噺の話

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サマータイムよりすごい、江戸の知恵-江戸時代の不定時法。

 ラグビーワールドカップの準決勝の現地開始時刻と日本時刻のことで、疑問を感じた方は少なくないのではなかろうか。

 準決勝のスケジュールは、次のようなものだった。
 
 開催日  現地時刻 日本時刻
10/24(土) 16:00   24:00   南アフリカ対ニュージーランド
10/25(日) 16:00   25:00   アルゼンチン対オーストラリア

 「あら、現地は同じ16:00なのに、日本は一時間ずれている?!」

 と思われた方が、いたはず。

 もちろん、ご存じの方も多かったとは思うが、これはイギリスで夏時間(サマータイム)が10月25日で終了することによる。

 Wikipediaの「英国夏時間」から引用する。
Wikipedia「英国夏時間」

具体的な実施期間は、3月最終日曜日1時(UTC)から10月最終日曜日1時(UTC)までの期間。つまり、グリニッジ平均時で3月最終日曜日の1時になった瞬間、英国夏時間が始まり、同日の2時になる。また、英国夏時間で10月最終日曜日の2時になった瞬間、グリニッジ平均時に戻り、同日の1時になる。このため、夏時間の開始日は1日が23時間となり、終了日は1日が25時間となる。

 電車のダイヤが分刻みで計画され、それがほとんど遅れない日本において、こういった夏時間の運用は、難しいかもしれない。

 一年のある一日が23時間になり、また、ある一日が25時間になる。

 ただし、戦後、連合軍(≒米軍)の占領期間に短期間ながら日本も夏時間を導入したことがある。

 サマータイムに反対する人は、いろんな理由を挙げるが、たしかに、さまざまなシステムのソフトウェアの変更などの必要はあるだろう。
 また、東の北海道と西の沖縄での日の出と日の入りの時刻の違いなども、導入に掉さす理由にはなる。

 しかし、地域を限って導入する試みはあって不思議はない。実際に北海道で試験的に実施しようという動きもある。

 江戸時代は、サマータイムよりもっと先進的(?)な「不定時法」という時間を採用していた。
 日の出、日の入りを基準に、自然の変化に柔軟に適合していた江戸人は、私は凄いと思う。

 夏至、春分・秋分、冬至における時刻は、現在の時刻を横軸にすると次のようになる。
e0337777_08540066.jpg


 私がExcelで作った図なので分かりにくいとは思うが、灰色の部分が夜で黄色い部分が日中。
 黄色が始まる、要するに朝が明ける時刻が「明け六つ」になり、灰色が始まる前、日が暮れかかる時刻が「暮れ六つ」となる。

 たとえば、夏至に代表される夏は、現在の時刻で朝4時から5時頃「明け六つ」となり、現在時刻夜7時頃に「暮れ六つ」となる。

 冬至との日の出と日の入りとの時間差は、2時間近い。


 江戸時代の時刻の数え方は、今の時間にして約二時間単位で九つ、八つ、七つ、六つ、五つ、四つとなって、また九つに戻る。この一つの単位を「一時(いっとき)」、あるいは「一刻(いっこく)」と呼ぶ。
 
 目安として現在の時間に相当する一時と、その時間帯を干支に当てはめた呼び方は次の通り。

 九つ:午後11時~午前 1時=子(ね)の刻
 八つ:午前 1時~午前 3時=丑(うし)の刻
 七つ:午前 3時~午前 5時=寅(とら)の刻
 六つ:午前5時 ~ 午前7時=卯(う)の刻
 五つ:午前7時 ~ 午前9時=辰(たつ)の刻
 四つ:午前9時 ~午前11時=巳(み) の刻 
 九つ:午前11時~午後 1時=午(うま)の刻
 八つ:午後 1時~午後 3時=未(ひつじ)の刻
 七つ:午後 3時~午後 5時=申(さる)の刻
 六つ:午後 5時~午後 7時=酉の刻(とり)
 五つ:午後 7時~午後 9時=戌の刻(いぬ)の刻
 四つ:午後 9時~午後11時=亥の刻(い)の刻

 この一時を四つに分けて一つ、二つ、などと呼んだりするので、「草木も眠る丑三つ時」は、今の時間にあえてたとえると、午前2時から2時半くらいの時間帯、ということになる。

 さて、私は何を言いたいのだろう・・・・・・。

 江戸っ子は、自然現象の日の出、日の入りを基準に、現在の定時法的な概念ではなく、四季の移り変わりに応じて、柔軟に時間を管理し運用してきた、ということだ。
 逆に言えば、自然と時間経過が同期していて当たり前であり、暗闇なのに「明け六つ」などという状況こそ、彼らにとっては違和感があったのだろう。

 もちろん、日が昇ったら起きる、沈んだら寝る、という生活のリズムに、時は密着して流れていた、ということも言えよう。

 あえて言えば、サマータイムの先を行っていた江戸時代。

 現代人の生活は、日が昇れば起きて、沈んだら寝る、というリズムではない。
 農作業など、自然との共存が重要な生活とは無縁な人が圧倒的多数にのぼっている。
 一日は24時間であり、23時間や25時間では困る、という人も、少なくないだろう。

 さまざまな理由からサマータイムの導入ができそうにない今の時代、もし、江戸時代と同様の不定時法を採用しよう、なんてぇことを言ったら、役所や企業から「ふてい奴!」と言われそうだ。(おそまつ)


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by kogotokoubei | 2015-11-04 20:36 | 江戸関連 | Comments(0)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


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