寄席の逸品賞と特別賞
2018年 12月 27日
さて、今年もマイベスト十席を選ぶ時期となった。
今年は、月に二回は行きたいものと思っていたが、日数的には、寄席・落語会に行ったのが十九日だった。
そのうち、寄席で昼夜居続けをしたのが、四月中席の池袋、六月上席の池袋、六月下席の末広亭、十一月下席の末広亭、そして先日の師走下席末広亭と五回あるので、昼席と夜席をそれぞれ一席と計算するなら、計二十四席ということにならないでもない。
数遊びにしか過ぎないけどね。
来年は、なんとか月二回は行きたいなぁ。
さて、それでは、数少ない回数ではあったが、今年のマイベスト十席候補、および寄席の逸品賞候補や特別賞候補に選んだ高座を、まず並べてみる。
(1)柳亭こみち『虱茶屋』
>池袋演芸場 1月下席 昼の部 1月25日
*寄席の逸品賞候補
(2)柳家一琴『小言幸兵衛』
>池袋演芸場 1月下席 昼の部 1月25日
(3)桂かい枝『子は鎹』
>西のかい枝・東の兼好 横浜にぎわい座 2月13日
(4)三遊亭兼好『品川心中』
>西のかい枝・東の兼好 横浜にぎわい座 2月13日
(5)三遊亭歌太郎『電報違い』
>八起寄席 焼肉八起 2月19日
*新人賞候補
(6)入船亭扇遊『明烏』
>第54回 三田落語会・昼席 仏教伝道センター 2月24日
(7)瀧川鯉昇『味噌蔵』
>二人三客の会 横浜にぎわい座 4月11日
(8)古今亭寿輔『堀の内』
>池袋演芸場 4月中席・夜の部 4月13日
*寄席の逸品賞候補
(9)立川談幸『宗珉の滝』
>池袋演芸場 4月中席・夜の部 4月13日
(10)古今亭菊丸『片棒』
>横浜にぎわい寄席 5月2日
(11)柳家小満ん『花色木綿』
(12)柳家小満ん『茶の湯』
>柳家小満んの会 吉野町市民プラザ 5月17日
(13)柳家甚語楼『お菊の皿』
>池袋演芸場 六月上席 昼の部 6月8日
*寄席の逸品賞候補
(14)柳家権太楼『猫の災難』
>池袋演芸場 六月上席 昼の部 6月8日
(15)蜃気楼龍玉『夏泥』
>池袋演芸場 六月上席 夜の部 6月8日
*寄席の逸品賞候補
(16)桂南喬『千早ふる』
>池袋演芸場 六月上席 夜の部 6月8日
*寄席の逸品賞候補
(17)桃月庵白酒『お見立て』
>池袋演芸場 上席 夜の部 6月8日
(18)春雨や雷蔵『子別れー通しー』
>国立演芸場 中席 6月19日
(19)三遊亭歌奴『御神酒徳利』
>新宿末広亭 下席 昼の部 6月29日
(20)桂南喬『出来心』途中まで&師匠小南の思い出
>新宿末広亭 下席 夜の部 6月29日
*寄席の逸品(ハプニング)賞候補
(21)立川龍志『片棒』
(22)古今亭志ん輔『船徳』
>龍志・志ん輔二人会 国立演芸場 7月29日
(23)春風亭一之輔『新聞記事』
>鈴本夏まつり さん喬・権太楼特選集 8月16日
*寄席の逸品賞候補
(24)柳家甚語楼『浮世根問』
>鈴本夏まつり さん喬・権太楼特選集 8月16日
*寄席の逸品賞候補
(25)柳家さん喬『五人廻し』
>鈴本夏まつり さん喬・権太楼特選集 8月16日
(26)三遊亭兼好『巌流島』
>名作落語の夕べ 横浜にぎわい座 10月6日
(27)桃月庵白酒『宿屋の富』
>名作落語の夕べ 横浜にぎわい座 10月6日
(28)三遊亭萬橘『紀州』
>新宿末広亭 11月下席 昼の部 11月25日
*寄席の逸品賞候補
(29)三遊亭金遊『開帳の雪隠』
>新宿末広亭 11月下席 昼の部 11月25日
*寄席の逸品賞候補
(30)柳家小満ん『悋気の火の玉』
>新宿末広亭 12月下席 昼の部 12月24日
*寄席の逸品賞候補
(31)柳家小ゑん『長い夜』
>新宿末広亭 12月下席 昼の部 12月24日
(32)桂南喬『金明竹』
>新宿末広亭 12月下席 夜の部 12月24日
*寄席の逸品賞候補
(33)むかし家今松『火事息子』
>新宿末広亭 12月下席 夜の部 12月24日
赤いのが、マイベスト十席候補で、二十席。
ピンクが、寄席の逸品賞などの特別賞候補。
ここで悩むのが、これまでマイベスト十席では、同じ噺家さんからの複数選択を禁じてきたことだ。
今年は、小満んが『花色木綿』『茶の湯』、白酒が『お見立て』『宿屋の富』、兼好が『品川心中』『巌流島』と重複している。
ということは、それぞれ一席に絞ると、十七席から十席の選択、ということになるなぁ・・・・・・。
まぁ、それでもいいか。
一人一席ルール、継続しよう。
ということで、小満んは、『花色木綿』、白酒は『お見立て』、兼好は『品川心中』を候補としたい。
マイベスト十席で悩むのは後にして、まず、寄席の逸品賞と特別賞から。
先に上期と下期に分けて、寄席の逸品賞を選ぶ。
<上期の寄席の逸品賞>
古今亭寿輔『堀の内』
>池袋演芸場 4月中席・夜の部 4月13日
この人にしては、実に珍しい噺で、大笑いさせてもらった高座。
自分の記事から引用する。
2018年4月15日のブログ
最前列のお客さんが前日も来ていたことを思い出し、「ネタ、替えなきゃいけないじゃないの」と笑う。実際にネタを考えていたようで、「三年で四回位しか演らないネタ」と本編へ。三年で四回の信憑性はともかく、今年もっとも笑ったのが、この高座だったかもしれない。
家を出て間違えて着いた場所が浦安。途中で道を尋ねた人が走り出し「こら、逃げるなぁ」と言うと、「ジョギングしているんです」は可笑しかった。本来の内容に、独特のクスグリを挟むが、これが大爆笑。女房が金坊に「お父っつんに湯屋に連れてってもらいなさい」と言うと、「いやだ。それくらいならイスラム国に行く」は、少し旬を過ぎたネタとはいえ可笑しかった。
<下期の寄席の逸品賞>
三遊亭萬橘『紀州』
>新宿末広亭 11月下席 昼の部 11月25日
芸協の芝居に円楽一門からの交替出演での高座。全体に冷えた客席を一気に沸騰させた。
こんなことを書いていた。
2018年11月26日のブログ
地噺でいろいろクスグリを入れることができるネタである、豊川の実家へ帰る際、母親が新幹線の豊橋駅に迎えに来る時の様子などで、客席を爆笑させる。なるほど、その母にして、この子か^^きつつき時代から、非凡なものを感じていたが、ますますパワーアップしていると認識させた高座だった。
クスグリ七割の噺だが、ネタの骨格として支える残り三割のうちで重要なのが、小田原城主大久保加賀守が尾州公と紀州公の前に進み出ての、「この度、七代将軍ご他界し、お跡目これなく、しも万民撫育(ぶいく)の為、任官あってしかるべし」の科白。これを聞いて思い出した。数年前、私がテニス仲間との旅行の宴会で披露した時には、この科白を言わなかった。そうか、この科白入れて、また、やってみようか^^
来年、この高座を参考にして、仲間内の宴会の余興で披露しようかと、今は思っている。
さて、次に特別賞。
まずは、新人賞は、候補とした高座が一つだったので、迷うことなく決定。
<新人賞>
三遊亭歌太郎『電報違い』
>八起寄席 焼肉八起 2月19日
結果として、今年一度だけ行けた八起寄席の歌太郎。
この珍しいネタの一部あらすじを含め、当時の記事から引用。
2018年2月20日のブログ
初代三遊亭円歌の作品で、大師匠の三代目円歌も持ちネタにしていた作品。この日の一席目のマクラでは、昨年のNHK新人演芸大賞での裏話を話してくれたことを思い出す。
石町の生薬屋の旦那と出入りの植木屋の信太(しんた)が旅に出て、名古屋で心中しようとする若い男女に遭遇して、その二人を助けたことから、帰宅する予定が遅れることになった。旦那が信太に「明日帰れんから、そう電報を打ってくれ」と頼む。
信太が郵便局に行き『アスアサケエレン』の電報を頼むのだが、担当の職員に、旅の途中の横浜、静岡の遊郭で女にもてすぎて弱った、などと長々話し続ける場面が、聴かせどころだ。
この場面、『粗忽の釘』で、八五郎がお隣に行って女房との馴れ初めをくどくど聞かせたり、『小言幸兵衛』で、仕立屋を前に、幸兵衛が妄想話を聞かせるのに、似た要素を持った話ともいえる。『うどん屋』の酔っ払いと、うどん屋の会話にも似てなくはない。
さんざん、どうでもいい話を聞かされた郵便局の職員。
「分かりました。では電文は『アスアサケエレン』ですね。で、誰のお名前で」
「ダンナだよ」
「そのダンナお名前は?」
「昔から旦那で通っているので、名前は知らねぇ。そうだ、その下に
俺の名前のシンタと入れておいてくれ」
ということで、どういう電文になるかは、お察しの通り。
生では初めて聴くことができた。こういう噺を継承してくれるのは、私は実に嬉しい。
若手が、こういうネタを演ってくれるのは、嬉しい。かつての名作で埃をかぶっている噺がどれだけあるだろうか。
この人の高座、客席を明るくさせる力を持っている。今後も期待したい。
次に、他の高座を寄席の逸品賞候補の複数の高座も良かったのだが、こちらの賞で選んだあの人のあの高座。
<寄席のハプニング大賞>
桂南喬『出来心』途中まで&師匠小南の思い出
>新宿末広亭 下席 夜の部 6月29日
2018年7月1日のブログ
膝前は、大好きなこの人。ネタを三分の一位進めたとことで、前座がネタ帳を持って出て来た。ネタがツイたようだ。ということは、私が入場する前になるなぁ。ネタがツクというハプニングでは、2010年10月に、末広亭での三遊亭鬼丸の真打昇進披露興行での正蔵を思い出す。
開口一番ではないだろうし、二ツ目でもなかろう。きく麿か文蔵の代演の燕路だろうか。
南喬も、他のネタを急いで考えていたようだが、持ち時間を考え、前座時代の師匠先代桂小南の思い出を語ってくれた。
真夏の地域落語会がハネたあとに喉が渇いたので、師匠に言われて自動販売機で飲物を買ったのだが・・・という二つの逸話の内容は、秘密。
こういうハプニングも、寄席の楽しみだねぇ^^
披露目の口上の司会で馬風を飛ばして小三治を紹介して馬風に睨まれやり直した。
後半、クイツキが正蔵で、彼が高座に上がると馬風が袖に顔を出し、睨みつけた。まぁ、お遊びなのだが、やや動揺した正蔵が、十八番の『味噌豆』を始めると、楽屋から前座が飛び出して耳打ち。噺がツイたのだ。司会のことを考えていて、ネタ帳をしっかり見なかったようだ。結局『ハンカチ』に替えたが、なんとも情けない高座だった。
それと比較すると南喬は堂々としたもので、残り時間を考え、得がたい師匠小南との旅の逸話を聞かせてくれた。なかなか、あんな高座には出会えないなぁ。
さて、ということで、寄席の逸品賞と特別賞は以上。
次回は、マイベスト十席の選択になる。
よく覚えていると、いつも敬服しています。
歌太郎はいいですね。芸に華があります。
十席、楽しみにしています。
いえいえ、自分の記事を読み返して、なんとかぎりぎり思い出しているのですよ。
数年前よりは相当減っていますが、いろいろ野暮用もありますし、この位でも良いのかな、と思っています。
とはいえ、居残り仲間とご一緒の会は、もっと来年は行きたいなぁ。
