映画「パラサイト 半地下の家族」の魅力(1)ー“縦構造”の映像化
2020年 01月 18日
話題の韓国映画「パラサイト 半地下の家族」を観た。
カンヌのパルムドールを受賞し、アカデミー賞にもノミネート。
前半は、何度も笑った。
そして、ある家へのある人の訪問から、一気にミステリータッチに変わる。
全編を観て、格差社会や社会の歪み、家族とは何か・・・などを深く考えさせる映画だった。
そうなると、どうしても「万引き家族」を思い出す。
しかし、あちらは、“擬似家族”であり、そうであることが映画の大きな土台となっている。
「パラサイト 半地下の家族」は、本当の、血のつながった家族が主役。
そして、大きな特徴は、格差社会の“縦構造”が、見事に映像化されていること。
高台の高級住宅地に住む裕福な家族。
半地下の家では、目の前の道路が消毒されると、消毒薬が入り込む。
それでも、便所コオロギ退治にちょうど良い、と父は窓を開けたままにさせておく。
そして、後半明らかになる、もう一つの世界。
---ここからは、ネタバレになるので、ご注意のほどを---
「半地下」の「半」には、深い意味がある。
もちろん「地上」ではないが、「地下」でもない。
この映画の舞台は、三層構造である。
高 台 豪邸に住むパク一家
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地 上 |
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半地下 主人公たちキム一家
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地 下 元家政婦ムングァンが築いた世界
この「縦構造」が、効果的に映像化されている。
冒頭のシーンは、キム一家の半地下の家(空間)から地面への視線だ。
酔っ払いの立小便、道路の消毒などが、見上げる目線から描かれる。
そして、友人ミニョクから、お金持ちの家の娘の英語の家庭教師のアルバイトを譲られたキム家のギウが、パク家を訪ねる際は、ゆるやかに曲がった坂道の先の高台に、その豪邸が現われる。彼らの家との高低差が、見事に印象づけられる。
貧富の高低が、空間の高低に置換されている。これぞ、映像の力。
そして、キム一家四人全員がパク家で職を持つことができ、パク家がキャンプに出かけた夜の、広い庭を眺めながらの豪華な夕食。雨の中、ある訪問者の登場から、それまで何度も笑わせられたコメディは、一気にサスペンスに模様替えをし、より、「縦構造」の下方に、舞台は進んでいく。
この映画の魅力の一つは、間違いなく、この「縦構造」にあると言えるだろう。
あの事件の後、キム家の母以外の三人が、大雨の中で半地下の家に戻ろうとする際、どれほど、下って行ったことか。
公式サイトの予告映像にも若干のヒントはある。
しかし、実際に見なければ、「縦構造」を見事に描いた映像の魅力は、味わえないだろう。
「パラサイト 半地下の家族」公式サイト
もちろん、他にも演出や俳優など多くの魅力があるが、それは次の記事にて。
縦構造は黒沢明の「天国と地獄」でも強調されていました。
高いところに住んでいる人たちには嵐も子供の遊びのネタにすぎない!
あの場面ですね。印象的でした。
ポン・ジュノ監督、きっと黒澤にも影響されていることでしょう。
パク家の子どもが庭でキャンプ遊びでしたね。
半地下では、あの豪雨で大変なことになっていました。
実に自然に縦構造の対比を映像化していました。
