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噺の話

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新宿末広亭 4月上席 居続け(1) 昼の部 4月8日


 8日金曜日は運転免許の更新に行く必要もあったので終日休みをとって、久しぶりに末広亭で昼夜の居続けをすることにした。
 
 今月中旬から十日近く入院するための、落語の「聴き貯め」のつもりだった。

 まったく私事で恐縮だが、子どもの頃から蓄膿症で、ここ十数年で鼻ポリープが増えた。
 いわば、一年中が花粉症、という感じで鼻が詰まって息がしにくい状態が、ずいぶん長く続いている。
 だから、鼻ポリープ手術、正しくは副鼻腔手術をすることにしたのだ。

 何軒か病院巡りをし、都内にある耳鼻科専門の病院での内視鏡手術をすることに踏み切った。この病院の同手術の場合は、八泊九日の入院が決まりになっている。術後のケアに慎重になっているのだろう。

 ということで、手術後は記事の更新がしばらく途絶えることを、ご容赦ください。

 さて、免許更新を地元の即日交付の警察署で終え、最寄り駅近くで昭和三十年代を思わせるお店で昼食をとってから、新宿へ。

 夜食用の弁当やお茶、お菓子などを買い込んで、一時を少し回ったところで入場。

 平日の昼の部なのだが、椅子席は七割位は埋まっていたかな。
 桟敷は、数名のお客さん。よって、好きな下手の桟敷に席を確保。笑組に間に合わなかったのは残念だが、白酒の高座がちょうど始まるところだった。

 では、昼の部から、聴くことのできた高座の記録と、感想を記したい。
 
桃月庵白酒『茗荷宿』 (15分 *13:17~)
 大師匠の馬生から伝わる一門のネタと言ってもよいのだろう。
 飛脚が足をけがして、老夫婦の宿に泊まる。挟み箱には、なんと百両。老夫婦が、茗荷づくしの料理で挟み箱を忘れさせよう、という作戦が始まる。
 みそ汁はもちろん、焼き茗荷に、刺身だってある。なぜ、天麩羅がないのかと飛脚が聞くと「面倒だから」。しかし、煮茗荷、茗荷の開き、半熟茗荷などを用意することを考えれば、天麩羅も出したら、と思わないでもない(^^)
 一門のネタ、かつ寄席の一品、と言える噺になってきたように思う。

林家ペー 漫談 (14分)
 ギターは持たない漫談で、「笑ってくれ」の連呼では、この人の良い面が出ない。
 最後にテレビ『いなかっぺ大将』の主題歌「大ちゃん数え唄」 を披露。この歌は吉田よしみ、と名乗っていた頃の天童よしみ。元になった漫画の作者は川崎のぼる。「巨人の星」と同じ作者だなんてことは・・・知っている人は、知っている。
 真打昇進披露興行に顔づけされているのだから、毎日「前座ブルース」でもいいんじゃないだろうか。この人なんだから。

入船亭扇好『浮世床』 (13分)
 半公の芝居の夢。こういう江戸っ子が主役の噺、この人はなかなか結構。
 こういう噺を聴きながらも思うのは、落語って勉強になるねぇ、ということ。
 「弥助」が「寿司」のことであるのは、「義経千本桜」が由来なのだが、こういう言葉、大事にしたいねぇ。

柳家さん福『だくだく』 (14分)
 どこかで聴いたような気がしていたが、自分のブログを検索してみたら、2011年6月、小三治が主任の末広亭で『短命』を聴いていた。そうか、そういえば・・・などと、うっすらと記憶が蘇ってくる。
 あの高座よりは、ずいぶん良い印象だ。四角いが、福々しい顔にも、四年前より貫禄が出てきたようだ。寄席で多彩な弟子を聴くたびに、小さん一門の人材の豊富さに驚くなぁ。

三遊亭小円歌 三味線漫談 (13分)
 前座の小たけを高座に呼んで太鼓を叩かせての「両国風景」の後に、出囃子を聴かせてくれた。
 「野崎」「老松」「序の舞」そして師匠の「二ツ巴」。ぜひ三味線漫談の後輩を育てて欲しいものだが、増える一方の女流落語家に比べ、入門者がいそうにはない。また、若さが勝負の芸でもない。本当に世界遺産的な芸になってきた。まだまだ、頑張っていただきましょう。

川柳川柳『くたばれ山男』 (15分)
 仲入りは、金馬の代演でこの人。ガーコンではなかったぞ。
 新宿の山小屋風飲み屋に現れる、山男風の男のネタも楽しかったが、やはり、ガーコンを聴きたかったなぁ。そろそろ、体力的にきつくなったのかなぁ、などと心配もしてしまった。

春風亭朝也『あくび指南』 (18分)
 くいつきは、二ツ目のこの人。抜擢と言って良いのだろう。
 悪くはないのだが、あくびの師匠が、剣客みたいになっていてご隠居風の味が薄かったように思う。こんな馬鹿な稽古をつけるのは、かつてお大尽遊びをし尽くしたかのような暇な隠居という造形が、今少し欲しい。

ホンキートンク 漫才 (10分)
 ロケット団の代演。この人たちにしては、今ひとつの出来。時間に追われたか、という印象。

柳家三三『お血脈』 (13分)
 こういう噺もするんだ、と思って聴いていたが、やはり上手いなぁ。
 ガッツ石松が時代劇映画に出演し、夏の暑い日の撮影後に楽屋で鬘を外して、「江戸時代の人は大変だっただろうねぇ」というギャグは、小朝譲りの伝統か。

柳家一九『町内の若い衆』 (11分)
 兄いの女房の科白に感動(?)した後の帰り道、自分の女房との違いを思いながら、「なんで、一緒になったのかな・・・(女房にも)いいとこがあったはずなんだが・・・思い出せねぇなぁ」の科白が、妙に可笑しかった。 
 師匠のトリのために短く仕上げたが、寄席ならではの一品だった。

翁家勝丸 太神楽 (10分)
 翁家社中の代演で、一人での太神楽。
 この人の軽妙な語りを交えた芸、嫌いではない。

柳家小満ん『小言幸兵衛』 (25分 *~16:28)
 間違いなく以前にも絶品のこの噺を聴いているとは思ったが、帰って調べてみて、2010年10月の人形町らくだ亭まで遡るは思わなかった。 
2010年10月29日のブログ
 その時の記事にも書いたが、最初の師匠文楽版を下敷きにしているが、この人ならではの楽しい味付けもあって、実に素晴らしい高座。
 最初の威勢の良い江戸っ子の豆腐屋に、少し言葉を丁寧にしろ、と「頭にオン、最後にタテマツル」と言うクスグリは、前にもあっただろうか。『妾馬』を連想し、くすっと笑った。
 二人目の言葉が丁寧な仕立て屋には、「この段、かい。九段なら靖国神社だね」なんてぇのも好きだなぁ。
 「仕立屋だから“営む”かい。それじゃ提灯屋は張りなむ、飴屋はベトナムだ」の最後のベトナムは小満んの工夫かと思うが、この科白は前回聴いた際は幸兵衛が全部言っていたような気がする。この日は、提灯屋なら張りなむ、の後「なぁ、婆さん」と話者を婆さんにふって「飴屋なら、ベトナムですね」と言わせたが、会話のふくらみが出て良かった。
 仕立て屋の倅のことをたずねる場面、「目鼻の配置、たてつけ、造作はどうなってる」、なんてのも好きな科白だ。
 仕立て屋の倅、鷲塚杢太左衛門と古着屋の娘お花の二人が、幸兵衛の仕方話で向島で心中する場面の可笑しさもたっぷりだし、三人目の花火屋までをしっかり。
 この高座、今年のマイベスト十席候補としないわけにかいかない。


 さぁ、昼の部はお開き。
 夜に備えて助六で腹ごしらえである。
 
 夜の部、真打昇進披露興行は、別途記すことにしたい。
 
Commented by saheizi-inokori at 2016-04-10 21:32
いよいよ大決心ですね。
お大事に、あ、まだ夜の部があるんでした。
Commented by kogotokoubei at 2016-04-11 04:59
>佐平次さんへ

ご心配をおかけし、恐縮です。
ようやく、そういう時間も取りやすくなってきて、ということでもあります。
夜の部は、しばらくお待ちのほどを。
早起きしてマスターズを見ながら書いていますが、松山が4番、5番でボギー・・・頑張れ!
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by kogotokoubei | 2016-04-10 19:27 | 寄席・落語会 | Comments(2)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛