落語がお好きだった、和田誠さんのご冥福を祈ります。
2019年 10月 11日
朝日から引用。
朝日新聞の該当記事
簡潔な線による都会的でユーモラスな人物画で知られるイラストレーターで、デザイン、映画監督、エッセーなど多彩に活躍した和田誠(わだ・まこと)さんが7日、肺炎のため、東京都内の病院で死去した。83歳だった。11日、事務所が発表した。葬儀は近親者で営んだ。後日しのぶ会を開く予定。妻は料理愛好家の平野レミさん。長男はロックバンド「TRICERATOPS」のボーカル兼ギターの和田唱さんで、妻は俳優の上野樹里さん。食育インストラクターの和田明日香さんは次男の妻。
1936年、大阪市で生まれ、9歳から東京で育った。多摩美術大学在学中の57年にグラフィックデザイナーの登竜門である日宣美賞を受賞。広告会社ライトパブリシティに就職すると、たばこ「ハイライト」のパッケージデザインがコンペで採用され、60年に発売された。68年に独立した。
創作活動はイラストレーションやポスターなどのデザインに加え、アニメ、絵本、ショー演出、本の装丁、レコードジャケット、ロゴマーク、翻訳、作曲など多岐にわたる。77年からは「週刊文春」の表紙を描き、2017年には2千回に。毎日新聞の書評欄の挿絵も92年から18年まで担当した。00年から朝日新聞に連載している「三谷幸喜のありふれた生活」の題字・挿絵(現在はカット)も手掛けている。
ログイン前の続き84年には映画「麻雀(マージャン)放浪記」を初監督。続いて「快盗ルビイ」「怖がる人々」「真夜中まで」などを撮った。
ハイライトのデザインの人、なのだ。
記事では、文筆家としての側面も紹介しているが、落語好きだったことには、ふれていないなぁ。
昨年11月に、和田さんの『落語横車』について、記事を書いた。
2018年11月9日のブログ
2018年11月10日のブログ
2018年11月15日のブログ
初版は講談社から昭和55年発行で、私が読んだのは昭和59年の講談社文庫。
和田さんは、映画のエッセイで有名だが、ジャズにも造詣が深いし、落語もお好きだった。
だから、『落語横車』には、落語のみならず、私も大好きなジャズにまつわる内容も多く、実に楽しい本だった。
昨年11月10日の記事から、ジャズメンに関する傑作な記事を再度紹介したい。
ジャズメンには駄洒落の上手な人が多い。駄洒落というよりも聞こえをよくすれば、「言葉遊び」ですね。ぼくは彼らから、ずいぶん言葉遊びの楽しさを教わった。噺家も特有の符牒を使うが、ジャズメンも符牒が好きだ。ジャズに限らずクラシックの人たちもそうだが、数字に音階表わす記号と当てる。「一万五千円」を「ツェー・ゲー」というように。それから言葉をひっくり返して使う、つまり「彼女」を「ジョノカ」と言ったりする。これは芸能人一般に見られることだが、特にジャズの人たちにこの傾向が強いようだ。
ジャズメンの言葉遊びの例。
レイ・ブラウンが運転していた車がエンコした。彼は同乗者に言った。「押すか?ピーターソン」
デイヴ・ブルーベック・トリオが来日して、旅館に泊った。夜、マッサージ師がきて、「頼んだのはどなたでしょう」ときいた。一人が言った。「ポールデス。モンドくれ」
MJQが住んでいたアパートに、人が訪ねてきた。ドアをノックして、「ジョージ、ルイス(留守)かい?」中から声あり「こっちコニー・ケイ(こないかい)」。「何だ、見ルトジャクソンかと思ったら、やっパシ・ヒースじゃないか」
ジャズに詳しくないと何のことやらわからなず面白くないけれど、これらはジャズ仲間で可笑しがっていた地口である。この手はもっとたくさんあるらしいが、ぼくは部外者なのでそれほど多くは知らない。
こういう地口、好きだなぁ。
ジャズメンの駄洒落、とは書いているものの、そういうネタが和田さんも好きだからこそ、文章にしたのだろう。
社会人になって間もない頃、新潟に住んでいた。
あるジャズ喫茶に一年間で50本のバーボンをキープした、そんな馬鹿な私。
上の文を読んで、その新潟のジャズ喫茶のマスター、ママ、そして常連さんと、閉店してから店で雀卓を囲み、「マックス、リーチ!」「トミー、フラナガン!」なんて駄洒落を飛ばしていたことを、思い出した。
生意気だが、この文章を読んだ時、自分と同じような遊び心を和田さんにも感じて、なんとも嬉しかったなぁ。
和田さんを追悼するには、あまり深刻なトーンではないほうが、ご本人も嬉しいだろうと勝手に思っての、再度のご紹介。
多才なクリエイターであり、映画、ジャズ、そして、落語への愛情の深い遊び心たっぷりな一人の大人が、旅立った。
ご冥福をお祈りします。
今はYouTubeからでも何でも聴くことができます。
コメントありがとうございます。
私は、どうしても50年代に集中しておりまして、最近のものは、ほとんど知りません。
北海道にいる従弟が、最近のものをよく知っており、彼の推薦盤を少しづつ聴いている状況です。
でも、どうしても、かつての名プレーヤーと比べてしまうとね・・・・・・。
落語は、できるだけ現代の噺家も聴きますが、ジャズは、自分の好きな人だけで十分、そんな思いです。
私は、ハードバップファンなので、同じような嗜好かどうかは少し疑問ですが、古き良き時代のジャズは幅広く好きです。
今後も落語のみならずいろんなことを書くブログですが、気軽にお立ち寄りください。