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噺の話

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通ごのみ 扇辰・白酒二人会 日本橋劇場 10月23日

この会、同じ日本橋でも、社会教育会館から日本橋劇場に変更になった。

 結構多くの方が以前の会場に行ってしまったと思う。白酒も間違えたらしい。まくらで言っていたが、ネタではなさそう。そして、居残り会仲間のYさんも^^

 生の落語は7日の鈴本以来だが、一か月くらい聴いていないような感じ。

 ここ数年10月の中旬が何かと忙しくて落語会や寄席に行けないため、その後の最初の落語会は、いわば自分への褒美のつもりでいるが、時期的に昨年同様この会になった。

 会場に着くと、巡り合わせでオフィスエムズの加藤さんご自身が、もぎり役。大手町落語会のことで会場に関する小言を書いていたので、内心少し気まずい思いをしながら、チラシをいただく。(悪気はないんですよ、ほんとに。)

 前売りで一階席は完売していたが、ほぼ満席。二階席にも数名のお客様。

 次のような構成だった。
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(開口一番 林家つる子『のめる(二人ぐせ)』)
桃月庵白酒 『茗荷宿』
入船亭扇辰 『五人廻し』
(仲入り)
入船亭扇辰 『一眼国』
桃月庵白酒 『死神』
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林家つる子『のめる』 (12分 *18:45~)
 この人については何度か小言を書いているが、今までの中では、もっとも良かったと思う。まず、無駄なまくらをふらなかった。二人の描写もなかなかに滑らか。声に好き嫌いがはっきり分かれるのは致し方ないだろう。今後、どのように落語の世界や芸能界で歩んでいくのかは分からないが、まぁ、頑張ってもらいましょう。

桃月庵白酒『茗荷宿』 (23分)
 ロビーで販売しているCD(昨年のこの二人会、10月の『首ったけ』と3月の『犬の災難』)を、少し宣伝。たしかに、去年の『首ったけ』は非常に良かった。結構カットされたらしいが、デジタル編集で分からなくなっているとのこと。昨年の会にご関心がある方は、ご確認のほどを。2013年10月19日のブログ 
 その後、いまだに落語界の入門者の数が‘高止まり’していることや、とある会社の慰安会の高座で、社長だけが張り切っていて社員はひたすら終演を心待ちにしている、という経験談をふってから、どんな商売も楽なものはない、と飛脚のことにつなげて本編へ。約10分のマクラだったので、本編は十数分の寄席の尺。
 大師匠の馬生から伝わる一門のネタと言ってもよいのかもしれない。飛脚が足をけがして宿に泊まる。挟み箱には、なんと百両。宿の夫婦が、茗荷づくしの料理で挟み箱を持っていくのを忘れさせよう、という作戦が始まる。
 聴きながら、なぜ天ぷらがないのかと思っていたら、飛脚に白酒も聞かせた。宿の主人いわく「面倒だから」。なるほど、茗荷をそのまま切って「茗荷の刺身」と出す宿だけのことはある。小品だが、こういう噺は好きだなぁ。

入船亭扇辰『五人廻し』 (38分)
 お約束の楽屋で白酒が‘食べている’というネタ。今回は、たい焼き^^
 遊び場所がなくなってきたが、人の遊び心もなくなってきたのでは、と語る。その例として、松島うちわ。たしかに、あんなの貰っても嬉しくはないし、大騒ぎすることはない、という論もわからないではない。しかし、私は、「あれは氷山の一角」と思いながら聞いていた。
 まくらが9分位あったので、本編を非常にコンパクトに仕上げたことになるが、その内容は充実していた。
 登場順に、次の五人が、喜瀬川の廻しの相手。
 (1)江戸っ子 (2)官吏風の男 (3)田舎者 (4)半可通 (5)お大尽(杢兵衛風)
 最初の江戸っ子は、お手の物。越後育ちの江戸っ子(?)、と言える啖呵が結構。しっかり、吉原の沿革を立て板に水でまくしたてた。官吏風の男が、病気の妻の了解のもとで吉原に来た、と最後は泣く場面は、せつなくも、笑える^^
 「ここへ、こっ。こっけこー」の田舎者は、最後のお大尽と被らないように声の調子を上げて特徴を出していた。しかし、役割的には、どうしても被るよねぇ。
 「せつ」と「げす」の半可通も可笑しかった。火箸を若い衆の背中に押し付けようとする、初代小せん作のくすぐりも、しっかり。
 その小せんが練り上げたこの噺は、ふられ役が四人なので、田舎者が二人出ることはない。この噺を聴くたびに、ネタの題はともかく、四人でよいように思うなぁ。小せんの創作では、最後に関取を出す演出もあって、一之輔がその型で演じていたのを聴いたことがあるが、やはり最後は喜瀬川に登場して欲しい。扇辰は喜瀬川を、淡々と演じていた。妙に悪ぶった花魁にしないのも、結構だったと思う。若い衆(喜助)の狂言回し役も効果的で、まったくダレることがなかった。
 扇辰の高座は、人物の個性をこの人ならではの顔や仕草、声の調子などで演じ分けて見事。静と動、明と暗、叫び声と呟き、そんな強弱の効いた演出の妙が見受けられた高座、今年のマイベスト十席候補としたい。

入船亭扇辰『一眼国』 (18分)
 仲入り後に再登場。昔の見世物に関するまくらは、『蝦蟇の油』とも共通する。だから、「べなだよ、べなー」などを聴くと、円生の『蝦蟇の油』の音源を思い出す。
 見世物小屋の主(あるいは興行主)に問いただされ、ようやく自分の恐怖体験(?)を語る六部が、なんとも凛々しい男に描かれている。白酒の一席目同様、寄席向けの小品なのだが、師匠譲りの伝統の芸であろう、楽しく聴かせてもらった。

桃月案白酒『死神』 (27分 *~21:00)
 扇辰とは違う観点から、松島うちわネタ。たしかに、あの写真が載っているカレンダーなど、毎日眺めたい人はおるまい^^
 小渕ネタもふくめ8分ほどのまくらから本編へ。だからネタは20分前後。これほど短く刈り込んだ、そして破天荒な設定の『死神』は、初めてである。死神がデブ、というのは、自分が演じるなら、痩せた死神は無理、という開き直りかなぁ^^
 この死神が、橋から身を投げて死のうとしている主人公に、「一度でいいから、一所懸命生きてみろ!」と言うのだから、驚く。
 枕元に死神がいる伊勢屋の主人を助ける策に「か~ごめ~、かごめ~」が使われるなど、独特の工夫がされていて、挑戦心は認める。次は、「マイムマイム」かもしれない^^
 しかし、これほど怖くないこの噺とは、いったいなんなの、という印象は拭えない。私の頭が固いのかもしれないが、この噺は、あの‘ゾクゾク感’が楽しいのだ。少しダイエットしてもらって、本寸法で演じて欲しい^^


 終演後は、久しぶりに会った居残り会創設メンバー(?)の一人Yさんと、神保町のジャズバーで居残り。実は、私は夕方も近くで野暮用を済ませてこの店に顔を出していたのだ。
 Yさんとは拙ブログにいただいたコメントからお付き合いが始まったのだが、ジャズもお互いに大好き。そして、このお店、2000年代のヨーロッパのジャズプレーヤーが50年代を思い起こす結構な音を聴かせてくれるので、きっとYさんも喜ぶはず、と日本橋のネオンを後にお連れした次第。Yさんは予想通りに、喜んでくれた。
 イタリヤ、オランダ、スペインなどのプレーヤーが、ハードバップの香りのする音を奏でる。つい、ウィスキーのピッチも上がるのだった。

 もちろん、帰宅は日付変更線超え。
 しかし、最近は飲んでも朝は早く目が覚める。年かなぁ。
 思い返すと、昨年は白酒の好調ぶりが目立ち、扇辰を少し心配したが、今回はそれが杞憂であったことが分かった。
Commented by ほめ・く at 2014-10-24 23:08 x
久々に扇辰の良い高座に出会えました。扇辰の持つある種の狂気が『五人廻し』に出ていた気がします。
白酒の『死神』は、ああいう演出もアリかなと思います。白酒流改変版ということで。

Commented by 小言幸兵衛 at 2014-10-25 07:17 x
やはり、いらっしゃいましたね。
扇辰は、こういう噺に持ち味が発揮されますね。
たしかに、白酒らしい『死神』とも言えるでしょうが・・・・・・。
『幾代餅』も白酒は大爆笑ネタにしてくれますが、どうしても『死神』はおちゃらけにして欲しくないような気がします。
あっ、そうか。白酒が言っていたように『見送り人』とでも題を替えてもらいましょう^^

Commented by 佐平次 at 2014-10-25 10:38 x
白菜主体の鳥鍋をつついておりましたです。

Commented by 小言幸兵衛 at 2014-10-25 10:46 x
鍋の季節になりましたねぇ。
次回の居残り会は、鍋かな^^
なんでもいいんですけどね、落語の話という美味しい肴がありますから。

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by kogotokoubei | 2014-10-24 06:15 | 寄席・落語会 | Comments(4)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


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