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新宿末広亭 九月中席 初日 9月11日

久し振りに喬太郎を聞きたいと思っていたところ、末広亭の中席の主任、初日なら何とか都合がつきそうだったので、楽しみにしていた。
 会場入りした時はホームランの漫才の終盤。椅子席が八割位埋まっていただろうか。桟敷は好きな下手の真ん中あたりに空間(?)があったので、ホームランの後で席を確保。喬太郎のトリの時点では椅子席と桟敷はほぼ満席。二階席を空けるまでには至らなかったが、平日だからねぇ。

最初から聴いた志ん弥からネタと感想を書き留めたい。良かったと思う落語にを付けておく。

古今亭志ん弥『浮世床』 (15分 *18:00~)
久し振りだ。過去のブログを調べたら二年前に同じ末広亭での『替り目』以来。寄席が似合う人だ。将棋と本で、いかにもこれが寄席、という高座。幸先が良い。

林家正蔵『七段目』 (16分)
 マクラが先月鈴本の楽日で聞いた“歌舞伎と落語”のネタなので「またか」という思いだったのだが、この噺なら相応しい。前半、若旦那が帰宅して父親との会話で披露する歌舞伎の声色は今ひとつだったが、二階に上がってからの丁稚の定吉を相手にしたお軽と平右衛門の掛け合いは、そう悪くはなかった。しかし、どことなく元気がないような気がしたなぁ。

林家正楽 紙切り (13分)
 注文の前に「相合傘」。その後はお客さんの注文順に「陰陽師」「ピノキオ」「稲刈り」「末広亭」と、十分余りの時間で作り出す芸は、いつ見ても見事。

柳亭小燕枝『権助提灯』 (14分)
 悋気のネタなので、以前にも聞いたことのある「間男」と「冷蔵庫」のマクラなのだが、これが結構可笑しい。とにかく権助がいいのだ。江戸の大店には、きっとこんな飯炊き男がいたんだろう、と思わせる。田舎ものなのだが、主人に卑下して仕えるわけではなく、気の利いた風刺も口にする。仕事も手は抜かず、彼が炊いたご飯は旨かろう。もちろん、本妻と妾の演じ分けも見事。
 こういうベテランの江戸情緒たっぷりの噺を聴くと、寄席に来たのが嬉しくなる。

三遊亭円丈『シンデレラ伝説』 (17分)
 仲入りは、久し振りに聴くこの人。昔の人形町末広の思い出などの楽しいマクラの後本編へ。後で調べたら、弟子の白鳥作のようだ。子供(金坊)が父親に「昔話を聞かせてくれ」とせがむと、父親が「桃太郎」を始めた。「そんなんじゃなくて外国の昔話、シンデレラがいい」と子供に言われた父親。「外国の昔話だってお父さん知ってるぞ、『ジョッキと枝豆』とか」など言いながら、「義姉が二人いるシンデレラは三姉妹だな」ということで、強引に「三匹の子豚」の筋書きでシンデレラを語り出す。長女は木の家をつくり、次女は藁の家、三女のシンデレラがツーバイフォー・・・というような筋書なのだが、ところどころ円丈(白鳥?)的なクスグリが挟まり、会場は大爆笑。円丈作と言われても疑わないだろう。というか、ネットで調べるまで、そう思っていた。それだけ白鳥に、師匠のDNAが伝わっているということなのかもしれない。こういう噺を聴くと、この人の新作における存在感の強さを思い知るし、新作もあなどれない、とも思う。

柳家喬之助『堀の内』 (14分)
 クイツキのこの人も、随分と久し振りだ。ブログを始める前の二つ目時代に、鈴本やにぎわい座の一門会で聴いて以来だと思うので、六年ぶり位になるだろう。マクラでは、楽屋から見ていて、「桟敷の親子連れが気になってしょうがなかったんです。主任が主任ですから。途中でお帰りになってホッとしました」で会場は爆笑。こういったマクラもさすがに落ち着いてきた。もともと、真面目で明るい高座なのだが、真打に昇進して六年経た成長の跡を十分に感じた。慌て者の亭主としっかり者の女房、そして少し憎たらしい男の子、江戸の親子像の一つの典型をテンポよく演じてくれた。

ロケット団 漫才 (11分)
 好きだなぁ、この人達の漫才。テレビでは放送できない実名ネタこそが、おもしろい。いつもの四字熟語シリーズをあっさり挟み、最後のCMネタが傑作。とても書けない^^

柳家甚語楼『町内の若い衆』 (13分)
 同期左龍の代演。マクラでふっていたが、たしかにグッチ裕三に似ている。この人の江戸っ子の科白も好きだ。熊の女房が鉢巻きをしていて「闘魂」と書かれている、というのが可笑しかった。大将と呼ばれる兄貴分の女房と熊の女房の見事な落差、そこにこの噺のエキスがある。さて、自分の連れ合いはどちらに近いか・・・は、あえてコメントを控えさせていただく。

金原亭馬遊『蜘蛛駕籠』 (15分)
 初である。白鳥、文左衛門、萬窓などと同期の2001年9月の真打昇進。伯楽の二人の弟子のうち一人で、今月小駒から名を替えて真打昇進する龍馬の兄弟子、ということになる。入門12年で真打昇進しているから、当時は早い方だ。同時期の昇進者の中でももっとも短期間での昇進ではなかろうか。
 う~ん、何とも不思議な味わい。黒縁眼鏡が少しズレた感じの独特の見た目もそうだが、上手いのか、そうではないのか、微妙な後味のある人。喬太郎が高座の開口一番で「目の前に馬遊師匠の汗が・・・・・・」と言っていたように熱演ではあった。

翁家和楽社中 太神楽 (6分)
 心配なのは和楽がいないこと。小楽、和助、小花の三人でトリのためにしっかりヒザを務めたが、リーダーの不在が寂しい。

柳家喬太郎『抜け雀』 (30分 *~21:00)
 「小諸の学校寄席を午前、午後、その後池袋を務めて、ここです」と、相変わらずの多忙ぶり。池袋でも中トリだからねぇ。ファストフード店やコンビニで馬鹿な真似をしてツィッターに写真を載せる若者のことなど短いマクラで笑いをとってから本編へ。
 昨年あたりは、声の調子が気になったが、若い絵師の叫ぶ「ばかァ~」も含め、しっかり声は出ていた。体調は良さそうで何より。少しだけダイエットしたような、気もする。
 やはり、この人の古典が好きだ。すでに一文無しの若い絵師が小田原の宿に長逗留している部分から語り始めた。宿屋の女房や若い絵師に大声を出させる独特の演出をしてはいても、基本はまったく変えていない。“目に銀紙”のクスグリを省いたのは時間のせいか、構成として変えたのか不明だが、良い意味で無駄を省いてスッキリした印象だ。宿屋の主人が、屏風から消えた雀を、屏風の表、そして体を伸ばし少し曲げて裏を見て繰り返し確認する仕草など、結構細かい演出が私には好感が持てた。寄席、そして古典の喬太郎は、やはり流石である。


 久し振りの喬太郎は元気だったし、他にもしばらく聴いていなかった噺家さん達に会えた。そして、寄席ならではのベテランの味、若手真打の成長ぶり、テレビでは披露できない漫才ネタなど、非常に充実した時間と空間だった。
 帰宅して録画していた「あまちゃん」を見ながら一杯飲んで、その後にNHK BSの“世界のドキュメンタリー”-イラク戦争 終わりなき戦い-の「第3回 大統領、もう“地獄”です」を見ていたら、怒りが込み上げてきて、ついのめり込んでしまった。
 その結果、ブログを書き始めた時は当然日付も変わっていたし、寝る前に書き終えることもできなかったのだった。
Commented by hajime at 2013-09-13 11:57
ご無沙汰しております。
季節の変わり目なのか、持病の痛風の発作が出まして、8月後半から寄席に行きたくても行かれない状態が続いています。

「シンデレラ伝説」は白鳥さんで何回か聴きました。シュールな内容に確かに圓丈師のDNAが流れていると思いました。

喬太郎さんダイエットしたのですか!
ファンのためには良い事ですね。
私もしよう……
また、寄せて戴きます(^^)

Commented by 小言幸兵衛 at 2013-09-13 12:10
そうだったんですか、お大事になさってください。

喬太郎も“円丈チルドレン”ですから、「路地裏の伝説」などのシュールさは、円丈的なものを感じます。

ダイエットしたかどうかは分かりませんが、心持、お腹のあたりがちょっとだけ減ったような・・・錯覚かもしれません^^

Commented by 佐平次 at 2013-09-13 13:34
映画やらなんやらで寄席に行ってないなあ。
やっぱり寄席が原点ですね。

Commented by 小言幸兵衛 at 2013-09-13 15:18
私なんか映画館は昨年2月に「山本五十六」を観て以来行ってないのです・・・・・・。
佐平次さんのバイタリティには、脱帽です。

寄席は、やっぱりいいですね。
今年は、浅草演芸ホール以外には、行っています。
池袋のあの高座との密着感と、末広亭の佇まいがいいですね。
鈴本は会場としては立派になりすぎたように思いますが、企画や顔ぶれは老舗ならではです。

あとは近所の地域寄席も捨てがたい。

円丈が、人形町末広の客は寝転んで聴いていたと言ってましたが、さすがにそういう環境はなくなりましたね。

Commented by ほめ・く at 2013-09-13 16:10
近ごろ、いわゆる落語通から厳しい声も聞かれる喬太郎ですが、やはりこの人の古典は優れたものを持っています。
10月に「品川心中」をネタ下ろしするというので、どう演じるか楽しみにしています。

Commented by 小言幸兵衛 at 2013-09-13 16:26
14日の扇辰との二人会ですよね。
日曜・祝日は落語に行かない原則ですし、気がついた時には売り切れでした。
ほめ・くさんのブログを楽しみにしております。
この二人会、平日か土曜の昼にやってくれないかなぁ・・・・・・。

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by kogotokoubei | 2013-09-12 00:56 | 寄席・落語会 | Trackback | Comments(6)

あっちに行ったりこっちに来たり、いろんなことを書きなぐっております。


by 小言幸兵衛
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