トランジスタ・ガールのことーNHK「ひよっこ」の効能。
2017年 05月 06日
NHKサイト番組ページの該当週のあらすじ
このドラマの評価はいろいろあるだろうが、少なくとも効能があるとしたら、かつての日本の電気製品やその作られ方を知ることができることだろう。
主人公は茨城から東京に出て、向島電機に就職。
トランジスタ・ラジオのプリント基板に部品を手作業で挿入していくラインで仕事をすることになる。
足がついた部品(DIP:Dual Inline Package)を基板に順に差し込んで行く製造ラインの建物は、「鳥小屋」と呼ばれいた。
なぜなら、二本足の部品を基板に差し込む様子が、鳥がエサを啄(ついば)む姿に似ていたから。
主人公のみね子は不器用で、最初はラインを止めてばかりいる。
後に続く人が間違いに気づくとブザーを鳴らしてラインを止めるのだが、みね子は何度もブザーを鳴らす張本人となる。
この番組では、かつての女性マラソンランナーがナレーションを務めていて、当時のトランジスタラジオについて、どんな部品で構成されているか説明もあった。
なかなか、ためになる。
東京オリンピック開催時期の頃が時代だが、日本で最初の携帯型のトランジスタラジオは、昭和30(1955)年にソニーから発売された「TR-55」だ。
ソニーのサイトに、その写真を含め説明されている。
ソニーのサイトの該当ページ
ソニーのラインにも、多くの女性社員が並んで、基板にトランジスタや抵抗、コンデンサなどを流れ作業で装着していた。
彼女たちは、トランジスタ・ガール(トランジスタ・グラマー、ではなく^^)、と呼ばれていた。
今、スマホが当たり前の道具と考える若者こそ、この番組を見るべきかな、などと思って見ていた。
世界最初のコンピュータは、アメリカが第二次世界大戦でのミサイルの弾道計算に使おうとしていた「ENIAC(エニアック)」。しかし、完成は戦中には間に合わなかった。
Wikipedia「ENIAC(エニアック)」
エニアックは、1秒間に10万回のパルスで各電子機器の同期をとっていたので、動作周波数0.1メガヘルツ(MHz)となる。
現在のパソコンのマイクロ・プロセッサの動作周波数はギガヘルツ(GHz)の単位となっていて、1GHz=1,000MHz。
動作原理が異なるので単純比較はできないが、同期をとる周波数で考えると、今日のパソコンはエニアックの1万倍以上速いということになる。
もちろんスマホに搭載されているプロセッサも、ギガヘルツのレベルだ。
エニアックで使用された真空管は17,468本、その広さは、床面積450㎡で136坪だ。なんと、重さは30トン。
Wikipediaによれば、ペンシルベニア大学の学生が1995年にENIACを7.44mm x 5.29mmのシリコン基板上にエニアックを再現した、とのこと。
「TR-55」は、ソニーで8ミリビデオの製品名でも復活した栄誉ある名。
昭和30年生まれなので、トランジスタラジオの「TR-55」は、私と同じ年に生まれたことになる。
私はラジオ、カセットデッキ、βビデオ、8ミリビデオなど、ソニー製品の愛用者だった。
そのソニーが、今のような停滞した状況になるのは、どうにも残念でならない。
向島電機は、ソニーが先鞭をつけた後に続くトランジスタラジオの町工場の風景を、ある程度のデフォルメを許せば、結構大事な日本の戦後の復興の姿として再現してくれている。
個人的なノスタルジーもあるが、たしかに、あの頃を懐かしく思うであろう視聴者を期待して作られた作品なのかもしれない。
ドラマとしての「ひよっこ」は、失踪した主人公の父親が田舎の人間にはどうしても見ることができないなど不満もあるが、かつての日本の電気産業勃興期の製品のことや、それを作ってきた多くの人々のことを知る効能はあるようだ。
昼間は主に経理関係など事務処理に使われるので、私たち技術屋が利用出来るのは深夜に限られました。この時だけは深夜勤でしたが、FORTRANを使ったプログラムを自分で作り、まともにアウトプットが出てくると嬉しかったですね。表もグラフも全て自家製でした。
当時からすれば、今は夢のようです。
ほめ・くさんの会社が導入されたのは、あの360でしょうかね。
昔のSFドラマや映画で、磁気テープが回るシーンがよく使われていたことを思い出します。
私が仕事で馴染み深いミニコンの磁気テープの容量は、たぶん数メガでした。
USBメモリーに今では数ギガというデータが収納できる、時代を感じます。
コンピューターの進歩の歴史については、NHK「電子立国日本の自叙伝」がありました。しかし、あの番組が放送されたのは1991年。今日のスマホ時代までは予測できなかった。
入力がカード、出力は紙テープ・・・そんな時代が石器時代のように感じますね。
