柳家小満んの会 お江戸日本橋亭 3月13日
2020年 03月 15日
さて、あらためて、三百回を超えた本家の小満んの会に、初めて行った記事。
受付には、久しぶりにお会いする師匠の奥様の姿。
朝日の記事を読みました、今日で300回なんですか、とお聞きすると、302回目、とのこと。
アルコール消毒液があり、マスク着用での開催。
これは、致し方ない。
座布団が敷き詰められた客席は、最終的には七十名ほどの入りだったかと思う。
いかにも、常連さんと思しき人たちが大半。
さて、マスクだらけの客席での会が、始まった。
柳亭市松『道灌』 (15分 *18:30~)
これまで何度か聴いているが、これだけ反応のないことは初めて。
教科書通りとも言える語りで、実に真面目な高座なのだが、小満ん目当てのご通家ばかりの客席は、びくともしない^^
柳家小満ん『ふぐ鍋』 (20分)
マスクだらけの客席を見て、「美人が増えた」で笑わせる。なるほど、同感^^
「目が大事ですね」などにも、いやらしさが微塵も感じられないのが、品のある噺家さんの証。
そのあとには、ネタにふさわしいマクラが続く。
「片棒で かつぐ夕べの ふぐ仲間」
「名古屋ふぐ」---身の終わり(尾張)
なんて科白で、市松の高座でびくともしなかった客席が湧く。
また、その笑いのタイミングなども、実に、良いのである。
幇間の一八が旦那を訪ねて、本編の始まり始まり。
出された小鉢を一八が見て、「このわた・・・いや、このこですね」と喜んで、爪楊枝でつまみながら、次に出された鍋を見て、「旦那、なんの鍋ですか、これは」に、「いいいから、食べな」と、旦那。
しつこく聞く一八に旦那も負けて「テツだよ」。
「テツ・・・鉄鍋ではないでしょう、土鍋」に旦那、「ふぐだよ。ちゃんと料理屋から取り寄せたものだから、安心して食べな」。
しかし、そうは簡単に箸をつけない一八。もちろん、旦那も一八を毒味にさせるつもりだから、食べはしない。
この二人のやりとりの間に、おこもさん(乞食)登場。
ということで、この噺は新たな展開を迎える。
旦那が、まず乞食に食べさせて様子を見ようと思いつき、一八に丼ぶりにふぐをよそえ、と言う。
この時、一八が「では、旦那の箸で」という場面で、私も含め客席爆笑。
後半のあらすじは、ブログ読者の皆さんには必要ないだろう。
旦那と一八のやりとり、まさに軽妙洒脱。
加えて、高座と客席とのキャッチボールが、実に良いリズムで進むのだ。
想い出すと、昨年1月、関内の会終了前の会でもこの噺があった。
今、日々消滅する脳細胞を奮い起こしてみて、あの高座で客席とこれほどの一体感があっただろうか。刈り込んだ高座も良かったはずだが、客席との一体感は違う。
さすが三百回の日本橋、と実感した一席、文句なく今年のマイベスト十席候補とする。
柳家小満ん『越の海』 (23分)
一度下手に下がって再登場。
寛政期に江戸の相撲は人気になってと、この噺へ。
初めて聴く。
元は、講談ネタ。実在の力士の話らしい。
こんなあらすじ。
相撲が盛んであった寛政年間は、元年に横綱になった谷風梶之助や、小野川喜三郎、雷電爲右エ門などそうそうたる力士が活躍した時代。その時代は、現役の力士も部屋を持つことができた。鳥越に部屋を持つ柏戸が、越後直江津、当時の今町に巡業に行った。
地元の勇蔵という子がいた。身の丈五尺五分(約150cm)ほどしかないのに、体重が三十四貫(約130kg)もあるという体つきである。ほぼ四角い体。どうしても勇蔵が相撲とりになりたいと言うので、そのうち諦めるだろうと、江戸まで連れて帰った。
江戸の町を歩いていても、水ガメに手足、提灯の化け物、などと冷やかされ、こんな妙なのと稽古をして怪我でもしたら大変と、相手にしてくれる力士はいない。
ある日、江戸の相撲を見たい勇蔵は、兄弟子たちの稽古に無理矢理ついて行った。
その土俵でぶつかり稽古に胸を貸していたのは、横綱谷風。若い力士連中は、谷風にまるで相手にならない。
勇蔵は行司の木村庄之助から、あれが横綱の谷風であることを教えられる。勇蔵は自分も力士であると告げ、なんと谷風と対戦することになった。親方譲りの廻しを締め、谷風との勝負が始まる。勇蔵は「ダダダダダーッ」と一気に頭突きで突進し、驚く谷風を押し出した。
次に、身長2メートルを超える雷電爲右エ門と対戦。勇蔵、また「ダダダダダーッ」と突進し、雷電も押される。谷風は感心した。このことを知った親方の柏戸も勇蔵をあらためて弟子と認めた。
越後出身なので、越の海と名乗り活躍し、小結の座を五年間譲らなかったという。
ややうろ覚えな点もあるが、こういう出世噺。
とにかく、小満んが、実に嬉しそうに「ダダダダダーッ」とやってくれるのが楽しく、客席一体となった笑いの中で、初めての相撲噺を聴かせてもらった。
横で大きく頷きながら聴いていたのが、相撲大好き、ミニたにまちのYさん^^
ここで仲入り。
外の空気を吸いに。
中は、けっこう蒸し暑い。マスクも外さないとね。
では、三席目。
柳家小満ん『首提灯』 (30分 *~20:14)
剣の達人に斬られると斬られたことが分からない、とマクラをふって『胴切り』を挟んでからネタ出しの本編へ。二席聴けて得した気分。
田舎侍に毒づく江戸っ子の酔っ払いが、いい。
博打で金が入って品川宿のなじみの女の所へ遊びに行く途中。酔いもあるし、機嫌もよく気も大きい。芝山内の追いはぎの出るというさみしい所へさしかかると、「おい、待て」と声がかかる。「何かようか、おじさん」と答える。「おいと言うから、おじさんだ」でも笑える。
田舎侍と見くびった男は、「かんぱらちんき」など悪口雑言を浴びせた末に調子に乗って侍に唾を吐く。堪忍袋の緒が切れた田舎侍、抜き手も見せない居合で、男の首を斬って、鼻歌まじりに去って行く。この鼻歌「徂徠の待ちかねた豆腐」というような歌詞だったように思うが、自信なし。
そこからは、生の落語でしか味わえないのが、この噺。
男の首が、あらあら、大変なことに。
その仕草で、客席も大爆笑。
江戸っ子が活躍する噺は、小満ん、外れがない。
三席とも、しっかり楽しませていただいた。
さて、リーダー佐平次さん不在の六人での居残り会は、都内に詳しそうなOさんに店探しをお願いしていた。
徒歩数分の、串焼き屋さんは、結構なにぎわい。
そろそろ、世の中は閉塞感に耐えられなくなってきているのだよ。


備長炭にこだわった串焼き、なかなの刺身、などなど美味しい肴に、落語や何やらの会話が弾む。後半は、ホッピーだったなぁ。
Nさんからは、和菓子のお土産まで頂戴してしまった。
もちろん(?)、帰宅は日付変更線を超えたのであった。
世の中がなんとも息苦しい中、小満ん落語の原点、聖地を訪ねることができた、思い出の一日となった。
わたしは横浜小満んの会をリンクしましたよ。
