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噺の話

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BS時代劇、葉室麟作品『蛍草 菜々の剣』(4)

 さて、このシリーズ、四回目。

 本当は15日金曜に見ていたが、再放送を確認。

 轟平九郎を襲った者は、ことごとく轟の刃に倒れた。命は救われたが大怪我を負った者もいた。
 彼らの中の一人の行動は、この先明らかになると思う。

 轟が襲撃されるのを目撃したことを菜々が市之進に報告したことで、市之進は菜々と轟の因縁を知る。

 佐知が亡くなってから叔父夫婦が世話をしたものの破談になった再婚話の相手、雪江が市之進を訪ねて来る。
 この雪江は、原作にはない脚色。
 彼女の存在、微妙。

 やがて風早家は閉門、菜々たちは屋敷を追い出され、市之進は江戸送りと決まる。
 菜々は、江戸送りになる市之進に一目逢うために走り出す。

 原作では、故郷の姿を最後に目にするために駕籠が止められたその時、あの和歌を菜々が詠唱するのである。

 原作から、ご紹介したい。

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葉室麟著『蛍草』
 『蛍草』は、双葉社から2012年に単行本、2015年に文庫化された。

 勢田獄は町筋を抜けて、半里(二キロ)ほど行ったところにある。菜々が急ぎ足で通り過ぎる道筋に町家は少なくなり、田圃が見渡せるあたりまでたどり着くと、大きな門構えが見えた。あれが勢田獄に違いないと、息を切らして菜々は門を見つめた。この牢屋敷に市之進は押し込められているのだ。しばらく眺めているうちに、鉄鋲を打った門がゆっくりと開いた。
 (中 略)
 駕籠は城下への道筋をそれて、街道へ出る近道の、田圃に囲まれた細い道をたどった。
 菜々はその後を目立たないよう追った。どうしても市之進に子供たちのことをしっかり守っていると告げたかったが、どうやって伝えたものかと考えあぐねた。
 そうこうするうち、突然、駕籠が止まった。街道に出るすぐ手前に一本の松がある。そのあたりは城下の町を一望できるので、遠方に送られる囚人に国許と別れを告げさせるため、ひと目眺めるのを許す習わしがあった
 菜々ができる限り近づいて様子をうかがっていると、護送の役人が網をのけて、駕籠の戸を開けた。市之進が駕籠から身を乗り出して城下の方角を眺めた。鬚はかなり伸びており、体はやや痩せたとうに見えた。
 市之進の姿を見た菜々は、大きな声で、
「月草の仮なる命にある人をいかに知りてか後も逢はむと言ふー」
 と和歌を詠唱した。
 佐知が好きだと言っていた万葉集にある和歌だと、市之進は知っているはずだ。「後も逢はむ」という言葉にまたお会いしたいという心をこめた。
 市之進は声のした方に顔を向け、菜々に気づいて、わずかに白い歯を見せて笑った。


 蛍草の押し花のドラマの脚色は、悪くない。
 しかし、著書に和歌などを効果的に織り込む葉室作品の味わいも、実に良い。

 市之進が、鉢植えの菊より蛍草が好きだ、と言った言葉、菜々は嬉しかったことだろう。
 そして、正助とよの二人が、菜々をなごませてくれる。

 次回は、市之進の危機をある人物が救う。
 そして、菜々の父が残した轟と日向屋の不正を裏付ける証拠が、ある人物の助けで明らかとなる。
NHKサイトの該当ページ

 今回登場した“死神先生”の他にも、いろいろ個性的な登場人物が増えるなぁ。

 来週も、楽しみだ。
Commented by 山茶花 at 2019-08-19 08:15 x
私も金曜日に見ました。今回は「五山の送り火」中継で、イレギュラーな時間に放送でしたね。五山の送り火は、京都人の蔵之介くん出演。ちなみに京都ローカルKBSとBSイレブンは共同制作でゲストは鈴木杏樹。KBSとBSプレミアムを適当に変えながら見ておりました。


肝心の「第4回」ですが、又しても試練が菜々に降りかかりますね。轟役の北村さんの恐ろしい目つき、流石です。以前にも言いましたが、「ちかえもん」の竹本義太夫とは大違いの恐ろしさです。悪役からコメディまで何でも出来そうな役者ですね。

辛い事ばかりではなく、お骨さんとだんご兵衛さんだけでなく、和ませメンバーに新メンバーが。儒学を教える「死に神先生」こと椎上節斎を演ずる石橋蓮司さん。

菜々がお守りする二人の子供達にとっても、この人たちは色々助けてくれる人たちになっていく様ですね。ユニークすぎるメンバーですけれど。

菜々を見守る優しい伯父役の阿南さんも良いですね。この人も関西人だそうです。阿南さんに注目したのは、「ちゃんぽん食べたか」の時でした。この時は、主役の雅志の友達の父役でした。

次回が又楽しみになってきました。又新しく湧田の権蔵という菜々を助けてくれそうな人が加わる様です。どんなに辛い状況に置かれても決して諦めない菜々。


「大富豪同心」「小吉の女房」とコメディタッチが2本続きましたが、シリアスな「蛍草」も良いですね。エンディングの淡い水彩で描かれた植物画も綺麗です。

「小吉の女房」、土曜日に総合で再放送しています。判っていますが又見てしまって古ちん、江波さん、沢口さんに大笑いです。時間の関係でエンディングのお人形が無いのは残念ですが。
Commented by kogotokoubei at 2019-08-19 08:59
>山茶花さんへ

葉室作品としては珍しく、団子兵衛、お骨さん、死神先生など、遊び心いっぱいの作品ですね。
叔父さん夫婦が市之進に世話をしようとした雪江は原作では登場しないのですが、たぶんに、「鉢植えの菊より蛍草」の科白を言わせたいがための脚色かと思いました。
子供たちが菜々を慕い、また彼らなりに支えようとしている姿が、泣かせます。
次回は、和歌の本に隠された謎が解かされそうです。
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by kogotokoubei | 2019-08-18 19:54 | ドラマや時代劇 | Comments(2)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛