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「花燃ゆ」の低視聴率は、主演女優の責任ではない!

NHKの大河ドラマ「花燃ゆ」については、何度か書いてきた。

 予想通り、というと失礼だが、重要人物を意図的に除外して、主役である杉文の活躍の場を無理に作ろうとしたため、時代劇ファン、歴史ドラマ愛好家からソッポを向かれたようで、視聴率は低迷している。

 スポーツ紙のサイトを見ると、「打ち切り」という言葉すら登場し始めた。
 
 視聴率の低迷の責任を主演女優である井上真央のせいであるかのような記事も目にするが、それは違うだろう。

 「幕末学園ドラマ」とか「幕末男子の育て方」などのキャッチフレーズを使っていた、いわば、番組づくりのコンセプトが最初から間違っていたのである。カタカナを使わずに言うなら、「番組づくりの方向性」が誤りだったのだ。

 LITERAによると、「花燃ゆ」は、従来の大河に比べ、次のように制作発表が大幅に遅れたようだ。
LITERAの該当記事

ジャーナリスト・鵜飼克郎氏が「SAPIO」(小学館)2014年2月号や「週刊ポスト」(同)15年1月30日号で追及。これらの記事によれば、制作発表までの経緯はまさに“異例続き”だったという。通常、大河ドラマの制作発表は放送開始2年前の5月~8月にされる。だが、『花燃ゆ』の場合は極端に遅く、13年の12月まで発表がずれこんだ。また、発表の直後に鵜飼氏が山口県萩市を取材したところ、例年なら制作発表を終えているはずの13年9月になって初めてNHK側が萩市の観光部へ「山口県に何か大河ドラマの題材がありませんか」と聞いてきたのだという。題材も主人公も未定で「舞台」だけが先に山口県に決まった形跡があることを、鵜飼氏は「不自然きわまりない」と書く。



 こういった情報から、このドラマの不振につながる経緯は次のように推測できる。

(1)NHK籾井会長が、安倍晋三に媚び、出身地長州で大河をつくることを決めた
(2)スタッフが、会長の意向を受けて調査。しかし、幕末長州の有名な歴史上の男性は
  短命な者が多く、女性を主役にしたドラマを模索
(3)久坂玄瑞と小田村伊之助の二人に嫁ぎ、長命だった杉文を知り、主人公とした

 発表が遅れていたこともあり、、急ぎここまでを先に決めたのではないか。

 しかし、その後調べれば調べるほど、杉文の地味な実像が浮かび上がってくるのだが、決めてしまった以上、彼女を主役のドラマにしなければならない。

 結果として、松陰を妹として支える役割を、長女の千代ではなく文に与える。千代はNHKの番組サイトの系図にすら登場しない。
 また、松下村塾に久坂や高杉といった優秀な人材を結びつけるに当たっては、松陰の盟友と言える中谷正亮が重要な役割を担ったのだが、それさえも文の手柄としてすり替えた。もちろん、中谷はドラマに登場しない。

 そういった歴史の捏造は、大河を長年見てきた歴史好きの方や、時代劇愛好家には、すぐ分かる。
 また、久坂玄瑞は藩医として剃髪していたのだが、イケメン俳優の頭髪がふさふさしているのも、細かなことだが、歴史の捏造である。

 また、若者や女性を意識し、視聴率アップを狙って多くのイケメン俳優を起用した「学園ドラマ」風の脚本や演出が、逆に安易なドラマづくりと映って若い視聴者も逃げていった、ということだろう。

 主役の井上真央は、与えられた脚本通りに頑張れば頑張るほど、ありえない歴史を演じることになる。
 しかし、彼女は被害者と言える。

 来年の「真田丸」が、間に合うはずもないので、途中での打ち切りはありえないだろう。
 しかし、今さら杉千代や中谷正亮を登場させるわけにもいくまいし、久坂の頭髪を剃り上げることもできないだろう。

 視聴率が10%を切るのは時間の問題だと思う。その責任は、主役にあるのではなく、プロデューサーや演出家、脚本家にあり、その元凶はNHK会長だろう。
 
 ハイヤー問題などを含む内部告発や、政権べったりの姿勢などに関する元経営委員の方の非難などが絶えないのに、いまだにあの会長が辞職しないのは、ひとえに安倍晋三の庇護があるからとしか思えない。

 このままあの会長が居座るのであれば、受信料不払いが広がり、NHKならではの報道番組などの制作にも影響するだろう。

 「花燃ゆ」の打ち切りは難しくとも、会長の‘打ち首’はできるはずだ。
 松下村塾の塾生のような気概を持った職員もきっといるはず。
 NHKは、幕末の志士たちを見習って、世直しならぬ組織の立て直しを実行して欲しい。
Commented by 犬飼多吉 at 2015-04-15 19:07 x
お久しぶりです  お言葉に甘え、またお邪魔します。
落語は、昔の歌奴さん 圓歌師匠が好きで、テープまで買ったぐらいですが・・・
あまりコメントできるほど語れません  ですが大河にはものすごく言いたいことが・・・・語らせてください。

私は大の大河ファンでした  過去形(笑)  でも、ここ10年近く ほとんど見てません
なんだかんだ言っても、良かったのは 「利家とまつ」 ぐらいまででしょうか?
「武蔵 MUSASHI」は原作と似ても似つかぬものになったし、「義経」では家来役の南原(ウッチャンナンチャン)が殺されるときコントのような死に方・・・・まるでドリフのコント  あのあたりから私の大河熱は冷めました。

それでも「篤姫」「清盛」(視聴率は悪かったらしいが)は時代考証的にも見れたものだと思いました。
「龍馬伝」も良かったですね  大森南朋、真木よう子と、お気に入りの役者を発見できたのも良かったです。
でも、ここ4年ほど全然見てません。
私なりに分析すると昔のような、時代考証をちゃんとした 有名な作家じゃなく 急場で脚本家が書いている(ご指摘の「花燃ゆ」みたいに)
役者がいない・・・何かイケメン、人気のあるジャニーズ使ってりゃいいわいという安易な発送・・・・おかげで本当らしさ、迫力がない
昔は新国劇の大物とか、丹波哲郎、三國さんみたいな重量感のある人が戦国武将したから、緊迫感がありました。

それに今年でいえば、籾井が安倍に媚びた・・・この噂の時点で見る気なし
決して真央ちゃんの責任じゃない!(井上真央は好きですから・・・笑)
逆に大河以外のNHK時代劇・・・風の峠もそうだし、「ぼんくら」岸谷五朗主演 も良かったと思います。
肝心の看板番組が・・・・(ため息)   やはり看板ということで力が入りすぎ安易な人気取りに走るから、本来の固定ファン(真面目な時代劇を見たい)が離れるのでは?と、思います。

Commented by 小言幸兵衛 at 2015-04-15 21:37 x
熱いコメント、誠にありがとうございます。

大河の好みや、最近の大河への付き合い方が、私も犬飼さんによく似ています。

「花燃ゆ」は、時代考証担当にも責任がありますね。
原作なしで脚本家次第となると、やはり時代考証の面がしっかりしないと、脚本家の不勉強が、そのままドラマに反映されてしまいます。
それを補う仕事ができていません。

少なくとも司馬遼太郎、あるいは古川薫の原作を元に、松陰を主役にドラマづくりをしていれば、もっと見るに耐えるものになったはずです。

新しい木曜時代劇、前作に比べると、やはり劣ります。

中途半端に実在の人物を取り上げるより、歴史的な背景をしっかり踏まえたフィクションの方が優れた歴史ドラマになる場合があります。

藤沢周平や葉室麟の作品を、それ相応のスタッフでドラマ化した場合の方が、ずっと見ごたえがあるでしょう。

今後も、気軽にお立寄りください。

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by kogotokoubei | 2015-04-09 00:57 | 歴史ドラマや時代劇 | Trackback | Comments(2)

あっちに行ったりこっちに来たり、いろんなことを書きなぐっております。


by 小言幸兵衛