PCR検査についてー週刊文春、福岡伸一のコラムより。
2020年 03月 28日
とはいえ、十人以上の宴会の自粛、などとは言わない。
自分の妻が、そうしてしまっているからね^^
緊急経済対策の補正予算についても、相変わらず具体性に欠けるし、精神論のみの会見。
質問に対し、「この後、指示する」だって・・・・・・。
早くしろ、と思っている国民がほとんどだろうが。
他の国のリーダーたちのような説得力も、“情”も伝わらない。
今週になり、いや、東京五輪の延期が決まってから、東京都の感染者数が急増しているのは、PCR検査数が増えたのではないか、と勘繰っている。
その検査について、興味深いコラムがあった。
赤木俊夫さんの手記と遺書が掲載されていた週刊文春3月26日号に、生物学者、福岡伸一のコラム「パンタレイ パングロス」というのがあって、PCR検査について書いていた。

なかなか知ることのない話題の検査のことなので、興味深かった。
紹介しよう。
画期的な遺伝子増幅技術、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)が登場したとき、研究者はそのパワフルぶりに欣喜雀躍し、こぞってこの方法を使って実験を進めた。原理がシンプルかつ巨大な装置も不要なのがよかった。試験管の中で、加熱してDNAの二本鎖を解く。解いてできた一本鎖DNAを鋳型に、もう一本のDNAをポリメラーゼという酵素で複製するとDNAは二倍に増える。これを繰り返せば、ポケットの中にはビスケットが~、の歌のように、研究対象のDNAがどんどん倍化され、増幅される。PCRがすごかったのは、研究者なら誰でも知っているはずのDNA複製の原理を組み合わせただけなのに、キャリー・マリスが発案するまで、誰も思いつかなった、ということ。
ということのようなのだが、ちなみに、PCRは、ポリメラーゼ・チェーン・リアクション。
この手法は、日本人は発案しても不思議がなかった、と福岡は言う。
DNAが細胞内で合成されるときも、まずは二重らせんがほどけ、それぞれの鎖を鋳型に、互いに逆向きに複製が行われ、そのときプライマーと呼ばれる短い遺伝子断片が呼び水になってポリメラーゼ反応が起きることがわかっていて、そのとき生じる複製物はその日本人発見者の名をとって、岡崎フラグメントと名づけられていた(故・岡崎令治が発見した)。なので、PCRは岡崎博士が発案しても全然不思議ではなかったが、あとからやってきた風来坊、マリスがちゃっかり思いついて特許をとった。福岡が一発屋という、マリスは、ノーベル賞まで取ってしまった。福岡は、そのマリスと仲良くなり、自伝の翻訳までしたらしい。
この検査、実は、そんなに信頼性が高くない、というか、慎重に行わないと、いろいろと予想外の結果が出るようだ。
マウスの細胞の遺伝子を研究していた科学者が、PCRで増幅したDNAを調べてみると人間の遺伝子そっくりだった。ヒトの遺伝子がマウスに水平移動していた!!
否。彼が手袋をしていなかったせいで、自分の垢を解析してしまったのだ。こんな事例もあった。ウイルス検査をしてみると、検体すべてから陽性反応が出た。すわ、パンデミック勃発か! 否。研究者だちは微量のDNA溶液や酵素液採取したり混合したりするのに、ピペットマンという用具を使う。手のひらサイズの持ち手に、ドリルみたいな尖った先端がついた溶液計量器で、ほんの数マイクロリットルを正確に量り取って、こっちの試験管からこっちの試験管に移せる。先にはチップと呼ばれる使い捨ての脱着可能な部分があり溶液はここしか触れない。ところがあらゆるものには陥穽がある。液の出し入れは、持ち手の部分にあるピストンの上下運動でコントロールされる。でも、このピストン運動、慎重にやらないと、ごく微量の飛沫がピペットマンの筒の部分の奥の方まで吸い込まれてしまう。これが他のサンプルに混入するとたちまり偽陽性になってしまうのだ。最近はPCRも自動化され、チップにもフィルターがついて、サンプル相互の汚染を防いでいるはずだが、ブラックボックスが大きくなればなるほど落とし穴も多くなる。逆に、ちょっとしたミスで偽陽性も起こりうる。最先端技術に過信は禁物なのだ。
検査が正確に行われることを期待するが、医療の現場も大変な状況になっていることだろう。
人為的なミスが起こって、偽陽性、偽陰性ということもあるかもしれない。
人間がやることである、間違いもあろう。
しかし、あくまで、検査である。
その後の診察、治療について、ぜひ、医療現場の方には、頑張っていただきたい。
それにしても、先週の連休の前に、東京都を含め全国的に、もっと緊急事態であることを警告しなかったのか。
それが、五輪問題とからんで思えるだけに、人災と言いたくなる。
なお、昨夜、NHK総合のニュースで、ノーベル賞受賞者、山中伸弥さんが、新型コロナウイルスに関し情報発信するブログを開設したことが紹介された。
非常に、参考になる。ぜひ、ご覧のほどを。
山中伸弥さんの該当ブログ

安倍と小池は、まず、五輪中止阻止だったのです。
23日、平日なのに地方衛生研究所・保健所のPCR検査数が1000件を切り、翌24日に過去最多の1700件超え。
五輪延期決定は、24日。
25日には、多くの感染者数になることを分かったうえでの、小池の会見。
彼らは確信犯なのです。