(?)があり、団塊の世代から少し遅れた昭和三十年生まれの私にも、“まるで親子か親類”のような、近所の親父達、おばさん達が存在した。

 悪戯をすると、「こらー、〇〇〇!」と、名前で呼びつけられ、こっぴどく叱られたこともあるが、そういうおじさん、おばさん達から学んだことも多い。

 銭湯でよく会うおじさんも、私の師匠的な存在だったなぁ。

 このシリーズでは、噺の師匠馬生や大師匠志ん生の逸話に加え、かいば屋の熊さんという人生の師匠(?)や、その店に屯していた酔狂連の面々のことも少し登場するが、そういった雲助の若かりし日のことは、『雲助、悪名一代』に詳しい。

 私が、印象的だったものとして、第二回目のこの話がある。

 現在の本所という町名は以前、厩橋と言っていました。文字通り厩橋を渡る通り沿いにあったからです。その後、地名変更があってどんな名称にしようかという時にその時分に町会長が、かつて本所区であった所は全て本所にしろ何十丁目あったって構わないニューヨークを見ろ二百何十丁目もあるじゃないかと提案しましたが、結局、厩橋地区のみが本所となりました。この町会長は芝で生まれた粋な方で、自らの葬儀に出棺の際、生前テープに吹き込んておいた自作の三首の和歌を朗詠したのを流して参列者に聞かせました。朗詠の後に「ものにはついでということもありますので都々逸を三つばかり」と都々逸を唄いだした時には、さすがに参列者もこらえていた笑いを吹き出し拍手をしたと言います。
 そうした粋を好む土地柄であもあったのか、近所には踊りや唄を教える五目のお師匠さんも多く、わが家にも出稽古に来て町内の旦那方が不器用な手つきで踊っているのを面白く見ていました。

 いいねぇ、この町会長さん。

 以前、池波正太郎の「江戸切絵図散歩」を紹介したことがある。
2014年3月29日のブログ
2014年3月30日のブログ

 日本橋の上に高速を走らせたり、古い地名を改悪する“木端役人”への怒りが充満していたなぁ^^

 つまり、「粋」じゃないのだ、そういう輩は。

 山手線の新駅について書いたことがあるが、せっかく「高輪ゲートウェイ」まで発想したのなら、「高輪大木戸」で良かったんじゃないか。
2014年6月4日のブログ
2018年12月5日のブログ

 地名の背景には、歴史があるのだ。
2018年12月6日のブログ

 そして、そこには、粋な人物も、住んでいたのである。


 自分の葬儀のために、和歌を朗詠し都々逸まで録音しておく人は、そうはいないだろうが、それに似た粋な人々は、その昔たくさんいたと思う。

 ノスタルジー、懐古趣味などと言われても結構、そういう、良い意味での開き直りが大事な時代ではないだろうか。

 来年五輪が開かれるのかどうかは分からない。
 私は、中止でいいと思うが、ともかく、開発という名の破壊が起こらないためにも、あえて過去を振り返ることは重要だと思う。

 雲助の連載から、そんなことも感じていた。

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by kogotokoubei | 2020-08-27 12:59 | 落語家 | Trackback | Comments(0)

あっちに行ったりこっちに来たり、いろんなことを書きなぐっております。


by 小言幸兵衛
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