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「花子とアン」、そして「マッサン」でも登場する歌、‘The Water Is Wide’

 一昨日のNHK朝の連続ドラマ「マッサン」の冒頭で、エリーが生まれ故郷スコットランドの民謡‘The Water Is Wide’を口ずさんでいた。
 「花子とアン」もご覧の方は、懐かしい思いにかられたのではなかろうか。

 「花子とアン」における前半の重要のシーンで登場した歌だ。山梨から東京のお嬢様学校「修和女学校」に編入したはなは、慣れない寄宿舎生活や厳しい英語漬けの毎日に心がくじけそうになり、ホームシックにかかっていた。
 そんなはなは、夜中にこっそりと訪ねて来る父との塀を挟んだ会話に勇気づけられていたが、その父との会話の最中、寄宿舎の二階から聞こえてきたのが、カナダにいる恋人と遠く離れた異国の地にいるスコット先生による、恋人を想うこの歌だった。スコット先生の美声が、はなに英語を真剣に学ばせる一つのきっかけになった。そして、このスコット先生が、その後、はなに「Anne of Green Gables」を渡すことが、アンの物語を翻訳することにつながっていく。

 エリーは、スコット先生が歌っていたあの曲を口ずさんでいたのである。
 スコットランド民謡‘The Water Is Wide’、邦題は「悲しみの水辺」。

 原曲の歌詞と私のつたない和訳を記したい。
 なお、この‘water’は、海と解釈した。
 ‘I’、は男女どちらとも解釈できるよう、私、とした。

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The Water Is Wide

The water is wide, I cannot cross over.
And Neither have I wings to fly.
Give me a boat, that can carry two,
And both shall row, my love and I.

 この海は広過ぎて、私には渡れません
 飛んでいく翼もないのです
 二人を運ぶ船をください
 そうすれば、愛する人と漕いで行けるのに

Now love is gentle and love is kind
The sweetest flower when first it's new
but love grows old and waxes cold and fades away
like morning dew

 恋はやさしく、心をなごませます
 恋が芽生えた時は甘美な花のようです
 だけど時が過ぎるにつれて
 まるで朝露のようにはかなく消えていくのです

There is a ship and she sails the sea
She's loaded deep as deep can be
But not as deep as the love I'm in
I know not how I sink or swim

 彼女は船で海に漕ぎ出します
 出来る限りの積み荷で船は沈んでいます
 でも、私の愛はもっと深いので
 沈んでしまうのか、水面に浮いていられるのか
 わかりません

The water is wide, I can't cross o'er
And neither have I wings to fly
Give me a boat that can carry two
And both shall row, my love and I
And both shall row, my love and I

 この海は広過ぎて、私には渡れません
 飛んでいく翼もないのです
 二人を運ぶ船をください
 そうすれば、愛する人と漕いで行けるのに
 そう、愛する人と漕いで行けるのに
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 私がこの歌で思い出すのは、カーラ・ボノフ(Karla Bonoff)だ。
 1951年12月27日生まれ。
 1977年に自分の名前を冠した‘Karla Bonoff’というアルバムでデビュー。

 ‘The Water Is Wide’は、1979年にリリースされた二枚目のアルバム‘Restless Nights’(ささやく夜)に収録されている。

 ソニーミュージックのサイトから、このアルバムについて引用。
 SONYmusicサイトの該当ページ

繊細なシンガー・ソングライター的なデビュー作に比べ、ポップ寄りの楽曲が増えた2ndアルバム。前作と同じリンダ・ロンシュタット~ブリンドル陣営のミュージシャンを中心に、新たにドン・グロルニック(p)、デヴィッド・リンドレー(g)らが参加。オープニングを飾る「Trouble Again(涙に染めて)」は、リンダ・ロンシュタットが歌いたいと申し出たにもかかわらず、自分で歌いたいからと断ったという逸話が残るほどの自信作。本国では大きなヒットにはならなかったが、日本ではラジオを中心に人気を獲得した。トラディショナル・ナンバーに加筆した「The Water Is Wide(悲しみの水辺)」のアコースティック・ギターはジェイムス・テイラー。(1979年作品)

 ちなみに、リンダ・ロンシュタットは、1989年の大ヒットアルバム‘Cry Like A Rainstorm, Howl Like The Wind’に、‘Trouble Again’を収録した。このアルバムの中の‘All My Life’もカーラの曲。リンダは、カーラの曲に惚れ込んでいたようだ。

 さて、‘The Water Is Wide’を含むアルバム‘Restless Nights’は私のお気に入り。携帯音楽プレーヤーの定番だ。
 収録曲と作者は次のようになっている。

"Restless Nights"
1. Trouble Again(Karla Bonoff, Kenny Edwards)
2. Restless Nights(Karla Bonoff)
3. The Letter(Karla Bonoff)
4. When You Walk in the Room(Jackie DeShannon)
5. Only a Fool(Karla Bonoff)
6. Baby Don't Go(Karla Bonoff, Kenny Edwards)
7. Never Stop Her Heart(Karla Bonoff)
8. Loving You(Karla Bonoff)
9. The Water Is Wide(Traditional)

 YouTubeの下記の画像が、このアルバムのジャケット。
 
 カーラ・ボノフの‘The Water Is Wide’、お聴きのほどを。心が癒されませんか。


Commented by マッサン at 2014-11-29 17:57 x
癒されます^v^!

Commented by 小言幸兵衛 at 2014-11-29 21:11 x
コメントありがとうございます。
もちろん、この曲もいいですが、これを機にカーラ・ボノフを聴いていただく方が増えるとうれしいと思います。

Commented by BlackWolf125 at 2014-11-30 17:39 x
「マッサン」でもこの歌が流れていたような気がしたので検索したらこのブログにたどりつきました。
カーラ・ボノフ・・・
名前だけは知っていましたが良い声ですね。
この CDを見かけたら購入してみようかな。

私のブログでもこの歌を紹介していますので、興味がありましたら訪問してみてください。

Commented by 小言幸兵衛 at 2014-11-30 18:01 x
コメントありがとうございます。

貴ブログ拝見しました。
ニール・ヤングも歌っていたんですね。
知りませんでした。
あのテレビのおかげで、カーラ・ボノフという地味~な歌い手さんを聴く方が増えるなら、副次効果として嬉しいかぎりです。

Commented by BlackWolf125 at 2014-11-30 21:58 x
小言幸兵衛さん>

ブログ見て頂きありがとうございます。
幸兵衛さんのプロフィールを見ますと「年間で寄席・落語会へは40~50回位の頻度。」とのことで、凄いですね。

落語は昔 NHKのラジオ放送でよく聴いていたのですが近頃は聴かなくなりました。
最近では新聞で紹介されていた新作落語の「三遊亭圓丈」の落語を YouTubeで聴いて、これは面白いと思ったくらいですかね。

「Nelson's Navigator for Modern Jazz」も訪問してきました。
JAZZも良いですね・・
私、2ホーンのJAZZが好きです。

Commented by 小言幸兵衛 at 2014-12-01 09:00 x
今年も、四十数回、寄席や落語会に行っている勘定になります。
ほぼ週に一度、という感じです。
多いと言えば多いですが、落語愛好家の中にはもっと凄い(?)方もいらっしゃいますよ。

もし、落語にご興味を感じていただけたのなら、古今亭志ん朝をお奨めします。

ジャズの2ホーン、私も好きです。
クリフォード・ブラウンとハロルド・ランド、マイルスとコルトレーン、ベニー・ゴルソンとカーティス・フラーなどなど。

今後も気軽にお立ち寄りください。

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by kogotokoubei | 2014-11-27 06:09 | 今週の一曲、あるいは二曲。 | Trackback | Comments(6)

あっちに行ったりこっちに来たり、いろんなことを書きなぐっております。


by 小言幸兵衛