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和田誠著『落語横車』より(1)


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 本棚で、先日紹介した長部日出雄さんの『笑いの狩人-江戸落語家伝-』の隣にあったこの本を、読み返していた。

 初版は講談社から昭和55年発行で、私が読んだのは昭和59年の講談社文庫。


 著者の和田誠さんは、昭和11年生まれ。
 和田誠さんと言うと、今では奥さんの平野レミさんの方が有名かもしれないが、広告デザインの世界では、伝説的とも言える方で、日本を代表するイラストレーターであるし、幅広くクリエイターとして活躍されてきた方ある。

 Wikipediaから、少し引用。
 Wikipedia「和田誠」

1959年(昭和34年)に広告制作プロダクションライトパブリシティにデザイナーとして入社し、同年、日本専売公社が発売予定の新商品の紙巻きたばこ「ハイライト」のパッケージデザインコンペに参加し採用される。ちなみに、同製品のデザインは、1964年開業の東海道新幹線の車体の色を決めるときに配色の参考にされたといわれている。他にも自社のライトパブリシティ及び、社会党のロゴマークを手掛け、キヤノンや東レといった国内有数の企業の広告デザインを長らく担当した後、1968年(昭和43年)退社。

退社後はフリーランスとなり、「週刊文春」の表紙、星新一著作の挿絵などを手掛けたり、他にも、星新一・丸谷才一の一連の作品や村上春樹の『アフターダーク』、三谷幸喜、阿川佐和子作品を始め、数多くの装丁を担当する。通常、書籍のバーコードは裏表紙のカバーに直接印刷されるが、これを嫌い、ISBNの数字のみが表示されたデザインを採り入れている。結果、バーコードは帯に印刷されることが多い。

映画にも造詣が深く、1984年(昭和59年)に「角川映画」として初監督作品である真田広之主演『麻雀放浪記』を手掛けた後は、小泉今日子主演の『快盗ルビイ』など数作品でメガホンをとった。ちなみに、他分野出身の監督が第一、二作連続でキネマ旬報ベストテン入りを果たしたのは、後にも先にも和田一人である。監督業以外にも『お楽しみはこれからだ』等、映画がテーマのエッセイ集を出している。

 なんと、多彩な方であることか。

 本書は、映画をテーマにしたエッセイではなく、落語をテーマにしたエッセイ。

 この本、久しぶりに読んで、私が落語と負けない位好きなある音楽と落語について書かれた章があるのに気がついた。忘れていたなぁ。
 
 落語とジャズ

 ぼくがよくジャズを聴きに行く六本木のライブハウスのオーナー、Tさんは、こよなく落語が好きだ。ジャズが好きだからジャズの店を経営しているのだが、どうやらジャズと同じくらい落語が好きであるらしい。話をしているうちに相手も落語が好きだとわかると、ジャズメンについて語るよりさらに熱をこめて噺家を語る、前座時代から小朝を買っていて、彼が真打になったのを、わがことのように喜んでいる。

 この本の初版は、前述のように昭和55年。まさに小朝が三十六人抜きで真打に昇進した年。
 引用を続ける。

 新宿のジャズバーのオーナー、Nさんも落語ファンだ。彼とその店で落語の話をしたことがある。その日はほとんど夜を明かしてしまった。Nさんはぼくと同じ年だが、典型的な古典派で、往年の名人について語らせたら尽きることがない。

 和田さんもジャズと落語が大好きなのなことが、伝わる。
 このあと、ジャズメンで代表的な落語好きとして北村英治さん佐藤允彦さんのことが書かれている。
 また、同じ業界の方も登場する。

 写真家では落語と関係が深いのは篠山紀信である。円生の写真を撮り続けたことは有名だが、中学時代に落語を習っていたことはあまり知られていない。彼の写真家としてのデビュー当初、ぼくと同じデザイン会社に勤めていたことがある。あの頃は会社の忘年会などで、彼は一席演じたものだった。立て板に水の如き「雑俳」をぼくはよく覚えている。

 これは意外。そうだったんだぁ。
 テニス仲間や同期会の旅行での宴会、また、落語好きの居残り会の皆さんとの居残り会などでも一席披露してしまう私は、一気に篠山さんに愛着をおぼえるのだ。

 和田さんは、ジャズと落語について、共通点をこう記している。

 ジャズには、おおむねテーマがありアドリブがある。同じ曲でもこう演奏しなければならないというきまりはない。演奏者の感性が尊重される。さりとて勝手放題どうやってもいいというわけでもなく、おおよそのルール、望ましき枠というものはある。演奏時間はかなり自由である。プレーヤーが乗れば演奏は長くなる。また放送などの関係で演奏時間を指定されればそれに合わせることもできる。
 こういうジャズの特徴は、かなり落語にも当てはまるのだ。落語には演目がある。しかし台本に忠実に演じる必要はない。演者の個性を生かしたアドリブが投入される。同じ噺でも、滑稽味を強く出す人がいてもいいし、人情味を強く出す人がいてもいい。さりとて噺を目茶苦茶に作り変えていいと言うものではない。時間もかなり自由がきく。演者が乗れば噺は長く、そして面白くなる。時間に制限が加えられることもまた可能。

 まったく同感。

 居残り会仲間のYさんは、私と同じように、落語もジャズも大好きで、会うと話が尽きない。
 実は、居残りメンバーとの忘年会を予定していて、昨日メールで、Yさんとある噺をリレーで演じることを決めた。他のメンバーには、まだ内緒^^

 ある音源を元にこれから稽古しなければならないが、その内容をなぞるのが精一杯になりそうで、どこまで個性を盛り込めることやら。
 音源の時間は長い。どこを短縮するか、これからしばらく楽しい悩みが続くなぁ。

 とても篠山さんのようには出来ないだろう・・・・・・。

 この本から、あと何度か紹介するつもり。

 実は、居残り忘年会の前の週が、テニス仲間との合宿旅行。
 こちらの演目も稽古しなくてはならないのだ。しかし、居残り忘年会と同じネタは、所要時間を考えると、難しい。
 以前は、音源を何度か聴いていると、結構自然に覚えることもできたが、最近はなかなか・・・・・・。加齢のせいか。

 本も読み返して忘れていたことに気づくことが、なんと多いことか。
 これも加齢のせいか。

Commented by doremi730 at 2018-11-12 18:45
リレー落語ですか~。。。
伺えず、残念!!!
Commented by kogotokoubei at 2018-11-12 18:59
>doremi730さんへ

あら、バレちゃった^^
今回は稽古のつもりで、より練り上げた内容で、後日、お聞かせしますよ。
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by kogotokoubei | 2018-11-09 12:27 | 落語の本 | Trackback | Comments(2)

あっちに行ったりこっちに来たり、いろんなことを書きなぐっております。


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