人気ブログランキング |

噺の話

kogotokoub.exblog.jp
ブログトップ

新宿末広亭 十一月下席 昼の部 11月25日

 日曜恒例のテニスが休みとなり、久しぶりに新宿末広亭での居続け。

 芸術協会の席で、昼の主任は好みの寿輔。夜は松鯉だが、仲入りの茶楽で切り上げて、佐平次さんと飲みに行くつもりだった。
 佐平次さんも寿輔が好きだし、茶楽は未見でいつか聴きたいとのことだったのでお誘いしたら、ご都合が良く久しぶりのミニ居残り会を楽しみに新宿三丁目へ。
 
 少し早めに行き、末広亭近くで昼食。コンビニで夕食やお茶を士仕込んで、11時40分頃に入場。

 椅子席は六割ほどの入りで始まったが、最終的にほほぼ満席になっていた。
 空席の目立つ桟敷で、好きな下手の前方に場所を確保。

 お客様の来場を待っていたのだろう、開口一番はやや遅めのスタート。

 出演順に感想などを。

柳家ふくびき『やかん(のようなもの)』 (4分 *11:55~)
 初。蝠丸の弟子とのこと。まだ入門から間もないのだろうし、この短さでもあり、なんとも評すことができない。

古今亭今いち『動物園』 (12分)
 客席に「落語初めての方?」とか「末広亭初めての方?」と質問したところ、若い女性を含め結構な人数の手が上がった。そういう人たちが笑ってくれたようには思うが、地口のマクラ、私には笑えなかった。本編は、入門から六年、二ツ目になって三年目か・・・名前の通り、いまいちかな。

コントD51 コント (11分)
 この兄弟によるコンビが、椅子席が七割ほどになってきた客席を一気に温めた。
 お兄さん(けんじ)のハマリ役である、オレオレ詐欺に騙されそうになったお婆さんが、大衆演劇風の踊りで舞台を縦横に飛び回る姿で、落語初体験のお客様を含め、笑いが起こる。弟(まさし)が兄の杖(ステッキ?)を受ける間合いも慣れたもの。

三遊亭金の助『子ほめ』 (16分)
 初。金遊の弟子で、今席から、二ツ目とのこと。伊勢屋の番頭との会話、上下は番頭が上手、八五郎が下手のはずだが、逆だったなぁ。出来立ての二ツ目さんとはいえ、これはいけません。

三遊亭右左喜 漫談 (9分)
 初。寿輔と同じ三代目円右の弟子だったようだ。短くする必要があったのかもしれないが、この漫談、まったく笑えなかった。

山上兄弟 奇術 (11分)
 お兄さんだけの登場。大きくなったねぇ。トランプ、リングなどの定番ネタとはいえ、なかなか鮮やか。しかし、そろそろ「兄弟」という看板で許されていた客席の寛容度も、次第に消えていく時期になりかかっているように思う。そして、彼らもそれを分かっているようだ。途中で自分と弟のそれぞれのイベントの案内があったが、ピンで立つ準備をしっかり進めているに違いない。北見マキ亡き芸協のマジシャンの後継者として、期待している。

三遊亭萬橘『紀州』 (14分)
 昼の部は、トリの寿輔を別として、この高座が一番良かった。
 円楽一門から交替出演の枠がこの人だったことも、末広亭に来た理由の一つだった。
 本人も髪の毛の白さのことを言っていたが、きつつき以来久しぶりの私も、その白さには驚いたなぁ。
 地噺でいろいろクスグリを入れることができるネタである、豊川の実家へ帰る際、母親が新幹線の豊橋駅に迎えに来る時の様子などで、客席を爆笑させる。なるほど、その母にして、この子か^^
 クスグリ七割の噺だが、ネタの骨格として支える残り三割のうちで重要なのが、小田原城主大久保加賀守が尾州公と紀州公の前に進み出ての、「この度、七代将軍ご他界し、お跡目これなく、しも万民撫育(ぶいく)の為、任官あってしかるべし」の科白。これを聞いて思い出した。数年前、私がテニス仲間との旅行の宴会で披露した時には、この科白を言わなかった。そうか、この科白入れて、また、やってみようか^^
 昼の部全体を通じても、際立った高座に、寄席の逸品賞候補として、色をつけておく。

桂小文治『浮世床-本-』 (14分)
 久しぶりだが、少し痩せたかな。
 相変らず、品のある高座。
 芸協で、こういう品格を感じるのは、小柳枝とこの人かな。
 前半は、戦争ごっこで「へい力」を競う、などやや下がかった内容もあるのだが、この人では下品に感じない。
 姉川の決戦の部分は、少し急ぎ気味だったが、寄席らしい結構な高座。

新山真理 漫談 (13分)
 芸協が「公益社団法人」、落語協会は「一般社団法人」と強調する。私はその違いについて過去に記事を書いているが、漫談のネタとしては、あまり笑えない。
 そこまで敵対視するような内容には興醒めだし、いつもの楽屋の高齢者が薬を飲む時間、というのも飽きてきた。鉄板ネタとまでは言えないから、マンネリとしか言いようがない。

雷門助六『仕立おろし』 (14分)
 この高座で、二階席が開き、途中からお客さんが入って来た。やや、騒がしかったぞ。
 この人の笑いを誘うような“間”、相変らずだが、好きではないなぁ。
 師匠八代目なら味わいのあった本編も、どうもリズムが悪く、笑えない。


三遊亭円遊 『?』(漫談?) (15分)
 九月で七十五歳になったとのこと。昭和18年生まれの未なので、私の一回り上。
 女房と孫の機嫌を取り合う様子を、ギャグを挟みながら、という内容。ネタなのか漫談なのか、不明。
 受けが悪いと上手の楽屋を見て「今日の客はダメだ」とでも言いたい素振りをするのは、私にはまったく可笑しくなかった。あれだけくどいと「笑えないのは、演者のせい!」と反発したくなるじゃないか。
 かつて、「底抜け脱線ゲーム」に出演していた若円遊も、頑固な爺さんになってしまったなぁ、という印象。

新山ひでや・やすこ 漫才 (14分)
 十八番の「最高」で客席を沸かす。こういうベテランの色物は、安心して観ていることができる。

三遊亭遊三『ぱぴぷぺぽ』 (16分)
 仲入りは、この人。
 初めて聴いた新作。
 贔屓の旦那が宴席で無茶ぶりをするので、「あいうえお~」で指定された曲を歌ってみせる。「青い山脈」や「りんごの歌」を披露。次に「ぱぴぷぺぽで、歌え!」となって、これもなんとかこなしてしまう、という内容。
 実体験に基づいているようではあるが、さて、どうなのかな^^
 客席に合わせたのかもしれないが、なかなか珍しいネタを楽しむことができた。
 昭和13年生まれ。この歌、実際にボケ防止に効果ありそうだ。

古今亭今輔『札-1グランプリ』 (16分)
 クイツキは、寿輔の弟子のこの人。
 落語初体験のお客様が多かったからかもしれないが、いつもの「パネルクイズ アタック25」に出場した話から、本編へ。
 2013年の6月に池袋で聴いている。
 あらためて、こんなあらすじ。
 財務省が、次の紙幣(お札)に印刷する有名人を決めるためにオーディションをすることになった。いわゆる“歴女”に任せたら一万円は直江兼続、五千円は真田幸村、千円は伊達政宗になり、ドラマで演じたイケメン俳優を起用しろ、ということになるから、オーディションを行おうということになった次第。さて一人目が太宰治、二人目は坂本龍馬(というか、武田鉄也)、そして三番は織田信長。太宰の面接では、彼の作品が散りばめられて、最後は、グッバイ。龍馬は、中途半端に似た武田鉄也が笑える。信長は、やや狂気の姿。
 初落語のお客さんを含め、客席を十分に温めた。

松乃家扇鶴 俗曲 (15分)
 6月の国立演芸場で、初めて聴き、なんとも言えない芸に魅かれた。
 あの時と同様、 高座に、ちょこんと座って、ゆるゆると始まる。
 まずは ♪ストトン節、から。
 男は、女性の「捨てちゃ、イヤーン」というその声に弱い。「それでは、皆さんもご一緒に」で、客席から微妙な笑い。
 ♪猫になりたや、も十八番なのだろう。
 代々の大相撲の横綱の名を並べ始めたが、6月とは違って、途中でシコ名が出てこない。鶴竜は二階席のお客さんに助けてもらったのだが、稀勢の里は登場しないまま。休場ということか^^
 円遊と同じ、昭和18年生まれ。こんなこともあるさ。

三遊亭円丸『悋気の独楽』 (15分)
 談幸の代演。
 調べてみたら、2012年4月の国立で、初めて歌丸の円朝もの『双蝶々 雪の子別れ』を聴いて驚いた日に、文治の代演で『宮戸川』を聴いていた。
2012年4月14日のブログ
 定吉の可愛さ、お妾の色気、女房の怖さ、など短い高座でもしっかり描かれていて、好印象。

三遊亭金遊『開帳の雪隠』 (13分)
 未見で、楽しみにしていた人の一人。
 『心眼』は、当代一、と評する落語愛好家もいらっしゃるようだ。
 さすがに寄席での尺、そんな大ネタはかかるはずもないが、この珍しい噺を、小気味良く演じた。
 声が良い。アナウンサーにでもなれそうな声質。
 回向院の前にある駄菓子屋さんの老夫婦が主人公の、地味な噺だが、味わい深く聴かせてもらった。
 この噺は、四年前の鈴本夏祭りで、三三で聴いて以来。
2014年8月21日のブログ
 寄席ならではのネタ、とも言えるだろう。 
 寄席の逸品賞候補としたい。

江戸家まねき猫 動物ものまね (6分)
 膝代わりは、ボンボンブラザースの代演でこの人。
 馬と鹿の会話、好きだなぁ。短いながら、しっかりトリにバトンを渡した。

古今亭寿輔『しりとり都々逸』 (26分 *~16:33)
 最前列に昨日も来ていたお客さんがいらっしゃって、やりにくいと笑う。
 昨日は、二列目に座っていたお子さんが、ゲラゲラ大きな声で笑うので、予定していたネタを変更したと語る。
 この日も最前列には十三歳の少年。
 マクラで「うどんも、蕎麦も、ラーメンも好きで」と言ったので、「ラーメン屋か!」と喜んだが、こちらのネタ。
 超高速、都々逸や川柳の掛け合い、という感じ。
 登場したものを、少しご紹介。

 「恋に焦がれて 泣く蝉よりも 泣かぬ蛍が 身を焦がす」
 「イカとタコから 生まれた子供 これがほんとの イカレタコ」
 「オシリ九つ 持ってる動物 これがホントの 九尻鬼(吸血鬼)」
 「吸血鬼 アル中吸って 二日酔い」
 「惚れた数から 振られた数を 引いて残るは 女房だけ」

 『雑俳』の川柳・都々逸版という感じ。
 一つづつのネタで笑っている間に次に進んでいる、という調子だった。
 このネタ、スピードとリズムが実に大事だと思うが、寿輔は、ほとんど言い間違えもせず、突っ走った。
 寿輔らしい高座で楽しめたのだが、私は『ラーメン屋』か古典を期待していたのだよ。


 さて、ここで昼の部がお開き。

 一階は桟敷を含めほぼ満席、二階も半分くらいはお客さんが入っていたのではなかろうか。

 一時、芸協の寄席の客の入りが悪く、ここ末広亭の席亭から苦情があったことを、遠い昔のように思い出す。
 しかし、日曜だからこその入りだろう。

 ベテランが漫談でお茶を濁す、かつての悪弊が見受けられた。
 また、笑いを催促するような間であるとか、笑いがないのは客のせい、とでも言うような洒落では済まない不遜な態度にも閉口した。
 亡き歌丸会長の存在が大きかったことを、感じないわけにはいかない。
 
 後半は、さあどうなるものか、と思いながら、少しだけ佐平次さんと立ち話。
 夜の仲入り、茶楽を聴いて出ましょうか、となった。

 夜の部は、次の記事で。

Commented by saheizi-inokori at 2018-11-26 15:21
良いのとダメなのとが交互に登場するようで、なかなか温まらなかったような気がします。文治の嫌らしさが皆にうつっているのかな。
Commented by kogotokoubei at 2018-11-26 15:26
>佐平次さんへ

ご指摘の通りで、良い流れが続きませんでしたね。
落語初心者で笑ってくれるお客さんが多く救われていましたが、平日だったらと思うと、芸協の先行きが案じられます。
Commented by kanekatu at 2018-11-26 17:51
末広の昼の部の楽日に行こうと思っていましたが、二の足を踏みたくなる内容ですね。芸協の悪い所が出ていた様な感じです。
Commented by kogotokoubei at 2018-11-26 18:02
>kanakatuさんへ

大先輩に失礼な言い方になりますが、寄席ですから、十人中三人が良ければ、というご覚悟(?)であれば、楽しめるのではないでしょうか。
もし、それ以上のご期待をされていると、正直、お勧めしにくいのが今席かもしれません。
佐平次さんのご指摘のように、演者によって、波が大きすぎる芝居と言えます。
名前
URL
画像認証
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by kogotokoubei | 2018-11-26 15:03 | 寄席・落語会 | Comments(4)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛