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江戸の香りたっぷりの噺家は、「童心」を忘れない—「サライ」3月号より。

久し振りに雑誌『サライ』を買った。江戸特集。書店で立読みしていて、江戸しぐさの伝承者越川禮子さんと柳家小満んの対談を発見したからである。

江戸の香りたっぷりの噺家は、「童心」を忘れない—「サライ」3月号より。_e0337777_11095055.jpg

小学館サイトの該当ページ
 その「江戸の粋と人情を語る」と題した対談から、まず引用。

越川 「古典落語にはおもしろい江戸言葉がいろいろと出てきますね。
    戯(たわ)けを意味する“うんつく”とか。すごく勉強になります」
小満ん「稽古をしていて、意味がわからない江戸言葉が出てくると、上面を
    よんどころなく調べるんですが、これが楽しくてね。つい夢中になって、
    おかげで噺の稽古がほとんど進まないんです」(笑)


 小満んと同じような経験は、落語愛好家の方なら、よく経験されているだろう。私なんか、しょっちゅう、「えっ、どういう意味?」とググル日々である。それにしても、検索エンジンで便利になったせいで、辞書を引かなくなって久しい。これは、ちょっとマズイことだろうなぁ。できるだけ辞書を引こう。

 このあとに次のような言葉が続く。

小満ん「言葉は目じゃなくて耳で覚えないと、口から自然に出てくるように
    ならない。先日、人形町のある店で食事をしたとき、追加でお新香を
    頼んだら“お手盆でごめんなさい”って言って出してくれたの。お盆
    にのせずに手で運んだ際、こういう言葉がごく自然に言えるのは、昔
    ながらの心遣いが残っている土地柄だからなんです」
越川 「学校では、そういう振る舞いは教えてくれませんものね。家庭で子供
    の頃から躾けないと、身につかないでしょう」
小満ん「いやいや、幾つになっても童心でいればいいの。いい言葉だなって
    素直に思う心があれば、自然と使うようになりますよ」
越川 「知識じゃなくって感性が大事ってことですね。江戸には、商家の
    跡取りの養成所として江戸寺子屋がありました。通常の寺子屋の
    ように、読み書き算盤だけでなく、見る、聞く、話す、考えること
    を学ばせていた。それで、感性を養っていたようです」


 小満んの「童心」という言葉、なかなか出来るものではないが、なるほどと思う。そうか、そういった純な気持で毎日を過ごしているんだ、小満んは。

 江戸っ子の“泣き笑い”について。

越川 「江戸の人たちは、いつも笑っていたようですね。幕末頃に来日した
    外国人たちが、江戸に暮らす人々は人懐っこい笑顔が素晴らしい、
    と手記などに記しています」
小満ん「笑う人はよく泣くからね、泣ける心を持っている。笑ったり泣いたり
    するのは、人の気持ちがわかるから。古典落語の『らくだ』の噺のよう
    に、どんな悪い野郎でも、あの世に行けば同じ長屋に住む連中が、
    きちっと弔いを出しますしね」



 この対談は、本誌の特集第一部「江戸庶民に倣う、『身の丈』に合った暮らし方」の中にあるのだが、第一部には他に石川英輔さんが「完全リサイクル社会に学ぶ“足るを知る”生活術」と題して、江戸庶民の知恵を語っている。
 先日、小満んが『夢金』のマクラで語った「知足安分」という言葉を思い出す。

 特集第二部は「江戸から東京へ 150年受け継がれる『匠の技』」として、漆器、和紙などの伝統工芸が紹介されている。こちらも、なかなか結構。


 一時、落語特集を続けていた頃のこの雑誌は、結果としてほぼ全て買ったはず。今回の「江戸」特集も、久し振りに保存版に価する内容になっている。お奨め。

 それにしても、対談からうかがえる小満んの「童心」、忘れないよう、ぜひあやかりたいものである。それでなくても、浮世のしがらみやら何やら、いろんなものが溜まっているこの身である。それに比べて、昭和17年生まれ、古希を過ぎた噺家は、なんと純で粋で、いろんなことを教えてくれるなぁ。
Commented by 佐平次 at 2013-02-24 10:28
「ちそくあんぶん」のつぎの「そうりんいっし」のいみをご存知でしたら教えてください^^。

Commented by 小言幸兵衛 at 2013-02-24 21:25
ググったら、見つかりました。
「巣林一枝」:
小さい家に満足すること。分相応の暮らしに満足すること。不必要に他の物まで求めようとせず、分相応を守るたとえ。鳥は木のたくさんある林に巣を作っても、自分で使うのは一本の枝だけであるという意から。▽「巣林」は林に巣を作ること。「一枝巣林いっしそうりん」ともいう。
とのことです。

Commented by 佐平次 at 2013-02-24 23:28
ありがとう。
一枝に掴って生きている身、よくわかります。

Commented by 小言幸兵衛 at 2013-02-25 08:57
どういたしまして。
でも、佐平次さんには、周囲に何本も頼れる枝があるように思いますよ^^

Commented by 明彦 at 2013-02-25 11:00
御無沙汰しています。
小満ん師匠、僕の知る限りこの6年は上方に見えていません・・・今なら受け入れらそうな気がしますが。
ところで、記事に関係のない勧誘で申し訳ありませんが、
3月5日の18時30分より国立演芸場で、文我師と春團治一門有数の実力派・梅團治師の2人会があります。
三遊亭百生(勿論CDでしか知りませんが、大好きです)の前名を継がれている梅團治師は、一言で言えば「味」の塊のような方です。
文我師の会らしく前売三千円・当日四千円ですが、梅團治師(06-6606-5632)でも扱われているようです。
御都合が付くようでしたら、御検討をお願いします。

・・・黒門町と二代目春團治とは仲よしでしたね。
梅團治師は、御自分では「二代目春團治に似てるらしい」と言うてはります。

Commented by 小言幸兵衛 at 2013-02-25 11:13
お久しぶりです。
どうも、ここ数年文我の会の相性が悪いようで、3月5日も、残念ながらすでに別の落語会の予定が入っています。
しかし、3月9日のざま(宗助と二人会)には行こうと思っています。
“鉄ちゃん”の梅團治は、過去に聴いたことはありますよ。
せっかくお知らせいただいたのですが、申し訳ありません。
懲りずにお立ち寄りのほどを。

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by kogotokoubei | 2013-02-23 13:53 | 江戸関連 | Trackback | Comments(6)

あっちに行ったりこっちに来たり、いろんなことを書きなぐっております。


by 小言幸兵衛
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