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噺の話

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『米朝ばなし』による、『大丸屋騒動』について。

 土曜日の三田落語会、露の新治による『大丸屋騒動』は圧巻だった。

 今日、『米朝ばなし-上方落語地図-』にもこの噺の紹介があったのを読んだ。
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『米朝ばなし』(講談社文庫)
 少し、筋書きが違う部分もあったのを発見したので、「祇園」の章から引用したい。

 旧暦の七月、お盆のころ、京都・東山の祇園さん境内の盆踊りの輪の中に、血刀を下げてあばれ込む男の話があります。
『大丸屋騒動』です。
 伏見に大丸屋という古い呉服屋がある。兄の宗兵衛が店を継ぎ、弟の宗三郎にもいずれ分家させて店を持たそうと思うておりますが、この宗三郎が祇園の富永町に屋形のあるおときという芸妓と深くなじむ。
 (中 略)
 大丸屋に借金のカタに取った村正の刀がある。これを宗三郎は気に入って、いつも護身のように持ち歩いている。木屋町の家にも、それを持ってきています。



 あれっ、村正の妖刀は、兄の宗兵衛の妻が嫁入り道具に持って来たのではなかったのか・・・・・・。

 米朝の音源は聴いていないが、きっと、この本に書いている設定なのだろう。

 新治も、師匠露の五郎兵衛も“嫁入り道具”という設定だし、三田の会の前に神保町のN書店で買った『上方落語』の速記もそうなっていた。

 しかし、埋もれた上方落語の発掘で定評のある、米朝である。どちらが、オリジナル(?)に近いかは、勉強不足で分からない。

 しかし、この噺の根本には影響はないのだろう。

『米朝ばなし』には次のような記述がある。

 この話の“百人斬り”のくだりを、先斗町に住んでいた桂枝太郎という、明治から大正にかけての名人と言われた人が、絶妙の演技でやってみせたと伝わっています。踊っている芸者が「どうおしたえ?」とのぞき込む、ハッと表情が変わる。ズバッと斬る。あと、目を半眼に開いた宗三郎が、フラー、フラーと歩いていく・・・・・・。
 だれにも真似の出来ない、あまりに見事な芸であったので、先斗町に比べられるのを恐れてだれも手がけんうちに、滅びかけたという落語です。



 この桂枝太郎は初代。こういった名人がいたからこそ、露の新治の素晴らしい高座を聴くことができたのだろう。

 この枝太郎のことは、別途書くつもりだ。まだ、勉強不足。


 新治の至芸、しかし、米朝の書によると、枝太郎の芸があまりに素晴らしいものだったから、その後しばらく“埋もれて”いたらしい。

 それを考えると、他の噺家さんが挑戦してくれないと、新治しかこのネタを聴くことができなくなる・・・・・・。

 易しいネタではないが、ぜひ、東京の噺家さんに場所の設定を替えてでも挑戦してもらいたい。東京落語界にとって、十分に挑むだけの価値がある噺だと思う。
Commented by 創塁パパ at 2013-06-25 06:53 x
上方ではなく、東京では誰が演じてくれますかねえ(笑)S辰さんやK八さんなんていかが。

Commented by 小言幸兵衛 at 2013-06-25 09:56 x
私は、まっさきに雲助の名が浮かびます。
『髪結新三』を考えると、きっと大丈夫でしょう。
次は、三三かなぁ。
もちろん扇辰も見てみたいですね。

さん喬は、石井徹也さんが改作した『村正騒動』をすでに演じているようですが、落語愛好家の方のブログなどで調べると、筋書きに少し無理があるようですので、場所の設定のみ東京に移し替えて演じた方がよさそうです。祗園は浅草かなぁ。
最後の大立ち回りは浅草寺前などがよいかもしれませんね。

Commented by 佐平次 at 2013-06-25 10:44 x
この本、私も持ってました。積読、もったいないことでした。
さっそく^^。

Commented by 小言幸兵衛 at 2013-06-25 13:46 x
私も、相当積読のままの本があって、連れ合いにしょっちゅう叱られています^^
果たして、“妖刀 村正”は嫁入り道具なのか、それとも借金のカタなのか?
そんなことに拘泥して落語を楽しめなかったら、それこそ“かたなし”。
失礼しました。

Commented by かおる at 2013-06-25 14:05 x
初めまして。新治ファンです。
大丸屋騒動素晴らしかったですね!!
上方ではかけられる方はいますが、露の一門では新治師匠が唯一五郎兵衛師匠につけてもらったのだそうです。
東京だとサゲが問題ですよね(^-^)
この噺を作った人はあのサゲを言いたくて作ったのでは?とか思ったり…。

Commented by 小言幸兵衛 at 2013-06-25 14:37 x
お立寄りいただき、コメントまで頂戴し、誠にありがとうございます。
そうですか、露の一門にとっても大事な噺なのでしょうねぇ。
米朝一門や文枝一門で、かける噺家さんはいるんでしょうか。
しかし、誰でもできるネタではないですね。

次は、八代目正蔵から五郎兵衛師匠を通じて伝わる『中村仲蔵』を聴きたいと思います。
関西では聴くことのできる落語会が近いうちにあるようですが、なかなか江戸から上方に出向くわけにも・・・・・・。

江戸でご縁があることを祈るのみ!

また、上方落語の会でお会いできるかもしれませんね。

Commented by 用のない納豆売り at 2013-06-25 15:18 x
いつも素晴らしい文章楽しみに拝読しております。初コメントです。
新治の「大丸屋騒動」、私も当日、堪能いたしました。

ところで、米朝の「大丸屋騒動」の音源なんてあるのでしょうか。そんなに詳しいわけではないのですが、たぶんないはず。そもそも、高座に上げたこともないのではないかと、これは勝手な憶測ですが。というのは、「米朝ばなし」ではなく「落語とわたし」にも、枝太郎による「大丸屋騒動」についての紹介があるのですが、これを読むと、米朝はやらないのだろうなという印象を受けるのです。どうでしょうかね。
なお、この枝太郎の「大丸屋騒動」についての紹介は、米朝の師匠米團治による二代目圓馬の「しの字嫌い」についての素晴らしい文章を引用した後に続く部分で、どちらも、昔読んだときに最も感動したくだりです。読み返してみて、あの素晴らしい新治の芸も、たぶん枝太郎にはまだ及ばないのだろうなと思わせられますね。きっとそこまでいってくれると期待しますが。

長文すみません。

Commented by 小言幸兵衛 at 2013-06-25 21:13 x
お立寄りいただき、コメントまで頂戴して、誠にありがとうございます。
コメントを拝見し、「落語と私」を読みました。
たしかに、この本の該当部分の文章を読むと、米朝でさえこのネタをかけることに慎重だったことが分かりますね。
音源は、私も調べてみましたが、発売されていないようですね。
さて、実際に高座にかけたことはあるのか、ないのか・・・・・・。
ブログで本件、書かせていただきます。

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by kogotokoubei | 2013-06-24 21:13 | 落語のネタ | Comments(8)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛