新文芸坐落語会 落語の王道三つ巴プラスワン 7月16日
2013年 07月 17日
久し振りのネオン瞬く池袋東口だ。今月前半は平日の落語会に行くことが難しかったので、6日の国立演芸場以来の生落語。この顔ぶれに期待していた。
「王道」はともかく、「三つ巴」とは、たぶん落語協会、落語芸術協会、そして円楽一門、という三派の代表といった意味が込められているのだろう。プラスワンが立川流なので、四派競演とも言える。
次のような構成だった。
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(開口一番 立川こはる『十徳』)
三遊亭兼好 『粗忽長屋』
瀧川鯉昇 『船徳』
(仲入り)
五街道雲助 『もう半分』
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立川こはる『十徳』 (26分 *19:02~)
一昨年8月の国立演芸場での一之輔の会以来。昨年立川流の二ツ目になり、積極的にいろんな仕事を引き受けているようだ。朝4時起きで岐阜の郊外に6時間かけて行って、「田植え」「落語」「バーベキュー」というイベントに出演した体験や、私服はジーンズとTシャツと長袖シャツだけで通しており、毎晩風呂場で洗濯するなどのマクラ、約16分は長かったなぁ。たぶん25分の持ち時間があったのだろうが、かつて浜松町かもめ亭などで前座時代に聴いた高座は、ほとんどマクラなしだった。せっかくのチャンスとばかり、こはるは、少し自分の体験を元にしたマクラで、頑張ったのだろう。会場の笑いはとっていたが、私は、もう少し長いネタを聴きたかった。
また、この噺は、噺家によって独自のクスグリを入れることもできるのだが、ほとんど内容をいじっていなかった。たとえば、一昨年の9月の桂米二の会で桂そうばが演じていたが、彼のオリジナルかどうかは分からないが、「羽織にニタール」「衣にニタール」で「シタール」、「インドの楽器かい!」というのが、楽しかった。2011年9月9日のブログ
私は若手女流噺家の中では、もっともこの人を買っている。二ツ目は、いろんな意味で“踊り場”と言えるだろうが、ぜひこの時期の修行をバネに成長して欲しい。NHK新人には出ないのかなぁ。昨年のぴっかり☆に続いて、チャレンジしてもらいたいものだ。
三遊亭兼好『粗忽長屋』 (25分)
こはるが、可愛い顔をしてなかなかしたたかである、と評していた。そりゃぁ、そうじゃなかったら談春の弟子は務まらないだろう。温度差が眠気を誘うが、冬、室内が暖かくなって眠る客は徐々に眠っていくので高座から安心して見て居られるが、夏場、冷房が効いて寝る人は突然なので、気にかかる、とジェスチャーを交えて解説(?)。自宅ではエアコンを入れないので、兼好一家が“裸族”であるということや、奥さんがなぜか死体と縁がある、とネタにつながるマクラを経て本編へ。
この人らしい演出で楽しかったが、終演後に居残り分科会でのリーダーSさんの評価は、あまり高くない。これは相性なのだろうなぁ。語り口が現代風とも言えるので、仲間内で話しているような印象を受けるのではないだろうか。それを、プラスの親近感と受け取るか、古典を崩しすぎと思うかは、人によって分かれるかもしれない。
瀧川鯉昇『船徳』 (38分)
地元(浜松)で警察署長をしていた同級生のネタも、定番のマクラになってきた。冷房は団扇が五つと古い扇風機。モーターが熱を持つので、夫婦で交代で団扇で扇ぐ、というのも夏のレギュラーかな。「甲」「乙」「丙」で風力を切り替える扇風機って、ないでしょ^^
そういったマクラ10分ほどで本編へ。入場の際に配布されたプログラム、恒例の主催者永田さんのコラムでこのネタのことが書かれていたので、誰かがかけるとは思っていた。この人のこの噺を最初に聴いたのは、かれこれ四年前の横浜にぎわい座、当時の平治との二人会だったが、その時は大爆笑だったし、独自の演出に感心もした。
2009年6月10日のブログ
たとえば、船宿の二階に厄介になっている若旦那の徳が、銭儲けをしようと思い、なんとか「うぐいす」を捕ろうとしたが失敗したというクスグリの内容は、上方落語『鷺とり』でよく使われるネタなので、その向学心(?)に驚きもしたし、感心したことを思い出す。しかし、この日は、今一つリズムが乗らなかったように感じる。「うぐいす」のネタもなかった。
船宿の親方と徳との会話が少し冗長になった感じで、親方に呼び出された船頭たちが、勝手に「小言」と勘違いして、しくじりを暴露する場面がなくなったのは、時間調整だろうか。終演後にSさんが、「せっかく、軍鶏鍋のぼうずの名を出したのに、もったいない」と嘆いて(?)いらした。最後の独自のサゲに至るまで、私は着物の裾の乱れが気になっていた。それだけの力演なのだが、ややお疲れ気味の還暦鯉昇、という印象。
五街道雲助『もう半分』 (35分 *~21:20)
鯉昇と雲助の持ち時間が、たぶん35分だったと察する。雲助は、きっちりと時間内での結構な高座で、この会を締めてくれたように思う。
マクラは、テレビで見たという昔ながらの暑さしのぎで、実際に体温が下がるのかという実験のこと。
①風鈴②かき氷③怪談話、で実験したらしい。風鈴は意外に効果があったが、かき氷はいったんは体温が下がるものの後で反動も大きい、とのこと。落語の怪談は、かつては彦六の正蔵が書割などの舞台装置や、前座が幽霊になって客席に登場するなど大掛りなものだったが、「私のは、怪談のようなもの、なんちゃって怪談」と卑下していたが、どうしてどうして、マクラも無駄なく楽しかったし、本編も結構な高座だった。
三年前に、「稲葉守治を偲ぶ盆公演」と題された「若手研鑽会OB会」で聴いて以来だが、流石だ。2010年8月5日のブログ
他の噺家さんでは、棒手振りの八百屋の爺さんが、娘が吉原に身を沈めてこしらえた五十両を煮売酒屋夫婦にネコババされ、悲嘆にくれて橋から身を投げるという筋書。しかし、雲助は五代目の正蔵の速記を掘り起したらしいが、煮売酒屋の主が爺さんを追って、包丁で芝居仕立てで殺す演出である。芝居噺とまでは言えないのだろうが、こういう演出の噺なら、他の追随を許さない。煮売酒屋夫婦が、爺さんの五十両を奪うことを相談する場面など、人間の本性を垣間見せる目と仕草での演技も見事だった。三派(こはるを含めると四派)競演ということで言えば、落語協会雲助の完勝、という高座。もちろん、落語に勝ち負けなどはないのだが、そう思わせる高座、今年のマイベスト十席候補とする。候補となる雲助の高座が、また増えた。
なお、小学館の「落語の蔵」から、雲助のこの噺をダウンロードできる。次の該当ページに筋書きも詳しく書いてあるし、五代目正蔵の速記を元にした演出であることは、このページの解説で知った。「落語の蔵」サイトの該当ページ
終演後はリーダーSさんと居残り分科会。会場近くの居酒屋、初めて行くがSさんの旨い店を嗅ぎ付ける“臭覚”は鋭い。私が頼んだ鮪の中落ちには焼き海苔がついてきて手巻き風にも食べれるなど、気が利いている。Sさんが注文した鮎の塩焼きも美味しかったようだ。「雲助以外は、今一つだったかなぁ」、などと話していると、なんとその雲助を除く出演者と主催者の方々が入ってきた。「じぇじぇ!」である。打ち上げだ。カウンターに座る我々のすぐ近くの席なので、とても大きな声で小言は言えない状況に陥った^^
それでも、落語のことやら、海外ミステリの話題、そしてSさんが九月に同じ日にシェイクスピアの芝居と能のダブルヘッダーがあることなどで話が弾み、二合徳利が空いていく。もちろん、予定通り(?)に帰宅は日付変更線を越えたのだった。
それにしても、出演者の皆さんの打ち上げは、時々こはるの声が聞こえた位で、非常に静かだったなぁ。皆さん夏の疲れがたまっているのでしょう、きっと。こっちも、バテずに夏を乗り越えなきゃ。
粗忽長屋などは新しいクスグリを入れる余地がない噺、それだけに彼のオリジナリテイは語り口ということになるのでしょうね、それが好きか嫌いか。
朝日新聞↑が自分の立ち位置を決められない状況が今かも知れないです。
ヘタすると全否定になりそうな現状、投票にはいくけれど誰に?という状況、なにはともあれ反自民なんでしょうね。東京新聞も狂ったように反自民路線です。
朝日は、足元がグラグラしているような、そんな気がします。
その要因の一つは、安倍に睨まれたくはない、という本音があるからでしょう。
「ペン」はどんどん弱くなりますね。
