色物さんは大事だー『談志楽屋噺』より。
2020年 06月 10日
ようやく、見つかった。
家元の本だった。

『談志楽屋噺』(文春文庫)
『談志楽屋噺』の初版は昭和62(1987)年白夜書房で発行され、平成2(1990)年に文春文庫で再刊。
私は立川談志という方を、落語家としての評価より、芸能評論家、あるいは、芸能の目利きとして高く評価している。
だから、落語はもちろんだが、色物なども大好きなのだ家元は。
そんな一面がよく分かる文章の中に、健二郎さんの名があったので、ご紹介したい。
だめになっていく芸、現代に押し流されてしまう伝統の芸を、大事にしてやらなければいけない。私は、音曲、紙切り、曲芸という芸が好きだけに大事にしたい。
だが、所詮は置いてかれるものだし、早い話が現代で駄目な芸は駄目なのだろう。
だが、しかし、そこに伝統の良さがあるのならば、私はそれに価値観を与えてやりたい。
それには、演者が現代と伝統を、生理的にも論理的にも判断できなければ駄目である。
「バカ言うな、それができねェのが芸人のいいとこなんだ」という声を聞こえそうなので困っている。いやなら勝手にしろい、とも言ってしまうのである。
早い話が、寄席の華でもあった曲芸師だが、いま曲芸師になり手がいない。キャンデーボーイズの健二郎さんは、父親が古今亭今輔で、今輔師匠は健二郎さんが芸人になるのはかまわないが、当時、落語家は食えないからよしな、曲芸師ならいつでもどこでも食えると考えて曲芸師にしたという。
ところが戦後、落語が全盛になって、「落語家にすればよかったかな」って・・・・・・。その曲芸師も少なくなっちゃって、一番若い鏡味仙三郎・仙之助がもう四十前後で、そのあとは誰ぁれもいないのである。
談志が危惧していた伝統芸の太神楽は、なんとか、後継者が育ってきた。
落語協会では、仙三郎社中にご子息の仙志郎、そして仙成がいて、先日の鈴本チャンネルのネット寄席でも三人揃って元気な姿を見せてくれた。翁家の方も、一人で寄席に出る勝丸もいるし、社中に小楽、和助、女流で小花がいる。
芸術協会には、翁家喜楽、喜乃の父娘コンビが健在だし、なんと言っても、ボンボンブラザースの鏡味勇二郎、繁二郎コンビがいる。
ボンボンは、昭和37(1962)年にコンビ結成だが、コンビ名は浅草松竹演芸場の支配人が、鏡味健二郎さんのキャンデーボーイズをヒントに、キャンデーに対してチョコレートボンボンから取ったとのこと。芸協には、洋服で曲芸をする伝統が、しっかり継承されているのだ。
紙切りという芸も、なんとか継承されている。
本書では、当代桂小南と二楽の父、二代目林家正楽についても触れている。
春日部出身の山崎景作は、本当は落語家になりたかった。
念願かなって正蔵門下にはなったのだが・・・・・・。
さて、前座になった林家正作君は、春日部一の割出身なのでというか、なのだからというべきか、訛る。それも半端じゃあない。全篇訛りの落語なのだ。口調は結構なんだけど・・・・・・。とにかく訛る。
だが、ある日、鈴本に田舎の団体が来たときは正作師匠ウケた。彼が前座で出てきて結果一番受けた。客は訛りが気にならないのだから、ということは、訛りをのぞけば結構な芸の素質があったということになるのだが・・・・・・。
(中 略)
落語家を断念して紙切りに転向。先代林家正楽のあずかり弟子になって小正楽、そんなある時テレビへ出た。そうしたら、講堂がなかったので学校じゃ教室ぶち抜いて、生徒全員でテレビの先輩を見たという。
東京生まれにとってあ、うらやましい話だ。地方出身の強さ、まだ地方には地方色という共同体が残っていたんだ。
「兄さん、わたしはもう名士ですからね。家(うち)の親父は村のみんなに言われるんですョ。『おたくの息子さんはどういう人を嫁さんにするんですか、やっぱり女優さんですか』ってネ」
人柄はいい。紙切りになってから仲間から紙ちゃん、紙ちゃんと言われてた。この“紙ちゃん”は志ん生の赤飯(こわめし)の遊びに出てくる紙屑屋の俗称だ。
この後も、二代目正楽にまつわる逸話が続く。
とにかく、談志は、色物が好きだったのである。
鈴本チャンネルで、ネット寄席を見ると、色物の重要性を、あらためて感じる。
落語の高座の間に入った彩(いろどり)であり、ちょっと一服と、リズムを良い意味で変えてくれるのも色物の役割。
さて、今週末も、色物を含め、鈴本のネット寄席が楽しみだ。
春風亭一之輔 10日間連続落語生配信 第2幕(5/21-5/30)
落語単体よりも寄席の一部としてより立体的に楽しめたのでよかった
トリの前を「膝替り」というのですか
一之輔師匠の解説で知りました 知識が深まります
一之輔チャンネル、マクラ含めて長過ぎて、全ては見ていません^^
膝替り、実力者じゃなくては務まりません。
もし、主任の楽屋入りが遅くなったらひっぱらなくてはいけないし、逆に長講の時間を作るために数分で切り上げなければならない時もありますからね。
客席を温めなければいけないですが、トリより受けてもいけない。
できる人は、限られていますね。
キャー、古いなぁ。(このとき九蔵(現好楽)の『三方一両損』も聴いている)
前にも書きましたが「アントニオ猪木のまんのじ固めという注文に困り、
できません、って客に謝っちゃった」なんてお茶目を言いながら切っていました。
