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噺の話

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昔の、講釈師のことー『江戸っ子と江戸文化』より。

 一昨日から、新宿末広亭で、神田松之丞の真打昇進と六代目神田伯山襲名披露興行が始まった。

 ネットで知ったニュースによると、初日の出し物は『中村仲蔵』だったとのこと。

 夜の部なのに、朝の時点で180人の行列で、なかには、前日午後三時から徹夜で並んだお客様もいたらしい。

 バブルだとは思うが、その人気がすさまじい。

 とはいえ、かつては講釈場も数多く江戸にあり、講釈師は落語家よりずっと稼いでいたこともある。
 
 そんな話を、ある本からご紹介したい。

昔の、講釈師のことー『江戸っ子と江戸文化』より。_e0337777_16115425.jpg


 日本近代史研究家、西山松之助の対談集『江戸っ子と江戸文化』(小学館創造選書)は、昭和57(1982)年に発行された本。

 この中に、「寄席物語」と題して、西山松之助、林家正蔵(彦六)、小島貞二の鼎談が掲載されている。

 引用する。

西山 寄せ席が生まれる決定的な条件は、夜の芸ができたことではないですか。歌舞伎も講釈も太平記読みも、何でもそれまでは昼の芸でしょう。そこへ夜の灯りを持つ文化生活が、庶民の間まで浸透してきた。昼は働いていなければ飯が食えないその日稼ぎの人たちも、夜は楽しみに一席きいてこようというふうになる。それは江戸も中期以降の文化文政(1804~30)の頃からですよ。
小島 たとえば講釈場、釈場というでしょう。講釈の寄せ場の略でしょうが、そんな言い方はしませんね。
正蔵 講釈は、昼は昼場といいましたよ。夜は夜場といわないで、夜講といったものです。
小島 昼場より、夜講の真打のほうが上ですか。
正蔵 いや、昼場が上ですよ。夜講の真打はおそらく世話物を専門にやったから、お客は寄せたかもしれないが、堂々たる講釈を読むのはやはり昼場の真打だな。
西山 なるほど、伝統的に講釈はやはり昼やっていたものだからでしょう。こういう話は、いま師匠からうかがっておかないと分らなくなりますね。
正蔵 私どもが知った頃は、昼場の真打は二か月通しでしたよ。夜講のほう一か月交代。それだけ読みものの量からいっても違うんだ。昼場の大真打となれば重きをなしていたもので、一席やれば相当な収入になしましたよ。
 私が驚いたのは、三代目の柳家小さん師匠が引退したときに、方々に顔出しをしたんです。講釈師の家にいってみると、みんな門構えなんだね。その時分で大塚だの巣鴨だの、いわば東京の郊外だね、外れであるけれども、家持ちなんだ。噺家じゃ、家賃に出ない家に住んでたなんてえのは、五本の指もいなかった。
小島 昭和のごく初め頃ですかね。
正蔵 昭和の一桁。三年だかに新橋の演舞場で引退興行をやったんです。
小島 その頃の講談の先生というと、三代目伯山、馬琴、如燕、伯知とか・・・・・・。
正蔵 伯山の売れ方は間違いない。宝井馬琴、錦城斎典山・・・・・・お座敷や何かで稼ぐんだけれども、講談の席だけで叩きだした先生でも家持ちなんだね。
小島 講談の先生は、以前は速記本の収入がすごかったのですね。それで噺家さんとはマルが一桁違う。
正蔵 そうです。むこうは長時間読むからね。それに切れ場が決まってるんだから、一時の速記本なんぞは講釈師に食われちゃった。
西山 つまり、いまの作家に当たるわけですよね。それが新聞に載ったり。いまの連載小説のもとでしょう。

 今では考えられない、講釈師の姿。

 六代目伯山が、どこまでかつての講談ブームを復興させることができるのか。

 過去の最盛期を考えれば、もっともっと売れて、講談ファンが増え、その結果として釈場が出来、そこで、伯山が昼場の通しを二ヶ月、という目標もあって良さそうだ。

 門構えのある家を持つのも、悪くないか^^
Commented by at 2020-02-15 06:49 x
神田松之丞。先日、NHKの番組で噺家さんから教わったと断って「鮫講釈」を演りましたが、どこかモダンな感覚があって、そのあたりが人気の秘密なんでしょうねェ。
講釈は公式的・情緒的にではありますが、庶民に歴史の魅力をわかりやすく伝える伝統話芸と考えております。
Commented by kogotokoubei at 2020-02-15 08:37
>福さんへ

若い割には達者な人だとは思います。
初心者にも分かりやすく、笑いも多い。
とはいえ、今の人気は異常です。
そのうち、落着くとは思いますがね。
Commented by 月波楼 at 2020-02-15 23:21 x
失礼します
いつも楽しみにブログ読んでいます
講談界には久々の明るいニュースですね!たしかに異常ですが。
いつも伯山先生は迫力のある講談ですが着物の着こなしがいただけないと思うのは私だけでしょうか。襟止めが気になります。商品としてケチをつける気は無いのですが、着物が正装の商売。つけなくても乱れないように着こなせよと思ってしまいます。
落語家でもそんなに見ない気がしますが二ツ目以下の若手には多いのでしょうか?
Commented by kogotokoubei at 2020-02-16 08:13
>月波楼さんへ

コメントありがとうございます。伯山の着物の着こなしは、まだ良いとは言えませんね。
若手落語家でも、たまに酷い人を見かけます。
三三がマクラで使うバカボンほどではないですがね^_^
いろんなことを書き殴るブログですが、今後も気軽にお立ち寄りきださい。
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by kogotokoubei | 2020-02-13 12:54 | 伝統芸能 | Comments(4)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛