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噺の話

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「いだてん」池田勇人役・・・談春のことで思う、いろいろ。

 日曜日の「いだてん」で、池田勇人役が立川談春だったのには、正直、驚いた。

 TBSの日曜劇場、池井戸潤ドラマで俳優として知名度を上げたのだろうが、大河にも登場とは・・・・・・。


 同じ人気者の噺家として、柳家喬太郎は、「昭和元禄落語心中」で噺家役として主人公に『死神』を教える役で出演し、その縁もあったようだ、同じ男優が出演した「なつぞら」にも少しだけ登場していた。

 喬太郎は、自作の新作落語を元にした舞台にも立っているし、映画にも出演している。

 かつて、古今亭志ん朝が、ドラマや映画、舞台で活躍していたことを思えば、才能ある芸人が、幅広く活躍すること自体は、不思議ではないと思う。

 しかし、志ん朝は、後年、テレビ出演などを控え、落語一筋の道を歩んだ。

 その転機は、昭和53年の、あの分裂騒動だと思う。志ん朝が、四十の時だ。

 喬太郎は、今年五十六、談春は五十三。

 声がかかれば、芸人としてありがたくテレビにも出る、のだろう。

 しかし、談春と喬太郎は、本職(?)の落語への取り組み方は、大きく違うように思える。


 喬太郎は、以前紹介したが、今まさに、下北沢ザ・スズナリで落語家生活30周年記念の一ヶ月公演真っ最中。
2019年9月4日のブログ

 売り出しの日、ぴあのサイトにやっとつながった時には、全席売り切れだった。

 ぴあのサイトに紹介されているように、毎日ネタを替えての三十回公演。
「チケットぴあ」の該当ページ

 これは、凄いことだ。

 では、談春はどうか。

 彼のホームページでスケジュールを確認できる。
立川談春オフィシャルホームページ

 入門35周年記念の独演会には、『双蝶々』のネタが載っている。
 思うに、久しぶりに新しい噺への挑戦だろう。

 しかし、通常の独演会には、『粗忽の使者』と『妾馬』がネタ出しされている。

 まだ、この二席で演っているんだ・・・・・・。

 ほぼ六年前、このまさにツク噺を演じることへの疑問を書いた。
2013年11月29日のブログ

 何年、同じネタで各地で独演会をしているのだろう。

 六年前の記事にいただいてコメントによると、『妾馬』のサゲで、この八五郎が地武太治部右衛門と名を替えて、と、この二席をつなげるらしい。

 どうしたって、ツクよなぁ。

 彼のツク噺については、3.11の直前の成城ホールでの会でも経験した。
 拙ブログの記事は、中止になった会の振り替え日の後に公開した。
2011年4月20日のブログ

 『木乃伊取り』と『按摩の炬燵』という酒呑みのネタが続いたことと、彼が、旧暦のことにまったく感心がないようなことをマクラで言っていたのが、残念だった会だ。

 
 拙ブログを始める前から、結構、談春は聴いている。

 古い手帳を開いてみた。

 たとえば、2007年5月だけで、四席聴いている。

 5月7日 特選落語名人会 (東京国際フォーラムホールC)
      談春『妾馬(八五郎出世)』
      *ちなみに、小朝『浜野矩随』、たい平『明烏』
      *二度と落語会では行きたくない会場^^
 5月12日 府中の森落語会 談春『道灌』*ちなみに、喬太郎『金明竹』
 5月18日 浜松町かもめ亭(文化放送メディアホール)
      談春『小猿七之助』
 5月19日 朝日名人会 談春『宮戸川』

 ブログを始める少し前、2008年2月には15日に町田で『野ざらし』『らくだ』、19日に紀伊国屋で『札所の霊験』、3月には新百合ヶ丘の麻生市民館で前座なしの『紺屋高尾』と『文七元結』。

 ブログを始めてからも、たとえば2009年2月の麻生市民館での『三軒長屋』には、感心した。
2009年2月14日のブログ

 その後、チケットが取れないこともあり、しばらく独演会からは遠ざかっていた。
 そして、3.11の前の、あの会。
 
 最後に聴いたのは、同じ2011年11月、ほぼ八年前の池袋新文芸坐落語会で、立川流の後輩たちの兄貴分(?)として出演した会の『包丁』。
2011年11月3日のブログ
 談志が、自分よりもいい、と褒めた噺。悪いはずはない。

 とはいえ、その後、聴くことはなかった。


 私は、談春を高く評価していた。

 過去形になるのは、彼が、テレビに出演しているからではない。

 テレビに出ようが、舞台に、あるいは映画に出ようが、芸人がさまざまな経験をすることは良いことだと思う。それが、高座にも好影響を与えると思う。


 問題は、本業の落語に精進している姿が、今の彼からは感じられないということなのだ。

 寄席に出られない、ということもあるが、いくらでも、寄席らしい会場での独演会は企画できる。

 喬太郎が、ザ・スズナリで一ヶ月公演を企画した意図は、十分に分る。

 もちろん、客席の数は少ないから、私のようにチケットを入手できない落語愛好会もいるだろう。

 しかし、喬太郎、志や良し、と思う。

 かたや、数千人収容可能なホールを一杯にして、何年も同じネタをかけている姿は、噺家ではなく、商売人、あるいはビジネスマンとして感じられる。

 
 居残り会のお仲間の中には、若かりし頃の談春が、当日でも席のあったブディストホールでの独演会で奮闘していた頃を知っている方もいらっしゃる。

 その方も、今の談春を聴こうとは、なさらない。

 彼は、多くの新しい客をつかんだかもしれない。

 しかし、長年聴いてくれていた、少なからぬ大事な落語愛好家を、遠ざけたかもしれない。

 
 とはいえ、今後、還暦を過ぎたあたりから、彼は変わるのかもしれない。

 再び、落語に集中する時期がくるのかもしれない。
 
 そんな時が来ることを期待しながらも、役者としての彼の姿を、「他にも、たくさん、いい役者はいるのに」と思いながら見ることになりそうだ。
Commented by 寿限無 at 2019-11-13 16:47 x
ご無沙汰いたしております。
談春、上手だと思いますが、私もいつしか聴かなくなりました。
昔、「死神」を聞きましたが、これなら談志の方が…………と思ったからかな……。
ところで、先日、ザ・スズナリで喬太郎の「死神」を聴いて来ましたよ。
とてもオーソドックスに演っていました。
30周年は大好きなスズナリで演じたかったと言っておりました。
そして、「祝三十年!という会ではありません。」
「喬太郎が三十一年目を踏み出すための落語会です。」
と言っています。その志がいいですね!
Commented by kogotokoubei at 2019-11-13 16:57
>寿限無さんへ

あら、プラチナチケットを獲得されていましたか^^
日曜の松喬がゲストの日にいらっしゃったんですね。

三十一年目のスタートですか。殊勝な言葉です。

今、喬太郎人気が、凄い状況になっていますが、老若男女、落語歴の長短、幅広い層が彼を聴きたがっているように思います。
くじ運の悪い身としては、寄席でキョンキョンの高座に出会いたいと思っています。
Commented by 寿限無 at 2019-11-13 17:38 x
ところで、貴兄のスズナリの30公演のうちお聴きになりたい演目は何でしょうか?
Commented by kogotokoubei at 2019-11-13 17:49
>寿限無さんへ

難しい質問ですね。
『按摩の炬燵』・・・『錦木検校』・・・『ハンバーグ~』・・・「ネタおろし」・・・決められません^^
チケットを狙っていたのは、権太楼がゲストの日でした。
あっ、今日だった!


Commented by 山茶花 at 2019-11-13 20:52 x
「スズナリ」といえば、小劇団の聖地下北沢ですね。生前の吉朝さんも笑殺軍団リリパットアーミーの芝居で何度か舞台を踏んでいるはずです。元々吉朝さんも落語一筋で、あまりテレビにも出演されていませんでしたが、吉朝ファンだったわかぎゑふさんが引っ張り込んだのでした。中島らもさんと吉朝さんのコンビは傑作でした。

お弟子さん達も小劇団の芝居他、松竹の商業演劇にも出演。落語にとっても良い刺激になっているとの事です。

池田勇人については、全く判りません。親から聞いていたのが「所得倍増計画」と「貧乏人は麦を食え」ですね。今や大麦をはじめとした雑穀の方が高いですが。

談春さんの池田勇人、人物自体を知らないので「あんなものかな」です。「下町ロケット」は、途中脱落しましたから。ドラマは飽きずに面白いです。ドラマの伏線が段々と判ってきて、落語好きのクドカンならではの作りです。

まーちゃんと嘉納治五郎の肖像画とのやり取りなど、毎回笑っています。「最初は2020年オリンピック盛り上げドラマかと思ったら、今回のオリンピックへの皮肉ドラマで面白い」という声もネットに出ていました。

何もかも1964とは違いすぎです。来年のオリンピック、悪いけど失敗でしょうね。大阪万博も失敗します。
Commented by kogotokoubei at 2019-11-14 21:22
>山茶花さんへ

そうですか、リリパも下北沢の舞台を踏んでいましたか。
私は行ったことがないのですよ。
芝居については、素人でして。

「いだてん」は、優れた反戦ドラマでもあると思います。
オリンピックについても、礼賛しているわけではない。
視聴率など気にすることはない、良いドラマです。
Commented by kanekatu at 2019-11-15 11:32
『いだてん』は最初から見ないと決めていました。五輪の前年にオリンピックをテーマにした太河ドラマを放映するというNHKのあざとさが嫌でした。きっと製作者や演者にはそれぞれの思いはあるでしょうが、国策の臭いが視聴率低迷の一因かと思われます。
談春は志らく同様に、本業での行き詰まりをメディアで活路を見出したいと思ったのかも知れません。
Commented by kogotokoubei at 2019-11-15 12:49
>kanekatuさんへ

視聴率が低いのは、有名な歴史上の人物ではないことと、大河の従来のファンには馴染みのない、やや複雑な構成などが影響しているかと思います。
たしかに、金儲けのみならず、芸の不振をメディア出演でカバー、ということもあるかもしれませんね。
かつては、志の輔、談春、志らくも結構聴きましたが、今は、談四楼が自虐的に言う「ら族」だけ聴きたいと思っています。
とはいえ、なかなか都合がつかず、ご無沙汰です。
Commented by at 2019-11-16 06:40 x
くどかん劇は、アミューズメントパークにさも似たり。多様な個性が共鳴し、連繋する魔術の空間です。
その成功例が『あまちゃん』という落語でした。海女、東北、アイドルという三大噺(?)
『いだてん』では矢張り、勘九郎がいい。これを機にさらなる飛躍をしてほしいと考えています。
Commented by kogotokoubei at 2019-11-16 08:45
>福さんへ

なるほど、アミューズメントパークとは、言い得て妙!
それにしても、談春の池田勇人役は、疑問です。
ちなみに、映画「小説 吉田学校」では、高橋悦史ですから。
芸達者たちの個性が共鳴して初めてクドカンのドラマ。
そこに、素人は必要ないでしょう。
Commented by at 2019-11-17 06:45 x
大河の意表をついたキャスティングって以前からありましたね。成功したかどうかは、ご説のとおり、心許ない感じですが。
池田隼人は国会が終わってウチへ帰ると、休む間もなく番記者との懇親会(酒食を交えた)をしたりと、とにかく働きづめだったそうです。
眼鏡に特徴があり、久米明を想像しました。
Commented at 2019-11-17 12:20 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by kogotokoubei at 2019-11-17 15:49
>福さんへ

池田勇人には、あまり悪いイメージがないんですよね、子供でしたが。
しかし、佐藤栄作は、どうも、好きになれませんでした。
なお、映画「小説 吉田学校」での田中角栄は西郷輝彦、なかなかの演技でした。
新潟三区(当時)の長岡で、角栄の選挙演説に、お婆ちゃんたちが涙しながら手を合わせていた場面を見たことがあります。
良くも悪くも、スケールの大きな政治家だったと思います。
Commented by kogotokoubei at 2019-11-17 15:50
>鍵コメさんへ

そうですか。
都合がつけば、挑戦してみます。
ありがとうございます。
Commented by だいこん at 2019-11-18 12:46 x
落語初心者です。いつも楽しくブログを拝読しております。
落語への取り組み方についてのご見識に同意見です。
談春師匠の落語は素晴らしいと思いますが、その後も通いつめたいと強くは思いませんでした。同じネタがかかりがちというのは理由として大きいです。師匠ご自身、同じ人に何度も来てもらうことはあまり望まず新しいお客をどんどん増やしていきたいと思われているのかなと感じます。
一方、運良くきょんスズにお伺いできましたが、喬太郎師匠はご自身が好きなことをする会とおっしゃりながら、既存のファンにも新しいお客さんにも楽しんでもらえるよう師匠ご自身がよく考えられていることがわかる落語会でした。30日間ほとんど2席ずつ全て違うネタというのも凄いことです。師匠は本当に落語が好きなんだなと。前々から喬太郎師匠は好きでしたが、その事を感じてさらに好きになりました。
目指す方向性が違うだけでどちらが良い悪いというのは無いと思いますし、談春師匠もきっとまた聴きに行くとは思います。でも喬太郎師匠の志や姿勢がやっぱり素敵ですね。
Commented by kogotokoubei at 2019-11-18 13:53
>だいこんさんへ

コメント、ありがとうございます。
スズナリのプラチナチケットを入手されましたか。良かったですね。
喬太郎が、まだ弟子をとらないというのも、自らの落語を磨こうとするからかもしれません。
落語に向かい合う姿勢が、実に真面目なんですよね。
談春の同じネタでの長年の興行は、各地の落語愛好家にとっては、実に残念なことであり、ある意味、失礼だと思います。
あえてネタ出ししているのは、「すでに聴いた方は、来なくていいですよ」と言いたいからなんでしょうか・・・・・・。
とはいえ、二人とも、まだ五十代。
これからが、本来、味のある噺家になる年頃。
少し気長に談春の落語の行き先を見ていきたいと思います。
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by kogotokoubei | 2019-11-13 12:18 | 落語家 | Comments(16)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛