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ウイルス、そして感染症について学ぶ(5)-石弘之著『感染症の世界史』より。

ウイルス、そして感染症について学ぶ(5)-石弘之著『感染症の世界史』より。_e0337777_14485301.jpg

石弘之著『感染症の世界史』
 2014年に洋泉社から発行された後、2018年に角川ソフィア文庫で再刊された石弘之さんの『感染症の世界史』からの、最終五回目。

 「終章 今後、感染症との激戦が予想される地域は?」から。

 感染症の巣窟になりうる中国

 今後の人類と感染症の戦いを予想するうえで、もっとも激戦が予想されるのがお隣の中国と、人類発祥地で多くの感染症の生まれ故郷でもあるアフリカであろう。いずれも、公衆衛生上の深刻な問題を抱えている。
 とくに、中国はこれまでも、何度となく世界を巻き込んだパンデミックの震源地になってきた。過去三回発生したペストの世界的流行も、繰り返し世界を巻き込んできた新型のインフルエンザも、近年急速に進歩をとげた遺伝子の分析から中国が起源とみられる。
 13憶4000万人を超える人口が、経済力の向上にともなって国内外を盛んに動き回るようになってきた。春節(旧暦の正月)前後にはのべ約三億人が国内を旅行し、年間にのべ一億人が海外に出かける。最近の12年間で10倍にもふくれあがった大移動が、国内外に感染を広げる下地になっている。

 すべて「あとの祭り」なのだが、武漢があのような状況になったことから、いちはやく春節での国内外の大移動を禁じていたら、また、日本が入国を阻止していたら、と思わないではいられない。

 実際の春節期間の国内外の移動は、自粛により例年の半分位に減っていたが、それでも、とんでもない人数のウイルス感染者が国内外に散らばったのである。

 Wikipediaの「新型コロナウイルス感染症の流行(2019年ー)」から、中国の発生の履歴を振り返る。
Wikipedia「新型コロナウイルス感染症の流行 (2019年-)」

2019年11月
11月17日 - 湖北省出身の55歳の男性が新型コロナウイルスの最初の症例であった可能性が中国のデータから発覚しているが、中国当局はデータを公開しなかったとサウスチャイナ・モーニング・ポストが報じている。

2019年12月
12月8日 - 中華人民共和国の湖北省武漢市の保健機関により、原因不明の肺炎患者が初めて報告された。
12月30日 - 原因不明の肺炎について記載された公文書を勤務先の病院で発見した李文亮がWeChatに画像として投稿した。2020年1月7日、原因が新種のコロナウイルスと特定された。
12月31日 - 世界保健機関(WHO)への最初の報告が行われた。

2020年1月
1月1日 - 華南海鮮卸売市場を閉鎖。
1月7日 - 原因が新種のコロナウイルスであることを確認。
1月9日 - 最初の死者が出た。
1月13日 - 中国国外として初となる、タイでの感染者を確認。
1月16日 - 日本での感染者を確認。
1月19日 - 韓国での感染者を確認。
1月20日 - 広東省でのヒト - ヒト感染が確認されたことが発表。クルーズ客船「ダイヤモンドプリンセス号」が横浜港を出港。
1月21日 - 台湾、アメリカ合衆国での感染者を確認。
1月22日 - マカオでの感染者を確認。
1月23日 - 武漢市が人の出入りの制限を始める。香港、シンガポール、ベトナムでの感染者を確認。
1月24日 - ネパールでの感染者を確認。
1月25日 - 日本で武漢市在住の30代女性旅行者の感染を確認。マレーシア、フランス、オーストラリアでの感染者を確認。クルーズ客船「ダイヤモンドプリンセス号」から香港人男性が下船。

 1月25日が、旧暦の1月1日、春節だった。
 中国の情報公開が十分ではなかったこともあるが、実態として、春節前に、正しく怖がる状況は進んでいたなぁ。

 本書に戻ろう。
 中国での感染拡大の危険性は、その防疫体制にも原因がある。

 中国国内の防疫体制は遅れている。世界保健機構(WHO)とユニセフの共同調査によると、上水道と下水道が利用できない人口は、それぞれ3億人と7億5000万人に達する。慢性的な大気や水質の汚染の悪化から、呼吸器が損傷して病原菌が体内に侵入しやすくなり、水からの感染の危険性も高い。

 石さんは、感染拡大をもたらす要因として、次のような点を指摘する。

 膨張する感染症の温床

 国連の将来人口予測(2013年)によると、世界人口は2050年に96億人を超える。20世紀はじめには世界の都市居住者は人口の15%にすぎなかったが、2008年前後には都市人口が農村人口を上回った。2030年までに、都市人口は50億を超え、人口の70%を超えると国連は推定する。2010~2025年の間に世界の100万人都市は324から524に、1000万人以上のメガ都市は19から27に急増する。
 この都市人口の増加は、大部分が発展途上地域のサハラ以南アフリカ、南アジア、西アジアなどの都市のスラムで発生している。都市人口に占めるスラム人口の割合は、2005年時点でアフリカは七割以上、南アジアでは六割近い高率となる。アフリカでは15年、西アジアでは26年でスラム人口が倍増することになる。都市のスラム化は微生物の培養器である。
 人間の勢力圏の拡大につれて、森林や低湿地の破壊で野生動物の生息地は狭められ、新たな宿主を求めて人に寄生場所を変えてきた。コウモリが原因になった、西アフリカのエボラ出血熱やボルネオ島のニバウイルスの感染爆発がその好例である。

 今は、経済先進諸国の都市での感染拡大が問題になっている。
 そして、怖いのが、発展途上国にも感染の手が延びたら・・・ということだ。
 いったいどうなるのだろう。

 環境破壊による都市化、スラム化、衛生管理の不備は、ウイルスの大好物なのだ。

 もう一つの、感染拡大の原因が高齢化。

 世界の高齢化と感染症

 今後の世界人口の増加と高齢化を考えると、感染症はますます脅威を増すだろう。20世紀前半の集団発生は、学校や軍がその温床になったが、21世紀後半は高齢者がそれに取って代わることだろう。
 国連の予測によると、2050年には世界の65歳以上の人口は、現在の8%から18%になる。このとき、日本38.8%(2010年は22.7%)、中国25.6%(8.2%)、米国21.2%(13.1%)、インド13.5%(4.9%)。日本は現在も2050年時点においても、高齢化のトップランナーであることは変わらない。
 (中 略)
 高齢者は外出が減って孤立しがちになり、他人から免疫を受け取るチャンスも少なくなる。発病しやすくなり、発病すれば重い症状に陥りやすい。
 人と大きさを比べると、ウイルスは10憶分の1、細菌は100万分の1でしかない。人の遺伝子が三万数千個もあるのに対し、ウイルスは多くても300個、細菌は1000~7500個ぐらいだ。
 地上でもっとも進化した人と、もっとも原始的な微生物との死闘でもある。ときには膨大な数の犠牲者を出す代償を払って人側が免疫を獲得し、あるいは巨額の研究費で開発された新薬で対応すると、微生物はそれをかいくぐって新手を繰り出してくる。微生物との戦いは先が見えない。

 長い戦いになるのは、覚悟しよう。

 しかし、その時期を少しでも短くするためには、できる限りのことをしたいと思う。
 ということもあって、こんなちっぽけなブログでもできることがないかと思い、新型コロナウイルス関連の記事を挟んだので、このシリーズの記事が遅くなってしまった。

 お付き合いいただいた皆さん、ありがとうございます。

 そして、一緒にこの戦いに勝つために、頑張りましょう!
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by kogotokoubei | 2020-03-29 18:27 | 今週の一冊、あるいは二冊。 | Trackback | Comments(0)

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by 小言幸兵衛
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