石弘之さんへのインタビュー。
2020年 03月 26日
一回目の記事で、2月20日付けで、角川のサイト「カドブン」にインタビューが掲載されていることをご紹介したが、その後、3月13日にもインタビュー第二弾が掲載されている。
「カドブン」の該当インタビュー
まず、新型コロナウイルスの特徴について。
――その後、新型コロナウイルスの特徴としてわかったことはありますか。
石:今回の新型コロナウイルスの感染症名は「COVID-19」で統一されましたが、国際ウイルス分類委員会でウイルスの正式名称は「SARS-CoV-2」に決定しました。つまり、SARS(重症急性呼吸器症候群)の兄弟分であることが改めて確認されたわけです。
一方で、新型コロナウイルスは、兄弟分のSARSウイルスにはない能力を身につけていました。新型ウイルスの方は喉よりも深い下気道でも繁殖します。そのため従来の喉より上の、上気道の検査だけでは見逃されることもあるようです。広島市では4つ医療機関で8回検査して、やっと感染が判明した例がありました。治って陰性になった人がふたたび陽性になった例もあります。
また、軽症・未症状の感染者が日本では8割を占めることも特徴です。これはウイルスの側からすると、ウイルスをばらまくのに非常に効率的です。ヒトは元気だから動き回ることができ、まわりからも警戒されにくいです。この事実は、検査でわかった感染者数よりも、はるかに多い感染者がいる可能性を示しています。
SARSやMERSから、また進化したウイルスであると言えるだろう。
感染者で重篤になる人が増えると、その感染者の死が早まることで、ウイルスの感染確率も減る。
SARS-CoV-2は、実に賢いウイルスだ。
今後の予測について。
――今回の新型コロナウイルスの終息はいつになりますか。兄弟分のSARSは2002年11月に最初の患者が確認され、翌2003年7月5日にWHOが終息を宣言しました。
石:今後に関しては、次の3つのシナリオが考えられます。
石:今回の新型コロナウイルスが、このシナリオのなかのどれに落ちつくか、正直予測が立ちません。アメリカのCDCは、ロシア、南米、アフリカといった感染が広がっていない、あるは突き止められていない国や地域へ流行が拡大することを警戒しています。
では、暖かくなれば、収束するのだろうか。
――季節性のインフルエンザは、冬がすぎて暖かくなってくると収まるので、コロナウイルス流行にも春には下火になるという報道もありました。
石:アメリカのトランプ大統領は「中国のウイルス封じ込め作戦は、暖かい季節になれば成果を上げるだろう」とツイートしましたが、今のところその科学的な裏付けはありませんし、WHOは頭から否定しています。
――日本政府はこの未知なる相手にどうのように対応すべきでしょう。
石:過去のパンデミックの教訓からいえるのは、「最大の感染症対策は正確な情報の伝達にあり」ということです。ちぐはぐな政府関係者や厚労省の発言や、ぐらぐら変わる政策などは、ウイルスに味方をするだけです。
いわずもがなですが、今すべきは、何とかウイルスを封じ込めて感染の拡大を抑え、可能であれば消滅までもっていくことです。集団で一定以上の割合の人が免疫をもつと、流行が収まっていく「集団免疫」の効果が現れることを期待しましょう。それまではひたすら我慢するしかないという状況です。
そうか、夏には収束、なんて楽観はできないということか。
「集団免疫」については、イギリスが、当初対策をせず放置することで、「集団免疫」状況まで待つ姿勢を示したが、その場合の医療の崩壊が目の当たりになってきて、急遽非常事態宣言に変わった。
そのへんのいきさつは、「ナショナルジオグラフィック」のサイトに詳しいので、ご覧のほどを。
「ナショナルジオグラフィック」サイトの該当記事
石さんの言葉は、感染を極力防ぎながら、結果として「集団免疫」の効果が出るのを待つ、という意味。意図的に感染者を増やそう、ということではない。
さて、石さんは、最後にこう語っている。
――終息が容易ではないことがよくわかりました。でも、このうっとうしい日々をどう考えればいいのでしょう。
石:かつて人類は多くの天敵に狙われていましたが、最後に残った天敵が「自動車」と「ウイルス」です。毎年世界で135万人が交通事故で死亡します。一方、CDCによると、季節性インフルエンザだけで、年間世界で29万~65万人が命を落としています。とくに現在はアメリカで流行して、すでに推定3万人の死者が出たと発表しています。
地球上には人類だけが住んでいるのではなく、数多くの生物が互いに競い合い、また協力しあって生きています。ウイルスの存在もそのひとつです。高度2500〜3000メートルの高空に、1平方メートルあたり8億以上のウイルスが漂っていることがわかりました。海のなかにも、重さにしてシロナガスクジラ7500万頭に相当するウイルスがいるという推定もあります。なかには海の生態系に欠かせないものもいます。
ウイルスがいかに人にとって重要かも明らかになってきています。最初のインタビューで話したとおり、ウイルスが母親のおなかの中で胎児を守ってくれていることがわかってきました。また、子どものころにある種のウイルスに感染すると免疫システムが発達することも報告されています。ウイルスの「善行」は新たな研究分野として研究者を興奮させています。
人間の世界にも迷惑なヤツがいるように、ウイルスのなかにもいます。ウイルスの立場になってみると、少しは憎しみも和らぐかもしれません。といわれても、やはり怖いですが……。
胎児を守るウイルスのことは、『感染症の世界史』の二回目の記事で紹介した。
たしかに、良いウイルスもいる。
とはいえ、石さんがおっしゃるように、悪いウイルスは、怖い。
怖いものに、いかに正しく立ち向かうかが、問われている。
東京都知事の自粛要請を受け、埼玉県、神奈川県、千葉県の各知事が、都内などへの外出を自粛するよう呼びかけが続いた。
それはそれで尊重すべきではあるが、こんな芋づる式の対応だけで、良いのだろうか。
危機的状況ならば、首都圏全体や関西圏などを対象に、徹底した対策が必要なのではないか。
まだまだ、ウイルスへの戦い方が甘いと思う。
こんな弱腰の姿勢では、ウイルスがほくそえんで、感染拡大に拍車をかけるかもしれない。
首相は、経団連などに対し、休業要請と休業補償をセットにした、断固たる施策を示すべきではないのか。
来年の五輪を「完全」な形で迎える前に、「感染」をなんとかしなければならない。
ひたすら五輪、自分の責任回避、選挙だけが頭にあるのです。
コロナウイルスより恐ろしいのは此奴らでしょう。
小言幸兵衛さま
石弘之氏の記事を検索していて、貴殿ブログに辿り着きました。
同氏は、東洋経済の下記URLにも興味深い記事を書かれています。
https://toyokeizai.net/articles/-/414451
この記事の二頁目には、
「2015年に雲南省の村で採取した約200人の住民の血液が保存されていた。そのうち6人から新型コロナウイルスの抗体が見つかった。」
という注目すべき記述があります。
2019年3月のバルセロナの下水から、新型コロナの抗体が発見されているニュースは有名ですが、もし2015年の血液サンプルの話が本当なら大変興味深い話だと思います。
貴殿は、この情報に興味をお持ちでしょうか。
あの、それがですね、昨晩、ちょっと大変なことに気が付いてしまったんですよ。
石 弘之さん、嘘情報を書いているみたいです。まあ嘘を書こうとしたというより、勘違いかもしれないんですが、2015年の血液サンプルから新型コロナの抗体が発見されたという情報は、間違った情報らしいのです。
石弘之さんは、東大大学院の教授で、感染症の世界史という著作もされている方なのに、デタラメ書いちゃってるようで、私も困ってしまいました。
どうしましょうか。
念のために情報源を調べてみましたら、この情報の元になったと思われる英語の記事がありました。その記事を詳しく調べてみたところ、今回の新型コロナウイルスの抗体ではなく、2003年のSARSと、SARSに類似したウイルスの抗体が見つかったという記事でした。これは、石弘之氏が、記事を書くに当たって、元の記事を再確認しないで、おそらくうろ覚えでSARS2と錯覚したのではないかと思います。
私は今回の新型コロナウイルスが、いつ発生したのかということに、興味があっていろいろと調べていますが、2019年9月にはイタリアのミラノで感染が広まっていたこと、およびそれに先だって、スペインのバルセロナでは、2019年3月に感染が広まっていたことは、海外の複数のニュース記事で確認できました。
そして、まだ公式な発表はないものの、アメリカで2016年に採血されたサンプルから、新型コロナウイルス(SARS-2)の抗体が検出されているというニュース記事を見いだしました。
そのあと、石 弘之さんの記事を見つけて、2015年に採血されたサンプルからSARS-2の抗体が発見されているということだったので、これは、さらに古い事例だと感心して、つい真に受けて飛びついてしまいました。
2020年9月に出版された『Medicine and Ethics in Times of Coron』という本の237頁の記述です。
https://books.google.co.jp/books/about/Medicine_and_Ethics_in_Times_of_Corona.html?id=orMIEAAAQBAJ&redir_esc=y
「2015年10月、石(正麗)氏のチームは昆明郊外の4つの村に住む200人の住民から血液サンプルを採取し、6人の村人、つまり3%近くの人がSARSコロナウイルス(コウモリ由来)の抗体を保有していることを検出した」
この上の本の文章は、その三ヶ月前の雑誌記事の孫引きのようです。
2020年6月1日のScientific Americanの記事
In October 2015 Shi’s team collected blood samples from more than 200 residents in four of those villages. It found that six people, or nearly 3 percent, carried antibodies against SARS-like coronaviruses from bats—even though none of them had handled wildlife or reported SARS-like or other pneumonialike symptoms.
「2015年10月、石氏のチームは、これらの村のうち4つの村で200人以上の住民から血液を採取した。その結果、約3%にあたる6人が、コウモリ由来のSARSに似たコロナウイルスに対する抗体を保有していることがわかった。」
詳細な情報のご提供、誠にありがとうございます。
同じ、石さん、なんですね。
なるほど、これは間違いやすい内容なのかもしれません。
いずれにしても、石弘之さんが著書で指摘されている、人間の傲慢さによる森林伐採など自然破壊が、ウイルス発生の一つの大きな要因であるということを、私も含め現代人は、肝に銘じなければならないと思います。
https://ameblo.jp/ishihiroyuki/
それから、この間違いは、「間違いやすい内容」ではありません。
石さんが、ただ単にSARSとSARS-CoV-2を確認しなかったミスと考えるのでは説明が付かないのです。彼は三つの大きな間違いをしています。
ちなみに、イタリアとスペインの件については、下記のURLなどで確認できます。
イタリアで、パンデミック前の血液サンプルからSARS-CoV-2抗体の検出
https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/0300891620974755
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/11/20199-1.php
https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-italy-timing-idJPKBN27W2GY
2019年9月に採取したミラノの血液サンプルで、14%から抗体が検出されていたことに加えて、スペインのバルセロナの廃水の分析によると、コロナウイルスは2019年3月にすでにで流行していた。
https://www.elmundo.es/ciencia-y-salud/ciencia/2020/06/26/5ef5e37321efa00c2c8b45b9.html
というニュースは、すべて、2020年2月にSARS-CoV-2のゲノムが解析発表されて以降に、保存されていた血液サンプルや下水のサンプルから抗体反応が出るかどうかを調査したものです。したがって、雲南省で、「2015年の調査で、SARS-CoV-2の抗体が検出されていた」という勘違いなど、科学的視点で考える研究者なら最初から間違えようがないのです。
「コロナの起源、解明のカギは古い血液検体に?」という2021 年 4 月 9 日 のWSJの記事です。日本語と英語のURLは下記です。
https://jp.wsj.com/articles/origin-of-covid-19-pandemic-is-sought-in-old-blood-samples-11617902010
https://www.wsj.com/articles/origin-of-covid-19-pandemic-is-sought-in-old-blood-samples-11617874200
石弘之さんの記述を読み返すと、そこは一応、問題なくて、「2015年に雲南省の村で採取した約200人の住民の血液が保存されていた。そのうち6人から新型コロナウイルスの抗体が見つかった。」となっていますまで、石弘之さんは、保存されていたサンプルを、石正麗さんたちが、2020年2月から9月までのある時期に抗体検査をして解析した結果だと認識していることがわかります。しかし、これはジャーナリストとしては致命的なミスです。なぜなら、彼が孫引きしたと思われる記事では、「2015年10月、石氏のチームは昆明郊外の4つの村に住む200人の住民から血液サンプルを採取し、6人の村人、つまり3%近くの人がSARSコロナウイルス(コウモリ由来)の抗体を保有していることを検出した」となっていて、200人という断定的な数字と検出した時期が、2015年10月と明記されているからです。検出時期の確認を怠っていることが明らかです。
さらに、この欧米で出版された概説書の記事のもと記事は、「2015年10月、石氏のチームは、これらの村のうち4つの村で200人以上の住民から血液を採取した。その結果、約3%にあたる6人が、コウモリ由来のSARSに似たコロナウイルスに対する抗体を保有していることがわかった。」となっています。200人ではなく、「200人以上」なのです。検査した住人の数も間違っています。
https://link.springer.com/article/10.1007/s12250-018-0012-7
この研究では、多様なSARSr-CoVを保有するコウモリがねぐらとする洞窟に近接して暮らす人々を対象に、2015年10月に、4つの村の住民218人から血清サンプルを採取して調査したところ、6名が血清反応を示したということがわかります。
この調査によって、この住人は2003年のSARSの流行時に感染したわけではなく、一部のコウモリSARSr-CoVは中間宿主を介さずにヒトに直接感染することができるという考え方をさらに支持するものである。というのがもっとも重要なポイントです。
石弘之さんという方は、翻訳著作が多い方ですが、もっとも大事なはずの研究原著論文を調べもせずに、孫引きですませて、それをさらに間違って写している。すべてこういう方法で原稿を書いているのではないかという懸念を払拭できません。したがって、石弘之さんの著作記事は、すべて眉に唾を付けて読まないといけない感じがします。これは、彼が科学研究者ではなく、朝日新聞系のジャーナリストだから、記事の真実の調査を好い加減に済ませても社会に許容されていた「甘え」かもしれません。
「コロナの起源、解明のカギは古い血液検体に?」という2021 年 4 月 9 日 のWSJの記事は、現在では記事全文が読めなくなっているようです。
下記のアーカイブ(通称:魚拓保存)サイトで見てください。
日本語版 (日本語版ではなぜか、翻訳がされていない所が一つあります)
https://archive.is/qGiZN
英語版
https://archive.is/VSI3I
スペイン語版
https://archive.is/ps3aw

