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噺の話

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『野崎詣り』という、上方ならではのネタ。

 三代目桂春団治のことについていくつか記事を書いた。

 生で聴いた最後の高座『お玉牛』を、忘れていた恥もご披露した(^^)

 それらの記事へのコメントを含め、上方落語界について貴重な情報を度々いただく方のご好意で、三代目の『野崎詣り』の音源を聴くことができた。

 こんな楽しい、そして、上方落語の一つのエッセンスの塊のような噺はないように思う。

 この噺は、実際に聴かなければその味わいが分からないだろうし、上方落語にあまり馴染みのない方には、やや理解するのは難しいかもしれない。

 今回は、詳しい筋書きは書かないが、優れた上方落語の目利きによる本から、この噺についての記述を少し引用したい。
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『米朝ばなし』(講談社文庫)

 まず、『米朝ばなし』から、引用。

 船の中でごちゃごちゃいらんことばかりしゃべるので相棒が「ちょっと陸(おか)を見い。え、ぎょうさん歩いてくるヤツがあるやろ。あれつかまえて喧嘩するねん」「喧嘩するちゅうたかて、船の中と陸の上。石投げられたら、逃げ場がないがな」「野崎参りの喧嘩は言い合いばっかりで、どつき合いはない。これに勝ったら一年中の運がええ、ちゅうねん」

 船と陸(おか)との口喧嘩、という設定の空間的な広がりと、その内容の、なんとも上方ならではの可笑しさが、この噺の魅力だろう。

 三代目は、初代からこの噺を十八番とする春団治としての伝統を、しっかり継承していた。

 次に、この本から。
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関山和夫著『落語風俗帳』(白水Uブックス)
 落語と仏教や説教との関係に詳しい、関山和夫著『落語風俗帳』には、次のようにこの噺の良さを評している。
 観音信仰は、地蔵信仰とともに近世における民衆の信仰の中心的地位を占めたのである。落語の『野崎詣り』は、道中描写が中心で、ご本尊の観音さまやお染・久松比翼塚のことなどにまで及んでいないが、道中描写だけで滋眼寺尊崇の様子は十分に察知できる。仏教・生活・娯楽(芸能)を一体化とした昔の日本人の生活構造の様はこれで活写されているのだ。

 ネタそのものも優れているが、「活写」できるかどうかは、演じる噺家次第である。
 三代目の音源を聴いてから、関山さんのこの表現に、ただ頷くばかり。

 私は、別途、音源を手に入れるつもりだ。
 調べてみたら、『お玉牛』も含むCDが発売されている。

 残された財産ともいえる音源を楽しみたいし、私にとって最後の高座を含め、三代目を偲びたいとも思う。

Commented by 山茶花 at 2016-02-09 21:15 x
お邪魔します。

「野崎詣り」は、5月第一週に行われます。私も一度だけ行った事がありますが、関西一円から大変な人出です。JRの野崎駅には、沿線(東西線で繋がっている福知山線も含む)からの応援の駅員が出ておられる程です。駅員の名札に「宝塚駅」等が表示されていますから。

「野崎詣り」といえば、東海林太郎氏の「野崎小唄」でご存じの方も多いと思います。流石に現役で歌っておられた頃は存じませんが、多くの歌手がカバーしておられるので関西人でなくても知る人は多いでしょう。そして歌舞伎や文楽「女殺油地獄」や「野崎村の段」お染・久松でお馴染み。今NHKで放送している「ちかえもん」の近松が書いた世話物です。

三代目の出囃子は、「野崎」といってこの「野崎詣り」に関係する曲です。

この噺は、上方落語の「旅噺」というジャンルの一つです。現在の野崎詣りでは、「川を田舟で」という事は出来なくなりました。大東水害以来、高いコンクリートの塀が出来ていますから。皆片町線(愛称:学研都市線)で野崎駅を目指します。片町沿線在住の桂南光さんもよく「野崎詣り」を演じられています。

「米朝ばなし」、私にとってもこの本は大切な本の1冊です。落語の舞台になった地を訪れて、今との違いを感じる事が出来ますから。片町線の車窓から当時の様子を想像しながら野崎駅を私たちも目指しました。

そういえば随分昔、関西ローカルの番組でよみうりテレビで「米朝ばなし」というのが放送されていました。当時の小米朝さんと雀々さんの二人が喜六・清八に扮して落語の舞台を訪ねていました。その時にこの「野崎観音」へも行っていました。
Commented by kogotokoubei at 2016-02-09 21:53
>山茶花さんへ

コメント、ありがとうございます。

「野崎まいり~は、屋形船でまいろ~」ですよね。

季節は、たしかに五月なんですよねぇ。

今日も携帯音楽プレイヤーで、聴いていました。

「深草と浅草なら、少々(少将)の違いやぁ」で、電車の中で笑ってしまいました(^^)

野崎詣りという行事が残っていることは、実に大事だと思いますし、このネタをいつまでも継いでいって欲しいものです。

『米朝ばなし』は、座右の書の一冊です。
今も目を通していました。

金魚すくいをしている女の子の背後に、とうもろこし屋の屋台が見える写真を、眺めていました。
寅さんは、写っていないなぁ(^^)

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by kogotokoubei | 2016-02-07 21:34 | 落語のネタ | Comments(2)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛