横浜にぎわい寄席 5月2日
2018年 05月 02日
寄席や落語会の予定を調べたところ、横浜にぎわい座で、仲入りが古今亭菊丸、トリが三遊亭円馬、という協会を超えた実力者の名を発見し、桜木町へ。
少し早めに桜木町に着き、結構気に入っているぴあシティの地下の店で、298円の生中とサバ焼き定食で腹ごしらえ。
念のため電話で予約したので、二階でチケットを受け取り三階のホールへ。
最終的に、三割位の入りか。平均年齢は、結構高そうだ。私も平均を上げている一人だが^^
自由席なので、前方の中央付近に席を確保。
順に感想などを記す。
林家彦星『元犬』 (15分 *14:01~)
昨年二度聴いている。これまで小言を書いているような語り口の切れの悪さは改善されてきたが、その語りが人物の会話でも、説明口調で一本調子なのが気になる。精進してもらおう。
瀧川鯉丸『かぼちゃ屋』 (20分)
初。良く通る明るい声は、好感が持てる。数少ない客席には、あまり落語にお詳しくない方も多そうだが、程よく笑いをとっていた。高座も落ち着いていて、今後も楽しみだ。
青空一風・千風 漫才 (13分)
初。落語協会所属。申し訳ないが、眠くなった。もっと稽古が必要。
古今亭菊丸『片棒』 (26分)
仲入りは、お目当ての一人。
カナヅチ、鰻の、ケチに関するマクラの小咄でも、会場に笑いの渦。
「爪に火を ともすそばから 倅消し」などの川柳を挟むのも、好きだなぁ。
マクラから本編まで、これほど顔の表情が豊かな人だったのか、と感心していた。
長男の金之助が、父の赤螺屋ケチ兵衛が「もし、私が死んだら」と言うと、「お父っつぁんが・・・お亡くなりに^^」と薄笑いを浮かべるのが、なんとも可笑しい。金之助が、通夜は二晩、本葬は本願寺か増上寺、お土産は本漆の三段の重箱に丹後縮緬の風呂敷で、香典返しは箱に金貨、銀貨を詰めて・・・と続けるのを聞き、今にも倒れそうになったケチ兵衛が、「出てけ!」と怒鳴る場面も、なんとも言えない楽しさだ。
この噺の聞かせどころは、何と言っても、次男、銀次郎の場面。
つい兄の話を聞いて「兄貴、あ~あ~あ~」と首を横に振る仕草から、この男の性格などがうかがい知れる。「あっしは、誰もが驚く、色っぽい弔いを出します」と言って、ケチ兵衛は、嫌~な予感を抱く様子も、顔の表情がなんとも言えない。
その色っぽい弔い行列の先頭は、頭(かしら)ご一行の木遣りだが、菊丸の声の良さに、いささか驚いた。
よく通る高い声で、♪よ~~お~ん~やりよ~ぉ~、の一節。
会場から自然と拍手が起こった。
次に手古舞が、♪しゃらん、からん、とリズム良く続く。
山車のケチ兵衛人形には、団子鼻の脇にホクロがあって、毛が二本出ているというリアルさ^^
神輿がやって来て、♪テンテンテレツク、♪ワッセワッセ、♪チャンチャカチャン、という擬音で、なんとも賑やかな行列の光景が目に浮かぶ。
花火が上がり、位牌のついたパラシュートが落ちてくるのを地上で待ち構えるのが、海老一染之助・染太郎。「いつもより多く廻ってます」で会場が大爆笑。
銀次郎に好対照なのが鉄三郎。「仕方がありませんから、弔いは、出します」で、ケチ兵衛はがっかりするが、次第に鉄三郎のケチぶりに頷く。出棺を十時と告げて八時に出してしまえば、酒も肴も出さなくていい、というアイデアにケチ兵衛の「えらい!」で笑った。棺桶は菜漬けの樽、という鉄三郎に、にやっとしたケチ兵衛が「おまえ、親こうこ、なんて洒落かい」と言うのに対し、鉄三郎、呟く声で「いえ、臭いものには蓋」でも、会場大爆笑。
これまで、この噺は一朝が際立っていると思っていたが、菊丸の高座で、ナンバーワンはこの人か、と認識を改めた。もちろん、今年のマイベスト十席候補だ。
外で一服しながら、菊丸の高座の余韻に浸っていた。
三遊亭金朝『半分垢』 (18分)
クイツキは、久し振りの、この人。
二ツ目の金兵衛の時には聴いているが、真打になってからは、初めて。二ツ目で聴いた時、どういう噺家さんを目指しているのか、と疑問に感じたものだが、その疑問はこの高座でも解消しない。たしかに“にぎわい寄席”と銘打っているので、寄席ならではのネタ選びなのであろうが、落語通ばかりではない客席では、この噺は適切だったのかどうか。
サゲでも、多くの人が、キョトン、として静寂だった。
ボンボンブラザース 太神楽曲芸 (15分)
十八番の紙の芸では、下手の桟敷に相当する席まで出張(?)しての熱演。
同じ場所のお客さんを、帽子の芸に引きこんで、会場全体が湧いた。いつもながら、流石だ。
三遊亭円馬『蒟蒻問答』 (29分 *~16:31)
女流落語家は、肉食系。男の落語家は、草食でもなく、ゼリー系と笑わせる。
問答のいろいろを紹介してくれた。ネタに相応しいマクラと言える。
六兵衛が八五郎に、「コチャエ節」の♪お前を待ち待ち蚊帳の外、を逆さにしてお経らしくやってみせる場面は、可笑しかった。
沙弥托善と六兵衛の問答も楽しかったが、トリのネタとしては、別な噺を期待していた、というのが本音。
昨年、末広亭で聴いた『ふぐ鍋』は、季節柄合わないが、菊丸が『片棒』だったので、人情噺かと思っていただけに、やや残念だった。
とにかく、この日は、菊丸の『片棒』だった。
去年池袋で聴いた『中村仲蔵』も印象深い。
滑稽噺も、人情噺も、自在。
そんな思いを抱きながら、帰路についた。
それなのにそれなのに、です。
