「専門家」の危機感を、なぜ共有できないのか。
2020年 07月 22日
東京都の会見をテレビで見たが、モニタリング会議に専門家として出席している杏林大学医学部の山口芳裕教授が、都内の医療現場の状況について「対応の長期化で医療は本当にひっ迫し、疲弊している」と指摘して、強い危機感を示していた。
マスクはしているが、危機感は伝わった。
政府に利用される人もいるが、本来の専門家の意見は、重要だ。
7月16日、参院予算委員会の閉会中審査における、児玉龍彦東大名誉教授の発言を、Newsweekが記事にしていた。
Newsweekの該当記事
感染防止「総力挙げないとNYの二の舞」=東大・児玉氏
2020年07月16日(木)16時02分
[東京 16日 ロイター] - 東京大学先端科学技術研究センター名誉教授の児玉龍彦氏は16日の参院予算委員会(閉会中審査)で参考人として発言し、新宿区に新型コロナウイルスのエピセンター(感染集積地)が形成されつつあると指摘した。感染拡大防止に「国の総力を挙げないとニューヨークの二の舞になる」と述べ、大規模なPCR検査の実施などを通じて制圧することが急務だとの認識を示した。杉尾秀哉委員(立憲・国民、新緑風会・社民)らへの答弁。
児玉氏は「極めて深刻な事態となっている事」について報告したいと述べ、「東京にエピセンターが発生しており、今、全力で食い止めないとニューヨークのような事態になる」と指摘。外出自粛を呼びかけるステイホームでなく、「遺伝子工学・計測科学を使った(感染者の)制圧が重要。致死率は時間と共に上昇する」と懸念を示した。
その上で「責任者を明確にしてトップダウンで前向きの対応が必要」として、「今すぐ国会を開くべきで、今する対応は来週する対応の百倍の価値がある」と提言した。
重要な提言だと思う。
ニュースで見たが、その危機意識は、本物だと思った。
しかし、児玉先生を含め専門家の危機感を、首相はじめ政府は、まったく共有できていない。
それどころか、やむくもに、Go To キャンペーン、とやらを強行している。
ニューヨーク市の状況に関する立川談四楼のツイートにリツイートした。
見習うべき! https://t.co/HWh4F5WeWY
— 小言幸兵衛 (@Kogoto_Koub) July 22, 2020
これが、ニューヨーク市特設サイトにある、陽性者の推移に関するグラフ。
ニューヨーク市のCOVID-19特設サイト

一日6000人以上を記録していたのが、急激に減少しているのは明白。
今月初めには、まだ一日400人以上だったが、今は70人レベルに減っている。
一週間前、7月14日は258人。
今日の東京が、238人。
減っていくことが見込まれる200人と、これから増えていく恐れの強い200人。
もちろん、ニューヨーク市は、ロックダウンを行い、徹底的にPCR検査をしているからだろう。
日本では、あくまで自粛要請だったが、緊急事態宣言により、我々国民は、みな頑張って移動や人との接触を自粛した。
緊急事態宣言と、都道府県の施策は、効果があったのだ。
しかし、解除後・・・元の木阿弥、という状態。
いや、もっと悪化している。
専門家が、警鐘を鳴らすのは、当然だし、多くの国民に説得力を持つ。
あらためて危機感を共有すべき時期なのに、対策をしっかりして旅行しましょう、などと言っているのが、日本政府なのである。
専門家は、都合よく利用するだけで、耳の痛い専門家の存在は、無視。
児玉先生は、感染急拡大状態のニューヨークを比喩にしたのだが、今のニューヨークは収束に向かっている。
もはや「ニューヨークを見習え」、という状態であることを、永田町の住人は、分かっていない。
