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噺の話

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西山太吉元記者の“爪の垢”を、全マスコミ人は煎じて飲め!

沖縄返還密約事件の西山太吉さんが、参院の国家安全保障特別委員会に参考人として登場されたらしい。
「時事ドットコム」の該当記事

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参院国家安全保障特別委員会で21日、参考人として答弁する西山太吉氏。西山氏は沖縄返還に関する機密公電をスクープ報道し、国家公務員法違反で有罪が確定。取材の自由について社民党が意見聴取を求めていた。 【時事通信社】



 ジャーナリストとしての貴重な成果が、男女の“情を介した”不正な情報漏洩事件という週刊誌ネタのスキャンダルにすり替えられた、あの事件の西山記者である。
 
 この方は、どうしても“さん”づけでお呼びしたい。昭和6年生まれなので、今年82歳。

 西山太吉さんは、先週は日本記者クラブで会見したようだ。
朝日新聞サイトの該当記事

(新ポリティカにっぽん)「秘密国家」に挑む記者魂
2013年11月19日19時10分

 臨時国会は、戦後日本の危うい曲がり角になりそうである。むろん、それは国家安全保障会議の設立と特定秘密保護法案の行方にかかっている。

 小泉純一郎元首相が「原発ゼロ」を改めてぶちあげた日本記者クラブで、先週末、西山太吉さんの会見があった。沖縄返還密約事件で山崎豊子さんの描く小説「運命の人」となった彼がこの秘密保護法案をどう見るか、それを聞いてみたかった。

■沖縄密約 シラを切り続ける無責任さ

 「日本はもともと秘密体質なんだ。そのうえに秘密保護法をつくるだなんて、どんな秘密国家をつくろうというのかね」

 1972年の沖縄返還の裏に、米国が負担すべき土地原状回復費用を日本が肩代わりする密約があったことを暴いた西山さんの話は具体的である。

 2000年、アメリカは日本との沖縄返還交渉の外交文書を一挙に公開した。そこには西山さんがつかんだ密約が明らかにされていた。ふつうはそれで日本政府も兜(かぶと)を脱ぐだろう。ところが違った。外務省は密約の当時のアメリカ局長吉野文六氏を呼んで「密約は一切ないと言ってくれ」と口止めをした。吉野さんはOKした。外務省はあわてて日本側の資料を焼却した。1200トンに及ぶ量だった、と西山さんは語った。

 2006年、吉野さんは良心の呵責(かしゃく)からか、「密約に私が署名した」とマスコミに告白した。それでもなお、当時の安倍晋三官房長官、麻生太郎外相、河相周夫北米局長は「密約はない」と言い張った。このシラの切り方は尋常な「秘密体質」ではない。

 「アメリカでは、キューバ侵攻が失敗だったとケネディも認めた。イラク戦争の大量破壊兵器はなかったことも認めた。イギリス議会もイラク戦争を徹底検証した。これが普通の先進国である。日本にはそれがない」

 私は朝日新聞在社当時、夕刊「にっぽん人脈記」を主宰していたので、松本一弥記者に世界に飛んでもらって「イラク戦争検証」の連載記事を書いてもらった。元防衛官僚の柳沢協二さんが「検証 官邸のイラク戦争」という本を出した。しかし、政府与党として「自衛隊派遣」の是非についての検証と反省はまったくしていない。「秘密国家」は、過ぎ去ったことはそのままヤミに葬る「無責任国家」でもある。

■「スパイ防止法案」 反対した谷垣氏は

 1987年、当時の中曽根康弘内閣が提出したスパイ防止法案(なんと最高刑は死刑!)に谷垣禎一現法相らが「われら自民党議員、『スパイ防止法案』に反対する」という雑誌論文を発表して、結局、廃案になる。

 谷垣さんはいま、秘密保護法案をどう考えるのか。

 「私も論文を読み返してみたけど、そんなに間違っていないと思うよ。ただ、そのときといまと違うのは、この間、情報公開制度が進んだことだね。秘密、秘密といわないで、むしろ公開して国民の理解を求めるというほうがいい場合があると思うけどね」

 とは思うけれども、それを強くいえば、安倍政権の足並みを乱すことになるので控えているということらしい。


 谷垣さんがむしろ心配するのは、重要な文書を大臣の判断ひとつで「廃棄」処分できることだそうである。法務省にも戦前の秘密軍法会議記録などが保存してあるそうで、谷垣さんはそれを国立公文書館に送り公開したいと考えている。それとは逆に、外務省が「沖縄密約を焼却処分した」という西山さんの話がほんとうだとすれば、谷垣さんが指摘する「大臣の一存での廃棄」は歴史を偽る犯罪的行為だともいえる。

■鉄壁の官僚機構、「制度」ができると……

 西山さんの話に戻る。秘密保護法案をどう見るか。

 「これだけ分厚いものを張り巡らされると『知る権利』など行使できない。日本は鉄壁の官僚機構である。そこに『制度』ができると、官僚は拡充に動き出す」

 つまり、秘密保護法という「制度」ができてしまえば、日本国官僚はそれを最大限に利用し、秘密を拡大するということである。それは民主主義に反する。


 では、それを突破するのは?

 「内部告発しかない。アメリカのニューヨーク・タイムズもワシントン・ポストも内部告発でキャンペーンした」

 ダニエル・エルズバーグのペンタゴンペーパー「ベトナム機密文書」から最近のスノーデン事件まで、アメリカは「内部告発」の歴史がある。日本にはそんな勇気ある官僚が出てくるか。

「内部告発がなく、私のようにやれば、社会通念に反する(取材だ)と」

 西山さんは外務省女性事務官と「情」を通じて秘密電文を入手したと起訴された。政府の「密約」という背信行為をスキャンダルにすりかえられた。

 「それならば、これから私は平気で社会通念に反するよ」


 おそらく秘密保護法ができても、それを恐れずにスクープを追う記者は必ず出てくるだろう。政府はバカだね。真のジャーナリストはこんなことでへこたれない。ともあれ、西山さんの会見の最後の言葉に、私は凄(すさ)まじい記者魂を感じた。

 (早野透=桜美林大教授・元朝日新聞コラムニスト)



 アメリカが日本との沖縄返還交渉の外交文書を公開し、密約の事実が明らかになってさえ、為政者はその歴史を捻じ曲げようとした。歴史は、時の権力者によって作り替えられるという一つの証しだが、なんともひどい話ではないか。
 そして、安倍右傾化政権は、「真実なる報道」を今まで以上に妨げるための足かせとなる法案を無理強いしようとしている。

 「平気で社会通念に反するよ」という爽快な西山さんの言葉が胸に響く。西山さんにとっては、政府の秘密を暴き出したジャーナリストとしての行動を下半身スキャンダルにすり替えた為政者や裁判官、その片棒をかついだ同業者たちこそ“社会通念に反する”という固い信念があるのだろう。

 さて、今日、報道に携わる人々に、西山さんの万分の一でも、そういった固い信念があるのだろうか。

 かつて朝日新聞で田中角栄の番記者などを務め、現在大学教授になった早野透が言うように、“秘密保護法ができても、それを恐れずにスクープを追う記者は必ず出てくる”のだろうか。私は、今のままでは相当怪しいと思っている。

 今日のメディア人の中では、まだマシな方だと思っているTBS「報道特集」の金平茂紀が、「Web論座」に次のような記事を書いている。
「Web論座」の該当記事

秘密保護法案、マスメディアの人間は組織の「空気」とどう向き合うか
2013年11月21日

 特定秘密保護法案について書く。と言っても、この法案の中身の検証ではない。この法案は端的に言って欠陥法案であり、このまま法制化されると取り返しのつかないことになる。私たちマスメディアで仕事をしている人間にとっても、その拠って立つところの「取材・報道の自由」が著しく制限され、ひいては国民の「知る権利」が大きく侵害される。

 現時点(11月20日)では、まだ特定秘密保護法案は衆議院を通過していないが、与党(自公)とみんなの党や日本維新の会との間での修正協議がさくさくと進捗しており、来週中にも衆議院で採決が行われるのではないかとの見通しだ。

 そうした状況のなかで、マスメディアで仕事をしている有志らが集って、この法案の廃案を求める小さな集いと、森雅子担当大臣への要請文提出を行った(20日の午後3時)。これからどういうことになるのか、わからない。僕もボランティア・ベースで、賛同者へのお誘いなどをやった。

 そんなことをしていくなかで考えたことがある。それは、メディア論の世界では「メディアの内部的自由」などというカテゴリーで括られている問題だ。

 マスメディアで働く記者やディレクター、編集者、制作者らが、自分の報道倫理とは相容れない報道や表現を所属組織から命じられた場合にそれを拒否できるかどうか。一方で、「メディアの内部的自由」は、自らの報道倫理に照らして見解を表明せざるを得ない場合に、個人として所属組織との間でどのような折り合いをつけるのかという問題とも隣接している。

 賛同者にお誘いした人の反応のなかに、「特定秘密保護法案に対する反対表明の趣旨には『個人的には』もちろん賛成だが、自分は組織に所属している人間なので、今、賛同者に加わることができない」という人がいた。

 あるいは、僕がお誘いをすると、すぐさま上司に許可を取りに行くという行為にとりかかった人もいた。「個人参加で」と断ったつもりだったが、条件反射的に上司に許可をとるという動作が、その組織では一般的なのですよと説明された。


 記者やキャスターが、“就職”したのではなく、“就社”している、ということ。あくまでサラリーマンなのだ。

 金平は、組織の力学における個人の弱さを指摘するが、では、彼はいったいTBSという組織の中で、どう発言し、行動したのか・・・・・・。彼の番組においてこの法案を取り上げることはできたが、TBSという組織として反対の意思表示をさせることはできなかったのではないのか。

 また、金平を含む一部のメディア人が行動を起こしたのも、あまりにも遅すぎる。

 昨夜の各局のニュースでは、それぞれのメディアが、予想に反する人数が動員された法案に反対する市民行動やニューヨーク・タイムズの法案への批判的な記事を、あくまでニュースとして流すのみで、メディアとしての“オピニオン”は、ない。

 メディアの経営陣は、海外のメディアや市民団体、NGOなどによる発言の“二番煎じ”をするばかりではなく、自らのオピニオンを表明すべきだろう。
 この法案が自分達の存在を揺るがすものだという危機感と当事者意識に欠けている新聞社やテレビ局の上から下までが“煎じる”べきなのは、西山さんの“爪の垢”ではなかろうか。
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by kogotokoubei | 2013-11-22 00:43 | 責任者出て来い! | Comments(0)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛