噺の話

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「神田連雀亭」や、二ツ目のことについて。

7日の鈴本の後の居残り会で、佐平次さんと話題の一つになったのが、志ん輔がプロデュース役を担って旗揚げした「神田連雀亭」のこと。呑んでいた居酒屋さんからも、そう遠くはなかった。

 朝日、10月1日の記事をご紹介。朝日新聞の該当ニュース

落語「二ツ目」専用の寄席、オープンへ 東京・神田
山根由起子 2014年10月1日12時02分

 「二ツ目」と呼ばれる若手芸人専用の寄席「神田連雀亭」が11日、東京・神田に開館する。仕掛け人は落語家古今亭志ん輔さん(61)。落語家、講談師らが出番を待つ。落語協会も落語芸術協会も「二ツ目の専門館は、全国で初めてではないか」という。

 「神田連雀亭」は35席で、神田須田町のビルのワンフロアに誕生する。料金はぐっとおさえて500~千円だ。二ツ目は東京の落語家の階級で「前座」とトップの「真打ち」の間。

 きっかけは、ビルのオーナーの加藤伸さん(70)が6月ごろ、志ん輔さんに町おこし対策として、空きフロアの活用を相談したこと。志ん輔さんが「寄席で出番が少ない二ツ目の活躍の場を」と提案した。落語協会、落語芸術協会、講談協会、日本講談協会などに呼びかけると、総勢約80人の「二ツ目」が賛同した。

 「仕事帰りや昼休みに立ち寄って気軽に楽しんでほしい」と志ん輔さん。11日に出演予定の二ツ目、古今亭始さん(30)は「若手で切磋琢磨(せっさたくま)したい。神田で昔ながらの寄席の雰囲気を出せたら」と話す。

 地元も歓迎だ。神田須田町はもとは連雀町といい、明治時代は旅館が立ち並んでいた。今もあんこう鍋や汁粉など老舗の店が残る。

 須田町北部町会会長を務める「藪蕎麦(やぶそば)」の堀田康彦社長(70)は「バブル崩壊後にビジネス街への転換が進み、昔の面影を残せないかと思った。寄席で人情味あふれる活気が取り戻せれば。店にチラシを置くなど、地元も支援したい」。

 連雀亭は千代田区神田須田町1—17、加藤ビル2階。毎月20日までの平日昼は午後0時半~1時半、夜は午後7時~8時半。土日祝日は午後1時~2時半。21日~月末は貸席。(山根由起子)



 二ツ目が活躍する場は、非常に限られている。ビルの加藤オーナーと志ん輔との共同作業とでも言う試みによる、新しい寄席「神田連雀亭」の誕生を、心から喜びたいし、応援もしたい。

 志ん輔の日記風ブログ「志ん輔日々是凡日」では、この企画の進捗が、結構詳細に記されている。
「志ん輔日々是凡日」

 最近は、メディアの取材が増えていることが書かれている。

 9月24日の記事に、“朝日新聞のY女史”として登場する方が、紹介した記事を書かれた記者なのだろう。
「志ん輔日々是凡日」の9月24日の記事

 志ん輔は、ある危機感をもって、この仕事を進めているのだろう。それは、二ツ目さんの人数に比べ、その芸を磨く場所が極端に少ないのだ。志ん輔自身が二ツ目の時代と比べても、その人数ははるかに増えている。
 しかし、生でお客さんの前で修行する場は、あまりにも少ない。

 自分の弟子、始の日常を知ることで、それが切実な問題であることを実感しているのだろう。

 
 今、二ツ目さんは、いったい何人いるのか。
 
 まず、落語協会のサイトから全員の名前を並べてみる。ご存知のように、司から、ぬう生までの十名が、来春同時に真打昇進するが、その後に、相応の数の前座が二ツ目になるだろうから、昇進予定者も含めて一覧化してみる。
落語協会サイトの「芸人紹介」ページ

(1)三遊亭 司
(2)柳家 喬之進
(3)三升家 う勝
(4)柳家 麟太郎
(5)入船亭 遊一
(6)金原亭 馬治
(7)金原亭 馬吉
(8)柳家 さん弥
(9)柳家 右太楼
(10)三遊亭 ぬう生
(11)林家 彦丸
(12)月の家 鏡太
(13)林家 たけ平
(14)林家 ぼたん
(15)台所 鬼〆
(16)林家 ひろ木
(17)春風亭 朝也
(18)柳家 ろべえ
(19)三遊亭 時松
(20)鈴々舎 馬るこ
(21)桂 三木男
(22)柳亭 こみち
(23)古今亭 志ん八
(24)古今亭 駒次
(25)柳家 さん若
(26)柳家 花ん謝
(27)林家 たこ平
(28)古今亭 ちよりん
(29)柳家 わさび
(30)柳家 喬の字
(31)初音家 左吉
(32)柳家 ほたる
(33)三遊亭 たん丈
(34)春風亭 一左
(35)三遊亭 歌太郎
(36)柳亭 市楽
(37)三遊亭 歌扇
(38)三遊亭 粋歌
(39)柳亭 市江
(40)柳家 小太郎
(41)春風亭 正太郎
(42)三遊亭 めぐろ
(43)古今亭 志ん吉
(44)柳家 小んぶ
(45)柳家 緑君
(46)柳家 花いち
(47)三遊亭 美るく
(48)春風亭 ぴっかり
(49)鈴々舎 八ゑ馬
(50)林家 はな平
(51)林家 さん歩
(52)春風亭 一蔵
(53)柳亭 市弥
(54)入船亭 小辰
(55)林家 まめ平
(56)三遊亭 日るね
(57)林家 扇
(58)柳家 かゑる
(59)柳家 さん光
(60)林家 木りん
(61)柳家 花ごめ
(62)古今亭 志ん松
(63)春風亭 朝之助
(64)古今亭 始

 次に落語芸術協会。まだ、来年の真打昇進者の発表はない。昨年と同様なら12月に発表なのだろう。
 芸術協会の「二ツ目」一覧には、講談の二ツ目さんも含まれている。
落語芸術協会サイトの「芸人プロフィール」(二ツ目)のページ

(1)春風亭 笑松
(2)三笑亭 朝夢
(3)神田 きらり
(4)三笑亭 夢吉
(5)橘ノ 圓満
(6)三笑亭 可女次
(7)昔昔亭 桃之助
(8)笑福亭 和光
(9)桂 夏丸
(10)神田 蘭
(11)瀧川 鯉斗
(12)橘ノ 双葉
(13)柳亭 小痴楽
(14)昔昔亭 A太郎
(15)瀧川 鯉八
(16)春雨や 雷太
(17)三遊亭 小笑
(18)春風亭 昇々
(19)春風亭 昇吉
(20)笑福亭 羽光
(21)春雨や 風子
(22)桂 宮治
(23)神田 松之丞
(24)神田 あっぷる
(25)春風亭 柳若
(26)春風亭 昇也
(27)桂 翔丸
(28)三遊亭 遊里
(29)春風亭 吉好
(30)柳亭 明楽
(31)山遊亭 くま八
(32)神田 真紅
(33)笑福亭 竹三

 ほぼ、落語協会の半数。

 宮治は、二ツ目の香盤で、22番目。来年以降、毎年5人づつ真打に昇進しても、五年後の昇進かぁ。

 二つの協会合計で97名、約100名の二ツ目さんがいる。

 もちろん、師匠が出演する落語会に出る機会もあるが、落語会では前座さんが雑用を含め開口一番を務めることが多い。
 ある程度の実力者は、先輩真打から落語会への出演を依頼されることもあるが、その対象者は、ごく少数である。

 寄席では、二ツ目さんは、基本的には、昼夜一人づつの枠を交替で務めている。

 都内四席の定席寄席で、一日に二ツ目さんが出演できる場所は、昼の部と夜の部で、一人の枠しかない。
 たとえば、末広亭の10月上席の昼夜では、次のようになっている。
末広亭サイトの10月上席の番組表

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 番組表には載らない前座の開口一番の次、この場合は、昼の部、時松・こみちの交互出演、夜の部、一左・一蔵の交互出演の一人分の枠しかない。

 芸術協会の寄席では、二ツ目を仲入りの後の“くいつき”の枠に抜擢することもあるが、それは特例。

 出演可能性のある枠は、次のように計算できる。

 2(昼夜1+1)x4(国立を除く定席寄席の数)x30日=240

 一日で8、一か月で240が、二ツ目用の寄席出演可能枠。
 実際には一回の席(十日間)で、2~3名の複数で交互に出演であり、人によっては、なかなか出番が回ってこない。
 仮に、一人づつ寄席の二ツ目の枠に出演したとしても、月に二回半、二カ月で五回、という勘定になる。

 だから、末広亭の深夜寄席、鈴本の早朝寄席などで、二ツ目が研鑽するための場所をつくっているわけだが、それにしても、二ツ目さんの人数を考えると、決して市場は広いと言えない。

 そういう背景があるから、志ん輔の師匠、志ん朝も二ツ目の勉強会などを積極的に支援したし、それは志ん朝が二ツ目当時に薫陶を受けた、円生などの大先輩からの伝統の継承でもあったと思う。

 師匠の命日の朝日の記事で案内された、志ん輔が仕掛ける二ツ目のための寄席開設、できる限り応援したいと思う。
 そして、かつては賑わった連雀の街で、居残りもしたいものだ。

 なお、神田藪蕎麦は、昨年2月に火災のため半焼したのだが、今月20日から再開される。
スポーツニッポンの該当記事

 池波正太郎の愛した神田、そして神田から暖簾分けした並木の藪は、金原亭馬生の行きつけだったことで有名。

 落語の後、蕎麦で一杯というのも、結構だよね。旨い酒のおかげで、食べる蕎麦も「二つ目」になるかも。
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Commented by 佐平次 at 2014-10-09 10:32 x
ぜひぜひ、行きましょう!

Commented by 小言幸兵衛 at 2014-10-09 10:48 x
あの界隈、なかなかオツな店がありそうです。
こちらこそ、ぜひ近いうちに!

Commented by 彗風月 at 2014-10-10 17:17 x
これは楽しみ。同行させてください。

Commented by 小言幸兵衛 at 2014-10-10 18:41 x
ぜひ、ご一緒しましょう!
とは言いながら、今月は難しそうです。

Commented by at 2014-10-13 07:25 x
浅草「並木藪」の馬生というと、
山口瞳が書いた「目と目で交わした無言の会話」を思い出します。
とてもあたたかい場面でした。

Commented by 小言幸兵衛 at 2014-10-13 09:42 x
山口瞳の該当作品は未読ですが、なんとなく察することができます。
マニュアル通りの会話しかできないような店より、目で会話できるような店で旨い肴と酒を楽しみたいものです。
しかし、そこまで行くには、相当通わないことにはね^^

Commented by 櫻川梅一郎 at 2014-11-03 15:54 x
 神田連雀亭に行ってきました。
 本日、上野で用を済ませ、昼頃須田町を歩いていたら、桂三木男さんと神田真紅さんがビラを配っていました。
 千円払って入ったところ、客席が半分くらい埋まってます。最後列でも目の前という感じ。
 演目は、
神田きらり 宮本武蔵狼退治
桂三木男 宿屋の富
神田真紅 桂昌院
古今亭始 粗忽の使者

 講談二席は珍しい。定席では前座の次に10分くらいという高座を何度か見た人ばかりです。今日は時間もたっぷりで、みんな好感が持てました。
 また時間があれば行きたいと思います。

Commented by 小言幸兵衛 at 2014-11-03 16:15 x
行かれましたか。
きゃたぴら寄席の祝日の席、ということですね。
講談も、しばらく聴いてないなぁ。三木男や始も寄席ではできない尺でしっかり、なのですね。
早く、私も行かなきゃなぁ。
ご報告、誠にありがとうございます。

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by kogotokoubei | 2014-10-09 00:56 | 二ツ目 | Comments(8)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛