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噺の話

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鈴本演芸場 10月上席 夜の部 10月7日

落語協会の会長を辞してからの小三治の高座を聴きたくて、そして、人間国宝のご尊顔を拝みたくて(^^)、なんとか都合をやりくりし、鈴本へ。

 6時少し前、仙三郎社中の途中で入場。七割ほどの入りだったろうか。最終的には八割に近かったかもしれないが、池袋のように立ち見ということはない。

 初めから聴けた内容について記す。好印象の高座にをつけておく。

柳家三之助『壺算』 (17分 *18:01~)
 久し振りだが、芸がしっかりしてきた、という印象。もともと、丁寧な高座に好感を持っていたが、江戸の香りも増してきたような、そんな気がしながら聴いていた。なんとかこの人に間に合うように来て良かった。

古今亭菊志ん『五目講釈』 (13分)
 菊朗の頃から好きな人だったが、最近は、なかなか聴く機会がなかった。
 久し振りに、楽しく聴かせてもらった。この噺は、持ち味であるスピード感に相応しいと思う。会場からも爆笑を誘っていた。
 「まぜ合わせるのがうまい」「そりゃあ、そのはず、生薬屋の若旦那だ」という、伝統的(?)なサゲも好きだ。

柳家小菊 俗曲 (12分)
 いつものように、都々逸などで彩りを。
 二上がりで、「羽織着せかけ行き先訪ね すねて箪笥を背で閉め」なんてぇなぁ、この人ならではだなぁ。
 しかし、居残り会で前から2列目で見て聴いていた佐平次さんが指摘されて同感だったが、この方は、語りから芸に移る時、つい「素」に戻ったような表情を見せるのが、残念ではある。小円歌、うめ吉にはない艶っぽさがあるだけに、流れを止めるほんの少しの瞬間が、非常にもったいない気がする。

柳家花緑『権助提灯』 (13分)
 久し振りだ。一之輔の代演。上手いとは思う。子供の頃からの噺家さんだとは感じる。
 しかし、このネタなら文菊に劣る。本妻もお妾さんも、なんとまぁ元気なこと。そして、設定が、この女性二人が仲が良い、としていたが、そんな単純なものではなかろう。口では相手を立てて旦那に「向こうにお泊りを」と言っているものの、その内心は嫉妬の炎も燃えているはず。そういった女性心理を土台にしてこそ、この噺の味が出てくるはず。

遊平・かほり 漫才 (15分)
 居残り会で、この二人の漫才について佐平次さんと意見が一致。
 かほりにいじられる遊平が、洒落ではなく可哀そうに思えてきては、漫才の芸としては問題だ。ネタも、コンビニのように二十四時間子供を生める産院なんてネタは、あまり笑えない。服装も、一般人のよそ行きのようで、芸人のそれとは思えない。辛口になったが、他にもっと小三治主任の芝居に相応しい人はいるだろう、と思いながら聴いていた。

柳家はん治『君よ、モーツァルトを聴け』 (22分)
 仲とり。この人の好きな、当代文枝の新作のようだが、初めて聴いた。途中までは、なかなか可笑しい場面もあるのだが、サゲがなんとも・・・・・・。
 『鯛』や『背なで老いてる唐獅子牡丹』、『ぼやき居酒屋』など、作者よりこの人で生きる新作は多いが、この噺はサゲを改良すべきだと感じた。

花島世津子 奇術 (13分)
 くいつきはこの方。久し振りだ。三年ほど前、栄枝主任の末広亭以来。
 最近、とある事情(?)で、志ん朝の大須演芸場での独演会の音源をよく聴いているが、大須にも出ていたようだ。志ん朝のまくらで「せっちゃん」という言葉があった。
 こういう人の何気ない芸と語り、寄席には必要である。

柳家小三治『お化け長屋』 (45分 *~20:51)
 鈴本に久し振りに帰ってきた屏風の話題から。前座時代の鈴本のことを思い出し、「それだけ歳をとったのだろうが、気持ちはまったく今も変わらない」。しかし、「同窓会に出ると、みんなお爺ちゃんにお婆ちゃん」。
 最近眼鏡の度を合わせて“よく見えるよう眼鏡”になってから鏡を見たら・・・・・・などと続けた。
 楽屋で聞いたばかりのノーベル賞のことから、湯川秀樹のことやブルーレイのことへ。
 その昔はノーベル賞を日本人が受賞したら「鬼の首を獲った」ような騒ぎだったが、その後受賞者も増え、今では、「鬼もいなくなった」、で笑った。
 その後は、どうも話がまとまらず「今日は、体調が悪い」「どうせ、噺家の言うことですから」などの言葉でも、会場は沸く。
 落語家と噺家の違いなどから、噺にはいろいろあって、と昔の怪談噺のことにつなげてから本編へ。
 まくらは約20分。よって本編は約25分。 
 居残り会で佐平次さんと話題になったのは、「どうも、志ん生のような芸風になってきたようだ」ということ。途中で、一瞬の間があるのだが、なんとか科白をつなぐ様子が、志ん生の音源を聴いているような心持ちにさせる。 
 長屋の連中が物置にして重宝している部屋を大家が貸そうとするが、古狸の杢兵衛さんが怪談話をして新しい店子に部屋を貸さないようにする。その怪談話、最初に来た気の弱そうな男に語る時に、前段で泥棒が入る部屋の住人の説明をすべきなのをとばして、いきなり「雨のしとしと降る晩に泥棒が入った」と始めてしまうあたりも、なんとも自由奔放、の趣。次に威勢のいい職人に語る際に設定を補足するので、全体としてはなんとか辻褄を合わせていた。この二人目の職人が、杢兵衛が怪談話をじっくり聞かせようとするところで、「テキパキやれ!」のひと言には、笑った。
 計算してそうした訳ではないだろう、噺の途中停車(?)を少し心配もしながら聴いていた。
 良く解釈するなら、古希を過ぎた味のある芸風に向かいつつあるのだろう。
 こういう高座を聴くと、「志ん朝なら、どうなっただろう・・・・・・」と、せんないことを考えてしまう。


 終演後は、すでに書いたように佐平次さんと居残り会。佐平次さんの知っている湯島天神下の老舗の居酒屋へ。

 四十代の四代目(?)との、楽しい会話も良い肴になった。志ん生が寄席に行く前に裏口から店に入ってくると、曾お婆ちゃんが湯飲みに入れた酒を差し出す。志ん生が耳に挟んでおいた隠し金で酒代を払おうとすると、「お茶だから、いらないよ」と言って飲ませたらしい。い~い、話やなぁ。
 しっかり大正14年から続く店の伝統を守りながら、現代風の肴もとり入れようとしているようで、ぜひまた行きたいお店。
 もちろん、落語の話も盛り上がったのは、すでに少し書いた通り。両関の熱燗が何本空いたのやら、閉店時間となり気持ちよく店を後にした。
 帰宅の電車も途中まで佐平次さんと一緒。辰野隆、渡辺京二、吉村昭のことなど、車中の会話も実に楽しかったなぁ。

 若干、日付変更線を超えた帰宅。録画しておいた「マッサン」を観て、風呂に入り爆睡であった。

 それにしても小三治、なんとも自由な感じの高座だった。志ん生、そして馬生の口癖、「何でもいいんだよ」を思い出す。
Commented by 佐平次 at 2014-10-08 13:57 x
それにつけても吉川某が憎らしい^^。

Commented by 小言幸兵衛 at 2014-10-08 14:00 x
吉川某と、伊集院某は、我々の共通の敵ですね^^
楽しかったですね、居残り会も含めて。

あの店、また行きましょう!
その前に、新宿かな。

Commented by hippopon at 2014-10-08 14:26 x
こんにちは
小三治さんが、、選ばれた。
その意義を一度漢字に行かねば、と思えるようになりました。

伊集院某をインテリだと信奉するものに、
下ネタやられました。

ある場所で拝見しましたが、、
自己管理できない人に、、、というおもいができました。

なんかすっきり、、
おはなのこころではありませんが、

吉本、吉本もどきが日本を馬鹿にすると言う思いは同じです。ゴロゴロ会館に観光バスがとまるのですが、、

高座に観光バスをとおもいますね。
バスツアーもあんいにながれちゃって。

今日は月食も、そして末広がりの八の大安です。

正統派の笑い、あらためて、がんばって!

Commented by ほめ・く at 2014-10-09 10:01 x
やはり両雄お揃いで鈴本へ行かれましたか。
”語りから芸に移る時、つい「素」に戻ったような表情を見せる”小菊のあの表情が何とも色っぽくて堪りません。チキショー、吉川のヤツめ。
遊平・かほり、病気や高齢でベテランが高座に立てなくなった今、落協の漫才師では最も香盤が高い位置になってしまいました。あの芸ではダメですね。かほりをシャベクリの主体にしてますが華が無いのが難点です。大助・花子と比べてそこが決定的に違います。

Commented by 小言幸兵衛 at 2014-10-09 10:46 x
あら、小菊が「素」に戻る瞬間の色っぽさ、ですか!
人によって、色気を感じるセンサーが違いますものねぇ。
たしかに、「ぞくっ」とくるかもしれません。
いずれにしても、憎っくき吉川某です^^

落語協会の色物芸人さん達の高齢化は、ちょっとした問題ですね。
順子・ひろし、のいる・こいるの芸が恋しい今日この頃です。
笑組、ホームラン、ロケット団、ホンキートンクなどに将来を期待します。

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by kogotokoubei | 2014-10-08 06:21 | 寄席・落語会 | Comments(5)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛