落語協会 真打昇進披露興行 国立演芸場 十一月上席 11月3日
2019年 11月 04日
ネットで寄席、落語会をチェック。野暮用で午後六時までには戻らなくてはならない。
ということで、国立の落語協会の真打昇進披露興行へ。この日は、四人のうち唯一古今亭の初音家左吉あらため古今亭ぎん志。本当は、わさびの日に行きたかったのだが、これも、縁。
事前に電話すると、結構席は空いているようだ。

開演15分前に隼町に着いたのだが、前から5列目の席を確保できた。
会場に入ると、ほぼ半分の入り。最終的には六割くらいになったかな。
緞帳が上る。
後ろ幕は、中央に漫画のイラストの入ったもので、贈呈者の名の部分に「ブギーポップは笑わない」としてあり、上遠野浩平 イラスト緒方剛志 与利、とのこと。この幕が最後までかかっていた。
上手に、獅子頭が飾ってあって、ぎん志贔屓連与利とのこと。これは、ぎん志が真実(?)を明かしてくれた。
出演順に感想などを記す。
柳亭市松『狸の札』 (15分 *13:00~)
七月の鈴本以来二度目。あの時の『道灌』の方が、まだ良かったかな。言い間違いが何度か。
精進してもらいましょう。
古今亭志ん吉『真田小僧』 (15分)
淡い期待をしていたが、出場したNHK新人落語大賞のことは話さない。
マクラでは、ペットボトルしか知らない前座が、楽屋でお茶を入れるのに苦労する、ということから、万事休す、なんて地口で笑わせる。
本編も、噺そのものの楽しさをしっかり引き出す。当たり前だが、市松とは、格の違いを感じさせる高座。
隅田川馬石『堀の内』 (20分)
口上の司会を務めることになっており、高座はおまけ、と言いながら、流石の高座。
迷って道を尋ねた人から「あんたと同じような目をした人がいるから、すぐ分かります」なんてのも、妙に可笑しいし、そんな同類のそそっかしい男に会うと、「初日からよく来られましたね、私は三日目ですが、初日は辿り着けなかった」なんて会話を挟むのも、楽しい。
このスピード感とリズムの良さ、私も余興の落語で見習おう。
ペペ桜井 ギター漫談 (9分)
声の調子も良かったし、ギターもしっかり。
一時、体調が心配だったが、復調されているようで、うれしい。
古今亭志ん橋『出来心』 (22分)
マクラで、サッカー好きにオレオレ詐欺にひっかかる人が多い、「オーレー、オレオレ」というのは、この人からは意外な地口で笑ってしまった。
声はもともと掠れているのが、しっかり出ているし、口上も良かった。
古今亭の重鎮としての存在感を感じさせた高座。
鈴々舎馬風 漫談(『楽屋外伝』) (14分)
志ん生、師匠小さんの思い出など、十八番ネタで、初めてと思われるお客さんを沸かせた。
ここで仲入り。
一服してから、さて、口上だ。
口上 (17分)
下手から、司会役の馬石、志ん橋、本人、師匠の左橋、馬風、の五人。
志ん橋が、古今亭の名跡などを丁寧に説明。師匠は、ぎん志は29歳で妻子があっての入門で、断ったのだが、奥さんと一緒に入門をお願いされ、許したと語る。前職がリハビリ(理学療法士)だったので、ギックリ腰になった時マッサージしてもらったが、治らなかったと笑わせる。馬風は、お約束の野球ネタから、三本締めの前に左橋に指笛のウグイスを演じさせた。へぇ、こんな余芸があったんだ。
志ん橋の格調高さが際立った口上だった。
すず風にゃん子・金魚 漫才 (11分)
金魚の頭は、中央のぎん志の写真で背景に紋の入った後ろ幕。
ネタは定番のものだったが、初めてと思われるお客さんも多かったようで、くいつきとしての仕事はこなした。
初音家左橋『七段目』 (20分)
歌舞伎の大向こうをお婆さんが真似して、という楽しいマクラからこの噺。
いいなぁ、こういう高座。芝居も堂に入っている。師匠十代目馬生の教えが良く。相当、観ているなぁ、という印象。
定吉が二階に上ってから「道行き」になってハメモノが入った。「七段目」での三味線、ツケも程よい演出となり、久しぶりに贅沢な気分になれた。寄席の逸品賞候補として色を付けておく。
鏡味仙三郎社中 太神楽 (13分)
三人で登場。
客席の親御さんと一緒に来た小学生と思しき男の子のお客さんが、しきりに感心して声をあげていた。ぜひ、将来の仕事にしていただきたい^^
古今亭ぎん志『代書屋』 (30分 *~16:16)
後ろ幕のことは、ライトノベルの作者と懇意で、宣伝をするということで作ってもらった、とのこと。獅子頭は、実は自分で費用を出したらしい。今回のお祝で賄おうと思っていたが、まだ足らないので、ぜひ、お賽銭を、と笑わせる。
本編は、これまで寄席で出会った高座よりは、噺そのもののおかげもあり明るく弾けてはいるが、まだ、流調とは言えないし、聴いていて安心ができない部分もある。
昇進と襲名を機に、同時昇進で唯一の古今亭として、成長して欲しい。
一階の献花の贈呈者に、理学療法士の学校からの花があった。

さて、披露目という特別な会の全体は、楽しむことができた。
そして、中席のもう一つの協会の披露目のチケットも、入手できた。
今月は、また隼町に来なきゃ。
馬風は真打披露目の常連として、また、古き良き時代の語り部として記憶されることになりましょう。
