国立演芸場 十一月 中席 柳亭小痴楽真打昇進披露興行 11月15日 夜の部
2019年 11月 16日
昨日、なんとか、末広亭に続き国立の披露目にも行くことができた。
先日の落語協会の披露目の日、チケットを入手していたのだ。

演芸場前に掲げられた幟は、後ろ幕と同様に二本。
場内に入ると、開口一番時点では五割ほどの入りだったが、最終的には九割ほどになった。
夜の部で六時開演だからね。
後ろ幕は、末広亭と同様(当たり前か)、明星学園明星会与利。
出演順に感想などを記す。
春風亭かけ橋『黄金の大黒』 (16分 *17:45~)
柳橋の四番弟子。ほぼ一年前、昨年11月の末広亭以来、二度目。
昨年の『狸の札』でも、変な癖のない高座に好感を抱いたが、この噺も、なかなか楽しかった。羽織がなくてもいいのだと知って喜ぶ長屋一同、なんと、与太郎が胴上げされている、というのは初めてかな^^
柳亭明楽『子ほめ』 (14分)
小痴楽の弟弟子、三度目だが、ようやく『まんじゅうこわい』以外のネタを聴けた^^
不思議な魅力のある人だ。
「百歳だったら・・・すげぇーでしょ」と八五郎に言わせるのは可笑しい。
兄弟子を支えるのも、あと五日。がんばれ。
桂伸三『古着買い(古手買い)』 (13分)
この噺は、六年前に志ん輔の会でこの人の高座を聴いて以来。他の人では聴いたことがない。
甚兵衛さんが女房に言われて、同居することになった女房の弟のために古着を買いに行くのだが、人のいい甚兵衛さんでは心もとないので、女房の言う通り、“こすっからい”熊五郎に一緒に行ってもらう、という内容。だから、『人形買い』や『壺算』に似ているし、古着屋が甚兵衛さんを馬鹿にしたのに怒って熊さんが江戸弁で啖呵を並べる場面は。『大工調べ』的でもある。 なかなか楽しい高座だった。
四代目円遊-明治三十五(1902)年生まれ、昭和五十九(1984)年没-の十八番だったようだが、当時の芸協の大看板のネタを、こういう若手が継承するのは、実に良いことだと思う。
江戸家まねき猫 動物ものまね (14分)
「ものまねショッピング」ということで、「ニワトリの目覚まし」や「(本当の)鳩時計」「犬の防犯システム」「猫のコンパニオン」などを披露。
いろんな工夫で、ものまねという芸に色付けをしている努力は、評価できると思う。
桂小文治『片棒』 (20分)
寄席で名があると、行きたくなる人の一人だ。
金を短めに、銀をしっかりと。
神田囃子も良かったし、ケチ兵衛人形の動きも、実に楽しい。
銀を追い出した後、ケチ兵衛が、「あいつは、今、思いついたんじゃないよ、ずっと考えていたんだ」という科白に笑った。
桂米助『野球寝床』 (21分)
仲入りは、小痴楽の父五代目痴楽の前座時代からの友人の、この人。
漫談で終わるかと思ったら、ロッテのオーナーを旦那に見立て、子会社の役員や部長を長屋の店子に見立てた『寝床』を披露。
まぁ、この人らしい、とは言えるが、言い間違え、同じセリフの繰り返し、など、どうも、連日の打ち上げの疲れがたまっているような高座^^
一階の喫煙室で、一服。
口上が楽しみだ。
口上 (18分)
後ろ幕は、九月の末広亭と同様、「本寸法噺を聴く会」「町内の若い衆」「武蔵境商店連合会」「武蔵境自動車教習所」によるもの。
下手から、司会のまねき猫、小文治、柳橋、本人、師匠の楽輔、米助。
柳橋が、「本来は会長が来るべきですが、家庭の事情で」で客席から笑い。
末広亭では聞けなかった師匠楽輔の話で笑った。
その内容に末広亭の席亭のことがあり、なるほど、あの席にいなかったわけだ、と納得。
内容は、秘密^^
全般的に、皆が父を知っており、中には生まれた時から知っている米助などもいるわけで、身内のやんちゃ坊主が、ここまでになった、これからもよろしく、という感じの口上。
アットホーム、という形容があてはまりそうだ。
春風亭柳橋『やかん』 (14分)
九月の末広亭と同じネタ。
それでも、こういう達者な人の、こういうネタ、大好きだ。
柳亭楽輔 漫談(『痴楽伝説』) (12分)
小痴楽のこと、その父五代目痴楽の思い出から、師匠の四代目痴楽の思い出や、十八番ネタのことへ。
客席で『綴り方教室』や『恋の山の手線』を知っているのは、半数位だったかな^^
東京ボーイズ ボーイズ (12分)
なぞかけ問答、大好きだ。
小痴楽の時間をつくるため、やや唐突なサゲだったが、これもやむなし。
柳亭小痴楽『宿屋の仇討』 (45分 *~21:25)
短いマクラから、「旅のお噺で」と、本編へ。
とはいえ、そのマクラも、楽しかった。
松之丞や鯉八と、ベトナム旅行をした時、松之丞が、どこに行っても「Wi-Fi飛んでる?」と言っていたが、本人は、そういう現代的な機器には縁がなく、「何言ってんだ、この野郎!」といったような、お話^^
そして、本編・・・正直言って、驚いた高座。
三代目桂三木助版が土台にあるのだろうと思うが、父の十八番でもあったのかもしれないい。
とにかく、難しい噺だ。
登場人物が多いし、スピーディーに場面展開をする必要もある。
前半は、源ちゃんたち“始終三人”の江戸っ子の神奈川の宿屋での騒ぎぶりがヤマの一つ。
三人組の場面も、芸者を呼んでのどんちゃん騒ぎ→寝床に入ってからの相撲→源ちゃんの色事師話、と色合いを替えて演出する必要がある。
そして、江戸っ子三人と万事世話九郎の部屋を何度も行ったり来たりする伊八も大事な脇役。
また、サゲで落差をつけるには、侍の万事世話九郎をいかに凛々しい、また怖い存在に描くかも大事。
それぞれの噺の勘所を、小痴楽は、しっかり押さえていた。
また、下手に演じるとダレる場面展開だが、小痴楽、三人組の騒ぎでの手拍子→世話九郎が伊八を呼ぶ手、と三度見事につないでくれた。
また、相撲で世話九郎から苦情が出てやって来た時の三人組は、言葉を発せず、手振りと表情だけで、伊八とやりとりする様子で、笑わせた。
三人組の相撲のせいで世話九郎に呼ばれた伊八が世話九郎に「たった今、捨衣(すてごろも)が三連勝しました」なんて言う科白も、なんとも楽しい。
サゲ近く、伊八に「明朝、街はずれで出会い仇ということで・・・お連れの方が助太刀するのはかまわないとのことです」と言うと、連れの二人が「しない、しない」と返すのも可笑しい。三木助の工夫らしいが、しっかり、踏襲していた。
小痴楽の持ち味である江戸っ子の啖呵、象徴的なのは、「(な)ぁによっ!」の科白などが、まさに江戸っ子三人組に生きているし、予想以上に、世話九郎の貫禄もある。
伊八が振り回される姿は、この人の本来の個性(?)にぴったりか^^
この噺では、当代では筆頭か、とまで思わせた高座。
もちろん、今年のマイベスト十席候補だ。
真打昇進披露興行で、二度来たのは、一之輔以来。
来た甲斐が、あった。
この人、今後どうなるのだろうか。
なんとも、楽しみでならない。
お久しぶりです。
土曜日にいらしゃったんですね。
『猫の災難』でしたか。
スピードとリズムが持ち味の小痴楽としては、必ずしも得手な噺ではないかもしれません。
挑戦、という感じのネタですね。
実は、昨日も時間ができたので行こうかと思い国立に電話したら、満席とのこと。
松之丞の出演、ということも影響したのでしょう。
いずれにしても、小痴楽、将来楽しみな人です。
