今年のマイベスト十席
2016年 12月 29日
27日の末広亭を締めとして、今年一年で寄席、落語会に行った回数は24回。
月に二回平均というのは、想定通り。
評論家でもない素人の落語愛好家としては、こんなものだろう。
末広亭での昼夜居続けが三度あるので、昼と夜を分けて数えるなら、27回。
聴いた高座の合計は156席。
その中で、マイベスト十席の候補にしたものは次の通り。
平成28年 マイベスト十席候補
(1)柳家小満ん『城木屋』
(2)柳家小満ん『厩火事』
(3)柳家小満ん『御慶』
>柳家小満んの会 関内ホール(小ホール) 1月19日
(4)三笑亭茶楽『三方一両損』
>新宿末広亭 1月下席 夜の部 1月29日
(5)三遊亭兼好『置泥』
(6)桂かい枝『茶屋迎い』
>西のかい枝 東の兼好 横浜にぎわい座 2月8日
(7)笑福亭松枝『三十石 夢の通い路』
(8)柳家小満ん『盃の殿様』
>JAL名人会 内幸町ホール 2月23日
(9)柳家権太楼『代書屋』
(10)柳家権太楼『百年目』
>とみん特選小劇場 柳家権太楼独演会 紀伊国屋ホール 3月8日
(11)柳家小満ん『愛宕山』
>柳家小満んの会 関内ホール(小ホール) 3月22日
(12)柳家小満ん『小言幸兵衛』
>新宿末広亭 4月上席 昼の部 4月8日
(13)柳家小満ん『抜け雀』
>柳家小満んの会 関内ホール(小ホール) 5月19日
(14)桂南喬『短命』
>新宿末広亭 6月下席 夜の部 6月27日
*寄席の逸品賞候補
(15)柳家小満ん『千両みかん』
>柳家小満んの会 関内ホール(小ホール) 7月21日
(16)柳家喬太郎『路地裏の伝説』
>とみん特選寄席 紀伊国屋ホール 8月22日
(17)立川龍志『化け物つかい』
(18)入船亭扇遊『妾馬』
>似たりヨッタリ会(仮)の三人で前夜祭 国利演芸場 9月6日
(19)春風亭正朝『六尺棒』
>新宿末広亭 10月上席 昼の部 10月9日
*寄席の逸品賞候補
(20)橘家文蔵『文七元結』
>新宿末広亭 10月上席 夜の部 三代目橘家文蔵襲名披露興行 10月9日
(21)柳家小満ん『子別れー上・中・下ー』
>柳家小満んの会 関内ホール(小ホール) 11月27日
(22)柳家三三『嶋鵆沖白浪』 十一
(23)柳家三三『嶋鵆沖白浪』 十二
>月例三三独演 イイノホール 12月8日
(24)むかし家今松『ねずみ穴』
>新宿末広亭 12月下席 夜の部 12月27日
関内ホールの独演会は皆勤だったこともあり、小満んが圧倒的に多い。
お客さんの入りがもう少しだけ増えればとは思う会だが、今聴いていて、もっとも心が和む落語会だ。
かと言って、自分の評価を甘くしたつもりはなく、それだけ良い高座に出会ったということ。
一人一高座は自分に課したルールなので、九つから一つに絞ろう。
悩みに悩んで、日曜のテニスを途中で抜け出して行っただけのことがあった、『子別れー上・中・下ー』とする。
それぞれの場面で、熊さんが生き生きと描かれていたし、無理な演出はなくとも、最後は目頭が熱くなった。
なかなか出合える高座ではない。
他に複数候補としたのは、柳家権太楼の『代書屋』と『百年目』。
同じ3月8日の「とみん特選小劇場」の二席。迷うところだが、長講『百年目』に絞る。
また、先日の柳家三三『嶋鵆沖白浪』も十一話と十二話の二席ある。
実に悩ましいが、『勝五郎の仇打ち』などの題にして『嶋鵆沖白浪ー外伝ー』として今後独立した一話となっても不思議のない十一話の方を選ぶ。
時系列順で、さっそくマイベスト十席を発表。
◇平成28年 マイベスト十席
(1)三笑亭茶楽『三方一両損』
>新宿末広亭 1月下席 夜の部 1月29日
師匠八代目可楽譲りの、見事な啖呵に酔った!
2016年2月1日のブログ
(2)桂かい枝『茶屋迎い』
>西のかい枝 東の兼好 横浜にぎわい座 2月8日
都々逸に小唄、ハメモノに合わせて芸者小照を艶っぽく演じた好高座!
2016年2月9日のブログ
(3)笑福亭松枝『三十石 夢の通い路』
>JAL名人会 内幸町ホール 2月23日
初見の松枝、その文章のみならず、噺家としても実に結構!
2016年2月24日のブログ
(4)柳家権太楼『百年目』
>とみん特選小劇場 柳家権太楼独演会 紀伊国屋ホール 3月8日
還暦で初めて演じた大ネタが、十年目の古希に光り輝いた!
2016年3月9日のブログ
(5)柳家喬太郎『路地裏の伝説』
>とみん特選寄席 紀伊国屋ホール 8月22日
高い完成度を誇る新作の好高座と、“寄席”プロデューサー喬太郎に拍手!
2016年8月23日のブログ
(6)立川龍志『化け物つかい』
>似たりヨッタリ会(仮)の三人で前夜祭 国利演芸場 9月6日
正蔵の型で演じた実に結構な高座は、立川流実力者の面目躍如!
(7)入船亭扇遊『妾馬』
>似たりヨッタリ会(仮)の三人で前夜祭 国利演芸場 9月6日
流れるような語り口と心地よさは、他の追随を許さない!
2016年9月7日のブログ
(8)柳家小満ん『子別れー上・中・下ー』
>柳家小満んの会 関内ホール(小ホール) 11月27日
熊五郎の三態を演じ分け、最後は目頭を熱くさせた僥倖の通し口演!
2016年11月28日のブログ
(9)柳家三三『嶋鵆沖白浪』 十一(『勝五郎の仇討ち』仮称)
>月例三三独演 イイノホール 12月8日
強面の『子別れ』を含む劇的な高座は、大団円前の外伝候補の佳作!
2016年12月09日のブログ
(10)むかし家今松『ねずみ穴』
>新宿末広亭 12月下席 夜の部 12月27日
兄弟の愛憎劇を見事に描き出した、今松とネタへの印象を一変させる力演!
2016年12月28日のブログ
なんとか、選ぶことができた。
次は、「寄席の逸品賞」。これは迷うことはない。
◇上半期
桂南喬『短命』
>新宿末広亭 6月下席 夜の部 6月27日
このネタを演る若い噺家さんが見習うべき、まさに熟練の高座!
2016年6月28日のブログ
◇下半期
春風亭正朝『六尺棒』
>新宿末広亭 10月上席 昼の部 10月9日
いろいろあったが、そろそろ時効かーやはり、この人は上手い!
2016年10月10日のブログ
次に、どうしても記憶にとどめておきたい高座がある。
今年の落語初めだった、横浜にぎわい座での、あの人の高座だ。
◇特別賞
柳家喜多八『やかんなめ』
>睦会 横浜にぎわい座 1月14日
2016年1月15日のブログ
ブログ記事を、再録したい。
柳家喜多八『やかんなめ』 (25分)
久しぶりに聞く出囃子「梅の栄」とともに緞帳が上がり、高座に喜多八の姿。
痩せた・・・・・・。
まくらで、栄養失調で1月4日まで入院していた、と語る。入院前は40キロそこそこで、それより3キロ体重は戻ったと言っていたが、頬はこけている。髪も、以前は染めていたのかもしれないが、白っぽい。
しかし、声は、いつもの喜多八なのだ。あるいは、かつて聴いた中でも、大きいくらい。
以前演じたネタを調べていたら、「これ、やってなかったんだ」と選んだネタは、十八番の一つ。
侍がお供の可内(べくない)に向かって何度か「笑うな!」と叫ぶ場面で、会場も大いに沸いた。
本編にかかるマクラで「一病息災」の言葉があったが、それは自分自身に言い聞かせていたのかと思わないでもない。
上方では『癪の合い薬(あいぐすり)』の題。
高座は、何ら健康時とは変わらない、いや、それ以上かもしれない。
しかし、まだ体重は戻っていないし、歩けない状態は、健康とは言えない。
喜多八にとっての「合い薬」が見つかり、無事快癒することを祈るばかりだ。
ここ数年、そのやつれ具合に驚愕し、不安を払拭する張りのある声に感心する、という経験をしてきた落語愛好家の方は、私がそうだったように、「蝋燭が消える前の・・・」という思いがよぎったのではなかろうか。
そうは思っても口に出すのを憚った人が多いはずだ。
口に出したことが現実になる、それを怖れたのは私だけではないだろう。
しかし、残念ながら、喜多八の合い薬は、なかったようだ。
失って、その存在の大きさを痛感した柳家喜多八という得難い噺家さんのご冥福を祈りたい。
平成28年は、喜多八が旅立った年として忘れることはないだろう。
でも、嘆いているばかりではいけないのだろう。
きっと喜多八は、「もうあっしのことは忘れて、生きている噺家さん達を応援してあげてくださいな」と天国で呟いているような気がする。
来年も、一期一会を楽しみたいものだ。
一月の小満んは他の用を切っていくつもりです。
さて、本年は色々とご教示いただき、ありがとうございます。
こちらのブログを拝読し、芸協と圓楽一門に疎いことを痛感、来年はそのあたりを聴きたいと思っております。
よいお年をお迎えください。
拙ブログにもこちらのリンク経由で毎月コンスタントに延べで400人近い方が来訪されており、改めて影響力の大きさを実感している次第です。
今年も多くの示唆を受けました。
どうぞ、来年も良いお年を!
幸兵衛さんらしいスマートな選ですね。
喜多八師の一席は私も印象高座と致しました。
もうあの味わいのある高座を鑑賞出来ないと思いますと悲しいです、実に。
来年も宜しくお願い申し上げます。
最近は落語会・寄席の記事は少ないのですが、落語の本やネタの記事へのアクセスも少なくないので、少し驚いています。
私こそ、ほめ・くさんの記事に感心するばかり。
今年の記事はすでにお開きとのことでコメントを控えておりましたが、どちらにいらっしゃってもご覧のようですね。
良いお年をお迎えください。
