人気ブログランキング |

噺の話

kogotokoub.exblog.jp
ブログトップ

新宿末広亭 12月下席 夜の部 12月27日

三年続けて落語納めを末広亭の今松で迎えることができた。

 六時少し前に入った時は、東京ガールズの途中。一服してから下手の桟敷へ。

 演者とネタと所要時間、そして感想を記す。良かった高座にをつける。

三遊亭窓輝『権兵衛狸』 (14分 *18:00~)
 狸がどうやって権兵衛さんの家の戸を叩くのかは、先代小さんと懇意にしていた狸に聞いた、というクスグリにのみ「クスッ」としたが、他は笑いようがない内容。この人の高座の出来は波があるなぁ。まだ父のDNAを感じるような高座には出会っていない。

桂藤兵衛『色事根問』 (16分)
 昨年は『商売根問』だった。この人の名跡そのものが上方に起源があるから、上方の噺が元来好きなのだろう。まだまだ東京に移植されていない上方の名作はある。ぜひ積極的に上方ものをかけて欲しいと思う。
 さて、この噺。ある男が別な男に、どうすれば女にもてるかを尋ねての掛け合いが中心。次の十のうち一つでもあれば女性にもてる、らしい。
 ①見え(見た目の良さ)②男(前)③金④芸⑤精(精を出して働く姿に女は惚れる)⑥オボコ(世慣れていないと年増が惚れる)⑦科白(喧嘩の仲裁の科白、など)⑧力⑨肝(度胸)⑩評判
 芸のところで「宇治の蛍踊り」に会場が沸く。果たして私には・・・この中のどれもないなぁ。もてないはずだ。

あした順子 漫談 (14分)
 途中で前座の三遊亭わん丈を呼び出して“ひろし”役にした。「龍馬音頭」(?)での踊りも披露。元気に相方の復帰を待つ姿に、ぜひとも、あの順子・ひろしの漫才をまた見たいと思い、少しジーンときた。

柳家喬之助『宮戸川』 (15分)
 本編は悪くなかったが、マクラが少し冗長でややリズミも悪かった。現代風のサゲはまぁまぁ笑えたが、高座はマクラとネタの全体のバランスが大事。もっとネタ自体で勝負して欲しい。随分良くなったので、妙にウケを狙わないで欲しいものだ。

柳家小満ん『馬のす』 (12分)
 仲入り前はこの人。このネタを聴けたのは幸運だった。
 マクラも実に結構で、マンホールに釣り糸をたらしている男に通りがかった人が「何が釣れるんですか?」と聞くと、「あなたで三人目です」という本編につながる楽しい小咄。銀座の床屋での話にも笑えた。
 最初の師匠文楽が、三代目三遊亭円馬に二十八日間通って稽古してもらったが「やればやるほど難しくなる」と語っている。こういう噺がしっかり継承されているのがうれしい。枝豆を食べる場面は時間の関係で短かったように思うが、この日一番の高座だった。

三遊亭歌奴『佐野山』 (14分)
 講談では『谷風の情け相撲』。マクラで円歌に入門志願した時のことを語っていたが、ちょっと書けない内容もあったなぁ。笑えたけど。本編での大相撲の場内アナウンスが楽しかった。久し振りに聴いたが、やはりこの人はいい。

浮世亭とんぼ・横山まさみ 漫才 (15分)
 とちった部分で笑いが起こったが、私はこのリズムの悪い芸、感心しない。

吉原朝馬『鮑のし』 (16分)
 一門の十八番。この人の持ち味は飄々とした軽さにあると思うが、それがプラスにもなればマイナスの要素ともなる。この日の高座は、ややマイナスにつながった気がする。途中で「うけてないよ」という言葉など挟んではいけないなぁ。

桂南喬『替り目』 (11分)
 寄席に不可欠な人だ。このネタも何度か聴いているが、その度に楽しませてくれる。マクラで「下戸の人は、一生シラフなんですよ。そういう人とは付き合いたくないですねぇ」には同感なのだが、呑みたくても体質で呑めない人もいるからなぁ・・・・・・。しかし、呑める人と楽しい時間を過ごすことは、やはり私もすきなのだよ。
 時間調整のためだろう、おでんのネタによるクスグリは割愛したが、こんな短時間でも十分に客席を沸かせた。

アサダ二世 奇術 (10分)
 珍しく、と言うと失礼だが鮮やかな手さばきだった。トランプの芸で手伝ったお客さんのトボケぶりでも笑った。

むかし家今松『富久』 (37分 *~21:12)
 二年前が『風の神送り』、昨年が『品川心中~通し~』だった。今松ファンで初日から皆勤で記録をつけられているブログ「毎日が落語日和」を拝見していたので、「今年も『風~』かな」などと思っていたら、なんとこのネタ。
 この噺にはいくつか過去の名人たちの型、というか設定の違いがある。
 (ご興味のある方はこちらをご参照のほどを2008年12月25日のブログ) 
 今松の場合は、久蔵の長屋は浅草三間町、旦那のお店は芝の久保町、富札が鶴の千五百番までは、旦那の住まいが日本橋石町であった師匠馬生の設定ではなかったものの、基本は古今亭の型だった。しかし、富興行の場所は志ん生親子の椙森(スギノモリ)神社ではなく、可楽や小さんの湯島天神にしていた。
 また、久蔵が旦那のお店に駆けつけて箪笥などを運ぼうとする件、志ん生のように風呂敷を柱にひっかける、という『粗忽の釘』(上方の『宿替え』)のような演出にせず、文楽のように久蔵に力がない、ということで演じていた。
 このへんは、他のネタとツクのを避けたのか、今松の久蔵という人物像としての結果なのかは分からない。
 大師匠は、久蔵の願掛けの場面での調子の良さや、自分がどうやって火事を撤退させたかという法螺話など、とにかく天才的なくすぐりで笑わせながら、ノー天気で尻の軽い幇間、非常にいい加減な男として久蔵を描いている。
 文楽は、久蔵が火事見舞いの来客を受け付ける場面のリズムの良さ、酒の肴に「なんごのワタ抜きめざし」といった逸品(?)を登場させる工夫、久蔵が安倍川町の自分の住む長屋へ息せき切って駆けつける場面などで客席を沸かせる。
 しかし、あくまで今松なのである。感情の起伏を表現したのは、サゲ前に久蔵が富札を火事で焼いたと思い込みうなだれる場面と、鳶の頭(かしら)から大神宮様を預かっていると聞いてからの頭とのやりとり位で、後は、なんとも淡々とした展開。しかし、これが、この人の持ち味なのである。


 終演後は、忘年居残り会だ。YさんとYさんのお友達のMさん、そして今年ブログを通してお会いすることができたOさんと曙橋の蕎麦屋さんへ。
 新鮮な鳥の鍋も結構だったし、他の料理も旨かったが、何より落語や音楽などの趣味の話題が最高の肴。飲み放題で調子に乗って、熱燗徳利が何本空いたのだろうか。名残惜しくお開きとなり、渋谷で乗り換えた時点で日付変更線は超えていた。一夜明けて、ようやくブログを書き終えた次第。

 さて。これから昼食をとって気合いを入れ直して、今年のマイベスト十席の選定である。
Commented by 創塁パパ at 2013-12-28 16:41 x
やはり、寄席は最高。来年もよろしくお願いします。

Commented by 小言幸兵衛 at 2013-12-28 18:50 x
居残り会のお蕎麦屋さんも結構でした。
こちらこそ、来年もよろしくお願いします。

Commented by ほめ・く at 2013-12-28 21:06 x
先日何気なくBSをつけていたら、珍しく桂藤兵衛が出演。この人を初めて見るという女房や、普段は落語に興味のない息子が、揃って上手いなぁと感心してました。「そうだろ」なんて言いながら、結構嬉しかったですね。
十のうち一つだけ自慢なのは「金」。あれ?これはもしかして「きん」ではなく「かね」ですか。それじゃダメだ。

Commented by 小言幸兵衛 at 2013-12-28 21:20 x
八代目正蔵の弟子なんですが、あまり名は通っていないんですよね。
なかなか渋い噺家さんです。
「金」は、もちろん「カネ」です。
私もダメです。それどころか十の全てがアウト^^

Commented by 水カステラ at 2013-12-28 21:26 x
私も当日の夜六時すぎに入りました。
しかも下手の桟敷です。
私が入ったときは順子さんのときでしたが。
小言幸兵衞さんとほとんど感想が一致しているのも面白いです。
歌奴は圓馬ではなくて圓歌でしょうか。
小満んは芸人としてドスが効いてるというか高座が絵になる人ですね。噺がまた良かった。
南喬は時々すっとぼけて以外な言葉が出てくるところがなんとも見過ごせません。
漫才はロケット団の予定だったはずなんですが....残念でした。
トリの今松は仰るとうりで感情移入し過ぎないところが良いのでしょうね。
小津調で淡々と.....ちょと違いますかね。
鈴本の方も気になったのですが体はひとつですので。
「マイベスト十席」.....楽しみに致して居ります。
良いお年を!

Commented by 小言幸兵衛 at 2013-12-28 21:39 x
二日酔いで勢いのまま書いたので、やはり誤字がありましたね。円歌に修正しました。ありがとうございます。

もしかすると、私とごく近い位置にいらっしゃったんですね。
なんとなく、分かります^^

マイベスト十席は、明日の楽しみということでお待ちください。
実は、滅茶苦茶、悩んでいます。

Commented by 櫻川梅一郎 at 2013-12-29 21:29 x
 ご無沙汰してます。
 私は、26日に行きました。
 つる子 手紙無筆
 粋 歌 コンビニ参観
 とんぼ・まさみ
 歌 奴 新聞記事
 喬之助 短命
 東京ガールズ
 白 鳥 ランゴランゴ
 藤兵衛 花色木綿
 正楽(順子代演)
 才賀 台東区の老人達
 小満ん 時そば
  中入
 きく麿 撤去します
 ロケット団
 朝 馬 くも駕籠
 南 喬 狂歌家主
 アサダ二世
 今 松 天狗裁き

 でした。 始めに亭主賀眠る場面(普通は、寝ている亭主を起こすところから始まりますよね。)や天狗の出るきっかけは、他の方にない展開でとても楽しめました。
 歌奴、藤兵衛、小満ん、南喬各師やロケット団も楽しく聴きました。

Commented by 小言幸兵衛 at 2013-12-29 21:55 x
お久し振りです。

六日目も、なかなかの番組でしたね。

 今松の『天狗裁き』は、師匠の型を継承しているはずなので、近所の寅さんが蛇をまたぐ夢を見てから運が回ってきたと聞いた女房が、朝起きたばかりの亭主に、「あんたも縁起のいい夢を見て!」と無理やり寝かせるのが幕開きだったかと察します。
 今松、スルメのような噺家さんで、噛めば噛むほど味がでますね。
 来年も気軽にお立寄りください。

名前
URL
画像認証
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by kogotokoubei | 2013-12-28 08:14 | 寄席・落語会 | Comments(8)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛