立川流日本橋亭(昼席)と、居残り新年会 1月22日
2020年 01月 23日
ネットで調べたらちょうど立川流の落語会があり、この日は談四楼の仲入り、そして、まだ聴いたことのない土橋亭里う馬が主任と知って、メールで席を予約していた。
ほぼ一年ぶりに、お江戸日本橋亭へ。
地下鉄三越前の駅の地下は、とにかく広い。
半蔵門線を降りて、出口10番まで、結構歩くのだよ。
開演20分ほど前に到着。
名前を告げ、前売りの木戸銭1,500円を払い入場。
お客さんは、ちらほら、という感じで、最終的な人数も20人ほどだったかな。
この会場は、ほぼ一年前の、立川左談次を偲ぶ落語会以来。
手違いで90人で打ち切るつもりが120人受け付けてしまったため、追加のパイプ椅子も含めぎっしり満席だったことと対象的だ。
2019年2月13日のブログ
出演順に、感想などを記す。
立川花修『つる』 (14分 *13:00~)
開口一番は、女流で初めてのこの人。談修の弟子とのこと。
後で調べると、昨年春の入門。
『道灌』のマクラで、この噺に転じたが、なぜそうしたかが、よく分からない。
立川流なら『道灌』で良いだろうに。前座とはいえ、言い間違い、言い直しが多すぎて閉口した。
北海道出身で応援したいとは思うのだが、間違いなく、私の方がうまい。
談修なら、しっかり稽古してくれそうなものだが・・・・・・。
立川縄四楼『たらちね』 (24分)
本来は、笑二のはずだが「来ていません・・・・・・」とのことで、談四楼の弟子の前座が代役。笑二との共通点は同じ沖縄出身とのこと。
「前座が二人続いて、申し訳ありません」とこの噺になったが、同じ前座とはいえ、こっちは三年目なので、私の方が上、とは言い切れない味もある。
「きゃうとで、京都・・・勉強になります」なんて科白も、どことなく可笑しい。
前座の南北対決は、南の勝ち・・・とはいえ、笑二はどうした^^
立川小談志『悋気の独楽』 (18分)
2017年の5月、どうしても談四楼が聴きたくなり、日曜のテニスを休んで駆けつけた国立で『お菊の皿』を聴いて以来。
2017年5月29日のブログ
前座がまとめて首になった時の被害者(?)の一人で、現在は龍志門下。
前の名は、泉水亭錦魚。
今回も、三人目で、やっと真っ当な落語を聴けたのが、この人、という感じ。
たとえば、この噺は古今亭菊志んの高座が好きだが、それほどは、弾けない。しかし、古典の本来の可笑しさを、無駄なくすぐり挟まず聴かせてくれる高座は、好感が持てる。
立川談四楼『柳田格之進』 (30分)
仲入りは、お目当てのこの人。
マクラなしで、「彦根の城主井伊氏のご家来で~」と本編へ。
格之進が、潔癖過ぎる性格が災いして藩を追われた上司とのやりとりを少し挟んで、舞台は江戸へ。
格之進が、手習いの塾を開いていたが、子供にも手加減せず厳しい指導をするため、塾生が一人減り二人減り、結局塾をたたむことになった、という話は、初めて聞いたと思う。なるほど、ありえる設定だ。
碁会所の主人も、格之進の塾に通った近所の子供が、しっかり挨拶ができるようになったことに感謝し、万屋の主人を紹介する、とつながっていった。
格之進と万屋の交流が深まり、そして、あの月見の夜に。
侍の凛々しさ、万屋の大店の主人としての恰幅、談四楼には、どちらもニンで、聴いていて、品格を感じさせる。
しかし、この人、女性を描いても上手いのだ。
2017年5月国立での『人情八百屋』でも、平助夫婦の会話において、女房の優しさと内に秘めた強さがしっかり伝わったのが印象的だったが、この噺においても、格之進の娘いとの健気さが伝わり、実に良かった。
達者な噺家は、その見た目が坊主頭であろうが、いったん若い女性を演じると、そこに十代の娘の像が浮かんでくるのだ。
最後、碁盤を真っ二つにした格之進が、散らばった黒(那智黒)と白(日向蛤)の碁石を万屋に指して、「見ろ、二人の勝負、シロクロがついた」でサゲ。
構成として特徴的なのは、娘は客をとる前に吉原から救い出すことができたが、なにも口にせずやせ衰えていくばかり。
万屋と番頭徳兵衛を前に、刀を振り下ろそうとする格之進が、五十両作ったいきさつを明かし、この娘のことにふれての科白で、客席も水を打ったようになった。
湯島切通しでの格之進と徳兵衛の会話を、茶店には行かず、石段でのすれ違いでのやりとりにするなどは、時間を詰める工夫だろう。
そうそう、切通しで格之進が乗っていた駕籠が、あんぽつと言うとの説明は、初めて聞けたように思う。談四楼、丁寧なのだよ、意外と。
とても、30分だったとは思えない、重厚な高座。昨年唸らされた、むかし家今松とは、また別な味わいのあるもので、今年のマイベスト十席候補としたい。
外で一服し、さて、後半。
立川吉笑『親子酒』 (21分)
高座は初だが、NHKの「落語ディーパー!」で、出演者としての姿は観た。
あぁ、あの番組のあの落語好きの男優、昨日あたりから、ネットで名が飛び交っているねぇ。
さて、この高座。
マクラで、2018年5月から禁酒していると語る。理由は、話さなかった。
年末年始は、酒の席が多く、本来は好きなので、ノンアルコールで我慢するのが辛い。ほとんど、覚醒剤中毒者と同じ、と笑わせる。
五~六年後にあるだろう真打昇進披露パーティーで、自ら乾杯の音頭をとって飲むことを夢見ているらしい。
少し長めのマクラだったが、ネタにふさわしいし、結構笑った。
本編は、思ったほど独自のくすぐりを入れることもなく、父親と息子の酔っ払い方を大袈裟にするくらいで、ネタそのものの可笑しさを基本に笑わせてくれた。
新作を期待していたが、マクラを含め、この人の潜在能力の高さを感じた、好高座。
二ツ目を対象にする、今年の新人賞候補としたい。
立川志ら玉『六尺棒』 (14分)
初・・・だと思う。地味~な着物の色に、包まれた、なんとも古~い感じの噺家さん。
ネタも、地味だが、好きなお古~いオハナシ。
最後に、踊り「ずぼらん」を披露。
へぇ、立川流にも、こんな人がいたんだぁ、と、ちょっとした発見だった。
土橋亭里う馬『蒟蒻問答』 (38分 *~15:50)
ようやく、立川談志の直系総領弟子の高座を聴くことができた。
墓のことや宗派のことなどのマクラから本編へ。
なんだろう、この重さ・・・。
ドスの利いた声のせいもあろうが、六兵衛、八五郎、寺男、それほど声の調子が変わらない印象で、ずっと、ネタが超低音の上で流れていく感じなのだ。
それが心地よくもあったようで、つい、ウトウトしてしまった。
サゲ少し前で起きた。トントンとリズムよくサゲてくれた。
達者だとは思うが、もう少し、人物の演じ分けがあっても良いように思う。とはいえ、ネタ次第だろう。違うネタで、そのうち聴きたいものだ。
さて、居残り新年会には、少し時間があったので、会場(?)の「球磨川」がある東銀座のドトールで、一服しながら本を読む。
その本とは・・・そのうち記事にするつもり。
六時開始なのだが、待ちきれず(^^)五時半に、球磨川へ。
ご主人が、淡々と仕込みをしているのを観ながら、一服。お客さんがお一人来られビールを美味そうに飲んでる姿を見て、つい、私もビールで乾きを癒す。
すぐに、七名全員集合。
居残りセブン!
最初に出された刺身の盛り合わせのみ、スマホで撮ったのだよ。
拙ブログでは珍しい料理の写真。
その後、名物の馬刺しやら、おでんやら、美味い肴に、話も弾む。
私とMさんが最近ガラケーからスマホに変えたこともあり、「居残り会グループライン」を作ることを提案。
いろいろ大変なプロセスもあったが、目出度くグループラインが誕生したのであった。
さて、熊本は美少年の熱燗徳利が、何本空いたのやら、途中から記憶も定かではないのだが、とにかく、楽しい、美味しい、居残り会でした。
そして、ご主人と同じ古希少し上のIさんやMさんの先輩であるNさんが、居残りセブンの中で、もっとも上手にスマホを使いこなしているのに、感心したなぁ。気持ちは、一番、若いのではなかろうか。
来週も、この七人の侍は、ある落語会で再会する約束をして別れたのが、さて何時だったものやら。
本日は、結構、二日酔い。
しかし、先輩方は、朝からラインで会話が始まっている^^
皆さん、お若い!
歌舞伎に美術館に能に狂言に落語に・・・スケジュールが一杯なのである。
なかなか真似できないが、少しでも近づくよう、がんばりたいものだ。
談四楼の案は「こくびゃく(だったか?とにかく音読み)」だったんですが、あの有名な師匠が「客にはあんにゃもんにゃもいる、わかりやすくしろ」と言って上記に修正したそうです。
サゲをどうするか、そこにもセンスが出ますねぇ。TV番組からの情報でした!