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噺の話

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池袋演芸場 七月中席 昼の部 7月20日

何とか都合がつきそうだったので寄席へ行こうとネットで代演情報を確認し、久しく聴いていない馬生が主任の池袋、千秋楽へ。
 
 開演時の客が十二人。なんとか“つばなれ”はしたが、土曜にしては少ないなぁ。トリの時点での客数も四十人程度だったように思う。その中には夜の部の喬太郎、市馬などを目当てに途中から来られた方もいるだろう。
 
順番に演者とネタ、感想に所用時間を書く。 印象の良かったものにを付けよう。

柳家フラワー『出来心』 (13分 *12:16~)
 一昨年十月、相模大野グリーンホールでの花緑、喬太郎、三三の会での開口一番以来。この人は落語協会サイトのプロフィール欄に、相変わらず出身地と生年月日しか書いていない。花緑の八番目の弟子のはず。初めて聴いた二年前の方が印象は良い。真面目な高座、ということは言えるが、見た目も含め少し硬すぎるかなぁ。もう少し気持ちの余裕があると持ち味が出てくるだろうと思う。精進していただきましょう。

桂三木男『千早ふる』 (19分)
 この後の出演者の誰かが買い物でちょっと行き違いがあったようで、「長く」かけるよう言われたらしい。マクラでは自分の買い物でのトラブルについて語っていたが、私も含めまったく会場は反応しない。本編も、この噺の筋そのものの可笑しさがあるはずなのだが、どうもリズムが良くない。八五郎に「隠居にお聞きしたいことがあるんですよ」と言われた隠居が「聞くは一時の恥、聞かぬはマツタケの恥」と答えたのはクスグリだったのか、あるいは言い間違いなのか。いずれにしても八五郎が「それを言うなら末代」と受けるわけでもなく流すので、会場が反応できようもない。
 時には「ほう、なかなかやるね」という高座がないではないので、祖父三代目三木助から引き継いだ財産はあるだろうと思う。少し長い目で見てあげたい。周囲も認めて、将来五代目三木助を継げる噺家になってもらいたいものだ。

笑組 漫才 (10分)
 三木男が引き延ばしていた進行時間を元に戻す役割になったのだろう。10分では宮沢賢治『銀河鉄道の夜』も夏目漱石『坊ちゃん』も出来んわなぁ。それでも、会場を温める役割はしっかり果たすところがプロである。
 これまで仕事で行った最北端が苫前とのこと。北海道出身の私でも、行ったことはない。最南端が長崎五島列島というのは意外だった。キリンからゾウでサゲ。この人たちのエスプリが効いたネタは、後日に期待しよう。

林家扇『金明竹』 (17分)
 六月から二ツ目。与太郎の声の大きさが耳に残る。小さい声よりは良いかもしれないが・・・・・・。頑張っていただきましょう。

初音家左橋『お菊の皿』 (15分)
 かつて末広亭で二度聴いているが、この高座が今までの中ではもっとも良かった。しかし、それは下座さんのお蔭でもある。最初にお菊が井戸から出てくる場面、そして人気が出てきたお菊と客が会話をする場面で効果的な三味線と太鼓が入った。元々噺家さんによって工夫の入るネタだが、この人の高座も楽しかった。ようやく会場も温まってきた。

のだゆき 音楽パフォーマンス (12分)
 初である。ベルを使ったネタ(?)の後、主役は「ヤマハ ピアニカ37D」である。せっかく本人が型式まで紹介していたので、写真を掲載^^
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 長いパイプを接続して口に咥え、頭で「上を向いて歩こう」、顔(顎)で「蛍の光」を演奏。
 元はピアニストらしい。どういう経緯かは分からないが、女性のピンで音楽演奏の芸人とは、非常に珍しい。夫婦では“夫婦楽団ジキジキ”がいる。この人は、ジキジキのリズミカルでストレートなノリとの差別化なのか、いわゆる天然ユルユルなキャラを演じている。最後はリコーダーでの演奏。二本使って「ふるさと」そして「出たい番組」とふって「笑点」のテーマ。そう言えば、ジキジキはあの番組に出ていたなぁ。
 色物としての希少価値はあると思う。しかし、本人の天性なのかどうか分からないが、必ずしも、ゆるキャラで演出しなくても、スピーディに演奏技術を披露してもよいような、そんな印象も受けた。

三遊亭歌司『小言念仏』 (15分)
 朝ネットで調べたら、国立演芸場はこの人が主任だった。一之輔やひな太郎の名もあったので、少し心が動いたが、古今亭の池袋を選んだ。
 漫談風のマクラを8分ふって本編へ。このネタは今では喜多八が十八番にしているが、歌司もなかなか楽しい高座。しかし、この人の力量なら当然、とも言えるだろう。

柳家はん治『鯛』 (20分)
 新幹線での怖いお兄さんの迷惑な携帯電話のマクラから、「おや、『背なで老いてる唐獅子牡丹』か?」と思っていたら、同じ六代目(あえて“目”をつける)文枝作のこの噺。生簀(いけす)の魚を客が選んで掬い上げて食べさせる料理屋があるが、その生簀の中の鯛たちの会話のネタ。普通は三日とはとどまらずに料理にされるのに、なんと開店以来二十年生簀に残る主がいる。新人の鯛が挨拶に行くと、いかに生き残るかという技を伝授する、などSF的な楽しいネタ。はん治にとっては平成17(2005)年に芸術祭新人賞を受賞した時のネタだ。
 私は六代目文枝は落語作家としては高く評価している。そして、はん治は文枝の落語が、何とも似合うのである。『ぼやき居酒屋』や唐獅子も含めて、はん治のための落語作家ではないかと思うほどである。はん治が文枝の新作を演じると、本人以上に高座には“古典”的な色合いが出るし、なんとも言えない味わいが醸し出される。これは、感性の問題なので何とも表現しにくいが、はん治にとって文枝は得がたい落語作家に違いない。

ダーク広和 奇術 (15分)
 ロビーで一服してから戻って後半を楽しんだが、この人の“しゃべり”は好きだ。紅白の紐、トランプ、なかなか楽しい奇術。

桂文楽『替り目』 (24分)
 仲入り前は、久し振りに聴くこの人。どうしても“ソース焼きそば”の小益、のイメージが払拭できないが、この人は志ん朝と同じ昭和13年生まれだから今年で75歳。見た目は年齢を感じないわけにはいかないが、高座は結構だった。ほぼ志ん生の型なのだが、もしかすると志ん生に稽古してもらったかもしれない。女房をおでん屋に行かせた(と思った)後、酔っ払っている旦那がうつむき加減で目を半分閉じながら女房への感謝の独り言を言う場面、筋書きとしても納得のいく演出。うどん屋も登場してサゲまでの高座。私は、懐かしさもあって、なぜか嬉しかった。
 しかし、文楽の高座の最中に三名ほどお客さんが入ってきたのは、ちょっと感心しない。開口一番や色物は途中入場も問題ないと思うが、落語の高座は、寄席であろうがホールの落語会であろうが、途中なら待つべきだろうと、私は思う。それも仲入り前の高座である。実は、仲入り後も、たぶん夜の部(主任は市馬、仲入り前が喬太郎)目当てのお客さんなのだろう、数名が落語の高座途中で入場していた。池袋の客層も、以前に比べて変わってきたのだろうなぁ。

橘家円十郎『ナースコール』 (16分)
 仲入り後はこの人。久し振りだが、また太っただろう、座布団に座る時の「よいしょ」が物語っている^^
 お客さんに「らくだが好きです、歌武蔵師匠」と言われた、と言っていたが、歌武蔵より上ではないか。
 ネタは三遊亭白鳥作。詳しい筋書きは説明しないが、このネタはこの人に合っているようだ。とある病院、204号室の入院患者吉田さんと新米看護師みどり、そして婦長との会話が、なかなか楽しい。クイツキとして、この日もっとも笑いをとっていた高座。

古今亭志ん輔『稽古屋』 (16分)
 ブログを見ていると、最近はこのネタが多いなぁ。見た目が悪く金もない男が、どうしたら女に持てるかを隠居に相談に行き、隠居から金を借りて稽古屋に行く、という設定が何とも優雅(?)である。
 清元の「喜撰」では調子が合わずに、上方唄の「すりばち」を大きな声で練習するように言われ、屋根に上がって稽古をしていたら、という筋書きだが、八代目柳枝の十八番だった『喜撰小僧』が今では誰も演じないので、この噺で清元であり、お茶の名である「喜撰」が出ることが、非常に貴重な気がする。文菊のこのネタも定評があり、古今亭の噺になってきたような印象。短いながらも結構な高座だった。

小菊 俗曲 (12分)
 私にとっては珍しいことに、『淡海節』の時に三の糸が切れた。三味線には一番細い三の糸の予備を付けているので、張替えをしながら、「三の糸ほど 苦労をさせて いまさら別れる バチあたり」の都々逸をご披露。これも間違いなく芸のうちだろう。張替え後『品川甚句』で締めた。流石だ。

金原亭馬生『船徳』 (29分 *~16:26)
 四年前に、よく朝日名人会に行っていた時に聴いた『唐茄子屋政談』の印象があまり良くなかったのだが、この日の若旦那ものは、非常に結構だった。師匠の先代ほど船上で苦労する徳が客二人にきつく当たることはないが、それもこの人の個性として相応しいように思う。見た目も噺の内容も、清潔感と品を感じる清々しい高座。一門では雲助や今松のみならず、この当代馬生も、もっと聴かなきゃならないなぁ、と実感。


 馬生の高座に感心しながら腰を上げて帰ろうとした矢先、ハプニング発生。高齢のご夫婦の旦那さんが、会場の段差で躓いたようで転んだ。ようやく立ち上がって杖をついてロビーへ。心配になって様子を見ると、相当痛そう。ご自分では歩けそうにない。パイプ椅子で腰を強く打ったようだ。肩を貸してあげて奥の喫煙コーナーの椅子までお連れした。
 ちょうど着替えて出てきた馬生が楽屋から出てきて、心配そうに「どうされました」と声をかけた。演芸場の人も、しばらく様子を見て状況によっては救急車を呼ぶように言っていたので、大丈夫だろうと演技場地下から地上へ。この日は高齢のご夫婦と思しきお客さんが他にもいらしたなぁ。つい、北海道の両親のことを思っていた。

 駅前ではフラダンスの大会(?)なのだろうか、舞台が作ってあり、結構な人だかり。横目で見ながら帰路を急いだ。連れ合いが外出するので帰って犬の散歩に行かなきゃならないのだ。

 帰宅、散歩、そして飲みながらブログを書いていたが、ついゴルフ全英オープンでの松山のプレーに目が行く。よって、書き終わるのは、翌朝になった次第。あらためて、寄席はいい、と思うのであった。
Commented by hajime at 2013-07-21 09:47 x
私も浅草の上席で馬生師を堪能してきました。一席終わった後の「茶番」でした。
「塩原太助青の別れ」を爆笑仕立てにして。他の噺家さん達と芸達者な処を堪能しました。
噺の演目は「辰巳の辻占」で、色街の女性を無難にこなしていました。
最近、馬生という名前が板について来た感じがします。
もっと精進して先代に負けない噺家になって欲しいと思いました(^^)

Commented by 佐平次 at 2013-07-21 10:42 x
お互いに人助けの方で頑張りましょう。
以前、小菊が切れた三の糸を貰って喜んでいる客がいました。
帰って小指にでも巻きつけるのだろうか。

Commented by 笑組・ゆたか at 2013-07-21 14:49 x
昨日ご来場でしたか~
だらしない高座で申し訳ありません…
時間があれば文学シリーズ第四弾『杜子春』を
かけさせて頂くつもりだったんですが。
寄席の持ち時間は流動的でして…
でも、それとだらしない高座は無関係ですからね!
一層精進いたします。

ご来場ありがとうございました!

Commented by 小言幸兵衛 at 2013-07-21 15:58 x
名前が人をつくる、ということもありますね。
もう馬治ではなく、馬生になりつつあるのでしょう。
江戸っ子ならではの端正な高座は、今松、雲助とは違う立派な個性ですね。
先代の十八番の中で『辰巳の辻占』は結構好きなネタです。
兄弟子と、良い意味で競争することで、馬生一門、そして古今亭一門がますます厚みを増していくのでしょうね。

Commented by 小言幸兵衛 at 2013-07-21 16:01 x
当り前のこと、と思うのですが・・・・・・。

そうですか、三の糸を!
ファン倶楽部の人でしょうか^^

Commented by 小言幸兵衛 at 2013-07-21 16:10 x
いえいえ、あの短時間でしっかりまとめる技も、大変なものです。
ほう、次は『杜子春』ですか、楽しみです。
私の方こそ、なかなか笑組さん出演の寄席に行く機会が少なく申し訳ありません。
ぜひ、文学シリーズが聴ける寄席に近いうちにうかがいたいと思っています。
それも、進行状況なども含め、“縁”ですけどね。

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by kogotokoubei | 2013-07-20 18:41 | 寄席・落語会 | Comments(6)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛