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噺の話

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落語芸術協会 真打昇進披露興行 国立演芸場 7月6日

しばらく平日夜の落語会に行けそうにないので、土曜の昼、鯉昇や小柳枝の名が並ぶ芸協真打披露興行の国立演芸場へ出かけた。主任は笑好。以前に聴いたことのある小柳枝のお弟子さん。

 団体さんも入っていたようだが、それでも七分くらいの入りだろうか。

 幕が開いて緑の後ろ幕が見えた。寄贈は日大経商法落語研究会OB会・異業種交流会彩来会・㈲盛香園の連名で書かれていた。そうか、笑好は喬太郎の後輩なんだ。

 開口一番以降、演者とネタ、感想と所要時間を記していきたい。良かった高座にをつけた。

雷門音助『つる』 (10分 *12:45~)
 初である。落語芸術協会のサイトにも、詳しいプロフィールがないが、助六の弟子なのだろう。なかなか初々しい高座で好感が持てた。

春風亭笑松『五人男』 (16分)
 初である。“しょうまつ”と読む。笑好の弟弟子のようだ。先代今輔の新作のようだが初めて聴く。長屋の店子五人が宴会の出し物として「白浪五人男」を演じることになって、という内容だが、芸協の伝統芸ということなのだろう。ハメ物も入るなかなか楽しいネタを、途中言い間違いがいくつかあったとはいえ、楽しく演じてくれた。こういう噺は落語協会の寄席では聴くことができない。

春風亭昇乃進『改名騒動』 (16分)
 二度目だと思う。マクラ6分ほどは、少し眠くなった。新作のネタは終演後にネタの一覧が貼り出されていたので分かった。これは他の定席ではないサービス。
 聴いていて、『改名』かな、と思っていた。本人の作かどうかは、勉強不足で分からない。 内容は、ある女性が最初に結婚する相手の男の姓が“釈(しゃく)”で本人の名が“キン”。一緒になったら“シャッキン”になる、ということで改名して“マリ”とした。離婚して二度目に結婚する相手の姓が“小田(おだ)”なので、これでは“おだまり”になる・・・といったネタ。
 この後で披露口上の司会を務めるくらいなので、語り口のテンポは良い。しかし、柳昇門下から、今は小柳枝門下にうつった真打昇進から六年目になる噺家さんとしては、芸協の中堅として、もう少し何かを求めたいところだ。基礎的な能力はしっかりしているように思うので、今後に期待したい。

桧山うめ吉 俗曲 (12分)
 高座が一気に華やかになった。『三階節』『品川甚句』小唄『晴れて 雲間』(入れぼくろ、もやい枕、の解説が最初にあったのは親切!)、そして踊りは『玉屋がとりもつ縁かいな』で、しっかり。この踊りが、小柳枝のネタを知ってのことかどうか・・・きっと知っていたんだろうなぁ。

春風亭柳好『のっぺらぼう』 (16分)
  昨夜は、たぶん日本橋で先代柳好を偲ぶ落語会に出演していたはず。行きたかったが、行けなかった・・・・・・。
 それにしても、眉をはじめとして、濃い“見た目”だなぁ^^
 怪談ネタにつなげるマクラが、馬鹿馬鹿しくて笑えた。「悪の十字架」→「開くの、十時か?」とか、「恐怖の味噌汁」→「今日、麩の味噌汁?」、という地口ネタ。私の席の周囲の皆さん、爆笑だった。
 弁慶橋→四谷見附→家、と続く“のいっぺらぼう”の連続、なかなかの高座。

柳亭楽輔『ちりとてちん』 (20分)
 仲入り前はこの人。初めて、のはずである。痴楽門下から夢楽門下に移った人のようだ。芸風や見た目が小遊三に似ているように思う。
 あえて細かいことを言う。最初に旦那が腐った豆腐を手にした時に、とんでもない臭いがしたはず。それを表現していなかった点が、何とも残念。実は、こういう部分は非常に重要なのだ。とはいえ、全体的には楽しい高座。

真打昇進披露口上 (15分)
 左(下手)から司会役の昇乃進、柳好、小柳枝、笑好、鯉昇、そして楽輔。司会の昇乃進によると、笑好につながる一門は、大きくは六代目の柳橋の一門で、柳昇のあとは小柳枝が束ねている。かつての昭和の名人は住んでいる場所で「黒門町」や「稲荷町」と言われていたが、平成の名人(小柳枝)は「西川口の師匠」では遊びの達人みたいだし、「蕨の名人」では、何か野草の研究家みたいだ、と会場を笑わせる。
 その師匠小柳枝が、笑好が好きらしい競馬のことを喩えにして、「競馬は馬の周りに調教師がいて、オーナーがいるが、落語はすべて自分でしなくてはいけない」という言葉、どれだけ本人に伝わっただろうか。
 鯉昇の話も印象に残る。話の流れで結婚式の牧師の言葉になり、「富める時も貧しい時も 笑うことを誓いますか・・・賛美歌は割愛します」というのは、可笑しかった。
 三本締めの音頭は楽輔。「本来ならば、会長の歌丸、副会長の小遊三がご挨拶すべきところ、二人とも儲け仕事で忙しく・・・」という言葉が、洒落に聞こえなかった。

瀧川鯉昇『粗忽の釘』 (18分)
 マクラで、本来は真打昇進など祝ってはいられない、商売敵なので、早いうちに頭を叩いておかなくてはならない、というのは、まさか芸協の方針ではあるまい^^
 初めて聴くマクラのネタがあった。コンピュータは二進法ということから、地域や職業によって違いがあり、ニシン法は北海道、サンシン法が沖縄、ゴシン法は医者・・・・・・笑えた。本編は十八番のネタ。それにしても、ロザリオをくれた女房のおばさん、横幅が五間、背丈が三間、あだ名な一戸建て、ってどんな恰好や^^

春風亭小柳枝『たがや』 (15分)
 この日が旧暦5月28日であることをしっかり踏まえたネタ選び。そうなのだ、川開きの花火大会は旧暦5月28日に始まった。うめ吉も分かっていて踊ったと思うが、こういう気配りというか、センスが好きだ。
 マクラで、縁の下の湿気が“出家”の幽霊になるというネタは初めて聴いたが、なかなか渋い。花火大会で両国橋に集う江戸の人々、そこを馬で通ろうとする野暮な侍。そして、つい急ぐあまり両国橋に来てしまった、たがや。それぞれがしっかり描かれた、結構な高座だった。
 このネタについては、ずいぶん前だが書いたことがあるので、興味にある方はご覧ください。
2009年6月3日のブログ

翁家喜楽・喜乃 太神楽 (13分)
 とにかく喜楽の「卵」の芸が失敗しなくて良かった。以前、雀々から、末広亭での惨状(?)を聴いたことがあるので、結構緊張して見ていたのだ。それにしても、親と娘には、見えないなぁ。喜乃ちゃんの色気が見る度に増してきたように思う。

春風亭笑好『阿武松』 (34分 *~16:11)
 比べるのが可哀想なことは百も承知、二百も合点で、扇辰のこの噺とは、「同じ噺?」という印象。滑舌が悪いのは、今後の努力でなんとか直して欲しいものだが、やはりそれぞれの登場人物への思い入れ、というか演じる上での気持ちの面での修業をして欲しいと思う。師匠がいいのだ、ぜひ師匠も名乗った前座名を、真打の名として大きくして欲しい。その明るい雰囲気はプラスの持ち味だろう、今後に期待したい。


 梅雨が明けた土曜の昼下がり、先週の池袋とは、また違った雰囲気の隼町。初めて聴く噺家さんにネタなどもあり、そして鯉昇、小柳枝の貫禄の高座も楽しめた。帰宅して、呑みながら書いていたが、ウィンブルドンの女子決勝が始まり中断。翌朝、ようやく書き終えたのだった。
Commented by 創塁パパ at 2013-07-07 09:42 x
日本橋人形町は、柳好も一番下で発言できる雰囲気でなくかわいそうでした。鯉昇・小柳枝いいですよね。それにしても、芸協をもっと聴かないとね。自戒します(笑)

Commented by ほめ・く at 2013-07-07 10:31 x
春風亭笑好ですが、確か昨年の池袋の高座でも幸兵衛さんに酷評されてます。1年経ってもこれだと難しいのかな。
先代柳好の前名を貰ったんだから頑張って欲しいとこですけど。

Commented by hajime at 2013-07-07 10:34 x
ご無沙汰しております。
この方達の真打披露興行は例によって浅草でみました。
今回は個人的には小助六さん以外は評価するのは辛いですね(^^)

ただ、口上の時にですが落語協会の場合と違い締りが無くだらだらとした口上なのが気になりました。
最近は圓歌師が「隅から隅までずずずいーと、御願い申し上げます」とチョーンと木が入って締まるという場面が無いのです。
まあ、それぞれですが、なんか協会も力が入ってないのかな?と感じて仕舞いました(^^)

Commented by 小言幸兵衛 at 2013-07-07 15:50 x
芸術協会は、今が重要な時期だと思っています。
この国立演芸場の披露興行、会長の歌丸と副会長の小遊三は出演日を替えて合計五日は顔を出しているようです。
しかし、同じ柳昇一門につながる笑好の主任の日に、昇太の名は、ありません。
他の寄席での状況は知りませんが、これでいいのでしょうか・・・・・・。

Commented by 小言幸兵衛 at 2013-07-07 15:54 x
よく覚えていらっしゃいますね^^
そうなんです。
しかし、今回は挑んだネタが難しかったということもあるでしょうし、これまであまりかけたことはないようにも思います。
長い目で見てあげたいと思います。

Commented by 小言幸兵衛 at 2013-07-07 16:08 x
私は、歌丸会長が彼らの披露を発表した時、落語協会の抜擢昇進のことを記者に聞かれて、「うちはうち!」というニュアンスで怒って答えた、というニュースを思い出します。
その「うちはうち」が、この興行なのでしょうか・・・・・・。
落語協会は、昨年の一之輔、文菊、志ん陽の抜擢から少し時間を空けて、この秋から天どん達が昇進するわけですが、正直なところ、芸協と比べると結構粒揃いな顔ぶれです。
芸協は、末広亭の席亭からの発言以降、少しは改善の兆しが見えたものの、時間を経て、その危機感が保持されていない気がします。
たとえば、真打昇進披露興行では、歌丸、小遊三、昇太の誰かが口上を述べる、などの努力がないと、せっかく宮治などの若手が頑張っていても、協会の幹部がその勢いを潰しかねない。
楽輔の口上の言葉は、とてもギャグとしては聞けませんでした。
昇進させたのなら、協会幹部も精一杯バックアップの姿勢を見せて欲しい、そんな気がしました。

Commented by 佐平次 at 2013-07-08 10:07 x
芸協は年功序列なんですね。
あとをどうやる気を起こさせるかが問われますね。
今朝引き出しを見たら、なんと土曜日の雲助浅草見番の切符がありました。

Commented by 小言幸兵衛 at 2013-07-08 10:49 x
“年功”なら良いのですが、“年々”序列では困る^^

引き出しに見番の切符とは、「じぇじぇ~!?」でしたね。
それも縁とはいえ、残念でしたねぇ。
老婆心ながら、部屋の目立つ場所に大きなカレンダーを貼って、落語会の日に朱書きするなどされてはいかがですか。

Commented by かおる at 2013-07-08 15:47 x
小柳枝門下なんですよね(^^)
ブログもまめに更新されてて読み応えあります☆
http://ameblo.jp/umekichi09/
実は私は芸協から落語道?へ入ったのです。マニアックだねと言われます。

Commented by かおる at 2013-07-08 15:54 x
佐平次さんのブログのつもりで書いてしまいました(^^;)
「実は」と言ってもご存じないですよね…。
今ではすっかり落協贔屓なので、芸協も聴かないとなぁ…。二つ目は個性豊かな方がいて、面白くなりそうだなと思ったりしてます。

Commented by 小言幸兵衛 at 2013-07-08 16:08 x
まったく失礼ではないですよ。
佐平次さんの「梟通信」とは提携(?)しておりますので^^

うめ吉さん、ブログを拝見すると、しっかり川開きにも行ってらっしゃいますね。

ここ数年出来るだけ芸術協会の寄席に行くよう努めていますが、なかなか味わい豊かなベテランもいますし、宮治を筆頭に二ツ目が元気があって良いですね。

Commented by かおる at 2013-07-08 16:41 x
川開きをしたルーサイトギャラリーは市丸さんが住んでいた家を改装した建物で、とても風情があります。たぶん元はお茶屋か何かで、大川沿いにあります。うめ吉さんはCDジャケットをここで撮られてました(^^)機会があればぜひ。 http://lucite-gallery.com/about.html

Commented by 佐平次 at 2013-07-09 10:48 x
かおるさん、おや、めずらしいところで、どちらから?
ちょっと用がありまして。
そら結構ヤワ、ほなお気いつけて。
新治風に^^。

Commented by 小言幸兵衛 at 2013-07-09 18:23 x
佐平次さんのブログのおかげで、かおるさんなど、新たに訪問していただく方も増えたと思います。

どちらさんも、なかなか落語に通じていらして、落語のみならず人生の勉強になります!

Commented by かおる at 2013-07-10 10:16 x
まいどおおきに。
新治師匠を褒め称えているブログを草の根をかき分けるように探し回っていたらこちらへたどり着きました(^^)
みなさん精力的に落語活動をされていて読み応えがあります!

今後とも露の新治師匠をよろしくお願いします!(誰)

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by kogotokoubei | 2013-07-06 19:48 | 寄席・落語会 | Comments(15)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛