噺の話

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NHK新人落語大賞の放送を見て。

 今ほど、放送を見た。

 出演順に短い感想と、審査員と同じ、0.5点刻みの10点満点で、私の採点を記す。

桂三四郎『かずとも』
 新作。子供が祖母の通夜の席で起こすドタバタを扱ったもの。
 笑えなかった。期待していたのだが、新作としての出来は、三度がはるかに上だった。
 私の採点は、6.5

笑福亭呂好『長短』
 上方の噺家さんで聴くのは初めてだと思う。
 長さんの描き方も与太郎にはせず良かったし、二人の掛け合いもリズムがあった。
 とはいえ、権太楼が饅頭の食べ方で注意をしたような細かな点には改善の余地があるだろう。
 私の採点は、7.5

柳亭市弥『試し酒』
 これまでの私のイメージからは意外なネタ選び。
 権助が都々逸の後で素の表情に戻って盃をあおる場面などは、なかなか楽しかった。
 権太楼が小言を言ったが、“座布団の中”だけというスケールの小ささは今後の課題だろう。
 私の採点は、7.5

三遊亭わん丈『お見立て』
 実に良かった。
 喜瀬川、喜助、杢兵衛の描き方も適切。
 審査員の文珍も権太楼も評価していた通り、この噺を11分にまとめた構成力も評価できる。
 私の採点は、9

入船亭小辰『真田小僧』 
 鶴太郎が褒めていたように、マクラも良かった。
 本編も、父親と子供の会話が実に楽しい。
 短縮するためだろうか、按摩の白い服(白衣)、ステッキ(杖)といった服装のことを割愛していたが、父親が騙される仕掛けとして必要だったのではなかろうか。
 とはいえ、全体としては良かった。私の採点は、9
 決選投票の後の「口惜しい~」の思いが、この人をますます成長させるに違いない。

桂三度『心と心』
 新作。コンビニ強盗と店員、他の客の姿を描く。
 小拍子を打つと登場人物の心の声に代わる、という工夫のあった噺。
 これまで私が聴いたこの人の高座ではもっとも良かった。
 私の採点は、8.5

 
 審査員の採点合計は、小辰と三度が50点満点で48点の同点。

 決選投票で、文珍、鶴太郎、NHKの二谷裕真が三度、権太楼と國村隼が小辰で、三度が大賞。

 私の採点なら、わん丈と小辰が同点。
 どちらが大賞でも良かったと思う。

 録画もせず、審査員の採点もメモするのを忘れたので、わん丈が何点だったかは知らないが、結構接戦ではなかったかと思う。

 
 これで、現在のように落語と漫才を分けて実施してからの大賞受賞者は次のようになった。

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        西             東
1994年                桂平治(→桂文治)
1995年                柳家三太楼(→三遊亭遊雀)
1996年                古今亭志ん次(→志ん馬)
1997年  桂宗助
1998年                柳家喬太郎
1999年  桂都んぼ(→米紫)
2000年                林家彦いち
2001年  桂三若
2002年                古今亭菊之丞
2003年                古今亭菊朗(→菊志ん)
2004年  桂かい枝
2005年                立川志ら乃
2006年  笑福亭風喬
2007年  桂よね吉
2008年                三遊亭王楽
2009年                古今亭菊六(→文菊)
2010年                春風亭一之輔
2011年  桂まん我
2012年                桂宮治
2013年                鈴々舎馬るこ
2014年                春風亭朝也(→三朝)
2015年  桂佐ん吉
2016年  桂雀太
2017年                 三遊亭歌太郎
2018年  桂三度
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 昨年は関西での開催で歌太郎、今年は東京で三度。たずきがけ状態になったなぁ。

 小辰、わん丈には、ぜひ来年もがんばってもらいたい。

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Commented by 楠運平 at 2018-11-04 22:36 x
毎回、ブロクを楽しみに拝見しております。久しぶりにコメント致します。桂三度さんの優勝は報道の通りですが、本日放映を見ました。審査員の評価は高かったですが三度さんの落語ですがそんなに良いですかね。あまり良いとは思えない新作でした。以前よりは少し良くなったですが…。よく分からない落語でした。
それよりも、小辰さんの真田小僧、わん丈さんのお見立ての方が数段良かったと思います。わん丈さんがここでお見立てをかけるとは素晴らしいと思います。小辰さんのしっかりとした落語が当然三度さんより評価されるべきであると思います。
三田落語会で今回の審査員の師匠がまくらで小辰さんの方が良かったと感想を話して居ました。今日放映を見て納得出来ました。
会員であるの今月の東京落語会の開口一番のあと三度さんの落語があります。どうでしょうかね。あまり期待はしていませんが。あくまでも個人の感想です。悪しからず。
Commented by at 2018-11-05 06:35 x
結果ははぁ~という感じです。
柳亭市弥『試し酒』アイドルかと思っていましたが、どうしてどうして立派な一席。
なにしろ先代小さんの名演があり、市馬→市弥に継承されたか、と。
Commented by kogotokoubei at 2018-11-05 08:59
>楠運平さんへ

コメントありがとうございます。
三度の噺は、その内容ではなく、小拍子を使った工夫が評価されたのではないでしょうか。
噺全体としては、まだピン芸人の域を出ていないように思います。
小辰、そして、わん丈のほうが上と私も評価しました。
三田落語会で今回の審査員・・・その方も小辰を推してましたからね^^
NHKは、その師匠への忖度なのか、三度を贔屓しているような気はするなぁ。
Commented by kogotokoubei at 2018-11-05 09:01
>福さんへ

私も市弥は、イケメンだけではないなぁ、と見直しました。
なかなか良かったですね。
Commented by 寿限無 at 2018-11-05 13:52 x
見ましたよ。
「真田小僧」は、やはり按摩の白い服(白衣)、ステッキ(杖)といった服装のことを割愛していたのは惜しまれます。マクラを省略しても入れるべきだったのではないでしょうか。普段の寄席や落語会のときの方が良いという印象でした。
小辰と市弥は34歳、わん丈は35歳。
それに対して三度は49歳ですか。いうなれば崖っぷちの年齢なのでしょう。
「心と心」は誰の作なのでしょうか?
三度の作品なのですか。
三枝の新作でもやればいいのに……。
Commented by kogotokoubei at 2018-11-05 14:08
>寿限無さんへ

コメントありがとうございます。
小辰のマクラも可笑しかったのですが、私もマクラを短縮してでも、白衣、杖の件は入れて欲しかったと思います。
とはいえ、高座の出来は、若干の緊張もあったでしょうが、悪くはなかったですね。
わん丈も、優勝して不思議のない良い高座でした。
市弥は、市童など下からの追撃(?)と同期たちとの切磋琢磨によって、どれだけ化けることができるかが勝負でしょうね。
三度の噺は自作だと察します。
相変わらず「おじゃまします」での登場を含め、私はまだ落語家として足らない部分が多いと思っています。
予選参加108名ですか・・・・・・。
やはり、予選は公開して欲しいものです。
Commented by 寿限無 at 2018-11-05 16:08 x
若手落語家の登竜門として「北とぴあ若手落語競演会」というものもあります。
こちらは審査員がお客さんなのです。
どうですか?
Commented by kogotokoubei at 2018-11-05 16:27
>寿限無さんへ

今年は市弥が大賞受賞だったようですね。
お客さんが審査員という大会では、私の住む相模原市でも「さがみはら若手落語家選手権」が開催されており、予選や本選にこれまで行ったことがあります。
お客さんの一票も加味するのは、実に良いことだと思います。
NHKは、予選を公開し、お客さんも審査員として加わるようにならないと、ブラックボックスへの不信感は消えないでしょうね。
Commented by at 2018-11-06 06:49 x
>いちばん落語を聴いている気分にさせてくれたのは小辰さん
これ以上の賛辞はないでしょうね。小朝の評言です。
Commented by kogotokoubei at 2018-11-06 08:45
>福さんへ

小朝がそう評していましたか。
なるほど、良い褒め言葉ですね。
Commented by 寿限無 at 2018-11-06 11:15 x
新作 と 古典 の対決ということですね。難しいですね。
新作を作る技術と演じる技術は違う部分がありますからね。
だから三枝の新作落語「鯛」でも「妻の旅行」でもいいのですが、
そういうネタをきちんと演じられるかというのを見てみたいのです。
それが落語家してのスタートなのではないでしょうか。
まぁ、余計なことを申しあげまして済みませんです。
Commented by ぱたぱた at 2018-11-06 13:27 x
ご無沙汰しております。当方、この時間帯、幕末太陽傳をモチーフにした例の落語会にいっており、録画したものを確認しました。前にコメントされた皆様がおっしゃっていた通り、私の評価は小辰の優勝、次点がわん丈です。因みにわん丈は小辰から0.5点差でした。別の記事で見たのですが、上方の若手落語家の選手権で三度は桂ちょうばと共にグランプリをとっていたようです。それが影響したかはわかりませんが。
Commented by kogotokoubei at 2018-11-06 21:10
>寿限無さんへ

おっしゃることは、よく分かります。
はん治が三枝作品を、しっかり自分のネタとして仕上げていることを思い出します。
自分が選んだ師匠なのですから、挑戦してもらいたいですね。
Commented by kogotokoubei at 2018-11-06 21:15
>ぱたぱたさんへ

わん丈、0.5点差でしたか。
三度が小辰と同点、というのが、どうしても解せない。
体操やフィギュアスケートも評価方法が厳格になってきているようですし、スポーツではないものの、もう少し審査基準などで改善できないものか、と思います。
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by kogotokoubei | 2018-11-04 18:18 | テレビの落語 | Comments(14)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛