噺の話

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「小南への道」ー落語芸術協会のメルマガより。

 桂春之輔が、来年四代目春団治を襲名するというニュースには、驚いた。
毎日新聞の該当記事

 三代目のご指名だったんだ。

 春之輔をよく知らないので、何とも言えないのだが、ちょっと時期が早すぎるような気がするなぁ・・・・・・。

 襲名と言えば、落語芸術協会の桂小南治が、今年9月に三代目小南を襲名する。

 毎席ごとに月に三回送られてくるのが楽しみな落語芸術協会のメルマガには、小南治の「小南への道」という連載(?)があって、毎回楽しみにしている。

 第一回は、昨年11月上席のメルマガだった。
 引用する。

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【小南への道】 ~桂 小南治~
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興行は来年9月21日新宿末広亭から始まります。
役員会議で決定されましたが、まだまだ何も手を付けておりません・・・。

そこで、私の入門の経緯など書かせて頂きます。

御存知の方もいらっしゃると思いますが、私の親父は紙切りの二代目林家正楽で、
二楽は私の実弟です。そして、親父の一番弟子が現三代目の正楽師匠です。小学校
の頃から何の違和感も無く、いずれ親父の後を継いで紙切り師になるものと思って
いました。その為には人前でもあがらない様、また、自分の手元では無く他の師匠
の所で修業させようと親父は学校寄席などで良く御一緒した鷺ノ宮の小南を選びま
した。

 二代目正楽は、テレビで見たような記憶はある。
 非常に貫禄のある姿だったはず。

 12月上席版もご紹介。最初に名をもらったことなど。

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【小南への道】 ~桂 小南治~
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初めて対面した小南師匠は、この年還暦を迎えております。
正楽の隣で何もわからず正座をしている18歳の私に諭す様に話してくれました。

「この世界は弱肉強食じゃよ。一人前になる事が出来れば、こんないい商売は無いよ。
その分、なり損ねると惨めなもんじゃ…。高座には千両箱が落ちていて、それを拾いに
行く、っと言う気持ちを持つ事じゃよ。」

「噺家の空気に慣れる事。その為に鷺ノ宮のアパートに下宿して、毎朝、ここへ来て掃
除をするんじゃ。それと用足しなどもな。それから頭も、もう少し短く苅っといで!」

今朝、床屋へ行ったばかりの私は小さな声で「はい。」「はい。」と返事をするのがや
っとでした。 何も知らない子供の私には落語界が怖くて仕方なかったのです。

「正楽さんの楽で、南らくにしよう!」

名前も頂き帰り仕度にかかりますが、慣れない正座で痺れが切れて立つ事が出来ません
。これを見た、おカミさんが一言。

「ウチに来れば正座なんて直ぐに慣れる様にしてあげるから!」

私は、益々、この世界が怖くなりました。

 先日届いた、2月上席版には、兄弟子に関する、少し悲しい物語があった。

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【小南への道】 ~桂 小南治~
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小南一門は弟子が7人居ました。
前座名、南らくと言った私が一番の末弟です。

2ヶ月先輩で約1ヶ月、共に前座修業をした、なんば兄さん。
私より三つ年上で、もうお酒の味を知っていました。毎晩、遅くまで呑むのでしょう・・。
何時も師匠宅へは遅刻です。

南なん兄さん、当時、南てんと名乗った金太郎兄さん、なんば兄さん、そして私、四人は毎
朝9時に師匠宅へ行き掃除から一日が始まります。ところが、掃除を終えて朝食を頂く頃に、
なんば兄さんが真っ赤な目をしてやって来ます。と、自衛隊出身の南てん兄さんが
「表へ出ろ!」

玄関のドア越しに

「兄さん、堪忍しとくなはれ…明日からは必ず・・・。」
「その言葉は昨日も聞いた!」

何処の世界でもそうですが時間にだらしが無い・・・これはいけません。

師匠の口から「破門・・・。」の言葉が出ました。

大阪生まれのなんば兄さん、
「南らく、頑張りぃや・・・。」
鷺ノ宮の三畳一間の私の部屋で、キツく私を抱きしめて辞めて行きました。
そして、入門の際、師匠が私に言った 「弱肉強食」 こんなところにもあるものかと知りました。

 なかなか、興味深いでしょう。

 立川談春の『赤めだか』を最初に読んだ時や、最近になって立川談四楼の『シャレのち曇り』(そのうち記事にするつもり)を読んだ際にも感じた、落語家という芸人の修業時代の内幕を覗き見る楽しさがある。

 二代目桂小南は、京都に生まれ、東京に来てから三代目金馬の内弟子となった後で二代目小文治の預かりとなったが、上方落語を学び直し、独特の小南落語を作り上げた人。
 小南の名は、初代の弟子だった八代目文楽の了解を得て名乗った。
 先日の末広亭で円馬が演じた『ふぐ鍋』をはじめ『いかけ屋』『ぜんざい公社』『夢八』などが十八番として有名。
 今は亡き桂文朝や、現在は落語協会の桂南喬も小南の弟子。
 私は小南の名が復活するのは、二代目や初代が振り返られることにもなるだろうから、大いに結構だと思う。
 
 小南治も、なんとも個性的な噺家さんで、襲名を機に、先日の『隣の桜』などの上方ネタを聴く機会が増えることを期待している。


 芸協のメルマガには、定席寄席の出演者一覧や該当期間の落語会の情報もリンク先URLを含め掲載されていることに加え、このような読み物の連載や新真打のメッセージなどもあり、メルマガとしては実に良く出来ていると思う。

 ご興味のある方は、ぜひ登録なさっていはいかがだろうか。
落語芸術協会サイトの該当ページ

 そうそう、あの落語協会も、かつてはメルマガを発行していたのだよなぁ・・・・・・。

 あえておことわりするが、私は芸協の回し者でもなんでもない。

Commented by ばいなりい at 2017-02-04 21:00 x
四代目春團治、決まってよかったですね。上方では、六代目松鶴の跡目を巡って笑福亭がグダグダになりましたから、三代目も根回しには念を入れた事でしょう。米朝は米團治を実子に継がせたので一門の精神的な継承は無事完了。文枝一門は・・・
それより問題は、東の小三治に対抗できる西の人間国宝が見当たらないこと、これは深刻です。東西のバランスがあるので文化庁も頭が痛いのではないでしょうか。
Commented by kogotokoubei at 2017-02-05 15:54
>ばいなりいさんへ

師匠の生前のご指名なら、まったく騒動にはならないでしょうね。
そのうちぜひ高座に出会いたいものです。
人間国宝・・・ですか。
東西のバランスという考え方を文化庁はしているのかなぁ。
小三治がなる段階で、米朝の後に続く人が上方にいないことは分かっていたと思います。
Commented by 創塁パパ at 2017-02-05 16:07 x
小南師匠は、大好きでした。春之輔は、タレントのイメージですね。まだ、早いと思います。
Commented by kogotokoubei at 2017-02-05 18:28
>創塁パパさんへ

三代目も、師匠のように東京で上方落語を楽しませてくれる噺家さんになって欲しいですね。
春之輔をお聴きでしたか。
聴いたことはないのですが、“早い”とのご指摘、同感です。
Commented by quinquin at 2017-02-21 23:33 x
いつもブログを拝見し楽しませていただいております。
二代目小南師は私も大好きでした。彼も正当な上方落語を後世に伝えた一人だと思います。ただ、金馬門下から小文治門下に移ったわけではないので、あくまで預かり弟子だったはずです。93年頃ですか、今の南光師の襲名披露を東京の芸術座でやった時に小南師も助演し、口上で、小南襲名のエピソード(文楽師から名前をもらったこと)を語っておられました。その時、『私は文楽師の弟子ではございません、私は金馬の弟子でございます。』とおっしゃっていたのが忘れられません。金馬門下であることを本当に誇りに思っていたのだな、と感銘したことを覚えています。
Commented by kogotokoubei at 2017-02-22 08:47
>quinquinさんへ

コメント、ありがとうございます。
たしかに、小文治“門下”ではなく、“預かり”と言った方が正しいですね。
修正いたしました。
師匠金馬が東宝の専属で弟子が寄席に出れないので、ということだったかと思います。
小文治とは、同じ上方の出ということだったのでしょう。
二代目小南、もっと高く評価されて良い噺家さんではないでしょうか。
百生、小文治、小南のような、東京で本格的な上方落語を聴かせる人が、今はほとんどいませんね。
鶴光・・・は、ちょっと本格派とは言えない^^
三代目小南は、関東の出ではありますが、師匠の芸の継承を期待しています。
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by kogotokoubei | 2017-02-03 21:58 | 落語芸術協会 | Comments(6)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛