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噺の話

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立川談志は、上方落語について、こう書いていたー『現代落語論』より。

 8日に初めて天満天神繁昌亭に行くことができた。
 
 雀三郎と染二の落語を堪能。

 あらためて上方落語の素晴らしさを痛感した。

 しかし、その素晴らしさを感じない、東の落語愛好家の方も少なくないだろう。

 たとえば、『一人酒盛』という噺を語る時、その優れた演者として圓生の名を挙げる人は多い。たしかに、圓生のこの噺は、素晴らしい。

 しかし、私なら、迷うことなく六代目松鶴の名を挙げる。

 聞かず嫌いの方も多かろうなぁ、と思う。

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立川談志著『現代落語論』(三一新書)

 そんなことを考えながら、久しぶりに、談志の名著『現代落語論』をめくって、彼が上方落語について書いている章を読んでみた。

 「上方落語と大阪の寄席」の章からご紹介したい。

 よく寄席ファンの中で、落語は東京で、漫才は大阪だ、なんていってるのを聞くが、なるほど漫才はたしかに大阪に歩があるといっても間違いじゃなかろうが、落語は違う。上方はそれなりの伝統があり、けっして東京落語にヒケをとるわけではない。
 第一、東京の噺家が演じて、純粋無垢の江戸前の噺だと一般に思い込まれているような落語が、じつは上方落語のネタであり、焼き直しであるケースが多い。
 この後、『らくだ』が上方から東京に移されたものであることや、『宿屋の富』の元は『高津の富』、『長屋の花見』は『貧乏花見』がオリジナルであることなどを紹介している。

 その後、このように書いている。

 それに、東京落語はわかるけれど、大阪落語はわからないというお客さんも多い。
 上方落語は、騒々しくて、またしつっこいという感じを持っているんじゃなかろうか。
 上方落語の特徴は、お囃子とのコンビでできあがっているといってよいくらいだから、そんなところから、うるさくてかなわない、なんて思う人もいるだろうー。
 しつっこいというのも、上方落語の馬鹿の表現の一つに、ダミ声で、ダアダアのしゃべり方をし、馬鹿丸出しといったやり方をするのだ、与太郎風のサラッとした演出を聞きなれている東京の観客には、イャ味に聞こえるのかも知れない。そうでなくても、江戸弁と上方弁の口調に差があるのだから、なおさらだ。
 しかし、どっこい、本当に聞き込んでいったら、絶対に上方落語の虜になることわたしが請け合ってもいい。
 論より証拠で、ゆっくりと時間をかけ、たとえば松鶴さんの『高津の富』、桂米朝さんの『池田の猪買い』なんて話を聞いてみると、上方落語の本当の楽しさをみつけることができる。

 『現代落語論』は昭和四十(1965)年の発行。談志は、まだ二十歳台。
 真打になって、まだ二年。

 しかし、二ツ目、小ゑん時代から上方の若い噺家たちとの交流もあった。
 上方落語についても、十分に敬意を表していたことが、分る。

 上方落語への理解、若手上方落語家の成長のために、こう書いている。

 上方落語を東京で演じる、これがいいと思う。落語がプログラムの中心になっている東京の寄席は、坐っている演るようにできているから、だだっ広くもないし、大阪の若手にこの東京の寄席へきて、もまれ、芽をだしてゆく。苦しいかも知れないが、東京の若手といっしょになって、本当の上方の噺を残すべきだと思うが・・・・・・。が上方噺を東京でかりに成功したってしょうがない、やはり上方でなければ、というかも知れぬが、そんなことはどうでもいい。東京~大阪は、もはや三時間なのだ。

 良い提言だと思う。

 東京~大阪は、今は、三時間を切っている。

 東京落語大好き、上方は苦手という方、あの談志が、請け合っている。

 音源もたくさんあるし、最近では東京の寄席に上方からの出演も増えてきている。

 ぜひ、聞かず嫌いの方に、上方落語の楽しさを知って欲しい。
Commented by kanekatu at 2019-09-19 11:21
上方落語については談志のいう通りです。この本が書かれた時代と違って、今では毎日の様に東京のどこかで上方の噺家が出演しています。特に若手の進境が著しいと感じています。東京の噺家にとってもいい刺激になっているでしょう。
Commented by 山茶花 at 2019-09-19 12:50 x
六代目は、生で見た事がありません。今になって、一度位生で聞きたかったなぁと思います。機会が無かった訳ではないのですが。

「一人酒盛」、枝雀さんで一番多く聞いています。他の人では見ていない様な。男が酔ってろれつが回らなくなっていく様子が面白いです。

上方落語は歌舞伎や文楽に影響を受けている部分が大きいので(米朝師談)、鳴り物が華やかです。江戸落語しかご存じない方はそれを「粋(いき)じゃないね」と言われますが、成り立ちが違いますから仕方ない部分もあります。

今や漫才も「上方の方が歩がある」とは言えません。人を叩いたり貶めたりの笑いは嫌いです。

近年関西にも江戸落語の方が来られる事が増えて、見る楽しみが増えました。
Commented by kogotokoubei at 2019-09-19 12:56
>kanekatuさんへ

たしかに、上方の噺家さんを関東圏で聴ける機会が増えてますね。
若手も元気そうです。
NHKで佐ん吉や雀太が大賞受賞したことからも裏付けられていると思います。
小痴楽なども、上方の若手と交流が深いようで、良いことだと思います。
Commented by kogotokoubei at 2019-09-19 13:04
>山茶花さんへ

ハメモノのある上方落語こそが、「粋(すい)」やと思います。
先日の染二の『菊江仏壇』で菊江が登場した後の三味線も、良かったですね。
雀三郎の『百年目』でも演出効果が十分にありました。
東京の落語家さんも、ハメモノを取り入れる人が増えてきたんじゃないかな。
漫才は、たしかに、上方が上、とは言えない状況ですね。
機会があれば、ぜひ、笑組、ロケット団、ホンキートンク、ホームランなどの漫才をお楽しみください。
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by kogotokoubei | 2019-09-18 12:36 | 落語の本 | Comments(4)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛