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映画「パラサイト 半地下の家族」の魅力(2)ー俳優陣の演技


「パラサイト 半地下の家族」公式サイト




 この映画の魅力について、二回目。

 前回は、貧富の差の「縦構造」が、映像として見事に描かれていることが魅力、と書いた。

 もちろん、他にもこの映画の魅力はたっぷりあって、俳優陣も極めてレベルの高い演技を披露する。

 ---ここからは、ネタバレになるので、ご注意のほどを---

 あらためて、この映画の舞台である三層構造を確認。

高 台    豪邸に住むパク一家
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地 上        |
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半地下    主人公たちキム一家
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地 下  元家政婦ムングァンが築いた世界

 
 キム一家が、この縦構造を上に行ったり、下に巻き込まれたりする映画、と言えるだろう。

 では、主役のキム一家四人について、それぞれ、もっとも私の印象に残った演技を書きたい。

 まず、半地下に住むキム一家の父、キム・ギテク役のソン・ガンホの演技。

 この人は、海外の映画賞での受賞歴もある、韓国を代表する男優だが、なるほどと思わせる演技だった。

 もちろん、笑ってしまった場面もいくつかあるが、やはり、一家が寄生(パラサイト)していた富豪一家の主人、パク・ドンイクに殺意を抱いた、あの時のあの表情が、もっとも強く印象に残った。

 それまでも、「臭い」について伏線が張られており、ギテクは、自分の臭いについて大いに気にしていた。
 そして、地下居住者で元家政婦ムングァンの夫が倒れた体の下から、ドンイクは、車のキーを、まるで汚物をつかむように持って、倒れた息子を病院に連れて行こうと歩き出す姿を見たギテク。
 余興のためインディアンの格好をしたその目に、殺意が芽生える。
 あの演技には、しびれたなぁ。

 次に、キム家の長男、ギウ役のチェ・ウシク。
 彼の演技が印象的だったのは、この映画の大きな分岐点となった場面。
 パク家で息子の美術の先生を捜しているとパクの妻ヨンギョから聞いた時、一瞬の間のあと、彼に策略が浮かんだ、あの表情だ。
 妹を従兄弟の友人と偽って、アメリカに留学して美術を学んだジェシカとして紹介することで、「寄生」の第二弾が始まる。
 もちろん、大雨の中、高台から半地下へ向う途中に、足元をじっと見つめる姿も印象に残るが、この男優さんの持ち味は、笑顔ではないかと感じた。

 次に、キム家の長女、ギジョン役のパク・ソダム。
 キム一家で、唯一亡くなってしまうので、あの惨劇の場面は、もちろん記憶に残っているのだが、禁煙のネットカフェで煙草を吸い続けながら、兄ギウのソウル大学の合格証を偽造してしまう姿も印象的だった。
 そうそう、パク家を初めて訪ねる際、玄関のチャイムを押す直前に、ギウと声を揃えて偽の自己紹介を復唱する場面には、笑った。
 また、冒頭シーンで、上の階の家のWiFiが通じる場所を探す場面などでは、中学生くらいの印象だったが、パク家で家庭教師をする場面での大人ぶった様子には、さすが女優、と感じたなぁ。
 
 さてキム一家のトリ(?)は、母親チョンソク を演じた、チャン・ヘジン 。
 元ハンマー投げのメダリストという設定の、しっかりした体形。
 パク家の家政婦となった際の変身ぶりもなかなかのものだったが、やはり、あの場面が印象に残る。それは、元家政婦ムングァンが、地下から戻ろうとした際の、あのケリの一撃だ。あれは、女と女、というかオバサンとオバサンの戦いを象徴する一撃だった。

 キム一家以外では、このオバサン同士の戦いで蹴られたムングァン役のイ・ジョンウンの演技が印象的だ。
 パク家の息子ダソンとインディアンごっこをする場面などが可笑しいが、やはり、あの雨の晩に解雇されたパク家を訪ねた場面以降、この人の演技が際立っている。
 私は、ノミネートされていないが、オスカー助演女優賞でも不思議はないと思っている。スタントを使っている場面もあろうが、体当たりの演技、というインパクトがあった。


 さて、キム一家は、パク一家に寄生するまでは、全員が失業していた。
 しかし、四人は能力がなかったり、なまけ者だったわけではない。

 たぶんに、運に見放されてきた、一家ということだろう。

 父のギテクは、さまざなま事業を試み、失敗してきた。
 
 たとえば、父の職歴とムングァンの夫の職歴に共通する「台湾カステラ」。
 これは、2016年から17年頃に韓国で大ブームとなったお菓子。
 今の日本なら、さしづめ「タピオカ」だろう。当時、大行列を生み出していたが、あるTV局が2017年3月に放送したドキュメンタリー番組で、「大量の食用油や添加物を混ぜている」「安い粉ミルクや賞味期限切れの生クリームを使っている」と告発して、ブームが急激に終了。実は、その後当のテレビ番組の内容はフェイクだったとされるのだが、消費者の興味はすでに消滅していた。
 その結果、ギテクやムングァンの夫のような「元台湾カステラ店のオーナー」という失業者が増えたという次第。

 貧富の差や、前回の記事で書いた「縦構造」の存在位置の違いをもたらす要因は、それほど、その人間の能力や努力の必然的な結果とは言えないだろう。
 運だったり、ほんの少しのタイミングの違いなどによるのかもしれない。

 そういったことも、この映画から感じたことである。

 ということで、今回は俳優篇だった。

 次回は、監督・演出の魅力に関して書く予定。

Commented by 竹内喜六 at 2020-02-14 00:24
久々にお邪魔します。以前は「明彦」でしたが、最近ではこの畏れ多い匿名(「美濃部与太郎」のようなものですね)でツイッタ-などやっておりま。
先程ようやく『パラサイト』を観て来たところです。家政婦役のイ・ジョンウン(影の主役とも言えますね)は、一昨年の日本映画『焼肉ドラゴン』で、一世のオモニを名演しています。個人的には原作の名舞台の魅力が保存された、大好きな映画です。
そして社長役のイ・ソンギュン、いい声の男前でしたが、先程検索したら韓国版『白い巨塔』で、正義派の里見先生(田村高廣か山本學ですね)役だったとか。
Commented by kogotokoubei at 2020-02-14 08:40
>竹内喜六さんへ

お久しぶりです。
オスカー取っちゃいましたね。役者は皆、ニンでした。
映画館、混んでいたんじゃないですか。
来年は、日本映画が作品賞を取ることを期待しています。
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by kogotokoubei | 2020-01-21 09:36 | 映画など | Trackback | Comments(2)

あっちに行ったりこっちに来たり、いろんなことを書きなぐっております。


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