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噺の話

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新宿末広亭 正月二の席 夜の部 1月17日

仕事の都合などを考えると、友の会の一月末までのチケットを使えそうな日が限られているので、都合と顔ぶれとの相談から昨夜は末広亭へ。主任の小三治が休演なのは承知。

 六時少し前、美智・美登の奇術の途中から入場。好みの下手桟敷の中央部が埋まっており、久し振りに椅子席へ。後ろから三列が貸切になっており、その前の空席を確保。

 喬太郎から聴くことができた。結果として、すべての高座が良かったので、落語はピンクで染まる。

柳家喬太郎『擬宝珠』 (11分 *18:00~)
 短いマクラから十八番の一つへ。もちろん短縮版なのだが、肝腎な筋、聴かせどころには抜けがない。何より十分未満と思える時間で、客席もしっかり沸かせた、その技量に感心した。寄席でこういう高座を目の当たりにすると、この人の凄さをあらためて認識させられる。

五街道雲助『ざるや』 (10分)
 こちらも短時間で十八番を披露。いつ聴いても笑える。演じている噺家も楽しんでいることが伝わるのが、良い。

柳家権太楼『黄金の大黒』 (15分)
 「ついこの前、マッカーサーが来たかと思ったら」の懐かしいマクラから本編へ。
 長屋の連中が、絽の羽織に古新聞を裏打ちしたものを羽織って一人一人口上を言う場面が頗る楽しい。てっちゃんが曲馬団の玉乗りの口上のように「東西(とざい)、とーざい・・・・・・」とやれば、きっつぁんは上がり性で何を言っているかわからない。金ちゃんは、「大家のガキと長屋のぼっちゃんが」で笑わせる。久し振りの権ちゃん、元気で良かった。

江戸家猫八・子猫 物まね (11分)
 正月ということで特別の親子出演なのだろう。個々の技量で言うと、子猫は相当追いついてきたのではなかろうか。自分らしい味も出してきたし、今後が楽しみだ。

柳家小はん『親子酒』 (10分)
 金馬の代演。こういうことも寄席ならでは、である。私は、小はんの何とも言えない味が好きだ。ところどころに、「えっ?!」と驚かせるクスグリがあったりする。息子との禁酒の約束を破って飲み始めた親父。女房に向かって「乾きもんがありゃぁいいよ。乾きもんたって、おまえのことじゃない」とか、酔っ払った親父を見て怖い形相をしている女房に、「屋根瓦だって雪化粧すりぁ、もう少し色気があらぁ」なんて、いいよねぇ。

柳家小満ん『時そば』 (14分)
 仲トリは金馬に替わってこの人。最初に蕎麦屋を騙す男の江戸っ子ぶりが、なんとも恰好がいい。「おらぁ、蕎麦っ食いだからね。麻布の永坂まで喰いに行く」と言うのだが、その永坂更科と言う老舗は、旨いらしいが蕎麦の量が少なく値段が高いので有名。蜀山人も「更科のそば好けれど高稲荷 森を眺めて二度とこんこん」と狂歌に残している位だ。だから、時の数え方のトリックで一文誤魔化そうなんてケチな男が行きそうな店じゃないのだが、この江戸っ子の兄いなら行きそうに思わせる。だから、蕎麦屋も騙されるとも言えるなぁ。粋で結構な高座でした。

太神楽社中 壽獅子 (7分)
 仲入りの後は、正月らしい壽獅子。仙三郎社長と和楽社中の協同作業。高座の下手に薦かぶりにしつらえられた正月飾りも借景となり、縁起の良い出し物だった。最前列の下手にいらっしゃったお客さんが祝儀を渡し、獅子に頭を噛んでもらっていた。粋だなぁ。社中の中では、和助の笛の上手さが際立ってた印象。もちろん、寄席の吉右衛門の太鼓も結構。

柳家小袁治『女天下』 (15分)
 『かんしゃく』『堪忍袋』の作者でもある益田太郎冠者作の噺だが、私はこの人でしか聴いていない。と言っても、2009年の浜松町かもめ亭以来なので、すいぶん時間が経つ。
 その時とほぼ同じマクラ。先代の正蔵に楽屋で「男は自分のカカァをカミさんなんて言っちゃいけません。カカァ、愚妻です」と注意されたが、志ん朝師匠には「俺も同じように怒られた。でも、考えもんだよ。俺は自分のカミさんのいる前で他人に愚妻って言ったら、えらく叱られた」という逸話だ。
 棒手振りの金太、銀行員の山田さん、そして根津先生という三人が、そろいもそろって妻に頭があがらない、という設定で笑いを生む噺。もっと他の噺家さんがかけても良さそうだが、カミさんへの遠慮なのだろうか^^

春風亭一朝『湯屋番』 (14分)
 いいなぁ、この人のこういう噺。居候している若旦那が働き口として湯屋を紹介され、その番台での妄想がネタの中心となるが、一朝の若旦那には茶目っ気と江戸っ子の粋とが同居している。短いながらもしっかり会場を沸かして、さっと下がる。これも、江戸っ子の芸。

柳家はん治『ぼやき居酒屋』 (14分)
 定番の新幹線におけるヤクザとの遭遇、というマクラから十八番へ。昨年、大学の同期会の余興で演じて結構受けたのだが、はん治の高座に、まだまだ自分の芸が未熟だったことを悟った(当たりまえだ^^)。はん治の見た目は凄さを感じさせないのだが、十分に練り上げられた芸、実は周到な計算の上に立っていることを発見した思いだった。

林家正楽 紙切り (10分)
 誕生日ということで、出番直前に下座さんが「ハッピーバースデイ」を弾いていたようで、楽屋の笑い声が聞こえた。
 ご挨拶代わりの「羽根突き」リクエストで「節分を切る正楽さん」「東京五輪」「大黒様」を見事に披露。ここでも、獅子舞に祝儀を出したお客さんが「正楽さん」をリクエストし、誕生日祝いを渡していた。身内の方かなぁ。

柳家さん喬『妾馬』 (34分 *~21:03)
 代バネは、代わりにハネるという意味と説明。マクラでは楽屋のネタ帳に、文楽、小さん、正蔵などの名前を見つけると、前座時代からの時間を感じる、とのこと。文楽は兄さんと呼べる・・・正蔵は「コラ、正蔵!」と言える、三平は足蹴にする・・・は冗談、で会場が沸く。
 黒紋付で登場したので、ネタの予想が当たった本編は、少し短縮されてはいるが、兄弟子の代わりを務める気合いの入った高座。大家に八五郎が呼び出される場面から、最後は八五郎の都々逸に“ぎっちょんちょん”「さのさ節」のあと、「殿さん、どっかに飲みに行こうか」までをしっかり。


 主任小三治は休演だったが、この顔ぶれの良さである、今年の初寄席は、充実していた。ハズレのない寄席というのは、珍しい。
 帰宅し、「ごちそうさん」を見ながら飲み、途中で外で満月から一日経ったとは言え、見事な月を見て一服。その日の高座を振り返りながら酒もすすみ、少し歩きまわった一日だったので眠気が差した。ブログは翌日ということにして風呂に入り熟睡したのだった。やっぱり寄席はいい。
Commented by 創塁パパ at 2014-01-19 08:08 x
行きたかったのですが、年明けから大クレームの火消で大変です(嘆)

Commented by 小言幸兵衛 at 2014-01-19 08:12 x
消えない火事はない、ということで^^
また、近いうちにお会いしましょう!

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by kogotokoubei | 2014-01-18 09:56 | 寄席・落語会 | Comments(2)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛