社会保障制度“改悪”も、保障に回らない消費税増税も許せない!
2013年 08月 21日
2割負担、来年度にも=70~74歳医療費で−プログラム法案骨子を決定−政府
政府は21日の閣議で、医療や介護など社会保障制度改革の手順を定めるプログラム法案の骨子を決定した。骨子は、社会保障制度改革国民会議の報告書を踏まえ、70~74歳の医療費窓口負担を2014年度にも1割から本来の2割に引き上げるなど、改革方針や実施時期を具体化した。今秋の臨時国会に法案を提出する予定だ。
医療分野では、70~74歳の医療費に加え▽1カ月の窓口負担を一定額以内に軽減する高額療養費制度の見直し▽低所得者の保険料軽減と、保険料の上限額引き上げ▽国民健康保険制度の運営主体を市町村から都道府県に移行−などの改革について、14~17年度までをめどに順次実施する。(2013/08/21-16:20)
社会保障制度改革国民会議の最終報告書は8月6日に提出された。
「東京新聞」サイト8月7日の該当記事
社会保障国民会議 首相に最終報告書
2013年8月7日 朝刊
安倍晋三首相は六日、社会保障制度改革国民会議の清家篤(せいけあつし)会長と官邸で会い、医療や介護サービスを中心に高齢者や高所得者に負担増を求める最終報告書を受け取った。政府は報告書を踏まえ、改革全体を進める手順や日程をまとめた「プログラム法案」の要綱を今月二十一日までに閣議決定し、秋の臨時国会に提出する。
首相は「やるべき改革を法案として推し進めていかなければならない」と述べた。
清家氏は首相に「改革の前提である消費税(率引き上げ)による財源を確保し、改革を速やかに実現してほしい」と要請した。
政府はプログラム法案を秋の臨時国会で成立させた後、介護や医療など個別の改革について検討を進めて、関連法案を二〇一四年以降、順次国会に提出する方針だ。
自民党は六日、社会保障制度特命委員会・厚生労働部会合同会議を開き、政府から報告書の内容を聴取。閣議決定前に大綱について詳しく説明するよう政府に求めた。
報告書は、介護を必要とする度合いが低い「要支援」者を保険の対象から外し、市町村に委ねることや高所得者の利用者負担を現行の一割から引き上げることを提言。七十~七十四歳の医療費窓口負担(一割)を、新たに七十歳になる人から段階的に二割に引き上げることを求めた。
同じ東京新聞は、前日に下記の記事を掲載していた。
「東京新聞」サイト8月6日の該当記事
一体改革ほご 増税根拠も崩れ
2013年8月6日 朝刊
民主党が社会保障制度改革に関する自民、公明両党との実務者協議から離脱したことで、三党の協議の枠組みは崩壊し、年金や医療の抜本改革は見送られた。政府の社会保障制度改革国民会議がまとめた最終報告書には国民への負担増ばかりが目立ち、社会保障の将来像は盛り込まれなかった。社会保障と税の一体改革は消費税増税と社会保障の充実・強化の両輪のはずだが、国民が安心できる社会保障制度像を示さないまま、消費税増税だけが進められようとしている。
民主党が与党だった昨年八月、野田政権は消費税増税を柱とする一体改革関連法を成立させた。この際、自民、公明、民主の三党は増税による増収は全額、社会保障制度の充実・強化に充てることで合意した。このため、三党は国会議員による実務者協議と有識者による国民会議を設け、改革案を一年かけて、まとめることにした。
だが、関連法が成立した時点で、すでに社会保障をめぐる協議が破綻する兆しはあった。民主党と自公両党との考えには大きな溝があったからだ。
民主党は持論である後期高齢者医療制度の廃止や最低保障年金制度の導入を主張。自公両党は受け入れる考えはなかったものの、消費税増税を実現させる点で民主党と一致していたため、協議のテーブルにだけはついた。
三党は昨年十一月以降、社会保障制度改革に関する実務者協議を重ねた。ただ、現行制度の手直しを主張する自公両党と抜本改革を求める民主党の主張は平行線をたどった。その途中で政権は自公両党に移り、七月の参院選直前に協議は中断してしまった。
有識者でつくる国民会議も、三党の協議がまとまらない以上、民主党が主張するような抜本改革は取り入れられない。それどころか五日にまとめた報告書では、介護保険で「要支援」の人をサービス対象から切り離すなど、国民に負担増を求める項目が多く書き込まれた。安倍自民党の掲げる家族や地域の負担を重くし、社会保障費を抑える「自助」の視点が色濃く反映された。
三党が消費税増税関連法を成立させてから一年。増税で国民が安心できる社会保障制度がつくられるはずではなかったのか、という国民の疑問だけが残った。
消費税増税が十月にも正式決定されれば、税と社会保障の双方で国民に負担増が押し寄せる。一体改革は消費税増税だけの「一方改革」に変質した。(関口克己)
下記に太字で再度引用するが、政治の空白が招いた弊害は小さくない。
“有識者でつくる国民会議も、三党の協議がまとまらない以上、民主党が主張するような抜本改革は取り入れられない。それどころか五日にまとめた報告書では、介護保険で「要支援」の人をサービス対象から切り離すなど、国民に負担増を求める項目が多く書き込まれた。安倍自民党の掲げる家族や地域の負担を重くし、社会保障費を抑える「自助」の視点が色濃く反映された”
民主党の崩壊、安倍アメリカ追従政府のために、国民の負担ばかりが増えようとしている。
最終報告書が提出された8月6日は、たった二週間前ではあるが、多くの日本人が未だアベノミクス幻想に浸りながら、お盆休み前で頬を緩ませていた時期ではないかと思う。
しかし、お盆休みも明け、アベノミクスの化けの皮がはがれてきた今、ますます国民を不幸にする政府の施策が実行されようとしている。
「社会保障」という言葉からは、「相互扶助」という言葉を連想するが、安倍政権は「自助」がお好きなようだ。
「保障」とは、「ある状態がそこなわれることのないように保護し守ること」である。「社会保障」は、税負担を含め社会全体で「保護し守る」ことだと思っていたが、「自己責任」で守りなさいという制度なら「自己保障制度」と名前を変えた方がいいだろう。
今回の「改悪」の前提となっている「社会保障制度改革推進法」自体が国民負担を増やすことにつながっている。全日本民医連は、一年前に、この問題を指摘している。国民負担がどう増えるか、という表を含め引用する。一年前の内容なので、開始時期や負担内容に若干修正が必要だろうが、こういう国民負担が増える傾向にある、ということを知っていただきたい。
「全日本民医連」サイトの該当ページ
消費税以外に7兆円の負担
二〇一五年までに消費税以外に七兆円超の国民負担増が目白押し(表)。一方、二五七兆円も内部留保のある大企業には、今後二五年間で二〇兆円もの減税です。
法案について自民党の鴨下一郎衆院議員(元厚生労働副大臣、医師)は「自民党の哲学が貫かれている」と述べています。同党は綱領で「(日本人は)他人に頼らず自立を誇りとする」「公への貢献と義務を誇りを持って果たす」と規定。三党合意には自民党の意見の大半が取り入れられました。
中央社会保障推進協議会の相野谷安孝事務局長(全日本民医連理事)は、「すでに少なくない国民がギリギリの生活をし、高負担にあえいでいます。小泉構造改革を上回る“暮らし切り捨て・大負担増”をすれば、自殺や孤立死、介護心中が蔓延するのは目に見えています。消費税増税とともに、許してはいけません」と話します。
全日本民医連の概要をWikipediaから引用。
「全日本民医連」Wikipedia
概要
「無差別・平等の医療と福祉の実現をめざす組織」であると規定している民医連綱領を持つ。2006年1月20日現在、病院・診療所・歯科診療所・保険薬局・訪問看護ステーション・介護老人保健施設・特別養護老人ホームなど、日本47都道府県1768の事業所が加盟しており、日本有数の医療機関関係組織の一つである。
全日本民医連は医療機関を経営しているのではない。各医療機関等が加盟する都道府県民医連の連合組織であり、民医連に加盟する各医療機関は、それぞれが個別の法人で経営されており、出資・経営形態も様々で、結成当時の法人の数よりも民医連の理念に共感して新規加盟した法人の数の方が圧倒的に多い。
加盟法人には、生協法人法に基づく医療生活協同組合(医療生協)が多く、他に医療法人(特定医療法人含む)の社団・財団等がある。また、介護保険施設などを運営する社会福祉法人や、薬局などを経営する会社組織の法人も加盟している。
理念を共有する医療機関のネットワークとして、各地の加盟機関職員が集まって学習会や交流会、研究会などを開催したり、行政や議員への働きかけなども積極的に行っている。また、社会保障の充実を求める運動や平和運動なども行っていることも特徴としてあげられる。
最終報告の内容は「首相官邸」サイトからダウンロードできる。
「首相官邸」サイトの該当ページ
「Ⅱ 医療・介護分野の改革」の「1 改革が求められる背景と社会保障制度改革国民会議の使命」から引用。
(2)医療問題の日本的特徴
日本の医療政策の難しさは、これが西欧や北欧のように国立や自治体立の病院等(公的所有)が中心であるのとは異なり、医師が医療法人を設立し、病院等を民間資本で経営するという形(私的所有)で整備されてきた歴史的経緯から生まれている。公的セクターが相手であれば、政府が強制力をもって改革ができ、現に欧州のいくつかの国では医療ニーズの変化に伴う改革をそうして実現してきた。医療提供体制について、実のところ日本ほど規制緩和された市場依存型の先進国はなく、日本の場合、国や自治体などの公立の医療施設は全体のわずか14%、病床で22%しかない。ゆえに他国のように病院などが公的所有であれば体系的にできることが、日本ではなかなかできなかったのである。
しかしながら、高齢化の進展により更に変化する医療ニーズと医療提供体制のミスマッチを解消することができれば、同じ負担の水準であっても、現在の医療とは異なる質の高いサービスを効率的に提供できることになる。2008(平成20)年の社会保障国民会議から5 年経ったが、あの時の提言が実現されているようには見えないという声が医療現場からも多く、ゆえに、当国民会議には多方面から大きな期待が寄せられてきた。さらには、医療政策に対して国の力がさほど強くない日本の状況を鑑み、データの可視化を通じた客観的データに基づく政策、つまりは、医療消費の格差を招来する市場の力でもなく、提供体制側の創意工夫を阻害するおそれがある政府の力でもないものとして、データによる制御機構をもって医療ニーズと提供体制のマッチングを図るシステムの確立を要請する声が上がっていることにも留意せねばならない。そして、そうしたシステムの下では、医療専門職集団の自己規律も、社会から一層強く求められることは言うまでもな
い。
一方、医療における質的な需給のミスマッチが続いてきたとはいえ、日本の医療費の対GDP比は、現在、OECD諸国の中では中位にあり、世界一の高齢化水準を鑑みれば、決して高い水準にあるとは言えない。日本のような皆保険の下では、価格交渉の場が集権化され、支払側が供給側と比較的強い交渉力を持つことが、医療単価のコントロールに資してきた。こうした中、日本の医療機関は相当の経営努力を重ねてきており、国民皆保険制度、フリーアクセスなどと相まって、日本の医療は世界に高く評価されるコストパフォーマンスを達成してきたと言える。
だが、GDPの2 倍を超える公的債務残高ゆえに金利の上昇に脆弱な体質を持つ日本は、いたずらな金利の上昇を避けるために財政健全化の具体的進捗を国内外に示し続けなければならないという事情を負っている。今後、医療・介護の実態ニーズ(実需)の増大が、安定成長・低成長基調への移行の中で進むことになるという展望の中で、必要なサービスを将来にわたって確実に確保していくためには、必要な安定財源を確保していくための努力を行いながらも、医療・介護資源をより患者のニーズに適合した効率的な利用を図り、国民の負担を適正な範囲に抑えていく努力も継続していかなければならない。改革推進法第6 条に規定されているとおり皆保険の維持、我々国民がこれまで享受してきた日本の皆保険制度の良さを変えずに守り通すためには、医療そのものが変わらなければならないのである。
太字にした部分などは、すでに国民負担が増えているにも関わらず、消費税増税は必要である、という主張としか読むことができない。しかし、相当無理のある文章ではなかろうか。
特に、“日本の皆保険制度の良さを変えずに守り通すためには、医療そのものが変わらなければならないのである”というのは、誰に向って言っているのか・・・・・・。
同じ章からもう少し引用。
(3)改革の方向性
① 基本的な考え方
まず、日本のように民間が主体となって医療・介護サービスを担っている国では、提供体制の改革は、提供者と政策当局との信頼関係こそが基礎になるべきである。日本の提供体制への診療報酬・介護報酬による誘導は、確かにこれまで効き過ぎるとも言えるほどに効いてきた面があり、政策当局は、過去、そうした手段に頼って政策の方向を大きく転換することもあった。だが、そのような転換は、医療・介護サービスを経営する側からは梯子を外されるにも似た経験にも見え、経営上の不確実性として記憶に刻まれることになる。それは、政策変更リスクに備えて、いわゆる看護配置基準7 対1 を満たす急性期病院の位置を確保しておいた方が安全、内部留保を十二分に抱えておかなければ不安、など過度に危機回避的な行動につながり、現在の提供体制の形を歪めている一因ともなっている。政策当局は、提供者たちとの信頼関係を再構築させるためにも、病床区分を始めとする医療機関の体系を法的に定め直し、それぞれの区分の中で相応の努力をすれば円滑な運営ができるという見通しを明らかにすることが必要であろう。さらに、これまで長く求められてきた要望に応え、「地域完結型」の医療に見合った診療報酬・介護報酬に向け体系的に見直すことなどに、速やかに、そして真摯に取り組むべき時機が既にきていることを認識するべきである。
また、医療改革は、提供側と利用者側が一体となって実現されるものである。患者のニーズに見合った医療を提供するためには、医療機関に対する資源配分に濃淡をつけざるを得ず、しかし、そこで構築される新しい提供体制は、利用者である患者が大病院、重装備病院への選好を今の形で続けたままでは機能しない。さらにこれまで、ともすれば「いつでも、好きなところで」と極めて広く解釈されることもあったフリーアクセスを、今や疲弊おびただしい医療現場を守るためにも「必要なときに必要な医療にアクセスできる」という意味に理解していく必要がある。そして、この意味でのフリーアクセスを守るためには、緩やかなゲートキーパー機能を備えた「かかりつけ医」の普及は必須であり、そのためには、まず医療を利用するすべての国民の協力と、「望ましい医療」に対する国民の意識の変化が必要となる。
最後の太字にした部分、“かかりつけ医”の普及の言葉は、その昔には近所に存在した“町の開業医”を増やすことへの提言なのだろうが、そのためには医療の実態を、それこそ「改革」する施策が示されなくてはならないだろう。
点数を増やすために患者を薬づけにし、医薬品メーカーからの寄付と大学での臨床試験協力がバーターになっている現状で、果たして多くの“赤ひげ”の誕生を期待できるのだろうか。それも「自助」努力に任せるのか・・・・・・。
かかりつけ医の専門分野ではない疾病に対し、患者に「必要なときに必要な医療」をアドバイスすることなど可能なのか。
セカンドオピニオンについての理解は深まっているが、紹介制度そのものを改善しなければ、「望ましくない医療」をたらい回しにされ、費用ばかり増えることだってある。まず、「紹介状」がなければ診療費が高くなる状態こそ問題である。
この最終報告書、調べたら「効率」という言葉が23回登場する。
社会保制度の改革の内容に、「効率」という言葉が頻発することからも、この「改革」の怪しさが分かろうというものだ。
元気で年金などで十分に暮らしていける高齢者もいらっしゃることに目をつけて負担率を上げる(戻す、ではない)ことは分からないでもない。しかし、そういった施策を含めて国民に納得、いや理解できる説明が必要だろう。
自分の負担で子供や孫の負担が減る、ということなら、高齢者の方の二割負担だって気持ちよく払えるかもしれない。しかし、そういった説明も、方針も見当たらない。
問題は、負担と保障のバランスが合うように思えないことだ。
すでに社会保障における国民負担を増やすように安倍政権は決めている。では、消費税の増税分は、何に使うのか・・・・・・。
政府、官僚は、いったいどこを向いているのか。太平洋の先を見るより足元をしっかり見て欲しい。
大震災とフクシマからまだ復興の見通しは立っていない。放射能に汚染された水は、今にも溢れ出ようとしている。そして、消費税増税のみ決めて、国民負担が増えるのみ、ではますます復興からは遠ざかるばかりだ。


