噺の話

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池袋演芸場 六月上席 昼の部 6月8日

 中途半端な雨予想だったが、テニスは休み。

 一昨日は、久し振りの寄席。
 池袋の昼の主任が権太楼、夜の主任は白酒。他の顔づけも悪くない。
 なんとか都合がついたので、久しぶりの、昼夜居続け。

 コンビニで煎餅やお茶を仕入れてから演芸場に正午少し前に着くと、三十人ばかり並んでいる。
 テケツから地下へ。
 なんとか、前から四列目に席を確保。
 その後もどんどんお客さんが来場され、途中満席となり立ち見となるとは思わなかった。

 間もなく開口一番が始まった。

 出演順に感想など。

柳家あお馬『道灌』 (17分 *12:16~)
 初。落語協会ホームページによると、こうなっている。
  2014(平成26)年6月 柳家小せんに入門
  2015(平成27)年5月21日 前座となる 前座名「あお馬」
 以前、白酒がマクラで、入門者が多く、前座になるまでの待機児童が多い、と言っていたが、彼も一年近く待機した、ということか。
 若さに似合わず渋い印象は、最初に小はぜを聴いた時の印象に近いかな。そうか、選んだ師匠が小せんか。今後の成長を期待したい。

柳家ほたる『動物園』 (13分)
 ほたるの時点で、見た目は満席。よく探すと七席から八席の空席か、という状態。週末とはいえ、さすがに主任権太楼の動員力、ということか。
 師匠の前座名をもらったこの人も、来年の秋あたりに真打昇進か。
 ホワイトライオンとブラックタイガーの戦い、という演出は悪くない。
 珍獣動物園のスター達の中に、瘤のないラクダ、が入っていて、ほたるが「歌の題みたいだ」なんて言っていたが、ほたるがあの歌を知っているの?
 楽しい高座ではあったが、真打になるには、まだ何かが足らないかな。頑張れ。

柳家燕弥『桃太郎』 (12分)
 なぜか、この人は初。前名は右太楼。もちろん、権太楼の弟子。
 ちなみに、権太楼の弟子は、次の五人。
 三代目柳家甚語楼、柳家我太楼、三代目柳家東三楼、柳家燕弥、柳家ほたる、柳家さん光
 この噺そのものの楽しさで会場から結構笑いをとっていた。
 そうか、こういう噺家さんだったか。悪い印象ではない。また聴きたいものだ。

ニックス 漫才 (16分)
 最近、この姉妹漫才を見直している。
 なかでも、妹の話芸は、なかなかのもの。
 
柳家甚語楼『お菊の皿』 (15分)
 権太楼の総領弟子が、その貫録を示した高座。
 江戸っ子の若い衆の心地よい科白の心地良いこと。
 お菊さんが、青山鉄山になぶり殺しにされたとご隠居から聞いた若い衆、
 「なんだって、ご隠居はだまって見てたんですか」の言葉なども、可笑しい。
 この人、居残り会仲間のIさんのご贔屓だが、私も、その実力は高く評価している。
 この高座、寄席の逸品賞候補として朱色をつけておく。

三遊亭窓輝『庭蟹』 (16分)
 珍しい噺を披露。私はこういう噺を聴けるのは、嬉しい。
 こういう古典的な小咄、この人は好きなのだろうか。
 寄席で時間調整の“逃げ噺”とも言えるが、この時間なら他のネタもできよう。円窓のご子息ならでは、ということかな。
 志ん生の音源を持っている。『志ん生、語る。』(アスペクト)という本の付録のCDに、『お直し』『疝気の虫』と一緒に『小咄二題』が収録されていて、その中に含まれている。このCD、結構貴重だと思う。

江戸家小猫 ものまね (13分)
 犬、にわとり、羊、アルパカ、鴨、ゴリラ、と多彩な芸と話術でわかせた。
 猫八襲名も、近いのではなかろうか。それにしても、髭が濃い^^

柳家小ゑん『フィッ』 (15分)
 後で調べたら、本人作ではなく、円丈の古い作品のようだ。
 なんとも、シュールなネタ。
 先輩と後輩が話していると、先輩の言葉の語尾に「フィッ」という一言が付く。
 不思議に思った後輩が、それは何かと問うと、「えっ、おまえフィッが言えないのか。病院へ行け」と言われる。その後、その男がフィッが言えるようになると、また、他の意味のない言葉が・・・という内容。
 『庭蟹』とは別な意味で、珍しいネタを聴くことができた。
 この高座の途中から、客席は満席になり、後からいらっしゃったお客さんは、立ち見状態に。

三遊亭歌武蔵『宗論』 (18分)
 満員の客席をドッカンドッカンと沸かせた。正朝のように白百合ではなく、川村女学園。わかる人には、これだけで、何の話かは、わかる^^
 相撲ネタの漫談も悪くはないのだが、やはり短くともネタを演ってくれる方が嬉しい。

松旭斎美智・美登 奇術 (14分)
 定番のネタだが、最初の南京玉すだれでミス。次のネタでもスカーフを落とした。
 ちょっと、感心しない出来。
 客席にプレゼントするキャンディー。池袋では、バドミントンのラケット、必要ないのでは^^

古今亭志ん輔『宮戸川』 (18分)
 仲入りは、この人。お目当ての一人。
 立ち見のお客さんを見て、かつて前座時代の浅草で、フランス座の後ろで立ち見をしていたことを思い出した、とのこと。ご馳走になったストリッパーの名が、エデン・ダイアナ・・・・・・。よく覚えているねぇ、そういうことは。
 手の内のネタ。安心して聴いていられる。
 一点だけ、気になった。半七がお花に向かって「あなたのようなきれいな人を、叔父さんのところへ連れて行ったら・・・・・」と言うが、“若い娘”ではなく、“きれいな人”は、以前からの科白だったかなぁ。
 ご本人の日記風ブログでは、二分も延ばした、と書いてあるが、仲入りである。これ位は尺はあって不思議はない。たしかに、プログラムでは仲入りが15:10までとあって、実際は15:12ではあったが、その原因はそれまでの演者のせいと言えるだろう。

 ロビーの楽屋前のソファーで、一服。
 結構、トイレに人が並んでいたが、十分余りで、再開。

春風亭一之輔『加賀の千代』 (11分)
 クイツキが、一之輔という贅沢さ。
 とはいえ、トリの権太楼の時間を作るためであろう、この時間でこのネタ。
 甚兵衛さんとご隠居との会話が、なかなか楽しい。
 持参した饅頭のことなど女房との内緒話をすべて暴露してしまうが、ご隠居は「たまらないなぁ、そういうとこが好きだよ」と鷹揚。
 こういう噺でも、しっかり客席を沸かすあたりが、並の噺家ではないところだ。

柳家小さん『二人旅』 (16分)
 久しぶりだ。上方落語の「東の旅」の中の『煮売屋』を、四代目小さんが東京に移したものだから、その大名跡を継いだ人にとっては、大事な噺ということになる。
 それだけに、謎かけや都々逸がなかったのは、少し残念。

鏡味仙三郎社中 太神楽 (9分)
 仙三郎と仙志郎の二人で登場。五階茶碗~土瓶~花笠と撥、のいつも巧みな芸。
 仙三郎の元気な姿を見ることができるだけで、嬉しい。

柳家権太楼『猫の災難』 (37分 *~16:38)
 客席から「待ってました!」の声。
 たしかに、待ってたよ^^
 さん喬、白酒と鎌倉の落語会に出た時、この噺をネタ出しにしたのだが、プログラムにネタの説明を載せたいと依頼された時の逸話が、なかなか楽しくも味のある内容だった。
 この噺や『一人酒盛』などは、主人公が次第に酔っていくことが中心のネタで、相方が酒や肴を買いに出かけるという同じような場面が繰り返される。演者によっては、ダレやすいのだが、流石の権ちゃん。
 熊五郎が、「少しだけなら」「半分なら」と次第に酒を飲みつくすのだが、飲む前の熊五郎の顔の表情が、まさに満面の笑みで、見るこちらも、嬉しくなってくる。
 途中の科白も楽しい。
 「あいつは、なんかアテがなきゃ飲まない・・・意地汚ねえんだよ」
 「どこまで行ってんだ・・・待つ身のつらさが分かんねぇのか」
 という熊の科白に、つい、熊に同情しそうになるのが、人間の性か^^
 この噺は、元々上方で三代目小さんが東京に移したもの。
 今では、柳家の十八番になっている。
 相棒が酒を買いに行く際に「三丁ばかり行くと、酢屋満てえ酒屋があるから」と熊は教えるが、これは五代目が家の近所にある酒屋の名を使った内容を踏襲している。
 二人目の師匠から継いだネタを、大事にしているなぁ、と思いながら聴いていた。
 迷いなく、今年のマイベスト十席候補とする。


 権太楼、サゲとなり緞帳が下りる間も、客席のお知り合いの方と思しき方向に微笑んでいた。夜の部が始まる前にロビーで一服していると、権太楼が数名のお客さんとエレベータに乗った。なるほど、これから打ち上げ、ということかと納得。
 肴は、鯛の刺身かな^^


 夜の部は、次の記事にて。


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by kogotokoubei | 2018-06-10 11:46 | 寄席・落語会 | Comments(0)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛