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佐木隆三著『身分帳』より(4)

 昨日から、今朝までExciteブログは、サーバーがダウンしていたようで、アクセスできなかった。
 あら、どうしようと思っていたが、ようやく復活。
 
 暑さのせいか、それとともウイルスか・・・・・・。

佐木隆三著『身分帳』より(4)_e0337777_10370437.jpg

佐木隆三著『身分帳』

 佐木隆三の『身分帳』から、四回目。

 前回は、上野駅で、身元引受人の弁護士と出会ったところまでだった。

 ここで、少し、この物語の主人公、山川一の生涯を、振り返りたい。
 山川は、昭和十六年の生まれであることを再度記しておく。

 【非行経歴と少年院入所歴】

 本人は、昭和二十八年から非行少年として少年院に収容され、初等・中等・特別少年院を、全国8ヵ所タライ回しにされている。
①二十八年六月~三十年五月(十二~十四歳)
 虞犯による非行少年として、京都の宇治初等少年院に収容された。
②三十年十二月~三十一年八月(十四~十五歳)
 前橋の赤城初等少年院に収容されたころから、粗暴化による反則事犯が特に目立ち、ボス的なリーダーとして職員に対して反抗的になり、処遇困難者として東京に不良移送された。
③三十一年八月~十月(十五歳)
 多摩中等少年院に収容されたが、職員に反抗的で千葉に移送された。
④三十一年十月~三十二年二月(十五歳)
 八街中等少年院に収容されたが、反則事犯が多く職員に反抗的で神奈川に移送された。
⑤三十二年二月~九月(十五~十六歳)
 小田原特別少年院に収容されたが、反則事犯が多く職員に反抗的で久里浜に移送された。
⑥三十二年十月~十一月(十六歳)
 久里浜特別少年院に収容されたが、反則事犯が多く職員に反抗的で岩手に移送された。
⑦三十二年十一月~十二月(十六歳)
 盛岡特別少年院の院長は、赤城初等少年院当時に本人を知っていたので、恩情により特別仮退院が許可されて、京都市内の保護司宅に帰住した。
⑧三十三年三月~四月(十六歳)
 仮退院が取り消され、虞犯による非行少年として奈良特別少年院に引致収容された。本人は収容を不備に思い、首謀者として収容者たちを煽動して集団暴動・逃走事件を起こして、少年院から異例の逆事件送致されて、集団加重逃走・建造物破損・器物破損・暴行・傷害等五件の罪名で奈良地方裁判所で審理を受け、懲役六月以上二年の不定期刑を言い渡された。

 山川一の少年院収容期間を、ビジュアル化してみた。
佐木隆三著『身分帳』より(4)_e0337777_11191738.jpg


 このように、十二歳から十七歳にかけ、普通の人々が中学から高校の時期のほとんどを、山川一は、少年院で過ごした。

 なぜ、そうなったのか・・・生い立ちなどは、本書に従って、もう少し後でご紹介したい。

 上野駅での身元引受人の弁護士との会話に戻る。

 拳を握り締めていると背後から声がして、白髪の老人が通路に立っていた。
「山川君だね?」
 プラットフォームばかり見ていたので、車内の通路に気付かなかったのだ。
「はい、山川一です」
 直立不動の姿勢を取ったら、言葉が迸(ほとばし)り出た。
「旭川で朽ち果てて、無縁仏に葬られることを覚悟しておったのですが、先生の御蔭で生きて帰れました。心から感謝しております。本日は丁重なるお出迎え、誠に有り難うございます」

 こういう文章を読むと、ひらがなで良いものを漢字にすることで、その言葉のニュアンスが伝わるものだなぁ、ということ。
 山川の気持ちが、御蔭で、とか、有り難う、という字が表現している。
 これも書き手の技術の一つなのだろう。

「疲れただろう?」
「いいえ、刑務所に居ることを思えば天国みたいなものです。自分はガキの時分から旅行好きだから、長旅は苦にならんです」
「つもる話は後で聞くことにして、とりあえず私の事務所へ行こう」
「わかりました」
 最敬礼して列車から降りた。荷物はバッグ一つだが、少し足がふらついた。旭川から二十時間、オニギリ二個のほかは何も食べていない。
 網走始発の「おおとり」は、午後七時二十五分に函館に着いた。七時四十分に連絡船「八甲田」が出港して、船中食堂を覗いたが気後れして入れず、ウォータークーラーの水を飲んだだけだ。青森からの「はくつる4号」は上段のベッドで、なかなか眠れなかった。下段に向かい合わせて女二人が遅くまで喋り、東京で水商売をしているらしく、旧正月ぬ誘い合わせて帰郷あようだ。
「上野駅も変わったからね」
 長いエスカレーターに並んで立った弁護士は、背筋がピンと伸びて七十過ぎには見えない。
「新幹線の始発駅になって、東北線と上越線が出ているんだよ」
「自分は浦島太郎で、何もかも驚きです」
「浦島太郎ねぇ」
「旭川の反則太郎も、社会に出れば浦島太郎ですよ」
 新幹線の改札口を出て、入り組んだ通路を歩くとき、通勤ラッシュのような混雑ぶりだった。

 浦島太郎の、東京での第二の人生については、次回よりご紹介したい。


 さて、全英女子オープンゴルフは、「直ドラ娘」のソフィア・ポポフが4アンダーでリード。
 4番のイーグルは凄かった。
 アメリカの下部ツアー(日本なら、ステップアップ)でプレーしている27歳。果たして、昨年の渋野に続く、新星の誕生で、「直ドラ・シンデレラ」になれるか。応援したくなる人だ。

 上田桃子、頑張っている。
 野村は、9番のロストボール、大きかったなぁ。
 畑岡、最終日は怖いものなしだ、とんでもないスコアを期待。

 ゴルフネットワークは、前半、大町プロ、後半が岡本綾子の解説が実に的確だし、時おりユーモアも交えて、楽しい。
 アナウンサーも、とにかくよくゴルゴもコースのことも知っていて、会話のリズムも良い。

 地上波やWOWOWは、渋野ばかり追っていたようだが、ラグビーもそうなのだが、専門チャンネルの良さは、こういう時に明白になる。
 相当前のことだが、近所に高層住宅ができるため、工事費無料でケーブルに加入したのだが、今は、ケーブルの番組ばかり見ている。

 地上波の、一山いくらの芸人が出るバラエティなどは、一瞬チャンネルが合っても、すぐ切り替える。
 特に、昨日からの地上波4チャンネルなどは、とてもとても。

 チャリティという名で、ギャラをもらって出演する偽善番組、いつまで、こんな企画続けるのだろう。

 中学時代は野球、高校から大学は軟式テニス(現在の、ソフトテニス)をして大学でも体育会だったが、テレビで、プレーヤー自身やアナウンサー、コメンテーターなる人たちが語る「勇気と感動」などという科白を聞くのが、嫌いだ。


 そういうテレビを見なけりゃ、山川一のように、浦島太郎になるか・・・まさか。
 
 つい、おまけが長くなってしまった^^

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by kogotokoubei | 2020-08-23 12:27 | 今週の一冊、あるいは二冊。 | Trackback | Comments(0)

あっちに行ったりこっちに来たり、いろんなことを書きなぐっております。


by 小言幸兵衛
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