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戦略なき国防ー東京新聞社会部『兵器を買わされる日本』より(3)

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東京新聞社会部『兵器を買わされる日本』

 文春新書より2019年12月20日初版発行の、東京新聞社会部による『兵器を買わされる日本』から、三回目。

 「第1章 自衛隊を席巻する米国兵器」には、いかに、アメリカの恫喝(?)に屈して兵器を購入しているのかが明らかにされている。
 まず先に、買うことが先に決まっており、国防戦略もなにも存在しないのである。

 初めにF35輸入ありき

 米国が保有する空母は、米海軍横須賀基地を拠点とするニミッツ級のロナルド・レーガンの場合、排水量10万トン、乗組員5500人で、90機ほどの艦載機を載せる。艦内には診察室や郵便局、売店も備えられ、一つの街のような光景が広がる。欧米の防衛企業のある幹部は「空母が海面下で攻撃されないよう2隻の潜水艦が併走し、イージス艦や補給艦も動かすため巨額の費用がかかる」と話す。
 それに対し、日本のいずも型は約2万6000トンと米国の4分の1、乗組員は定員470人で、現在載せている9機のヘリとは別に甲板の改修で10機ほどのF35Bの搭載を検討している。先の防衛企業の幹部は「防衛費が約80兆円の米国と5兆2000億円の日本が同じような空母を持つのは、人的にも資金的にも難しい」と指摘する。
 ではなぜ、政府や自民党はいずもの空母化にこだわったのか。別の幹部はF35Bの導入が始まりだったと証言する。政府は防衛大綱と一緒に2018年12月に閣議決定した新しい中期防を策定するにあたり、旧型で古くなった99機のF15戦闘機の代わりに今後、F35AとF35Bの計105機を順次購入すると決めた。総額約1兆2000億円。背景には兵器売り込みで、対日貿易赤字を減らそうとするトランプ米大統領の圧力がのぞく。防衛省の幹部が内情を次のように明かした。
「政府は『トランプに何らかの手土産を持たせないと、何を言ってくるか分からない』と常に考えている。(2018年9月の)TAG交渉のときも含め、そもそもF15の後継機をどうするかの検討があり、官邸も防衛省も取引的にみせられる道を探していた。アメリカにお圧力をどううまくかわしていくか。それを考えたとき、F35を100機購入しようとなった」
 続けて「F35は総理もほしいという感じじゃなかった。ただ、アメリカから貿易格差で相当なプレッシャーをかけられている流れの中で、F35を100機買うならA型だけでなく、違うタイプの攻撃力もあった方がいいという流れになった。機動的に展開できるB型は艦船に載せないと意味がない。それで立ち消えになっていた空母化の話が出てきた」と話した。
 首相が議長を務める国家安全保障会議(NSC)の実働部隊の国家安全保障局(NSC)の幹部は「F35を100機調達する結果として、日米の貿易不均衡の是正と日米安保体制へのアピールという側面はある」と話し、米国への配慮を認めた。

 前回記事で紹介したように、護衛艦いすも、かがは改修により、F35Bを艦載できる「空母」となる。
 国は、「空母」という名は使わず、「多機能の護衛艦」などと言い換えて誤魔化そうとするが、紛れもなく空母である。

 本来の国防戦略とは、まったく逆の話になってしまっている。

 艦載する戦闘機を買うことを決めちゃったから、船の方を改修して空母にする、というのだ。

 兵器商人トランプの交渉力に屈したことによる、戦略なき国防の結果だ。

 F35以外にも、多くの兵器を日本はアメリカから買わされている。

 2017年12月中旬、東京・永田町の自民党本部。翌年度の防衛予算を検討していた党の国防部会は荒れていた。防衛大臣や国防部会長を務めた大物国防族らが防衛省の幹部らを問い詰めていた。
「いくらか分からないのに、われわれが予算承認しなければならないのはおかしい。国民の税金だということを考えろ」
 この4日前、小野寺防衛相が導入を発表した3種類の巡航ミサイルのそれぞれの価格について、防衛省幹部らが「現時点では分かりません」と答えたからだった。
 ミサイルはF15戦闘機に搭載する米国製の「JASSM(ジャズム)」と「LRASM(ロラズム)」、ノルウェー製の「JSM」。JASSMとLRASMは射程距離900キロ。日本海から発射しても北朝鮮や中国に到達する。シリア内戦でも使われた。JSMの射程距離は500キロだが、レーダーに捕捉されにくいステルス戦闘機F35に搭載するため、JASSMやLRASMより近距離から発射できる。
 いずれも2017年8月の防衛予算の概算要求には入っていなかったが。11月のトランプ米大統領の来日後、与党議員への説明もそこそこに導入が発表され、国防族の怒りを買った。

 政治主導で、先に購入ありき、という無茶なことをするから、価格も分からない兵器まで予算化されてしまう。
 加えて、研究費などの予算化も、まったくいい加減だ。
 防衛省のある幹部が取材に対し、内幕を明かしている。

 2017年11月の日米首脳会談直後に急きょ発表された巡航ミサイルの導入についても
「あれも高速滑空弾と同じ。総理への忖度に近い。NSSが『防衛省は何かないのか』というので、こういうオプションがありますよと上げてみたら、いきなり予算に入ったので防衛省内でも驚いた」と明かした。
 幹部はさらに「JASSMもJSMも、値段がはっきりしないのにいきなり決めた。JASSMは米ロッキード。マーチン社製だが、ロッキードの方もびっくりしていた。『日本は価格の照会さえしないで、突然導入するのか』と。日本のF15は長距離ミサイルが載るコンピュータになっていない。母機の改造もしないで入れた」と証言した。
 欧米のある軍事企業の幹部もこう推測する。「NSSで決まったものといえば、間違いなく滑空弾研究やスタンド・オフ・ミサイルの導入。これは敵基地攻撃そのもので、憲法9条や専守防衛の範囲を超えている。防衛省では判断できないし、確実に政治判断がいる」。

 
 こういった戦略なき国防、兵器商人トランプへのお土産は、さまざまな弊害をこの国にもたらしている。

 たとえば、F35は、多くの欠陥が指摘されている。

 昨年、航空自衛隊三沢基地のF35が、青森県沖の太平洋上に墜落した。
 国は、たった2か月という短期間の捜索、原因究明の結果、死亡したベテラン・パイロットが空間識失調という平衡感覚を失う状態に陥ったのが墜落の原因として、捜索を中止し原因究明の努力を放棄した。

 今後同じような事故が繰り返されないよう、もっと長期間にわたって調査、検証されるべきなのである。

 なぜなら、2018年6月、米国会計検査院(GAO)はF35に966件もの未解決の欠陥があり、そのうち111件が「安全性や他の重要な性能を危険にさらしうる欠陥」と位置づけている。さらに、米国のオンライン軍事専門誌ディフェンス・ニュースが内部文書を入手し、「13の最も重大な欠陥」があると報じているのだ。

 F35の機体には問題なし、とする拙速な調査は、政治主導でF35の導入を決めた自分たちの保身のためとしか思えない。
 いくら、死後に勲章をもらったって、パイロットもこれでは浮かばれないだろう。

 もう、兵器商人トランプから、危険きわまりない物を含め、兵器を買わされるのは御免だ。


 そんな無駄遣いをせず、コロナで疲弊した国民のために税金が使われるべきではないだろうか。

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by kogotokoubei | 2020-06-29 12:54 | 今週の一冊、あるいは二冊。 | Trackback | Comments(0)

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by 小言幸兵衛
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